2016/10/03 16:57

アイドル・グループ構成員増殖計画vol.70ーー新生BiS キカ・フロント・フロンタール「世界一やばいアイドルになりたい」

2014年に解散したアイドル・グループ、新生アイドル研究会・BiS。2016年9月1日〜4日に行われた合宿オーディションで選ばれたプー・ルイ、ペリ・ウブ、アヤ・エイトプリンス、ゴ・ジーラ、キカ・フロント・フロンタールの5人のメンバーに加え、サウンド・プロデューサー松隈ケンタ、プロデューサー渡辺淳之介の布陣で再スタートを切った。11月16日には1stアルバム『Brand-new idol Society』のリリースも決定、ワンマンライヴのチケットは即完するほどの注目を集める彼女たち。OTOTOYでは新生BiSの個別インタヴューを実施。5回に渡り初インタヴューをお届けする。

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INTERVIEW : キカ・フロント・フロンタール

3泊4日の合宿オーディション、早朝に行われたマラソンで驚異的な走りをみせ、ぶっちぎりの1位を獲得したキカ・フロント・フロンタール。初日の夜にはスタッフたちの酒盛りに遭遇、ニコ生の画面前で金麦を飲み始めて画面越しの視聴者たちのハートを鷲掴みにした。そんなキカは現在パン屋で働いており、BiSに集中するための移行中である。地方に住んでいたとき叶わなかったアイドルになりたかった想いが、上京しBiSHなどアイドルを追いかけるなかで抑えきれず、BiSの合宿オーディションに参加し見事合格を勝ち取った。ミステリアスな存在になりたいというキカへの初インタヴューをお届けする。

インタヴュー&文 : 西澤裕郎
写真 : 大橋祐希

どんな状況でもお酒は美味しいですよね

ーー合格発表で名前が呼ばれた瞬間は、どんな気持ちでしたか?

キカ・フロント・フロンタール(以下、キカ) : 「あー、呼ばれたか…」って感じでした。合宿中「やばいな、落ちるかもな」と思っていたんですよ。

ーーそうなんですか? 他のメンバーに比べて、声がもれるような反応をしていたので感慨深いと感じていると思ったので、今の答えはすごく意外です。

キカ : あまり覚えてないんですよね。合宿に行く前は受かるだろうって変な自信があったんですけど、合宿に行ってみたら順位があがらなくて自信がなくなっていって。

ーーとはいえ、早朝に行われたマラソンでは2日ともぶっちぎり1位だったり目立っていたじゃないですか?

キカ : 運動は得意って言えるほど得意じゃないですけど長距離が好きなんです。オーディションの面接で「BiSに入ったら何やりたい?」って聞かれて、ずっとマラソンって言っていたくらい、すごく走りたかったんですよね(笑)。

ーーマラソンは朝6時スタートと、かなり朝早かったですよね。

キカ : それなのに私は寝るのが1番遅くて(笑)。

ーーそれは初日の夜に金麦を飲んでいたからですよ(笑)。ニコ生視聴者からも大好評でしたけど、度胸がありますよね。

キカ : 違うんですよ!! 初日の2時くらいにみんな寝るよってなったんですけど、私は練習しないとダメだと思って、歌詞を書いたノートとイヤホンとiPhoneを持ってソファで練習しようとしたんです。1人でやろうとした瞬間、渡辺さんとスタッフさんたちで酒盛りが始まって呼ばれちゃって(笑)。おもしろいからカメラの前で乾杯すればって言われて。

ーー実はみんなが寝静まってる中、練習しようとしていたんですね。

キカ : そうなんですよ。そしたら練習時間を削ってまでお酒を飲みことになって(笑)。逆にそれで印象づいたのなら、よかったなと思うんですけど。

ーーもともとお酒は好きなんですか?

キカ : すごく好きです(笑)。

ーー身体的にも精神的にも疲れている中で飲むビールはどんな味がしました?

キカ : めっちゃ美味しかったです(笑)。どんな状況でもお酒は美味しいですよね。ふふふ。3泊4日飲めないんだろうなと思っていたので、まさか1日目で飲めるとは思いませんでした(笑)。

ーーでも同時に、みんなが寝静まってる中練習するくらい不安があったと。

キカ : 私、すごく覚えが悪いんですよ。物事に対しても、人に対しても、慣れるまですごく時間がかかる。それを克服するために、人と向かい合う時間を長くしたり、ダンスや歌を練習するしかないと思ったんです。あと、渡辺さんが「忙しくなったら寝る暇もないよ」ってことを仰ってたので、寝ちゃだめなんじゃないか… と思って。みんなは普通に寝てるけど、寝ていいのかな? って。

ーーこれは罠じゃないか、と?

キカ : はい、裏の裏を読んでいました(笑)。

根性のないやつはBiSはできないと思うので

ーーあははは。キカは清掃員(※BiSHのファンの呼称)でもあったんですよね? アイドルに興味を持ったきっかけはなんだったんでしょう。

キカ : 最初はモーニング娘。さんを好きになったんです。その頃ちょうどハロプロ・キッズのオーディションがあって。私は地方に住んでいたんですけど、勇気を出してやりたいんだけどってお母さんに言ってみたら「バカなこと言わないで!!」って言われて、私はアイドルになる資格すらないんだなと思ってしまったんです。高校生くらいの頃になってファッションにも興味が出てきて、カミヤサキちゃんを知ったんですよ。それで上京した時に生のカミヤサキちゃんとお会いする機会があって、なんて可愛いんだろう!! って。人柄も大好きになって、憧れの女性として接するようになりました。そしたらサキさんがBiSに入ってアイドルになって。ただ、サキさんがBiSになった後も2、3回くらいしか現場には行ったことがなくて、BiSが解散してからBiSHを聴いてみたら、めっちゃいいなと思ってBiSHにハマりました。それもあってBiSHのオーディションも受けたんですけど、落ちてしまい今に至るって感じですね。

ーー小さいときからアイドルに対する憧れがあって、それの延長にBiSへの応募があるわけですね。

キカ : 小学校の頃、アイドルになりたいけど絶対に無理なんだって諦めがあって。でも諦めきれなくて、ずっと根に持ってたんですよね。それで、アイドルを追いかけるうちに自分もなりたいっていう気持ちが出てきちゃったんだと思います。

ーー自分が追いかけていたBiSHのオーディションに落ちて、BiSに受かったいま、正直どういう気持ちですか?

キカ : 私、BiSHに落ちた時、めっちゃ悔しかったんですよ。だから絶対、BiSに受かって、BiSHをぶっ潰したろうと思って。BiSHのメンバーに嫌われてもいいし、戦って悔しさを晴らすじゃないですけどそういう気持ちです。

ーーちなみに、同時期にサキちゃんのいるアイドル・グループ、GANG PARADEもメンバー募集していましたよ。

キカ : それ、面接でも聞かれたんですけど、自分はたぶんギャンパレじゃないなと思いました。今思うとBiSHじゃないなとも思うし、BiSが一番合うかなって。

ーーどういうところで、自分はBiSと合っていると思いますか?

キカ : えー、なんだろう…。根性があるところですかね。根性のないやつはBiSはできないと思うので。

ーーその根性は何で培われたものなんでしょう?

キカ : 中学3年間ソフトテニスを毎日やっていたんですよ。学校の部活に入りつつ、ちょっと有名な先生がやっているスクールにも部活が終わった後に通っていて。そこでボロクソに怒られて、結構鍛えられました(笑)。

ーー高校に入ってからテニスは続けなかったんですか。

キカ : 1年生の間は続けて辞めました。あるとき、自分の時間が全然なくなっていることに気づいたんですよ。高校に入ったから、おしゃれとかもしたいし、彼氏とかもほしいし、勉強以外のこともいろいろやりたいなと思って(笑)。

ーーそういう望んでいた生活はできました?

キカ : 友だちは全然いなかったんですけど、わりと充実していたと私は思っています。部活は一応入らなきゃいけなかったので、週2くらいの活動でいい部に入って、それ以外はほぼ図書館に行く、DVDを借りて映画を観まくる生活をしていて。1人の時間が増えたんですけど、それがすごい楽しかったです。あと、全部コピーなんですけど、バンドもやっていました。

次の日の朝に腹痛で目が覚めるのがすごい快感なんですよ

ーーオーディションの面談でスラッシュとかB'zを歌っていたと言っていましたね。

キカ : B'zは母が好きだったので、その影響で小さい頃からずっと好きなんですけど、バンドではメタルとかも歌わされました(笑)。

ーー〈弱冷房車希望〉みたいなラップを作っていたってことも言ってませんでしたっけ?

キカ : あー、電車の歌ですよね(笑)。小学校の頃から適当に歌を作るのが好きで、鼻歌とかを歌って適当に変な歌詞をつけていたんです。大学でコピーバンドをやっている時、ちゃんと書いてみようと思ってノートに書き溜めたりとかしていたんですけど、その1つが電車のラップの歌なんですよ。冷房がきつくてお腹が冷える時あるじゃないですか? そういう時に弱冷車探そうって歌詞で。はははは。

ーーそれを歌詞にしたんですね(笑)。

キカ : タイトルは「TRAIN TRAIN JR」っていう曲なんですけど、サビが〈TRAIN TRAIN JR〉みたいな感じのノリで、Aメロ、Bメロあたりが〈弱冷希望っ!!〉って感じなんですよ(笑)。〈遅延は一分足りとも勘弁!!〉みたいな歌詞があったり。

ーーあはははは。お腹が痛くなる歌を歌っているのに、デス・ソースを求めていましたよね。

キカ : 辛いものは大好きなんですよ。私、ドMなんです。辛いものを普段からよく食べるんですけど、次の日の朝に腹痛で目が覚めるのがすごい快感なんですよ。

ーーええ。じゃあデス・ソース入りのご飯は積極的に食べたいくらいだったと。

キカ : 本当そうです。私に当たれ!! ってめっちゃ思っていました。

ーー後日談として、デス・ソースを自分から食べたというのが合格の決め手になったみたいなことも言われてましたよね。

キカ : そうみたいですね。辛いものが好きでよかったと思いつつ、みんな食べるの遅いし、もっと早く食えよって思っていたりもして(笑)。

ーーちょっとイライラしていたんですね(笑)。

キカ : していました(笑)。だから、私に当たったら絶対めっちゃ早く食べてやると思っていたんですけど、ゴ・ジーラが早く食べたからちょっと悔しかったです。

ーーキカは、パン屋さんで働いていて、いまもまだ働いているんですよね?

キカ : そうなんです。だから今日は出勤時の格好なんです。いまちょうど狭間みたいな感じなんですよね。早くBiSに集中したいです。

ーーいきなり矢口真里さんと共演したり、生活は大きく変わったんじゃないですか?

キカ : そうなんですよ。信じらないことばっかりで。自分がアイドルになったっていう傍ら、社会人としてまだパン屋をやってるっていうのもあって、こっちでは芸能人の顔をしてって、こっちではパン屋さんの顔をして、すごく変な感じです。

正直私でいいのかなと不安に思っています

ーー3泊4日を通して、12人で同じ時間を共有したわけじゃないですか。合格発表のあと、落ちたメンバーでSiSをやると聞いた時はどういう気持ちでしたか?

※本インタヴューが行われたのは9月14日。SiSは、9月25日に中野Heavy sickでお披露目ライヴを行ったが、翌日Twitterで突如活動中止がアナウンスされた。

キカ : えー、なくなればいいのにって思いました(笑)。3泊4日過ごしたけど、別にって感じで。トントンコちゃんが帰る時は涙が出ましたけど、あの子が落ちちゃって悲しいみたいな気持ちは全くないです。

ーーじゃあ、SiSが始まるっていった時も複雑な気持ちだったと。

キカ : なんで落ちたのにやるんだ? と思って。私、性格悪いんで(笑)。

ーー合宿中、そんな感じはしなかったですけど。

キカ : 本当ですか? 全然協調性とかないですよ。

ーー自分でそういうふうに思う?

キカ : 思いますね。まあ、ライバルだったので、どこまで仲良くしていいかわからなかったし、絶対友だちにもなれないし。あと、なるつもりもなかったので。

ーーなかなかポイントが上がっていかないことには、もどかしさがあったわけですよね。

キカ : そうですね、世間様の票って厳しいなあって。

ーーそういう状況を経たからこそ、呼ばれた時は嬉しかったんじゃないですか?

キカ : 正直、まだなんでだろうって疑問に思ってしまうというか、正直私でいいのかなと不安に思っています。

ーー完璧に自信に溢れてるわけじゃないんですね。

キカ : じゃないですね。もともと自分がオタクだったっていうのもあるので、オタクとアイドルの狭間みたいな感じです(笑)。難しいところなんですけど。

この子のこともっと知りたいなって思ってもらいたい

ーー最後の3分のアピールタイムで、プー・ルイに一生ついていきたいってことを言っていましたよね。一緒に過ごす時間を通してプー・ルイに対しての気持ちが強くなった?

キカ : プー・ルイさんが本気で頑張ってるのを隣で見ていたから、すごいなと思って。みんなそうですけど、寝てないし、さらにプー・ルイさんはご飯もあんまり食べてなかったし、みんなに教えなきゃいけない立場ですごい気も遣ってたと思うんですよね。それなのに全然弱音とかつらいとか絶対に言わなくて。みんなに優しく教えてくれていたので、尊敬の念が生まれました。

ーーBiSをやる前からサキちゃんのことは慕ってたわけですけど、一瞬にしてBiSの方が注目集めちゃうみたいな状況に対して、どういう心情でいるんでしょう。

キカ : ちょっと複雑です。っていうのを5日前くらいに感じだしました。いつかはメラメラしてた気持ちが正々堂々と戦いあって、その後に友情の仲良しみたいになれたらいいなって。とにかくしっかりライヴができるように、BiSの一員にしっかりなれるようにって思っていますね。

ーーキカ・フロント・フロンタールとして、どういう存在になりたいと思いますか?

キカ : ミステリアスでいたい(笑)。つかめない感じでいたいなって。この子のこともっと知りたいなって思ってもらいたいです。

ーーBiSというグループとして、どういうふうになっていきたいですか?

キカ : この前の矢口さんの番組で「日本一やばいアイドル」って仰っていただいたんですけど、それを超えて「世界一やばいアイドル」になりたいなと思います!!

これまでのBiSの音源を復習しておこう

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BiSプロフィール

英語でBrand-new idol Society の略、日本語で新生アイドル研究会。アイドルを研究し、アイドルになろうとする、アイドルになりたい。プー・ルイ、ペリ・ウブ、アヤ・エイトプリンス、ゴ・ジーラ、キカ・フロント・フロンタールからなる5人組。11月16日に1st AL『Brand-new idol Society』リリース。

BiS Official Web