徒歩ツアーを経て産まれたPIGGSとしての覚悟──最強の5曲が揃った最新EP『5 KILL STARS』
2020年で最も勢いがあったアイドル・グループPIGGS。ライヴ会場まで徒歩で移動するツアー〈WALK or PORK TOUR〉を無事完走し、TSUTAYA O-EASTで行われたツアーファイナルを大成功に収めた彼女たち。
オトトイでは、デヴュー時よりも何倍にも成長し、よりプロ意識が芽生えたPIGGSの5人に2020年12月16日にオンライン・インストア・イベント内で公開インタヴューを実施。今回の徒歩ツアーで感じた想いや最新EP『5 KILL STARS』の制作秘話を語っていただきました。イベント直前に撮りおろした写真とともに、イベント内で行われたインタヴューのごく一部をテキストでお届けします。2021年も大活躍間違いなしのPIGGSを絶対にお見逃しなく!
最強の5曲が揃った最新EP
INTERVIEW : PIGGS
インタヴュー : 飯田 仁一郎
文 : 西田 健
写真 : 興梠 真穂
図々しく続けていくには、それなりの覚悟と気持ちがないといけない
──〈WALK or PORK TOUR〉は、徒歩でライヴ会場に向かうという大変なスケジュールだったと思いますが、なにがいちばん辛かったですか?
プー・ルイ : 3日目くらいが疲労のピークだったんですけど、歩くのは意外と慣れたんですよね。ただ、行きはライヴが大阪までないし、ずっと歩くだけだったので精神面の方が辛かったです。
──SHELLMEさん、この長いツアーを経ていちばん辛かったことは何ですか?
SHELLME : 大阪に着く直前に、以前お付き合いをしていた方のことでメンバーに怒られてしまったという事件がありまして…。「本当にやりたいことは何なの?」ってメンバーにも言われて、そのときがいちばん精神的にきていました。
プー・ルイ : 「これから戦っていく人はいろんなものを投げうって、死ぬ気で戦っている人たちだから、その覚悟がないんだったら本当につらくなるよ」って話をずっとしていたんです。その事件が起きてからの3、4日間は結構辛い日々を過ごしていたと思います。
──それでも、PIGGSを続けようと思ったわけですよね?
SHELLME : このまま辞めてしまうと私はクズ人間で終わると思ったし、自分が人間として変わるためにも図々しくステージに立ちたいと思ったんですよ。メンバーに言われたいろんなことがすごく胸に刺さりました。図々しく続けていくには、それなりの覚悟と気持ちがないといけないということを改めて思いました。
──今後、きっといい思い出になると思います。BAN-BANさんは、ツアーを振り返って一番の思い出はなんですか。
BAN-BAN : プーちゃんと2人で歩きながら配信をしていた時に、リーダーを任されました。
プー・ルイ : 覚えてないぐらいの軽いノリだったんですけど、どうやら私がそう言ったらしいんですよね(笑)。
──リーダーって結構大変なポジションだと思いますが、PIGGSというグループをどういう風に率いていきたいと思っていますか?
BAN-BAN : みんな情緒が不安定なので、私が精神的支柱として引っ張っていきたいです。個人的には、おしゃべりが苦手なところを直したいです。
プー・ルイ : BAN-BANは私がなにを言っているか瞬時に深いところまで理解してくれるんですけど、言葉を持ち合わせていないので、それをメンバーに伝えることができないんですよね。
BAN-BAN : まあ、そこはリーダーとして、気にせずやっていきます(笑)。
──CHIYO-Pさんはどうですか?
CHIYO-P : 最初は歩くのに必死で、ライヴのことは全然考えられなかったんです。でも歩きながら、もっとライヴとかグループのことを考えて行動してっていうことをプーちゃんから言われて、そこからは「もっとグループ内でできることはないかな」と考えるようになりました。無事、大阪に着いてライヴを開催できたときは嬉しかったし「うぉー!」ってなりましたね。
──大変なツアーだったと思います。UMIさんはどうでしたか?
UMI : 私は沼津ではじめてMCをやりました。すごく緊張していて頭の中が真っ白だったんですが、思いのほかスラスラと喋ることができました。でも感情が一直線で波を打つ激しさがなくて、自分の心と現実の差を感じて悩むこともありました。
──UMIさんは怪我をされていたことが先日発表になりましたが、足は大丈夫ですか?
UMI : 実はツアーの前から怪我していたところで、終わってから「今日も痛いな」っていうときはありました。だけど、私はライヴがしたかったからまだいけると思っちゃったんですよね。でも心は元気です(笑)。
──お大事になさってください。プー・ルイさんはこの企画を総括してみてどうでしたか?
プー・ルイ : 私は以前、BiSとかでいろんなことをやってきているから、やっていないことを探す方が難しいんですよ。交通機関を使うのもあまりよくないとされていた時期だったので、じゃあ歩いていけば予算も削減になるし、いいんじゃないかっていう感じで決めました。大変でしたけど、思っていた以上にやった成果はありました。
──どんな成果が?
プー・ルイ : 歩いている間の配信では、毎回それぞれメンバーが喋るんですが、最初のほうは好きな色とかネイルとかそういう話ばかりしていたんです。それに対してストレスがずっと溜まっていたので、一回ガツンと「みんなが聞きたいことってそういうことだけじゃなくない?」って伝えました。それ以降、個人個人が話す内容が明らかに変わりましたね。ライヴについての思いとか、自分はどうしてアイドルになりたかったとか、そういう話がメンバーからも出てくるようになったので、意識は変わったのかなって思います。
──他にも徒歩ツアーを通して変わったことはありますか?
プー・ルイ : 「PIGGSで売れたい」とか、「大きいところでライヴしたい」とか、覚悟が決まった感じはしますね。とくにCHIYO-Pはすごい変わったなって思うんですが、褒めすぎると油断するんですよ。
CHIYO-P : 褒められると調子に乗っちゃうんです。気を引き締めます。
「これはすごい曲が来たな」って関心した
──この徒歩ツアーの道中で、EP『5 KILL STARS』の楽曲がどんどん公開されていきました。まず1曲目に収録されている“クマンバチの独白”ですが、この曲はMVで109回パフォーマンスを行いましたね。
プー・ルイ : 話題になることをしなきゃいけない時期だと思っていて。本当は最初“クマンバチ”にかけて“9万8秒で25時間8秒”やるつもりだったんです。WACKの渡辺さんに25時間8秒やろうと思いますって言ったら、「無理だと思う」って止められました(笑)。
──109回になったのはなぜなんですか?
プー・ルイ : “クマンバチの独白”の曲のテーマが、最後の一撃で捨て身で刺しに行くみたいな感じなので、限界を超えた1回を撮りたいというのがあって。煩悩の108回を捨て去って、その先の1回ということで109回にしました。
──本当に109回やりましたが、どこがいちばん辛かったですか?
SHELLME : 中盤ですかね。最初は「行くぞー!」って感じだったんですけど、50回目くらいでまだ折り返しだと気づいたときに、本当にヤバいと思いました。
プー・ルイ : 25回くらいでこのヤバさに気づいたんですけど、BiSが“CURTAiN CALL”のMVで101回同じ曲のパーフォーマンスをしていて、正直企画が被ってしまったから張り合っちゃって(笑)。
──メンバーの皆さんはどんな気持ちでやられていたんですか?
プー・ルイ :このMVでいちばん大変だったのは、CHIYO-Pが50~60回目ぐらいで抜けたときですね。PIGGSの会社のプープーランドは、こういう時に続けるか止めるか判断する人間が社長の私しかいないんです。CHIYO-Pが抜けてから30回目ぐらいで、これはお蔵入りになるのかどうかのカンペが出ないままだったのが精神的に辛かったです。
UMI : 撮影が始まる前に、「誰かが抜けたり倒れたりしたらお蔵入りだよ」って言われていて。
プー・ルイ : 最初から中止にするとは決めていなかったんです。だから、CHIYO-P以外の4人は「CHIYO-Pが帰ってくるまでやるしかない」っていう覚悟でずっとやっていました。
CHIYO-P : もう「ヤバい… 私のせいで… お蔵入りになるかもしれない」って、申し訳ない気持ちでいっぱいでしたね。
──結果、すごいMVになったと思います。続いて、2曲目の“ザ・ストレンジャーズ”はどんな曲に仕上がりましたか?
CHIYO-P : サビの振り付けはみんなでできるんですが、Aメロが難しくて、結構苦戦しました。でも音にピタッとハマる振りなので、見ているほうも気持ちいいと思います。
プー・ルイ : この曲は踊れて泣けますね。楽しげですけど、歌詞はエモーショナルなことを歌っています。
SHELLME : 例えば、「だれも望まないような世界に近づいている」の部分は、「いまの時代すぐには会えないけど、知らない人たちのために私たちは踊る」みたいな解釈をして、歌ったり踊ったりしています。
UMI : この曲は唯一ユニゾンがあって、サビを2人で歌っているんですよ。私とSHELLMEがよく音程を外すんですけど、プーちゃんに練習で「すごい下手だよ」って言われました。
プー・ルイ : 私、「いま音外したの誰? 1人音痴いるよ」とか言うんですよ。大体UMIちゃんかSHELLMEですね(笑)。1人で歌うと外れないんですが、自分の声が聞こえない状態になっちゃうとわからなくなるんです。
──そして、3曲目“フォーエバー・ヤング”ですが、この曲は11月3日に行われたPIGGSと鶯籠の2マン・ライヴ〈HOLES〉ではじめて披露されました。
プー・ルイ : Ryan.Bから曲が送られてきて「これはすごい曲が来たな」って関心しました。正直、この曲が表題でいいんじゃないかと思ったぐらいかっこいいです。Ryan.Bは自分で自分のことをメンバーの一人だと思っているんですよ、多分(笑)。だから『HALLO PIGGS』に比べて、『5 KILL STARS』の曲はメンバー目線なので、私たちもライヴをやっていて気持ちが入れやすいですね。
プー・ルイとRyan.Bの対談はこちらから
──お客さんの反応はどうでしたか?
プー・ルイ : いきなりライヴで披露したのでみんな驚いていましたね。別に勝ち負けとかはないんですけど、その日は対バンのライヴだったので、「圧倒させたい」と思っていました。 “フォーエバー・ヤング”は振り付けも凝っていて、昔の輝かしかったことを思い出して、後悔しているっていう振りとかが入っています。最後「フォーエバー・ヤング」って連呼するところは「今日が最後、ここで死んでやる」っていう気合で毎回歌っているから、顔がめっちゃ怖いと思います。
みんなの心に届いて欲しかった
──ライヴ中の表情も見どころですね。そして、4曲目は“THANKYOU FUCKYOU”です。
プー・ルイ : この曲はちょうどSHELLME事件の直後に公開されたんですが、SHELLMEが「恋破れて 鼻を垂れて」って歌っているのが、なんかのギャグかなっていうぐらいシンクロしていておもしろかったです。大阪のライヴ中では、本当の振り付けは違うんですけど、SHELLMEを指さして踊っていました。もうこれはSHELLMEソングですね。
SHELLME : Ryan.BさんがTwitterで「いまのSHELLMEに歌ってほしい歌詞があるな」って呟いていました(笑)。この曲はラップもやらせていただいています。
──“THANKYOU FUCKYOU”はSHELLMEさんの曲だということで(笑)。最後の5曲目は “フューチャースターダスト”です。この曲は、Ryan.Bさんとどういう話をして作ったんですか?
プー・ルイ : 『HALLO PIGGS』のなかで“とらえる”の反応がよかったので、「多くの人に届く曲を作りたいね」という思いで、Ryan.Bがすごい気合を入れてメジャー思考で作ってくれた曲です。
──MVも今回の徒歩ツアーの映像を使った素晴らしい作品に仕上がっていますよね。
プー・ルイ : 実は“フューチャースターダスト”を聴いた時に、いちばん効果的にこの曲をみんなに届けるにはどうやったらいいかという話をして、そのなかで徒歩ツアーの案が出たんですね。だから、ツアーの様子をMVにしようって最初から決めていたんです。このMVを公開した後、たくさんの方が泣いたって言ってくれて。みんなの心に届いて欲しいと思っていたので、本当にやってよかったなと思いました。
──メンバーのみなさんはこの曲についてどのように思っていますか?
CHIYO-P : この曲は歌詞がストレートだから、自分をさらけ出して歌わないと薄っぺらくなっちゃうんですよね。だから、それがすごく難しくて。ライヴのとき、歌で気持ちを伝えるっていうことがみんなの今回の課題になっていたんです。ライヴでこの曲を通してちょっとずつでも伝えられるようになってきたかなって思います。
UMI : この曲はみんなで作詞もしているので、それぞれの思いが詰まっています。私が書いた「いつまで自分の殻に隠れているの? 言い訳ばっかの過去にしがみついて」の部分は、自分のことなのでより感情が入ります。
SHELLME : それぞれの過去とか今後とか、それぞれの人生に合っているところを歌っているなと思っていて。ライヴでどんどんやっていくうちに、表現がどんどん変わっていって分厚くなる曲だと思うし、分厚くさせていきたいなって思います。
BAN-BAN : 本当に心から溢れ出る思いとかを乗せないと薄っぺらくなっちゃうから、すごく難しいんです。でもその分、上手く感情とか思いを乗せられたとき、本当にPIGGSっていうグループの代表的な曲になると思うので、これからどんどんそういう曲にしていけたらいいなって思います。
──今回の『5 KILL STARS』は本当にすごいラインナップの作品になりましたね。
プー・ルイ : 自信を持ってお届けできる1枚です。
──徒歩ツアーも終わりEPも出しましたが、このあとプー・ルイさんは次にどんなことを考えていらっしゃるんですか?
プー・ルイ : 来年2021年も精力的にいっぱい動いていきます。今年は色んなリスクはあったんですけど、動いてよかったなっていう感じはあります。みんなも楽しいこととかがあんまりなかった中で、ファンのぶーちゃんズとPIGGSが一致団結できた感じもあって、活動できてよかったなって思います。
──ではリーダーのBAN-BANさん、最後に締めていただきましょう。
BAN-BAN : 〈WALK or PORK TOUR〉を通して、PIGGSに対する思いも強くなったし、覚悟もみんな決まったし、ここからどんどん上に行きますので見ていてください!
編集 : 西田 健
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PROFILE:PIGGS
プー・ルイ、CHIYO-P、SHELLME、UMI、BAN-BANからなる5人組アイドル・グループ。Produce IDOL Go to world is Good Society= PIGGS。とても良いグループです。
【公式HP】 https://2952053.amebaownd.com/
【公式ツイッター】 https://twitter.com/PIGGS_idol
【公式YouTubeチャンネル】 https://www.youtube.com/channel/UCJD9kdqH1hRyCOFpGxfyFjQ