【連載】Episode52 MAYU EMPiRE「たくさんのエージェントに会えることが1番嬉しい」
WACKとavexの共同プロジェクト、EMPiRE。2020年10月より、約9ヶ月ぶりとなる有観客ツアー〈ERROR ERROR ERROR TOUR〉を名古屋・大阪・札幌・仙台・福岡の全国5カ所で開催。そして2021年1月4日には〈EMPiRE BREAKS THROUGH the LiMiT LiVE〉を東京国際フォーラムホールAで開催する。コロナ禍でも前進し続けるEMPiREに、2020年3回目の個別インタヴューを敢行。第6回はMAYU EMPiREの声をお届けする。
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INTERVIEW : MAYU EMPiRE
EMPiRE初期メンバーの1人であり、グループの支柱的存在を担っている、MAYU EMPiRE。活動当初はグループのことを考えすぎて自分にプレッシャーを感じてしまうこともあったが、活動を通じて、そしてコロナ禍を経て、楽しむことを意識するようになったという。たしかにその表情はいい意味でとてもやわらかくなったようだ。現在の心境について、ツアー仙台公演を終えた彼女に話を訊いた。
取材&文 : 西澤裕郎
写真 : 外林健太
絶望にも飽きてしまった
──今回の個別インタヴューでは、各メンバーが、自分たちがライヴで楽しむことの重要性を話してくれました。そのあたり、MAYUさんはいかがでしょう?
MAYU EMPiRE (以下、MAYU) : 私も同じで、今までのツアーで1番純粋な気持ちで楽しめているかなと思います。肩の力を抜いて楽しむことができたツアーだったのかなって。
──肩の力を抜いて楽しむ=いいライヴに繋がっている感触はありますか?
MAYU : EMPiREは根が真面目な人が多いから、肩の力を抜いた方がグループのよさが出やすいと感じているんです。言われたことをちゃんとやろうと思いすぎるとグッと力が入りがちなので、それも気をつけつつ楽しむことが1番大事。そういう部分で余計なことをあまり気にせず、できたのかなと思っていますね。
──前回の個別インタビューでコロナ禍で生きやすくなったと話してくれましたよね。そのあたりは変わらずですか。
MAYU : 生きやすいというか、混沌としていたものがどんどんシンプルになって平常心を保てるようになったという感じなんです。ライヴができない時期が続いて、絶望にも飽きてしまった状態というか(笑)。落ち込んでいても何も生まれないから、生きることに対して自分なりに折り合いつけて、現状を認めた上で生きることが今はでき始めているかなって思っています。
──グループの中の自分の立ち位置はどう感じていますか?
MAYU : リーダーとかまとめ役と見られても仕方ない立ち位置だとは自分でも感じていて。前はそれを重荷に思っていたというか。私なんかそんなに大したやつじゃないし、そんなふうに思わないでほしい、という気持ちが強かった。でも最近は、みんながそう見てくれるんだったら、その方が自然なんだろうし、私がやるべきことだなと思えるようになって。他のメンバーみたいに、おもしろいとか、明るいとか、そういうキャラ的なものが私には特にないので、頑張ろうと思っています(笑)。
──キャラ的なものは十分あると思いますけどね(笑)。周りからの見られ方や役割を受け入れられるようになってきたんですね。
MAYU : だから全然ストレスはないというか。グループの中でどっしりと構えているようになりました。私が焦っていると、みんなも不安になっちゃうと思うから、そうならないようにしていようしています。
──MAYUさんと同期のWACKメンバーで、脱退したり別の道を歩む子も出てきました。MAYUさんのモチベーションにも変化はあったりするんでしょうか?
MAYU : WACKに入った時はモチベーションなんて湧き出てきて仕方がないと思っていたんですよ(笑)。でも、そのときと今ではフェーズが違っていて。最初はただがむしゃらに1個1個のチャンスを掴んでいく段階だったけど、今はそこで掴んだものを踏まえて、自分がどの道を選ぼうみたいな状況だったりすると思うんです。そんなときこそ私は初心に帰るようにしていて。今まで積み上げてきたものを大事にしつつも、熱量はずっと初心のままにいたいと最近あらためて思ったんです。技術は伸ばしつつ、気持ちも大事にしたい。もっともっと自分はできると思うし、もっともっとやることがいっぱいあると感じていますね。
──前回も話してくれたギターの練習やダンスレッスンは継続してやっているんですか?
MAYU : ダンス・レッスンはパフォーマンスに繋がればという気持ちで始めたんですけど、それがだんだん重荷になってきちゃって。自分は振りを覚えるのが遅いので、踊れないという意識が強くなってしまったので、仕事に繋げようという気持ちは捨てて。趣味でダンスしている気持ちにしたら、すごく楽しくなって (笑)。前はEMPiREはこうだからこのジャンルをとか考えていたんですけど、好きなジャンルを楽しく踊っている感じですね。
──日常の考え方も、楽しんでやろうという方向に変わってきたと。
MAYU : 変に真面目すぎても疲れちゃうなと思って。やる時はやるけど、やらない時は手を抜くっていうのをちょっとずつ覚えました。ギターも相変わらず練習しているんですけど、音楽に触れて楽しいなみたいな感じでやっています。やんなきゃと思うと苦しくなっちゃうことに気づいて、全部趣味ってことにすればという気持ちで弾いています。
みんなの天使になれたらいいのにってすごく思うんですよ(笑)
──〈EMPiRE BREAKS THROUGH the LiMiT LiVE〉の開催決定の映像で、ライヴは人と人のエネルギーのぶつかり合いとMAYUさんは言っていました。有観客ライヴを再開して、そうしたエネルギーを感じますか?
MAYU : めっちゃ感じました。エージェントは声を出せない制約があったので、最初はちょっとさみしい感じになるのかなと思っていたんですけど、まったくそんなことはなくて。言葉がなくても、こんなに感情とか気持ちが滲み出るんだなとすごく思ったんです。そこで、あらためてエージェントが今まで私たちにどれだけの気持ちや熱量、愛を注いでくれていたのかを感じて。これはちょっと言語化するのが難しいんですけど、肌で感じたんです。エージェントは声を出したいと思っているかもしれないけど、全然すごく伝わっているよって伝えたい。今の状況でもすごく私たちは嬉しいです。この先、声を出せるようになったら、きっともっともっと楽しいよねって気持ちでいます。
──これだけの期間が空いても、エージェントが待ってくれていて、会場に足を運んでくれているというのは嬉しいことですよね。
MAYU : 本当に感謝しかありません。自粛の期間でEMPiREを見つけて好きになってくれて、初めてツアーに来てくれた人もたくさんいたんです。今は生活していくことすら大変な状況だと思うけど、生活の中の一部にEMPiREを混ぜてくれていることがすごく嬉しい。だからこそ、その人の心を豊かにしたいなって余計に思うようになりましたね。
──今回のツアーでは、山田健人さんが映像演出で参加しています。表現の幅もさらに広くなったんじゃないですか。
MAYU : EMPiREがもっと強くなったツアーというか、演出が合わさることによって、うちらはこんなにかっこいいんだよ! っていう自信がすごくつきました。「I have a chance!!」の間奏のダンスで、私に天使の羽が生える演出があるんですけど、それがすごく嬉しくて。山田さんが、私に羽を生えさせることが最初に浮かんできて作ったと言ってくださって。山田さんには恥ずかしくて言えなかったんですけど、みんなの天使になれたらいいのにってすごく思うんですよ(笑)。
──天使?
MAYU : 最終的にみんなの心が豊かになったり、ちょっとほぐれたり、もうちょっと生きようとか肩の力を抜いて生きてみようという気持ちになったり、自分のことをちょっと好きになってもらえたらいいなって。それをすごく思うんですよね。そう考えた時に、天使になりたいなと思っていたんです。そこがリンクしていて嬉しいなって思いました。
──山田さんのインスピレーションと、MAYUさんの考えがリンクしたと。すごくいい話ですね。
MAYU : 本当ですか? 恥ずかしすぎる(笑)。
──今回のツアーは公演ごとにセットリストが違いました。MAYUさんにとって、特に思い入れのある楽曲をあげるとしたらどの曲になりますか?
MAYU :やっぱり「MAD LOVE」はずっと特別な気持ちがあります。名古屋の1曲目と仙台の最後のアンコールが「MAD LOVE」で、鍵になった曲だと思っていて。結局、LOVEだなと思うんです。直接喋れなくたって、愛があればこんなに楽しいじゃん! みたいな感じというか。曲を通してそういう気持ちも伝えられたらいいなと思うし、より一層愛おしい曲になりました。あと「ORDiNARY」に全公演映像演出が入っていて、より一層世界観に没頭できる曲になりました。みんなに聴かせる意識より、誰か1人に届いたらいいなという気持ちで歌ったんです。私の歌を聴いてくれー! っていうより、あなたに歌ってるよ、ありのままでいいんだよって気持ちで歌えた。自分的にはそういう曲ができてよかったなって思います。
今が夢の最中なんです
──2021年1月4日に、東京・国際フォーラムでのワンマンが発表されました。率直にどんな気持ちですか?
MAYU : 最初は、立っていいんですか…!? という気持ちがあったんですけど、今までの中で1番エージェントに来てもらえる規模の会場で、それがすごく嬉しいです。大きいステージに立つことは大好きだけど、なによりもたくさんのエージェントに会えることが1番嬉しい。2020年最後にツアーもできて会うことができた人たちもいるけど、もっともっと会いたいと思っていて。2021年頭に最大限のエージェントたち1人1人と会える日が待っているのがとにかく嬉しいです。
──コロナ前であれば、絶対に成功して次のステップに進みたいという言葉が出てきたんじゃないかと思います。ライヴに向かう気持ちや意味合いが大きく変わったともいえますね。
MAYU : より一層1人1人に対してのことを考えるようになったんだと思います。今までは自分たちの状況に必死でやっていたから、大きいステージに立つ時にも本質的な嬉しいということが伝えきれていなかったと思っていて。目の前にいる人に対して、なにを伝えられたら1番いいのか、その人になにを1番伝えたいのかまで深く考えられてなかったと、この期間で反省したんです。MCも目の前の人になにを言いたいのか、なにを伝えたいのかをすごく考えるようになった。だから、自分たちの目標とか課題っていうより、あなたになにをしたいのかという気持ちが強くなったのかなって感じています。
──国際フォーラム、どんなライヴにしたいですか?
MAYU : タイトル〈EMPiRE BREAKS THROUGH the LiMiT LiVE〉の限界突破というのがキーになってくると思うんです。今までよりもっとむき出しのEMPiREを見せるような日になるかなって。私たち自身、ちゃんとしなきゃとか、かっこつけなきゃという気持ちを保てないぐらいのライヴにしたいです。うれしい時はうれしい気持ちを、ありがとうって思う時はありがとうの気持ちを、150%とかで200%とかオーバーなぐらいもろ出し! する日にしたいと思っています。全部出しきって、もう出ないっていうところまでやって、2021年をスタートできたらいいなと思っています。
──限界突破といえば、かつて行った24時間ライヴでもメンバー間はギスギスしなかったですし、ずっとポジティブに進んでいきましたよね。
MAYU : やっぱりEMPiREは明るいグループで、自分たちはそれがいいんじゃんと思えるようになってきたんです。必死で苦しくても、なんか笑えちゃうみたいな状況が作れたらいいのかなってすごく思っています。
──今回の個別インタヴューでは、それぞれが個人的にやりたい方向性が少しずつ見えていると思うんですけど、MAYUさん的にはやりたいことはありますか?
MAYU : それがないんですよね(笑)。この前、たまたま(カミヤ)サキさんにばったり会ってご飯を食べたんですけど、どうやって進んでいくか考えた方がいいよって言われて。そうだよなと思ったんですけど、私はラッキーなことにWACKに入れて、こうやってEMPiREとして活動させてもらえているだけで、自分にこれといった素晴らしいものがあると思ってなくて。EMPiREを頑張るって気持ちしかないんですよ。EMPiREが好きだから、EMPiREのためになることだったら、私はなんでもやりたい。あまり夢がないし向上心のないやつだなと思われるのかなと思うけど本当にそうなんです。
──EMPiREで活動すること自体が、夢の場所で活動しているわけですもんね。
MAYU : そう、私にとって今が夢の最中なんです。
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