【連続特集】第2弾 聴けば一発でわかる、THE 夏の魔物のロックンロールーー成田大致&只野菜摘、初対談
ロック・フェス〈夏の魔物〉の主催者・成田大致によって結成されたペンライトをふれるロックンロール・バンド、THE 夏の魔物が、7月12日にVAPより『シン・ マモノボンバイエ EP』をリリース。前山田健一作曲による「シン・魔物BOM-BA-YE ~魂ノ共鳴編~」、DOTAMAがラップで参加した「RNRッッッ!!!」、麻宮みずほ作詞の「ハジメまして」など全5曲を収録。シン・マモノBAND(Gt.越川和磨、Ba. えらめぐみ、Dr.中畑大樹、Key.ハジメタル)によるバンド・スタイルでレコーディングされた本作に迫るべく、2週に渡り特集を敢行!! 第2週目は、メンバーの成田大致と、成田の成長を見守り共に作品を作ってきた作詞家の只野菜摘へのインタヴューをお届けする。
THE 夏の魔物、メジャー・シングルを7月12日より配信開始
THE 夏の魔物 / シン・マモノボンバイエ EP
【Track List】
1. シン・魔物BOM-BA-YE ~魂ノ共鳴編~
2. RNRッッッ!!!
3. マモノ・アラウンド・ザ・ワールド
4. ハジメまして
5. 恋しちゃいなびびっど
INTERVIEW : 成田大致 × 只野菜摘
ももいろクローバーZやでんぱ組.inc、プリキュア楽曲など、数々の名曲の歌詞を生み出してきた作詞家・只野菜摘。成田大致が5、6年前に組んでいたバンドのライヴを観た只野は、成田のヤバい目に惹きつけられたという。それ以降、数々の楽曲でタッグを組んで来た二人。このたびTHE 夏の魔物がリリースする新作『シン・マモノボンバイエ EP』は、これまでの作品を圧倒的に凌ぐ新たな一歩を踏み出すEPになったと、成田は自信を持って語ってくれた。女子メンバー3人(泉茉里、麻宮みずほ、鏡るびい)が大きくフィーチャーされ、シン・マモノBANDとも深く踏み込み完成した本作について、成田大致と只野菜摘に話を訊いた。7月12日(水)、渋谷WWWで開催されるツアー・ファイナル。そこではどのようなロックンロールが観られるのか。いまの魔物に注目が集まる!!
インタヴュー&文 : 西澤裕郎
写真 : 大橋祐希
>>>特集第一弾 : 泉茉里 × 麻宮みずほはこちら<<<
只野さんがいてくれたからこそ、俺は音楽に対してより真摯に向き合える
ーー今回、成田くんから只野先生との対談をリクエストいただいたんですけど、どうしてこのタイミングでの対談を希望されたんでしょう?
成田大致(以下、成田) : 只野さんとはもう5年以上の付き合いなんですけど、実はこういう対談は初めてで。今回、THE 夏の魔物としての節目というか、はじめの一歩的なEPができたと思っていて。このタイミングで只野さんとお話するのが1番いいなと思ってお誘いしたんです。
ーー『シン・マモノボンバイエ EP』は、そこまで手応えのある作品なんですね。
成田 : 実は「魔物、BOM-BA-YE ~魂ノ覚醒編~」から只野さんへの作詞の依頼方法を変えたんですよ。『簡単な言葉』や、『より伝わりやすい言葉』を使ってほしいってことをお願いしました。あと、この6人になってから自分の中でも伝えたいことが全然変わってきて「自分たちらしさ」みたいな部分を一番大切にしているんです。今作はまずTHE 夏の魔物というバンドの背景が見える作品にしたいと思ったんです。1個前のシングル『僕と君のロックンロール』もそうだったんですけど、そこが昔とは決定的に違うところですね。
ーー只野先生はTHE 夏の魔物のライヴによくいらっしゃってますよね?
只野菜摘(以下、只野) : まず、ファンだっていうことが根底にあると思います。
ーーファンっていうのは夏の魔物のファンなんでしょうか? 成田くんのファン?
只野 : 大致くんにも時々言うのですが「誰の味方もしないけど、みんなのことを応援してる」っていう感じでしょうか。
ーーその心は?
只野 : 「たとえば大致くんの応援をするけれど、常に大致くんの味方をするわけではないよ」ってことかな。例えばAさんとBさんがちょっと意見が違っていたとして、必ずAさんだけが正しいとは限らないですよね。私は両方を応援してるけど、どっちの味方もしない、自分で解決できるはずって考えたいんです。
成田 : 俺はこれまで只野さんから言われた言葉は常に残っていて。自分の作品と人生に影響を与えられている。何かあったときに報告するのも只野さんですし。
ーー作詞をお願いするという行為以上の信頼関係があるわけですね。
成田 : そうですね。だからこそ、冒頭のナレーションとかは只野さんにしか書けないものになっていると思うんです。誰よりも自分たちのことをわかってくれている。
只野 : 大致くんもだんだん大人になってきたと思ってます。昔はよく説教とかしていたんですけど(笑)。
ーーあははは。
成田 : 只野さんがいてくれたからこそ、俺は音楽に対してより真摯に向き合えたんですよ。前のバンド(SILLYTHING)をやっているとき、とにかくうまくいかない日々しかなかったんですけど、そういうときも只野さんが声をかけてくれて。いまはその時代からは想像もつかないすごくいいメンバー6人が揃っているし、最高の環境でやれている。それはこれまでの活動や経験、苦悩、全てが繋がっているなと思っていて。状況がよくなればなるほど、それは思いますね。
私は、大致くんのなにかを信じている
ーーバンドがうまくいっていないと言っていましたが、SILLYTHING時代はそこにアイドルやアニメなどの要素を入れたことで独自の音楽が生まれていたと思うんですね。そんな中、このタイミングで、再びバンドに回帰したのにはどういう理由があるんでしょう。
成田 : 昔やりたくてもできなかったことが、ようやく今できるようになってきたというシンプルな理由です。俺がやりたかったものは1人ではできなかったし、チームじゃないとできないものだった。今のメンバー6人、演奏しているメンバー、全員との出会いが1つ1つあったことでできるようになったんです。VAPからリリースすることもそうなんですけど、音楽を続けてなかったらできなかったことですし。
ーー紆余曲折あったけれど、そうして辿りついた最高のメンバーなんですね。只野さんは成田くんの様子を見ていて、今のような未来を予想していました?
只野 : 最初にライヴをみたときに、まず目がヤバかったです。ステージに上がって歌い始めた瞬間、ヤバさが降りてくるみたいな。それってやろうとしてできることではなくて、天性のものでしょう。そのときから私は、大致くんのなにかを信じているんですよね。それがある限り、迷っていることがあっても、そこに立ち返るだろうし、そこでしか生きられないだろうなって。活動をやめようと思っても戻ってきちゃう、離れられない。それを詞にしたんです。導かれた感があるのかなって。メンバーはもちろん、バンドのみなさんも、スタッフさんも、力を貸してくださる方々も、なにかがあって呼ばれあったのかなと思っています。
ーー「魂ノ共鳴編」というサブ・タイトルはどうやってつけられたんでしょう。
只野 : 最初の「魔物、BOM-BA-YE」のとき、このテーマは1曲で終わるものではないなと思ったから「魂ノ覚醒編」っていうサブ・タイトルにして、それ以降も続けられるようにしておきました。それで今回「何編にする?」ってなったときに、大致くんから共鳴でいきたいってことで。
ーー「シン・魔物BOM-BA-YE ~魂ノ共鳴編~」の作詞は、只野さんに加え、ヒャダイン(前山田健一)さんも担当されていますよね。
只野 : 大致くんからのメールに、ヒャダインさんの歌詞と歌ってくださっているデモが添付されてきて、詞のなかの色を変えてある部分を書いてください、っていうやりかたでした。
ーー対極的に「ハジメまして」は、メンバーのみずほちゃんが作詞しています。
成田 : 今回、女子メンバーに特化したミニ・アルバムにしたいと思っていたんです。今作の前にチャンのソロ・ワークス(泉茉里『UTANINARE!! / わたし』)があったんですけど、全部が同時進行だったんですよ。ハジメタルさんとピアノ弾き語りを作ることになったんですけど、それをみずほちゃんの曲にしてみるのがいいかなと思って。
ーー作詞に関して、みずほちゃんにテーマを伝えたりしたんですか?
成田 : 基本、メンバーになにかやってもらうときはリクエストはしないんですよ。その子の感性でやってほしいから。もうちょっと伝わりやすくしてほしいとかのリクエストはあったけど、わりとそのままの歌詞になっています。
一発で、これまでとは違うんだとわかるものを作らないと意味がない
ーー2曲目「RNRッッッ!!!」は、成田くんと只野さんの共作です。
只野 : これは最初に、インスタだったり、SNS周りの言葉やチェキ、RNRって言葉を入れてほしいってリクエストを大致くんからもらって、それを全部入れつつ書いていきました。
成田 : この曲は女子3人の曲にしたいなと思ったんです。彼女たちの日常であったり、俺が見ているチャン、みずほ、るびいの普段の感じを出したかった。
ーーインスタとかチェキとか、現代的な言葉を歌詞に入れるっていうのは、作詞家先生の方にとっては珍しいのかなと思うんですけど、難しくはなかったですか。
只野 : インスタやチェキのような言葉と、RNR(ロックンロール)をどうやって結びつけて一個にするか、そこがポイントでしたね。
ーー成田くんは、一貫してロックンロールというキーワードを抱えていますよね。
成田 : 特にこの3人はそこに自覚的じゃないというか。別にロックのことに詳しいわけでもないけど、概念の部分でこの女子3人にロックを感じるんです。もともとチャンとかみずほちゃんのライヴを見てそれ(ロック)を感じていて、一緒に音を出してからもそうなんですけど、曲に落とし込むことができないかなとずっと思っていたんです。
ーー3曲目「マモノ・アラウンド・ザ・ワールド」に関しては浅野尚志さんの作詞・作曲で、ロックにまつわる単語やキーワードがちりばめられています。まさにロックンロールな楽曲になっていますよね。
成田 : これは自分の中でのロック辞典があって、それを書いた呪文のようなメールを浅野さんに送って、解読してくれてできた奇跡みたいな曲なんです。この曲は単純明快なものにしたかった。構成もそうですし、るびいのスクリームとか、普段の魔物じゃできないことをしています。魔物史上、1番早くできた楽曲でしたね。
只野 : この曲を聴いてちょっとしたジェラシーを覚えましたよ。いいものって、いいなと思うと同時に、なんでこれを作ったのは自分じゃないんだ!! っていう気持ちになりますよね。それから今回のミニ・アルバムは演奏がすごい。バンドのみなさんの気合いというか、呪いが込められている(笑)。
ーー呪い、っていうのは?
成田 : 本当に大変だったんですよ。レコーディングの日に全部録り終わったあとに「バンドとして、THE 夏の魔物として、はじめての作品になるけど、俺たちが出しているサウンドはこれなんだ!! って胸をはっていえる作品になっているのだろうか…」って悩んで、俺がぶちまけたんです。
ーー妥協をせずに想いをバンドに伝えたんですね。
成田 : その出来事だけじゃなく、最近のことが全部リンクしていて。どういうサウンドを作っていこうかって会話もすごく増えたし、THE 夏の魔物とはなんぞや? ってみんなで考えるようになった。今回のミニ・アルバムは一聴して、これまでとは違うんだとわかるものを作らないと意味がないと思ったんです。1曲目は杉田智和さんのナレーションからはじまるし、overtureの部分が流れている間は「魔物BOM-BA-YE ~魂ノ覚醒編~」の延長線上っぽいと思うんですけど、中畑(大樹)さんがフィルインした瞬間から完全に違うものになっている。キャニオン期の夏の魔物とTHE 夏の魔物の決定的な違いっていうのが、聴けば一発でわかると思います。そういうものじゃないとバンドでやる意味がなかった。
ーー成田くんの本音に対して、バンド・メンバーが応えてくれたことがなにより大きいですね。
成田 : そうですね。どっちつかずのものは作りたくなくて。THE 夏の魔物ってこうだよね、俺たちが出している音はこうだ!! って言い切れるものじゃないといけなかったんです。
只野 : 今回のミニ・アルバムを聴いて、ガールズ、ボーイズ、バンドの三位一体っていうのがすごくわかりました。
成田 : やっぱりこのメンバーじゃなきゃダメなんだ、このメンバーにしか出せないんだ、っていうものじゃないとやりたくなかったんです。完成したミニ・アルバムを聴いて、日が経てば経つほど思っています。魔物のチームとしてこれまでにない部分があるとすれば、作品を作ってライヴでそれを超えていく、そしてどんどん「過去最高」が上書きされ続けている感じがあること。長く音楽活動をしていますけど、積み上げる作業みたいなことは初めてなんです。まだこの数ヶ月のことなんですけど、特に3月からの期間がすごく充実していた。反面、血反吐吐くくらい大変だったんですけどね(苦笑)。
いまやっていることは絶対に正しい
ーーTHE 夏の魔物は「ペンライトをふれるロックンロール・バンド」と名乗っていますよね。昔の成田くんはそういう言葉を使わなかったのかなと思いつつ、そこも変化なのかなと思うんですけど。
成田 : 魔物ファンの総称を「魔物チルドレン」っていうんですけど、魔物チルドレンが増えてきていたり、ライヴでみんなペンライトをもって応援してくれていたりするんです。その光景があるから、そういうワードが出て来たんだと思います。SILLYTHINGを作るときに言った言葉や、やりたかったことが全部実現してきているんですよ。それは当時俺の頭の中にしかなかったんですけど、いま、目の前にあって、奇跡みたいなことが起こっている。それは自分1人の力ではなくて、メンバーもそうですし、チームのみんな、VAPのみなさん、そして魔物チルドレンのみんな…全員のおかげですね。こうやってペンライトを触れるロックンロールバンドっていうものができたのは、周りの人のおかげだなって最近思います。
ーー7月12日(水)には、渋谷WWWで〈シン・マモノボンバイエ TOUR FINAL〉が開催されますよね。どんなライヴにしたいですか?
成田 : ツアー前に「魔物BOM-BA-YE ~魂ノ覚醒編~」をバンドで作り直したんですよ。「魔物、BOM-BA-YE ~魂ノ覚醒編~」は大切な曲で、それと「シン・魔物BOM-BA-YE ~魂ノ共鳴編~」を合わせて聴けば、そういうことだったのかってわかると思うんです。でも、誰にも理解されなかったら嫌だなとも思っていて。よく「サブカルだ」とかそういうことを言われるのですが、自分としてはそんな風に思ったことは一度もないし、常に「王道」を作ってきたつもりなんですよ。今はこの楽曲達を生演奏で、バンドサウンドにこだわって作れたことが自分では手応えがある。それを世の中にどうやって伝えていったらいいかというのが今の悩みでもあります。只野さんはライヴで見てどう思いました?
只野 : 強くなれ、腹から歌え、そして灰になれってことかな。とにかく、迷ったら光のほうへ行ってほしい。
ーー成田くんの信じているものを、とにかく信じ通せと。
成田 : いまのライヴを、作品を聴いてもらえば、只野さんが書いてくれた歌詞たちがより伝わると思うんです。そういうライヴを今はしているので、THE 夏の魔物に対していろんな印象があるかもしれないけど、10人で出している音を聴いてみてほしい。THE 夏の魔物は今年結成してまだはじまったばかりですし最古参にもなれるので、いますぐ7月12日渋谷WWWのチケットをとって、魔物チルドレンになってくれたら嬉しいです!!
>>>特集第一弾 : 泉茉里 × 麻宮みずほはこちら<<<
THE 夏の魔物、1stシングルを配信中
THE 夏の魔物 / 僕と君のロックンロール
【配信価格】
WAV / ALAC / FLAC : 単曲 257円 まとめ価格 500円(税込)
【Track List】
1. 僕と君のロックンロール
2. over the hill
LIVE INFORMATION
シン・マモノボンバイエ TOUR FINAL
2017年7月12日(水)@渋谷WWW
時間 : 開場 18:30 / 開演 19:30
出演 : THE 夏の魔物
※バンド編成でのワンマン・ライヴとなります
Gt. 越川和磨 / Ba. えらめぐみ / Dr. 中畑大樹(syrup16g) / Key. ハジメタル
チケット : 発売中
夏の魔物2017 in KAWASAKI
2017年9月10日(日)@神奈川県・川崎市東扇島東公園・特設会場
時間 : OPEN 11:00 / START 12:00(予定)※11:30~OA.ハルク・ホーガン体操
料金 : 先行早割券 6,900円(ロック価格)
【第3次先行早割券受付URL】http://w.pia.jp /t/nnm-of/
・一般発売 : 8,000円 7月22日(土)~各プレイガイドにて発売
・中高生 : 3,000円(当日のみ販売。小学生以下無料)
※入場時ドリンク代別途 500円
出演 : 大森靖子 / スチャダラパー / 中村一義 / 曽我部恵一 / 大槻ケンヂと橘高文彦with高橋竜(Ba)、河塚篤史(Dr) / 人間椅子 / ROLLY / 有頂天 / ラフィンノーズ / SA / ニューロティカ / ギターウルフ / SCOOBIE DO / バンドTOMOVSKY / 汝、我が民に非ズ(町田康新プロジェクト) / THE END(遠藤ミチロウ、ナポレオン山岸、西村雄介、関根真理) / 般若 / DOTAMA / MOROHA / ONIGAWARA / 三上寛 / 奇妙礼太郎 / Sundayカミデ / ロマンポルシェ。 / ベッド・イン / ヒトリエ / Wienners / BiS / GANG PARADE / Negicco / ゆるめるモ! / BILLIE IDLE® / Maison book girl / PassCode / せのしすたぁ / ぜんぶ君のせいだ。 / ゆくえしれずつれづれ / 椎名ぴかりん / The Idol Formerly Known As LADYBABY / 二丁目の魁カミングアウト / クリトリック・リス / 高野政所 / 吉田豪 / 杉作J太郎 / DJピエール中野(凛として時雨) / にゃんごすたー / スーパー・ササダンゴ・マシン / THE 夏の魔物+シン・マモノBAND(越川和磨、えらめぐみ、中畑大樹、ハジメタル) and more...
PROFILE
THE 夏の魔物
ロック・フェス〈夏の魔物〉の主催者である成田大致によって、2017年1月6日に結成されたペンライトをふれるロックンロールバンド。メンバーは成田大致、泉茉里、麻宮みずほ、大内雷電、鏡るびい、アントーニオ本多。2017年7月に前山田健一作曲による「シン・魔物BOM-BA-YE ~魂ノ共鳴編~」を含むEPをバップよりメジャー・リリースする。