祝! フィロソフィーのダンス結成10周年!!──メンバー五人が語る、アイドルを長く続けてこれた理由

今年2025年に結成10周年を迎えたアイドル・グループ、フィロソフィーのダンス。ファンク・ソウル・ディスコのエッセンスを感じさせるグルーヴィーなサウンドを軸にこれまで活動してきた彼女たちは、この10年で“自分たちのスタイル”で更新し続けてきた。目まぐるしい日々のなかで、「ここまでよく続けたな」と笑い合う五人が、節目の年に感じていることとは、いったいどんなことなのだろうか。10周年記念シングルの裏話から、メンバー同士の熱い愛情エピソードまで、メンバーとの親交も深いライター、南波一海がじっくりと話を訊きました。
記念すべき10枚目のシングル!!
INTERVIEW : フィロソフィーのダンス

インタヴュー&文 : 南波一海
撮影 : 堀内彩香
1年目から長く続けたいですって言ってきました。女版・嵐になりたいって
──グループ結成10周年に絡めてお話をうかがっていきたいと思っています。2020年に出たオフィシャルブック『U Got The Look』でインタビューした際に、メジャー・デビューを決めるまでに5年もかかってしまったと話していたのが記憶に残っているのですが、それから早5年が過ぎているんですよね。
日向ハル:ダブルスコア決めちゃいました(笑)。心意気としてはもちろん長く続けたいと思って活動を始めたけれども、10年も経ったと思うと、ここまでよく続けたな自分たち、という気持ちになりますよね。
奥津マリリ:スタートまで振り返ると、当時はアイドルを10年続けることなんて不可能だと思ってました。アイドルって瞬発的なもの、一瞬だけの短命なもので、5年以内に大体終わってしまうというか、それまでにグループとしての結果が出るというイメージがあったんです。なのでメジャー・デビューまでがすごく長く感じていたんだと思います。でも、ここまで続けていくなかで、長く続けてきたからこその説得力みたいなところにどんどんシフト・チェンジしていって、今では愛を語るアイドルになりましたから(笑)。アイドルって本当にいろんなスタイルがあるんだな、と自分でも驚いています。でも、この10年で何かを成し遂げたなぁみたいな感じも特になく、あっという間に過ぎ去っていった感覚なんですよね。10年経っていることの実感がないんです。
佐藤まりあ:そう思う。私はフィロソフィーのダンスを始めた頃、とにかくアイドルとして活動したいという気持ちが強くて、長く続ける/続けないとかは1ミリも考えてなかったんです。とにかく走り出したいという気持ちしかなかったし、今もそれが続いている感じなので、10年続いたことの実感があまりないんです。思い返せば大きな舞台にも立たせてもらったな、すごいお仕事させてもらったな、楽しくてあっという間だったな、みたいなことは全然あるんですけどね。


──改めて振り返ってみるとたくさんの経験を積んできたなと。
佐藤:インディーズ時代に冠番組(テレビ朝日『フィロのス亭』。2019年4月から2022年3月まで放映)を持たせてもらったことだったり、当時は謳い文句のように“女性アイドル史上初のバイラル・チャート1位”というのが宣伝資料にバーンと載ってたり、メディアに“最近話題の音楽”とかって取り上げてもらったり、目まぐるしくいろんなことが起きていたんですよね。当時はそのすごさがあまりわからないまま突っ走ってきちゃったかも、というのはあるかもしれません。
──思い返せばあの時は大変で、みたいな苦労もなく? いや、きっとないわけはないですよね。
日向:それはもう(笑)。でもメンバーがポジティヴで、嫌なことがあっても3秒後には笑ってるくらいの強気なマインドだったから頑張ってこれました。
──そして、木葭ののさんと香山ななこさんはグループの未来を担う二人だと思いますが、10周年と聞いてどんなことを思いますか?
日向:もしかして、10年前は生まれてない?
奥津:その可能性が。
──ないです(笑)。
香山ななこ:10年というのが全然想像もつかないです。みんなは自分の想像がつかないくらい頑張ってきたんだなって思うので、尊敬してます。
木葭のの:私たち新メンバー組にとっては、10年間続けることのすごさを感じる日々です。アニバーサリー・イヤーの今年はオリジナル・メンバーの感情の込めかたに負けないくらい、追い越すくらいの気持ちで乗っからないと、いいものにできないのかなという思いでいます。

──二人が10年やるとすると、ここから7年です。
木葭:長っ!
香山:7年後……全然わからない。
日向:いや、その頃にはこっちがどうなってるかな?
佐藤:考えたくないですね。
奥津:そうだね。考えないほうがいいかもしれない(笑)。
──自分のやりたいところまでやればいいと思うんです。長く続けるということは必然的に女性アイドルの在りかた、ひいては女性の働きかたにも繋がってきますよね。
日向:このなかでは南波さんが一番思想強い人ですよ(笑)。ただ、アイドルを始めた時に、男性は40才になっても50才になってもアイドル・グループが続けられるのに、女性はいつか卒業するというのが普通で、自分のなかでそのシステムには違和感があったんです。だからそこを変えたいというか、自分たちでそれを体現したいから、1年目からずっと長く続けたいですって言ってきました。女版・嵐になりたいって。
──よく言ってましたよね。
日向:バラエティに出てもひとりで戦っていけるし、グループで集まったら最強だし、年齢も関係ない。そういう女性アイドルが活動していてもいいんじゃないかという……強めの思想は私にもあります(笑)。
奥津:マジで年齢非公開にしておいてよかったよね。加茂(啓太郎)さんはグループを立ち上げる当初からエイジズムについて考えていて、だから公表もしないと言っていたんですけど、今になって大感謝です。私たちが目指すものを体現しやすいというか。
日向:当時はなんで隠すんだろって疑問に思ってましたけど、10年経つと、ああよかったねって(笑)。

