カナダと日本、国境なきレコーディング・セッションーー33週連続リリース企画「Biff Sound」6ヶ月目突入、インタヴュー・セッション

都会に住んでいても、季節は変わっていくんだな。のっけから、感傷的な気持ちになった。基本的に部屋にこもって原稿を書いているような人間としては、季節がいつの間にか過ぎさっていたなんてことなんてざらで、季節に想いを馳せるなんてことはそんなにないのだけど、毎月、浦安の外れの倉庫街に来ていると、いやでも季節が変わっていることを感じさせられる。なんてったって倉庫の中にあるスタジオ。初めてきたときは寒くて仕方なかったのだけど、いまでは暑くてたまらない。もちろん、クーラーなんてない。虫除けスプレーを吹きかけて、薄暗いスタジオのなかに機材をセットして、深夜にかけて集中してレコーディング・セッションをはじめる。こんな週末もすでに6ヶ月目を迎える。3月から休むことなく毎週末レコーディング・セッションを続け、音源をリリースし続けてきた33RECORDの面々。さすがにときたま疲弊している姿も見えるけれど、クリエイティヴの果てのやりきった姿。本当にいいものを作ることで頭が一杯の連中で頭がさがる。
今回の対談は、Ice Cream Studioを拠点に活動するバンド、hydrant house purport rife on sleepyから金子泰介と金子祐二、そしてハイドラントがカナダで1ヶ月の滞在生活をしたとき彼らを支えたニューブランズウィック州・セイントジョーン出身のSSW、アレックス・ケレハー。そして、彼の妻であり通訳やブッキングも行なう畠山 Keleher 友を迎えて、夕立と雷が鳴るスタジオのなか行なった。なにを隠そう、アレックスがカナダで使っているジャムスポットというスタジオが、Ice Cream Studioのモデルになっている部分が大きいのだ。ほおっておくといつまでも話し続けてしまいそうなくらい親密で、音楽を愛し、お互いをリスペクトしている素晴らしい関係の4人。ハイドラントがカナダで滞在していたときのことから、アレックスが観たIce Cream Studio、そして33RECORDのやっていることまで、ざっくばらんに話をしてもらった。国境も関係なしに音楽の輪が広がっていく可能性を少しでも感じてもらえたらと思う。(text by スカムライター西澤くん)
33週連続リリースの企画名は『Biff Sound』!! 第26弾をリリース!!
33RECORD / Biff Sound #026
※まとめ購入のみ
ALAC、FLAC、WAV(24bit/48kHz) / mp3 : 240円
【収録曲】
1. D(灰児圭十)
2. Tempest(sundelay)
3. masquerade(VENOM)
4. 88x2 feat.Ryuzim,hitomi(Huehuecoyotl)
5. novels(supermoon)(hitomi)
Biff Sound Clips「Tempest / sundelay」Biff Sound Clips「Tempest / sundelay」
33週連続リリースの企画名は『Biff Sound』!! 第25弾をリリース!!
33RECORD / Biff Sound #025
※まとめ購入のみ
ALAC、FLAC、WAV(24bit/48kHz) / mp3 : 240円
【収録曲】
1. paper craft(mal da kid)
2. fan(KINU & JIRO)
3. Walrus(Huehuecoyotl)
4. balloon 2(Sundelay)
5. talking to myself(early)(Alex Keleher)
Biff Sound Session 「The Librarian & The Butcher / Alex Keleher」Biff Sound Session 「The Librarian & The Butcher / Alex Keleher」
33RECORDのセレクション作品第5弾「Biff Sound Selection 05」全11曲を無料配信中!
33RECORD / Biff Sound Selection 05
ALAC、FLAC、WAV(24bit/48kHz) / mp3 : 0円
【収録曲】
1. four for foe(Panacea)
2. New Brunswick feat.Alex Keleher(harmonious)
3. swimmer(Huehuecoyotl)
4. Care Cure(Mike Hannah)
5. hhh feat.junko minato(akiomi nara)
6. Don't tell Charlie(イケダユウスケ)
7. Luminous(Huehuecoyotl)
8. WR(Constructions)
9. Pana(Yawn of sleepy)
10. 星の港(junko minato)
11. Professor(Sone)
Artwork by Ryuzim
Mastering by sleepy it
Mix by Yawn of sleepy
倉庫を改造したスタジオ「Ice Cream Studio」でセッション&レコーディングした音源を33週間ノンストップでリリースする、33RECORDによる企画『Biff Sound』。同企画から、第5弾となるセレクション作品が登場。第1弾から変わらず、今回も勿論フリー・ダウンロード作品となる。本作公開時点で25週目。毎週の配信を「週刊少年ジャンプ」に例えるならば、本作品は単行本の様な存在と言える。掲げられた「33週」まで残り10週を切った今も、飽きる事無く、むしろ勢いを増していく33RECORDの記録。そしてフリーダウンロードという形で届けられたこの「招待状」をこの機会にそっと共有していただきたい。なお、今回の配信に併せてNovel Soundsの運営の他、swimmingpoo1・Bertoiaなどで活動する根岸たくみ氏よりコメントが寄せられている。そちらも併せて読んでいただきたい。
※Biff Sound Selection第1弾〜第4弾は、現在もototoy内で無料配信中!
Biff Sound Selection 01
Biff Sound Selection 02
Biff Sound Selection 03
Biff Sound Selection 04
根岸たくみによるライナーノート
今年の2月、東京20年ぶりの大雪の中、25cm積もった雪をざっくざっくと踏みしめながらIce Cream Studioに向かいました。
夜な夜な怪しげな大人たちが怪しげなセッションを繰り広げているという怪しげな噂を聞いていたので、好奇心と恐怖心、そして凍てつく寒さに心がぐらぐらと揺れ動いておりました。今日は無事に帰ることができるのかと。
ところで僕は音楽を作る、奏でることを遊びだと考えております。自分で色んな工夫ができる遊びです。もちろん音楽には崇高なもの、正座して涙して聴くようなものもあるし、命を削って作られたようなものも沢山あって、ただの遊びだと言い切ることは間違ってると思います。けど、そう思いたいと常々考えています。Ice Cream Studioでの体験は、まさにそんな考えを肯定してくれるものでした。
薄暗い倉庫に持ち込まれた無数の楽器と機材、どっかから拾ってきたようなガラクタがつまったその空間は音楽で遊ぶための大人の秘密基地。そこに集まったそれぞれのミュージシャンが普段どのようなスタンスで音楽に臨んでいるのかは知りませんが、このスタジオでのセッションはまさに遊びなんだと思います。高校生の頃にみんなで狭い部屋に集まって、ゴミ箱の上に録音機を置いて、弾けないギターをただはじきながらセッションしていた頃を思い出しました。hydrantのお兄さんたちはイイ歳こいてまだこんな楽しいことしてたのか! とカルチャーショックを受けました。
さて、そんな感じで以前、自分も参加させて頂いた「Biff Sound」ですが、今回の作品も非常に濃ゆいものになっておりました。スリリングでクールな楽曲のカッコ良さに惚れ惚れしつつ、ゲラゲラ笑いの絶えなかったであろうセッション風景を想像せずにはいられません。本来コンセプトの統一されていないバラバラな楽曲たちですが、Ice Cream Studio というフィルター(もしくはエフェクター)を通すことで、一聴して「Biff Sound」の作品であることが分かります。
個人的にはモアレコ(大宮・more records)の奈良さんが楽曲参加していることに驚き、またその楽曲の良さにシビレました。そしてその奈良さんの楽曲にヴォーカル参加しているのがjunko minatoさんであったり、元AnriettaのkokkoちゃんがPanaceaというソロ名義で楽曲に参加していて、懐かしい歌声を聴くことができました(bio tolva[junko minatoがヴォーカルで参加]、AnriettaともにNovel Soundsのレーベルメイトでした)。
#2「New Brunswick feat.Alex Keleher / harmonious」、#8「WR / Constructions」のサウンドスケープが特にお気に入りですが、どちらも「33RECORD発の正体不明のバンド」とのこと。まさにこの企画ならではの産物ですね。
書いてるうちにまたスタジオにお邪魔したくなりました。 次は天気の良い日に、ギターとゲーム機でも持って遊びに行きます!
根岸たくみ / ピーカン・ココナッツ (七尾旅人氏につけて頂いた有難いHNです)
1984年、東京生まれ吉祥寺在住。
フォークトロニカ【swimmingpoo1】シューゲイザー【Bertoia】 などのバンドに所属、レーベル運用、TVやラジオの楽曲製作、音楽誌への執筆も行う。音楽以外にも、おもちゃの商品企画、イラストレーターとして活動、現在グリーンハウスとのコレクションシール企画「ラーメンラリー」を始動。
33週連続リリースの企画名は『Biff Sound』!! 第24弾をリリース!!
33RECORD / Biff Sound #024
※まとめ購入のみ
ALAC、FLAC、WAV(24bit/48kHz) / mp3 : 240円
【収録曲】
1. toys feat.北野愛子(Constructions)
2. water song(harmonious)
3. four for foe(Panacea)
4. el(Huehuecoyotl)
5. Butterfly(アラカキヒロコ)
Biff Sound Session 「ラブリー / Aiko Kitano」Biff Sound Session 「ラブリー / Aiko Kitano」
33週連続リリースの企画名は『Biff Sound』!! 第23弾をリリース!!
33RECORD / Biff Sound #023
※まとめ購入のみ
ALAC、FLAC、WAV(24bit/48kHz) / mp3 : 240円
【収録曲】
1. WR(Constructions)
2. New Brunswick feat.Alex Keleher(harmonious)
3. cyan(hitomi)
4. Score(Huehuecoyotl)
5. gone to bed(Alex Keleher)
Biff Sound Clips 「New Brunswick feat.Alex Keleher / harmonious」Biff Sound Clips 「New Brunswick feat.Alex Keleher / harmonious」
INTERVIEW : 金子泰介、金子祐二、アレックス・ケレハー
ーーまずはじめに、自己紹介からお願いします。
金子泰介(以下、泰介) : hydrant house purport rife on sleepy(以下、ハイドラント)のドラム、金子泰介です。ここではドラムを叩いたりすることもあるんですけど、他には工場長的な感じでゴミを片したりしてます(笑)。
金子祐二(以下、祐二) : 金子祐二です。ハイドラントのベースをやっています。33RECORDではいろんな人と連絡をとったり、納品関係でやり取りさせてもらったり、あとはfacebookの更新だったりですかね。表向きなことをやってますね。
アレックス・ケレハー(以下、アレックス) : アレックス・ケレハーです。カナダから来ました。ドラム、それとギターも弾きます。あと自分の曲も書いています。
ーーアレックスさんは、カナダでジャムスポットというスタジオを使っていて、それがIce Cream Studioにも通じるものがあるようですね。
アレックス : はい。そこは9人で使っているんですけど、バンドでお金を払ってレンタルしていて楽器が沢山あります。ギター、ドラム、サックスなどがあって、Ice Cream Studioに似ているんです。

ーーはじめてIce Cream Studioに来た2005年に比べて、ここは変わったと思いますか?
アレックス : 来るたびに変わってますね。最初に来たときは、この下の部屋(※いまは楽器置き場になっている)でジャムをしました。
ーーへー。そこから徐々に改築しているんですね。
泰介 : はい、物も増えたりして。
アレックス : 本当に楽器も増えているみたいで、全部物は入らないんだなと思って。あちこちに楽器が置いてあるのが見えました(笑)。
ーーあははは。ハイドラントとアレックスさんの結びつきは深いんですよね。ハイドラントがカナダに行ったときはアレックスさんの家に1ヶ月滞在したそうで。なんて名前の町なんですか?
アレックス : セイントジョーンです。近くのニューファントランドってところにもセイントジョーンズっていう所があるんですけど、私のいる所はニューブランズウィックです。
ーーハイドラントがカナダにいったときには、すでにジャムスポットはあったんですよね?
祐二 : はい。僕らも何度か遊ばせてもらいました。
泰介 : 酒を飲んで、ライヴをして、また酒飲んで、そのあとみんなは録音するんですよ。俺はドラムだから、夜中は音を出せないのをいいことにさらにめっちゃ飲んで。
一同 : (笑)。
アレックス : でも、すごかったですよね、毎日音楽を作っていて、100曲を目標に作るって言ってたんですよ。一ヶ月で100曲ですよ?
ーーどんだけハイペースなんですか?!
アレックス : 結局90曲以上できて、3曲足りなかったとか言ってたけ?
泰介 : そうだね。ライヴでいろんな街も回ったんですけど、そのとき作ったCDを持っていって。ジャケットもYawn(Yawn of sleepy、ハイドラントのヴォーカル)が描いたものをみんなで切ったり、スタンプを押したりして。そのとき使っていたパソコンがめちゃめちゃ遅くて、1枚あたり30分かかって。24時間交代でみんなで割りふってやってましたね(笑)。

ーーじゃあ、すでに33RECORDがやっていることの原型みたいなことをしてたんですね。
泰介 : そうですね。そんな空間って他に見たことがなかったんですよ。誰かが場所を持っていて、みんなで場所を借りてミュージシャンが集まって、なにかやる。それをジャムスポットで体験したというか。音楽って海外が本場ってイメージがあるんで、すげえな、カッケーなっていうのが大きくて。それでいて、きったないんですよ。
一同 : (笑)。
泰介 : だけど、雰囲気があって。味があってかっこいいって思えるんですよ。
祐二 : 木もむき出しだし、ビール瓶とかが転がってたりとかしてたしね。
ーー(笑)。やっぱりアーティストが集まるところですからね。いまはどうなっているんですか。
アレックス : 2つのバンドで借りているんですけど、そのバンドの友達も使っています。あと、エンジニアの人も借りています。すごく大きいコミュニティーなんですよね。2つバンドがサイド・プロジェクトとかもやってくれていて、そこでレコーディングをしたりとか、練習したり。ミュージシャンの人も来たりして、皆で集まっていろんなことをしています。パーティーやったりとかもしてるしね。
魅力的な人の所には魅力的な人が集まる
ーーIce Cream Studioみたいな場所は日本ではかなり珍しいんですけど、ジャムスポットみたいな場所はカナダでは珍しいものではないんですか?
アレックス : カナダでも珍しいです。カナダにツアーしにくる人とかがすごく感心して驚いてくれます。ときどき、みんなでライヴもやりますし。
ーーそもそも、なんでそういった場所を作ろうと思ったんですか?
アレックス : 最初、そのビルがなににも使われてなかってなかったんです。それで一番最初に大家さんにアプローチした人がいて、彼はコンピューターで音楽を作ってる人で、使ってないなら使わせてくださいって言って。最初はバンドとか、織物をやるアーティストの人がいて、そのあと絵描きさんが使うようになって、そして何人かのフォトグラファーの人が使うようにもなったんです。そのあと時間が経っていろいろと人が入れ替わって、今はもうバンドだけになったって感じです。
ーーかなり、Ice Cream Studioのモデルになっているわけですね。
祐二 : そうですね。ジャムスポットは、僕らがすごく学んだ場所です。もちろん、いまのプロジェクトの発端にも繋がっているし。まだ予定は決まってないんですけど、今年、ハイドラントのメンバーで、もう一回色々勉強しにいこうかなと思っていて。すごくいいバンドがいっぱいいるんですよね。いまの企画とは別の形で、彼らとはアルバムとか作品を作ったり、日本に紹介していきたいと思っていて。一緒にクリエイティヴなことをしようとしているとことなんですよ。33RECORDのプロジェクトがスタートしてて、それについてなんかこう自由にやれたらいいなと思ってるんだけど、もっとプロジェクトを大きくできたらって思うし、そうなったら、アレックスはもちろん、Adam MoweryやWooden Wivesっていうカナダのいいミュージシャンたちをもっと紹介できるなって。
アレックス : うん。たくさんのバンドが関わって、エキサイティングなものになると思います。他のミュージシャンが関わることで、違ったインスピレーションを持っている人もいるので、それが一緒にアイデアを出したらおもしろいんじゃないかなって思っています。

ーージャムスポットを体感したことで、Ice Cream Studioに活かされているところってあったりしますか?
祐二 : 最近共通点として感じるのは、いろんなバンドやミュージシャンに限らずいろんな人が来てくれて、尊敬できる仲間がこんなにいるっていうこと。それは向こうで見せてもらったことが活かされているんだろうなって思います。音楽が好きな人が多くて、それこそ毎回毎回ライヴに来てくれた子たちとかいたり、初めて会う人も、肩組んでビール飲もうぜって言う人もいて、音楽を喜んでるというか。正直、33週間連続でリリースしていくのって死ぬほど大変に感じる時もありますから。
一同 : (笑)。
祐二 : 体がつらかったりする時もあるんですけど。それでも毎週足が向くのは、そういう人たちがいるからかなって思いますね。
ーーやっぱり場所があるだけでなく、気の置けない仲間たちが集まるっていうのは大きな要素なんでしょうね。
祐二 : そうありたいですね。魅力的な人の所には魅力的な人が集まるっていうのはジャムスポットでも見たし。
泰介 : 場所があることは確かに大事だとは思うんですけど、そこに集まる人たちのコミュニケーションがあってこそなんで、そこが上手くできてるのはいいことなのかなと思いますね。いい刺激を受けることが続く限りはもっともっとおっきくなっていくんだと思いますね。
ーーIce Cream Studioには、誰でも友達とか新しい人とかを呼ぶって言う感じではないですもんね。
泰介 : そうですね。みんな、ここに呼んでくる人のことを無意識に選んでると思うんです。みんなにいい影響を与えられる人を選んでると思うんで、いい関係でいられるっていうか。
国境がないよっていう関わり方を作っていけたらいいなと思っています
ーーあと、Biff Soundとの特徴って、レコーディングして毎回出していくところじゃないですか。ジャムスポットではリリースまでをやっていたわけではないんですよね。
アレックス : 実は「Tire Fire」っていうサイド・プロジェクトがありまして。バンドの仲間だったり、ミュージシャンだったり、趣味でやってる人もいるんですけど、そういう「Tire Fire」って名前のバンドをやって。ただジャムしているだけではなくて、それをレコーディングしているんです。
ーーまさに、33RECORDじゃないですか。リリースもしてるんですか?
アレックス : リリースは、アイルランドのレーベルから声がかかっているんですけど、もしかしたら33RECORDみたいな感じになるのかもしれないです。アイルランドからコンピレーション・アルバムをリリースするつもりではいるんですけどね。

ーーどんな感じの内容になりそうなんですか。
アレックス : 「Tire Fire」は、「Wooden Wives(ウドゥン・ワイヴス、Alex Keleherも所属)」のベーシストのピエールという人が始めたサイドプロジェクトで、毎回同じ人が来るわけじゃないんですよ。ピエールは毎回いて、来れる人が自由に演奏してる間に、楽器を交換したりだとか、弾いてた楽器を渡して。だから、アルバムになるものは、誰がどの楽器になるのか解らないんです。
ーーそれはおもしろいですね。そして33RECORDとも共振していますよね。アレックスさんに質問なんですけど、33RECORDは、33週リリースをしている最中なんですけど、その試みについてはどう思いますか?
アレックス : みんな休んでないし、大変そうだと思いました(笑)。ただ、毎週違う人が来たり、いろんなミュージシャンとセッションするわけですから、終わったときにポジティヴな経験が残るんじゃないでしょうか。
ーー今日もこの後レコーディングするんですよね?
祐二 : もちろん(笑)。この後レコーディングが待ってるよね。ちょっと大きいことを言うと、僕らも経験した範囲になるんだけど、本当にいい音楽がカナダにあって、国境がないよっていう関わり方を作っていけたらいいなと思っています。
ーーつまり、33週が終わった後も何かあるかもしれないってことでいいですか?
祐二 : そうですね、何かやっていきたいなと。
アレックス : ただ、ちょっと休憩した方がいいんじゃない(笑)? クリントン・チャールトンっていうフォークシンガーの友達がいるんですけど、彼が一ヶ月一曲作るって言うプロジェクトをやってたんですよ。1年間で12曲ですよね。それでもすごく苦労していたから、ここは比べ物にならないぐらい大変ですよね。
ーー確かに、今日も取材に来たら事務所で朝までMVを作ってましたからね。
アレックス : ほんとに寝てないよね。いつもレコーディングしてるもん。
ーー本当に体を壊さないようにしてくださいね。なんか音楽馬鹿が行き過ぎて、倒れちゃうんじゃないかって見てて心配です。
祐二 : まだまだですよ!!
泰介 : このあともレコーディングですから!!

『Biff Sound』第1弾〜第22弾ラインナップ
>>アラカキヒロコ、浅田泰生、バロンへのインタビューはこちら
>>長塚大地、mal da kid、DJ CLAMP5 a.k.a. wa5heiへのインタビューはこちら
>>Ryo Takezawa、Alex Martin、Mike Hannahへのインタビューはこちら
>>『Biff Sound』スタート時のインタビューはこちら
PROFILE
33RECORD
ice cream studioに集う作品をお届けする不確定的コミュニティ・レーベル。3月3日より33週連続配信企画スタート! 初回の所属アーティストとして発表されたアーティストは、Lee "Scratch" Perry、Adrian Sherwoodとも共演した経歴を持ち、ドイツの老舗DUBレーベル<ECHO BEACH>などからも称賛を集める“E.D.O. ECHO SOUNDSYSTEM”のJINYA、 90年代インディー・ミュージック・シーンを牽引したUK PROJECTの雄、<SECRET GOLD FISH>の長塚大地擁する“sundelay”、フリー・スタイル・ラップ・バトル<UMB 2012>CHIBA CHAMPION “田中光”、昨年待望の復活を果たした<downy>のギタリスト青木裕や<カヒミ・カリィ>との共作の発表でも話題を集める“hydrant house purport rife on sleepy”など、既にとても多種多様。
Alex Keleher / アレックス・ケレハー
カナダ、ニューブランズ州・セイントジョーン出身のSSW。2005年から2007年には東京に滞在。現在カナダではソロとしての活動や、ドラマーとして在籍するWooden Wivesで活動中。ギター、ベース、トランペット、バンジョー、バイオリン、タブラなど様々な楽器も演奏するマルチ・プレイヤー。2014年の「Try Your Best」では全ての楽器の演奏・録音・ミックスを自身でを行っている。
2005年『Elusive Recluse』
2009年『Tokyo Demos』
2014年『Try Your Best』
http://alexkeleher.bandcamp.com/
http://woodenwives.bandcamp.com/
畠山 Keleher 友
東京都出身。Alex Keleherのマネージメント、日本滞在時の通訳も担当。2008年、hydrant house purport rife on sleepyのツアー・オーガナイズの際にはメディア・インタヴューやプロモーション、ブッキング等の通訳・マネージメント等もAlex Keleherと共に手がけた。カナダ在住。
hydrant house purport rife on sleepy
ミュージック・サイエンスを掲げる4人組バンド。オルタナ meets IDM、ローファイド・デジタルといった幅広い楽曲が特徴。所有のIce Cream Studioにて制作されるタイトルは多数。作品ゲストにAdam mowery、BLANKBANSHEE、Sarah Loucks、WoodenWives、青木裕(downy / unkie)、イケダユウスケ、カヒミカリィ、Cuushe、田中光、ハチスノイト、フラグメント、Limited Express (Has Gone?)など。以前在籍していたkilk recordsとも親交が深い。インタヴュー登場のAlex Keleherがオーガナイズした2008年のカナダ・ツアーでは、SLEEPYHEAD / hang out sleep head on sleepyとして5都市12会場17公演を行い高いスコアをあげた。
2011年『wonderlust EP』、『roll over post rockers , so what newgazers』
2012年『reminiscing e.p.』、『many of these memories of the sun, and increasin' gratitude』
2013年『Those Which Desired e.p.』※、『Cutting Beat Instrument Draws Happiness』※
※Cutting Beat Instrument Draws Happiness名義
hydrant house purport rife on sleepy HP