街中がきらびやかになる12月。山下達郎、マライア・キャリーやWam!など、数々のクリスマス・ソングが街を彩っていますよね。でも、ちょっと待ったぁ! 定番ソングの他にも、クリスマスにぴったりの曲って、まだまだあるはず。の『Xmas song』なんて、まさにその典型。ということでこれは、定番ではないけれど、必ずあなたのハートを響かせるオススメのクリスマス・ソングを選ぼうという緊急企画。ototoyライターの赤裸裸エピソードと共にご紹介(苦笑)。今年のクリスマスの予定が決まっている人も、まだこれからだという人も、聖なる夜のお供に・・・。
まずは、world's end girlfriendのクリスマス・ソングをフリー・ダウンロード!
Xmas song / world's end girlfriend
2001年にROMZ Recordより、world's end boyfriend名義で発表されたミニ・アルバムの中から、「Very Merry Happy」「Planetarium Ghost Train」「Miss Piggy」「Rotten Pig Parade」「Honeymoon」の5曲を、world’s end girlfriend名義で配信リリース。12月31日までの期間限定でフリー・ダウンロードいただけます。更に、ダウンロードいただいた方には、「おしゃれ手帖」や「ギャラクシー銀座」でお馴染みの、長尾謙一郎氏による書き下ろしジャケット画像(568px×551px)をプレゼント。クリスマス特有の高揚感、何回も聴いてしまう中毒性、時折垣間見えるクレイジーさ、すべてに心が躍る、world’s end girlfriendからの一足早いクリスマス・プレゼントを、どうぞお楽しみください。
ototoyおすすめのクリスマス・ソング
「cutting edgeで反体制なだけがパンクではない」という概念のもと、AUDIO ACTIVEのMASAMATIX率いるSoft Punkは、山下達郎の「クリスマス・イヴ」、広瀬香美の「ロマンスの神様」などの定番ソングをレゲエ・カヴァー。その深さは、さすがの一言。石橋英子の「アーケイドのクリスマス」は、ピアノとヴォーカルの美しいハーモニーが優しくあなたを包みます。ウクレレ・サンタのトロピカルな『ハイビスカスのクリスマス・ツリー』や、8bitリミックスV.A.『Holy 8bit Night +』は、クリスマスの既存のイメージをガラリと変える快作。naoomi&goroは、ボサノヴァで、クリスマスの情景を優しく伝えてくれます。
ototoy編集部のおすすめクリスマス・ソングと赤裸裸エピソード
チャールズ・ブラウン / Please Come Home for Christmas
text by 西澤裕郎
この季節になると思い出すことがある。19歳のクリスマスの頃のこと。『行け!稲中卓球部』という漫画のヘビー読者であった僕は、古谷実リミックス作品『稲作』の初回特典についていた<稲作>Tシャツを冬にもかかわらず着ていた。それは女の子としゃべれない自分を正当化するためのカムフラージュであり、外部に対する最大のアピールであった。古谷実の漫画の主人公は下ネタばかり言うし、不細工だし、決してクラスで人気者になるタイプではない。それでも、彼らには彼らなりの世界があって、その中では人気者なのだ。『稲中』の主人公の前野と井沢は、クリスマス気分に浮かれる街に<サンタ狩り>に出かけようと画策する。サンタ狩りとは街のカップルたちに天誅を下すという計画で、要するにモテない男のルサンチマンを爆発させるためのイベントである。しかしそれを実行に移すことで他人を不幸にするのではなく、<サンタ狩り>というイベントを考えて浮かれることこそが前野たちのクリスマスで、じゃれ合い自体が楽しいのである。古谷実が後に発表した『シガテラ』は、そんな光景や甘酸っぱい青春時代を、シリアスな部分やアイロニーを含みながら描いた傑作であるが、最終回は意外な結末で終わる。一種の夢オチのような感覚にも陥るが、成長するということを物悲しくもリアルに捉えており、そのために全ての物語は必然性を持っている。
19歳の頃に<稲中>Tシャツを着ていた僕は今、音楽に囲まれた生活をしている。当時の自分からは想像も出来ない生活環境にいる。『シガテラ』の最終話で主人公は腑抜けだった自分に対して、「やるじゃないか」と声をかける。そこで読者がグッとくるのは主人公の過去をかいま見てきたからであり、そこには成長への賛美と過去への寂寥がある。だから、僕も毎年この時期になると<サンタ狩り>を経由して過去の自分を思い出しながら「やるじゃないか」と思ってみたりするのである。この特集でチャールズ・ブラウンの「Please Come Home for Christmas」を推薦しようかと思う僕の言葉にも、どこか過去の自分への寂寥と羨望の眼差しがある。
たま / おおホーリーナイト
text by 水嶋美和
12月になると不況も忘れて街中が浮き足立つ。この中で仏教徒の人、手を上げて! クリスマスなんて関係ないだろう! いやしかしこの季節、独り身が辛いからって、その辛さを忘れる為に四国霊場八十八カ所をお遍路する事は無かったんじゃないだろうか。三年前の12月25日、私は香川の寺の前に居た。女4人、全身タイツで。なぜ全身タイツだったのか? その理由は「インパクトあるし、もっと楽しくなれるかなと思って…」ライブ・ハウスで脱いでしまう男性と同じ心理である。「アンチ・クリスマス!」のスローガンを胸に意気揚々と徳島から出発。絶対お坊さんに殴られると怯えながらも、さすがは四国の方々。どんな姿であろうと、お遍路さんには果てしなく優しい。高知ではうっかり赤の全身タイツと緑の全身タイツが二人で行動してしまい、「あらあらクリスマスだねえ」と声をかけられるハプニングに見舞われつつも、愛媛では手が黄色くなるまでみかんを食べ、香川では一日4食うどんを食べて、無事、お寺を全て回ることが出来た。
クリスマスの聖なる夜に、日本のどこかの子供達はサンタさんからプレゼントを受け取り、日本のどこかのカップルは「来年も二人でね」と囁き合ったであろうあの瞬間、私達は香川の霊場八十八番所・大窪寺でアメリカの卒業式さながらに被っていた笠を天高く放り投げた。勿論、罰当たりな行為です。絶対に真似しないでください!
何故あのような奇行に走ったのか、当時の自分の思考回路が理解できない。けれど、一生忘れられない思い出。『アンチ・クリスマス!』を叫びつつも、誰よりもクリスマスを楽しんだ。達成感に充ち溢れた帰りの車中、ラジオから一風変わったクリスマス・ソングが流れてきた。誰のもとにもクリスマスが訪れ、その夜だけは全員が平等である事を教えてくれるひたすらに優しいこの歌に、達成の高揚は安堵の眠りに変わった。純粋な歌詞を生む事に於いて、たまの右に出るミュージシャンを私はまだ知らない。
BUMP OF CHICKEN / スノースマイル
text by 小林美香子
毎年、友達に「今年のクリスマスは何か予定ある?」という問いをされるまで、クリスマスがあることをすっかり忘れてしまう。その理由は、恋人がいないし、そこまでクリスマスが重大なイベントだと思ってないからです! 恋人がいないって綴りましたが、筆者は恋なんて全然したことがないのです・・・ 。「一生こんな状況ではいけない!」ということで、恋愛FUCKな筆者が、今年のクリスマスまでに妄想で彼氏を作ろうと思案中。さぁ、どうなるのでしょうか? この記事を読んでいるそこのあなた! 思う存分にキモイと思って大丈夫ですよ(笑)。
「スノースマイル」を何故セレクトしたかというと、単純にこの季節になったら聴きたくなるから。街中に溢れる、それなりにワイワイ楽しく、キラキラした感じの曲も良いですけど、じんわりと温かさが伝わる、しっとりとした曲も良いと思うのです。恋人と一緒に、ロマンチックなこの曲を聴きたいですよねぇ・・・。今年のクリスマスが色々と楽しみになってきました。サンタがやってくるまでに、たくさんのクリスマス・ソングを聴いて、楽しく当日が過ごせると良いですよねぇ・・・。さぁ、妄想彼氏出来るようにがんばるぞーーー!!!
曽我部恵一 / ハルコROCK
text by 井上沙織
サンタの衣装着てケーキを売ったり、パーティーしたり、公園で遊んだり。クリスマスは、毎年それなりに楽しく過ごしてきましたけど・・・ やっぱり、クリスマスの思い出といえば、ホーム・パーティー。一週間前からクリスマス・ツリーに飾り付けをして、当日は昼間から料理やケーキを作りはじめ、夜は子供用シャンパンでちょっと大人の気分を味わいつつ、学校や友達の話をする。年に一度しかきかないクリスマス・ソングを聴きながら布団に入り、枕元にプレゼントが置かれる瞬間を確かめようと、寝たフリをしてたら、お父さんでがっかりしたり・・・。(それが原因か、次の年からは、あらかじめプレゼントを一緒に買いに行くようになりました。)今でこそ、彼氏と過ごすや、友達とわいわい騒ぐ等いろんな選択肢がありますが、小さい頃のクリスマスの思い出は格別なものだと思います。お父さん、お母さんありがとう! 「ハルコROCK」はクリスマス・ソングではないですが、曽我部恵一さんの娘に対する親心が垣間見えてとても温かくなる楽曲。私の、今年のクリスマスの選択肢は、仕事をすること。平日だし!。でもクリスマスらしいことは、何かしらしたいなぁ。
Less Than TV V.A. / 友達以上恋人未満TV以下
text by JJ