プロデューサーに古里おさむ(umineco sounds)を迎え、シャムキャッツ『渚』リリース!!
シャムキャッツの新曲「渚」を聞いて、変わったと思った。「ねじ曲がった」音楽は大好きだが、わざと「ねじ曲げている」音楽は好きではない。来日しているジャド・フェアのように、自然に「ねじ曲がる」人は、真っすぐに歌っても、何故か「ねじ曲がってしまう」ものだ。彼らの前作からは、どうしても生み出した楽曲を「ねじ曲げている」感がぬぐえなかった。けれど、この「渚」はどうだ! 夏目知幸の生み出した楽曲を、真っすぐにシンプルにアレンジしている。バンド・アレンジのおかげで、夏目が書く楽曲の素晴らしさに気づくことが出来た。
そして、シャムキャッツを変えたもう一人のキーパーソンは、プロデューサーの古里おさむ(umineco sounds)。ウミネコサウンズ改めumineco sounds! 彼らは、OTOTOYで配信している限定楽曲「あたらしい時間」で共演している。では、出会った経緯、何故一緒に本作を創ることになったのかを改めて聞いてみようと思う。新たな一歩を踏み出したシャムキャッツに敬意を込めて。
インタビュー & 文 : JJ(Limited Express (has gone?))
シャムキャッツ / 渚
まだ若い彼らの瞬間的な「今」を切り取ったかのように、甘くほろ苦く、爽やかで切ないサーフ・キラー・チューン「渚」と、活動初期からアレンジを変えつつ、今も大事に演奏され続けている名曲「忘れていたのさ」の新録バージョンを収録。エンジニアにキリンジなどを手掛ける柏井日向、ジャケット・デザイン&イラストにくるり、サニーデイ・サービスなどを過去に手掛けた小田島等を迎える。昔のMr.Children、スピッツを彷彿させる「渚」のPVも必見!
販売形式 : mp3、wav共に単曲200円、まとめ購入で400円
あたらしい時間 / ウミネコサウンズ×シャムキャッツ
ウミネコサウンズこと古里おさむとシャムキャッツの、スペシャル・セッション音源がドロップ! 今年2月に開催されたウミネコサウンズのイベント「ウタイホーダイ」で共演することになった両者が、ウミネコサウンズの「あたらしい時間 」を大胆にリ・アレンジ。それぞれの持ち味が最大限に生かされ、全く新しいサウンドに変貌を遂げました。原曲の陽気でポップなサウンドから一転、シャムキャッツならではの、たよりなくも味のあるローファイ・サウンドに、古里おさむの温かなうたが響きます。ここでしか聴けません! あたらしいポップ・ミュージックをどうぞ。
新しい夏目じゃなくて、懐かしい夏目が出てきた。
――『渚』が完成するまでの経緯について教えてください。
夏目知幸(以下、夏目) : 初めて盤を出したのが前作の2年前で、何もかもが新しい事だらけの中、何をしたかったのかが分からなくなってしまったんです。ライヴをする時も気分のコントロールが出来なくて、楽しくなかった。アルバムを出してから半年間ぐらいその状態が続いたんですけど、バンドは続けたいっていうので、すごい悩んでたんです。でも結局無駄なことや次のことを余計に考えてしまっていて… だから一度そういうのを忘れようと思って、まずは盤を出したレーベルから抜けたんです。自分達の力でやろうという決意が出来た時に、何か抜けたんですよね。
――レーベルを抜けようと思ったのは、なぜですか?
夏目 : 盤を出すまでは、好きなことを書いてバンドに持っていって、好きな時にスタジオで練習してライヴをしてって、何の戦略もなく自由にやっていたんです。でもレーベルから盤を出すということは大人やお金が関わってくることで、ライヴの本数を限定されてしまったり、レコーディングのスケジュールが無理矢理にでも入ってくるのが窮屈だったんです。レーベルのスタイルと自分達のやりたいスタイルに違和感を感じて、もう一回自分達で出来るように最初からやり直そうと思いました。
――やりたいスタイルとは?
夏目 : 曲が出来たら録って、時期も方法も自分達で決めてリリースする。去年やっていたそういうシンプルな活動が自分達に合ってるなと感じました。それで去年はデモを沢山出そうということだったんですが、それが出来たので今度は正式盤を出すことにしたんです。
――他の方はどう感じていました?
菅原慎一(以下、菅原) : やっている時は夢中でしたけど、盤をリリースした後、ライヴが終わっていくにつれて「この後どうするんだろう? 」って、同じようなことを考えていましたね。他のメンバーも皆同じモードだったと思いますよ。
――レーベルを飛び出すというのは、守ってくれるものが無くなることを意味しますが、そこへの恐怖心は無かったですか?
夏目 : そこは無かったですね。レーベルに所属していなくても信頼出来るミュージシャン、フリーのPAやエンジニアの方々が居ますし、彼らと仕事をするほうが楽しく作れました。自分達の音楽は、ここから良くしていけると思いましたね。
――夏目君が持って来た「渚」の第一印象は?
菅原 : 夏目は小さい頃からの幼なじみなので、新しい夏目というよりは、懐かしい夏目が出て来たなという感じ。余計なバンド・アレンジが必要ないと思うくらい素直な曲だと思いました。
――古里おさむ(umineco sounds)さんへの第一印象は?
夏目 : 最初は音がカッチリしている印象が強かったです。そのイメージが変わったのは古里さんのバック・バンドを務めてからなんですけど、僕らがバックで古里さんが歌ったら、もうロック・バンドだったんですよね。曲が始まって終わるまでのリズムに乗って行く感じが… 素晴らしいんですよ(笑)。
菅原 : 僕は全ての音のハーモニーがすごく揃っていると思いました。ラジオで聴いたら皆が聞き入っちゃうような。おさむさんとやって1番勉強になったのはそこです。
夏目 : 曲がいいのは当然なんですけど、音楽をすごい知っています!
――知っているというのは、音楽理論やサウンドという面ですか?
夏目 : そうですね。曲の肝の部分を捉えるのがすごいうまい。
古里おさむ(以下、古里) : 自分では分からないですけどね。
――古里さんは自身がオファーされる前のシャムキャッツをご存知でしたか?
古里 : 知ってましたよ。誰でも最初バンドを始めた時は嬉しいじゃないですか? その気持ちを思い出させてくれるバンドですね。今より昔のシャムキャッツの方がへたくそだったと思うんですけど(笑)。
夏目 : 今もへたくそだけどね(笑)。
古里 : いやいや。その無邪気さをずっと無くしてほしくないバンドですね。
――シャムキャッツの無邪気さを具体的に言うと?
古里 : 自然体で音楽に触れ合っているところ。エンターテイメント性って必要だけど、彼らは素のままステージに立っているだけでエンターテイメントだったんです。
――それは曲も含めてのエンターテイメントですか?
古里 : 曲も含めてですかね。僕が始めて見た時、弦が切れましたからね(笑)。
菅原 : そうだ。1曲も歌わずに弦切れましたからね(笑)。それで急いで楽屋に「弦貸して下さい! 」って駆けつけましたね。
古里 : ギターがいないわけだから、ライヴを始められなかったんです(笑)。そしたら夏目君が喋りだして、周りのメンバーがそこにつっこみを入れ始めたんです(笑)。それで弦が用意出来て、音を出した時の衝撃が強烈だったのを覚えています。
良い曲って3秒でわかるじゃないですか。
――『渚』のプロデュースを古里さんにお願いしたのは、何故ですか?
菅原 : 去年の3月にデモの1枚目を出して、その1曲目が「渚」だったんですね。それをおさむさんがすごく気に入ってくれて、古里さんがバンド時代に使ってたカセットMTRを持って「これで録ったら絶対良いよ! 」って言ってくれたんです。それでリリースとかは関係なく、ただ遊んでみようって感じで始めましたね。
――カセットMTRって、こんなに良い音で録れるんですか!?
夏目 : そうなんですよ。僕もビックリしました。
古里 : カセットMTRは昔から5、6台持っているんです。時代にもよるんですけど、ノイズ・リダクションが発展しているんですよ。90年代のカセットMTRだとあんまり無いんですけど、しっかりしているんですよね。俺はオープン・リールのR8っていうのをずっと使っていたんですけど、あれもノイズ・リダクションが優秀なんです。それに似ているのないかなって探している時に、YAMAHAのMT50っていうのに辿り着いたんです。安いんですけどね。そしたら彼らが俺のソロ・アルバム『ロード・ショウ』を聞いてくれてて、あの音の感じが好きって言ってくれてたんです。それで盛り上がったんですよね。
菅原 : あの音の感じでシャムキャッツ出来るのかなって思った時、テンション上がっちゃいました。
夏目 : カセットMTRで録る前に、1000万円ぐらいの機材でレコードを聴くという企画のピュア・オーディオ試聴会に参加させてもらって、そこで聞いた音が凄かったんです。ライオネル・ハンプトンの「スターダスト」を聴かせてもらったんですけど、演奏者が目の前にいて手の動きが想像出来る位の音なんですよ。それがあってから音をどうやって良く聞かせるかって、バンドも意識してその方向に向かってたんですよ。
菅原 : 高音質がいい音とは限らないんですよね。
夏目 : その試聴会で、CDでデジタルな音も聞いたんですけど、冷たい平面な音なんですよね。
古里 : ソロの時からこの手法を使っていましたけど、この技術がもったいない気がしてたんですよね。いつかバンドでも録りたいと思っていたところに、シャムキャッツがいたんです。
――その場の空気感を録音したいんですよね?
夏目 : 盤にした時、自分達の感じが失われてしまうのが心配だったんです。でも今回カセットMTRで録ってみたら、全部が音になっていたんですよね。
古里 : アナログだとその人が見えるんですよね。デジタルは色々いじらないと見えてこないんです。
――見えるというのは具体的に言うと?
古里 : 人が演奏している姿が簡単に見えちゃうんですよ。
――古里さんが録音の際に意識したことはなんですか?
古里 : 皆の顔を見えるようにしたいっていうのと、メンバーが一緒に演奏している感じを出すようにしました。
――「忘れていたのさ」を新録したのは、何かこだわりがあったんですか?
夏目 : 録るなら2曲録ろうよって話をしていたんです。後は、カセットMTRに合う音で、自分達が好きな曲を選ぼうかってなってからですかね。後は『はしけ』に収録されている方のバージョンで少し変わったことをやっているんですけど、それをライヴ用に具現化した時にアレンジが増えたんですよ。その姿はライヴに来た人しか見れていないので、新しく録りました。今回を期に是非聞いてほしいです。
――古里さんは「渚」のどこに弾かれましたか?
古里 : どこがって言われると分からないですけど… 良い曲って3秒で分かるじゃないですか。そんな感じですよ。
危うくて自由なんだけど、発明をしてしまう。
――今作の2曲から見えてくるものって何でしょう?
夏目 : 歌だと思いますね。歌を僕が作って、バンドでやるというところじゃないですか。
――そこから菅原さんは歌を活かすようなアレンジを常に考えていた?
菅原 : ていうか僕も歌いたいですね(笑)。「渚」に関しては、一緒に歌えるようなアレンジです。コード弾くか、イントロのリフを弾くかだけ。技巧的なことは特にやってないです。
夏目 : 歌っていっても、声を出したところが歌っていうよりも、作品を通して歌っていう感覚ですね。バンドを下地に歌がのっているんじゃなくて、全部が同等で歌っていう価値観。そういう意識で僕らはバンドをやっています。その良い部分がこの2曲には収まっていますね。
菅原 : それがたまに4人集まると「エ! 」みたいな方向性になるんです。
古里 : シャムキャッツってそうだよね。ドラム、ギター、ヴォーカルっていうより、砂場で遊んでいる小学生みたいなイメージなんですよ(笑)。楽器持っていれば成り立つようなね。
――それが一発録りに影響してくるんじゃないですか?
夏目 : あぁ。そういうことか。
古里 : 全て合わせて固まりの歌になればいいなと思うんですよね。
――シャムキャッツのサウンド面での中心はあるんですか?
古里 : どの面を見ても危ういんですよね。しっかりギター弾けとかいうと、全部崩れてしまうような… だから危うくて自由なんだけど、発明をしてしまう。録音する側としては、それを捕まえたいですね。
夏目 : 僕達はちゃんとしなきゃいけないライヴで、ちゃんとしないようにしています。それが僕にとってのちゃんとライブをやるということに繋がります。
菅原 : 夏目は自由でいいんじゃない?
夏目 : 皆にも言えることだから!
――ちゃんとしないっていうのは?
夏目 : リズムをキープしてここは絶対決めるってところや、音程を絶対狂わさないようにしようとか、上手くやろうとした時に絶対にいい演奏をしたことないんですよね。
古里 : その自由度がないとシャムキャッツじゃないんです。それっぽいこと言っちゃった(笑)。
――ライヴの自由って表裏一体で、悪い時は悪いと思うのですが?
夏目 : 基本的にはそれでいいと思っています。つまらないものをちゃんとやってつまらないものになるのなら、自由にやってひどいものの方が好きかな。それで歌まで崩壊する時もあるんですけど、それは技術的な問題ですね。ちゃんとしないようにしてるっていうのは、努力をしていないということではないんです。自分達のグルーヴをどう出すかを探した時に、「がんばらない努力」と言いましょうか、そこからくる自由度がこのバンドにとって大事な気がしてます。
――あまりにも自由だと、お客さんの中で良いライヴ、悪いライヴって判断をするのが難しくなりそうですよね?
夏目 : それはここ最近感じていたところではあります(笑)。でも曲を信じるようにしていて、曲を自分達がしっかり演奏出来ればいいんだって思っているんです。そこの信念さえ曲げなければ大丈夫かなって思っています。
――シャムキャッツの目指すところはどこですか?
夏目 : バンドを多くの人に聴いてもらいたいですね。それが「売れたいから」とかいう話ではなくて、好きな曲を作って、皆でいい演奏をするのを繰り返していたいです。でも売る努力はします。
――売る努力っていうのは?
夏目 : 売る努力って言うのは…これ仏教の話になるんですけど、仏教ってお釈迦様が亡くなってから500年はこじんまりとしたものだったらしいんです。悟りを開くため山にこもって修行する人だけが仏教に触れていたんですね。そんな時代に龍樹というプレイボーイが現れます。彼は宮殿に夜な夜な忍び込んでは女を抱いていたんですが、ある夜の犯行中に、一緒に夜這いを繰り返していた仲間を警備に殺されてしまって、快楽のむなしさに気づき仏教に入るんです。で、彼の面白いのはそこでこれまでの信者と全然違う考えを持ったところなんですけど、どういう考えかっていうと、山にこもって悟りたい人だけ悟れる環境じゃだめだ、もっと普及させなければ! てことで、山から街におりるんです。いいものがあったらそれを広めるって大事かなと僕も思います。それと、彼は「偏るな」って思想を広めるんですね。「山にこもるのも偏ってるし、欲望に走るのも偏ってる。どっちにも偏らずに自由にいるのがいい」って。僕もそうありたいんです。んー、なのでこの話をまとめると、偏らず、広げていくのは大事だなと僕は思うっていうことです。
――小さいところで満足してはいけないと?
夏目 : そうですね。広める活動の積み重ねだと思うんですよ。僕らはあんまり遠い所に目標を置かないんですけど、その目標が見えてきた時、そこを目指さないとは考えてないんです。
菅原 : 自分が音楽をやっているのは音楽が好きだからです。小さい時から日常的に音楽に触れてきて、そこで与えてもらったようなことを自分でもしたいなって思うんですよね。
――今いるインディー・シーンでは何をしたいですか?
夏目 : 僕は曲が作りたいってことしか無いかもしれない。東京は面白くていいバンドがたくさんいるから、そういう人達とやりたい。色々なところと絡んで、かき混ぜていけたらいいですね。わくわくするような事件を増やしたいです。
菅原 : 就職しないでバンドをやっているので、バンドがある生活というものを金銭的にという意味だけでなく、豊かにしようと考えて動いています。
――生活を豊かにするためにも、大きいところに行きたい?
菅原 : それはわからないです。やるしかねぇって感じですね。まだまだ満たされてはいないので、シャムキャッツでそこまで行きたいですね。
夏目 : 僕はバンドをやるまでライヴ・ハウスに行く人じゃなかったんですよ。そういう人達に是非聴いてほしいです。
――ウミネコサウンズの今後を教えてもらってもいいですか?
古里 : 自分が持っているものが嫌になる時ってあるじゃないですか? でも俺は何を歌っても同じ感じなんですよ。なので最近は違う人とセッションしていました。それがあってか、今は居心地の良い場所を見つけたんですよね。歌うと全部が自由な感じというか、分かり易くいうとロック。後はウミネコサウンズってカタカナだと可愛いから、表記をローマ字に変えてumineco soundsになったんですよ。この音源は今録音しています。
――それもテープ録音ですか?
古里 : じゃ、ないんですけどね。俺からしたらテープはエフェクターみたいなものなので、どんな方向であれ取り方はどうでもいいんですよ。メンバーもアナログな音を出すので、デジタルで録っても同じ。だからは今回はそのままですね。
LIVE INFORMATION
シャムキャッツ「渚」リリース・ツアー
2011/03/25(金) @京都 Live House Nano
2011/03/26(土) @梅田 HARD RAIN
2011/03/27(日) @金山 ブラジルコーヒー
2011/04/02(土) @札幌 Sound Lab mole
2011/04/03(日) @札幌 spitual lounge
2011/04/17(日) @つくばPARKDINER
2011/04/24(日) @青山月見ル君想フ
umineco sounds
11/04/12@渋谷 O-NEST
「らららfesta vol.1」
w / cero、太平洋不知火楽団、KURIWATAHASHI、他
PROFILE
シャムキャッツ
大塚智之 (Bass)
菅原慎一 (Guitar)
夏目知幸 (Vocal&Guitar)
藤村頼正 (Drums)
東京を中心に活動している4人組ロック・バンド。 2007年頃から活動開始。2009年4月にファースト・アルバム『はしけ』をリリース以降、枠にはまらない楽曲と自由なステージングでその独特な存在感はじわじわとひろがりを見せている。
2010年は「DEMO SINGLE SERIES」と銘打ったCD-R作品を3作連続リリースし、全てソールドアウトを記録。
2011年3月9日には2年ぶりの全国流通作となるファースト・シングル『渚』を発表。
>>>official web
umineco sounds
古里おさむ (Vocal&Guitar)
ヤマジカズヒデ (Guitar&vocal)
須藤俊明 (Bass)
コテイスイ (Drum)
>>>official web
特別な瞬間を閉じ込めた音楽
WATER WATER CAMEL / WATER WATER CAMEL
全国の植物園からお寺まで、小学校から洋裁学校まで、長年に渡る柔軟なライブ活動、文化活動によって独自のネットワークを持つスリー・ピース・バンド。音楽とは特に敗北者の為にあります。弱い立場にいる人間にとって、素晴らしい音楽がいったいどれほどの救いになってきたことでしょう。敗北と再生という、今時代に最も必要とされているテーマのひとつを強烈に意識した作品です。今哀しみの淵にいる人々を静かに支えることの出来る意義あるアルバムです。
mojoco / だからゆくのさ
園部 信教と山崎 “paul” 貴博の二人組。何といっても彼らの持ち味は、日中のあたたかさと夜中の静寂さをあわせ持つ世界観と、日常を切り取る歌と透き通った声。日々の暮らしに寄り添う楽曲が詰まったファースト・アルバム。
ゆーきゃん / サイダー
京都で歌い始め、現在は主に東京で活動しているシンガー・ソング・ライター。アシッド・フォーク/サッド・コアを体現するようなその声と日本語詩は、聴くものに儚くも強烈な印象を残します。今作はギターとヴォーカルのシンプルなつくりでありながら、その歌声はグッと心に染み渡る力を持っています。ギターの弦の音や呟くようなヴォーカルを、高音質HQDファイルでよりリアルに感じられます。