ブロック・パーティで繰り広げられる、"コニャクション"のダンス——Buffalo Daughterの新作はクソカッコいい
昨年は結成20周年を記念し、いままでの作品を"再構築"したベスト盤『ReDiscoVer.Best, Re-recordings and Remixies of Buffalo Daughter』をリリースしたBuffalo Daughter。オリジナル作品としては4年振りのアルバム、その名も『Konjac-tion』(コニャクション)。この耳慣れない単語は、英語のコネクションとコンニャクをもじって名付けられたものだという。本作ではカヒミ・カリィや坂本慎太郎など多彩なゲストがタイトなハンマービートの上で歌い、チボ・マットや砂原良徳、永井聖一などが今作をリミックスした音源も付いているという、まさにコネクションによる1枚。様々なコネクションがバンドと混ざり合うことでこのアルバムが産まれたのである。しかも、OTOTOYでは5.6MHz DSD+24bit/96kHzでのハイレゾ配信!!! 1粒で2度、いや3度に楽しめること間違いなしだ。なぜ今作が様々な人との繋がりと共に生み出されたのか。メンバー全員を迎えて行われたインタヴューと合わせて、さらに楽しんでいただきたい。
Buffalo Daughter / Konjac-tion
【配信価格】
5.6MHz DSD+24bit/96kHz(ALAC/FLAC/WAV)
まとめ購入のみ 3,000円
【Track List】
01. Hit-it-go-round : Party is about to begin
02. Le Cheval Blanc feat. カヒミ カリィ on voice
03. Golden Leaves feat. Pismo on vocal
04. Calling Out From The World Of Echoes
05. Love & Food feat. 坂本慎太郎 on vocal
06. Oui Oui
07. The Legend
08. Vicious Circle
09. Bring Back 80's
10. Les Sirènes feat. Fuzati on rap
11. Don’t Stop The Music
12. Le Cheval Blanc Remixed by しんなりちゃん
13. Calling Out From The World Of Echoes Remixed by VARO
14. Golden Leaves Remixed by チボ・マット featuring Nels Cline on guitars
15. The Legend Remixed by シャーロット・ケンプ・ミュール of the Goastt and Jared Samuel of Invisible Familiars, featuring ショーン・レノン
16. Vicious Circle Remixed by 石原洋 at Peace Music Tokyo
17. Love & Food Remixed by 永井聖一
18. Bring Back 80's Remixed by 砂原良徳
19. Les Sirènes (Instrumental)
20. Don’t Stop The Music Remixed by Greeen Linez
21. Oui Oui (Demo)
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INTERVIEW : Buffalo Daughter
インタヴュー : 飯田仁一郎(OTOTOY編集長 / Limited Express (Has gone?))
まさにブロック・パーティのようで、普段ライヴに行かないだろうって人たちが見にきて、みんな楽しそうに踊ってましたね
——非常にBuffalo Daughterらしい作品が完成したと思います。制作はいつ頃から?
シュガー吉永(以下、シュガー) : 前作が2010年に出たので、そのあとの秋くらいから。「アルバムを作るぞ」というよりは、「ちょっと新しいことやろうか」という感じで取りかかって。
——2011年4月に金沢21世紀美術館でおこなわれた美術展「ピーター・マクドナルド : 訪問者」で演奏したことがきっかけになったそうですね。
大野由美子(以下、大野) : 展覧会の会場で演奏しませんか、という話をもらったのは夏ぐらいだったのかな。
シュガー : その頃、ハラカミくん(レイ・ハラカミ)と何かやろうとして、このアルバムの中で一番古い「Golden Leaves」という曲はできていて。
——なるほど。ハラカミさんが亡くなったのってその頃ですよね?
大野 : 2011年の夏かな。
シュガー : そのときはアルバムを作るという意識はなかったんだけど、ピーターの展覧会で演奏する話をもらって、そのためにもさらに何曲か作ったんです。そのときの経験をもとに、この形で次のアルバムを作ったらいいんじゃない? って思いはじめました。
——「この」形というのは?
シュガー : それが今回のアルバムのテーマである「ブロック・パーティ」(※)です。ピーターの作品に「ディスコ」っていうのがあるんですけど、21世紀美術館の大きな部屋を使った展示で、彼が子供のときに経験したブロック・パーティの楽しさを描いた作品なんですね。私たちはその部屋で演奏をしたんです。
※主に1970年代のニューヨークで、ひとつのブロック(街の区画)に住む地域住民が集まり、音楽をかけたりダンスを踊ったりしながら催されたストリート・パーティのこと。そこでのDJプレイが、ヒップホップのルーツと言われている。
大野 : ブロック・パーティって、まあ町内会のお祭みたいなもので。
シュガー : バルーンが上がったりして、子供からおじいちゃん、おばあちゃんまで楽しめるっていう。その町内会のお祭的な雰囲気と、ディスコが繋がったんだと思う。
——その雰囲気にインスパイアされたんですか? それともそこで鳴ってるような曲を作りたかったということ?
大野 : 展覧会で何を演奏しようかって考えたときに、みんなが踊れそうな感じの曲をやろうっていうのはありました。あと、ちょうど3月に地震があったばかりだったから、集まって楽しいことをやるっていうのは、いい感じでみんなと繋がれるんじゃないかと思ったんですよね。
——現場はディスコのようになりましたか?
大野 : みんな楽しんでましたよ。
シュガー : ミラーボールはないけどね。
大野 : 明るいの!
シュガー : まさにブロック・パーティのようで、普段ライヴに行かないだろうって人たちが見にきて、みんな楽しそうに踊ってましたね。自分たちにとってもすごく楽しい体験だった。だから、次のアルバムはこういう雰囲気でいこうと思ったんです。
——その「雰囲気」について、もう少しだけ具体的に教えてください。
シュガー : 前のアルバムはテーマがガッツリあって、それこそ闘う姿勢くらいの気持ちで作ってたけど、そこから一転したっていうことですかね。言ってみれば緩い、自由な感じ。テーマがあるとしたら、ブロック・パーティをみんなが楽しむみたいな。
——そうなったのは、地震の影響が大きい?
大野 : 地震のあと、被災地の人を励ますというより、癒すような曲がたくさん流れてましたよね。でもそれだけじゃなくて、もっとみんなを楽しませたり、やる気にさせる音楽があってもいいと思って。そんな雰囲気を作るために自分たちは何をすべきかって考えてるときにこの話がきて、私にはピッタリきたんです。
ヨーロッパのときに驚いたんだけど、私たちの紹介ヴィデオが「Moog Stone」って曲だったんです。アメリカはもっとロックっぽい曲を選ぶというか。
——ブロック・パーティ以外にこのアルバムに影響を与えたものはありますか?
大野 : 今年の初めにアメリカ・ツアーとヨーロッパ・ツアーに行ったことかな。
シュガー : そうですね。ツアーの段階で曲はできてたんだけど、なかなかフィニッシュまでいかなかったので、あらためて自分たちの曲を見つめ直す機会になりました。あとは、アメリカとヨーロッパで、バンドの受け取られ方が全然違ったのがおもしろかったです。
——どのように違っていたのですか?
シュガー : たとえばウェブで私たちを紹介するときに、YouTubeから引っ張ってくる曲が違う。ヨーロッパのときに驚いたんだけど、私たちの紹介ヴィデオが「Moog Stone」って曲だったんです。ライヴではもう10年以上も演奏してない曲なので、「数ある曲のなかからこれを選ぶって新鮮だねー!」って。アメリカはもっとロックっぽい曲を選ぶというか。「私たちってそういう面もあるよね」って、自分たちを見直すことができたのがよかったです。
——なるほど。そんな経験をするなかで、今回はゲストが多数参加するアルバムになりましたが、そのようにした理由は?
シュガー : フィニッシュさせるにあたって、何かが足りないと思ったからです。だったらゲストを入れてみたらどうだろかと。
大野 : 誰かゲストを入れたいというよりは、この部分にはこういう声がほしいよね、というのが先でした。
——「Les Sirènes」に参加しているFuzati(フランスのラッパー)は新しい才能だなと思ったのですが、けっこう一緒にやられているんですか?
シュガー : この前フランスに行ったときに初めて会ったくらいです。フランス語のラップを入れたくて、フランスのレーベルの人に紹介してもらって。
——なるほど。ゲストの参加に加えて、リミックスが10曲収録されているのは大きい要素だと思ったのですが。
シュガー : 全曲ヴィデオがついているのはよくあるので、あえて全曲リミックスというのはどうかなと。そしたらレーベルが「いいですねそれ!」と言ってきたので、じゃあそうしましょうってことで。
——このリミキサー陣のセレクトはみんなで意見を出しあったんですか?
大野 : 最初に誰にリミックスしてほしいかを挙げて、それを頭に入れながら曲を作りました。で、うまく繋がりそうな人に頼もうと。
——曲作りとリミックスを頼むのが同時進行だった?
大野 : そうでしたね。
自由に音楽を作るとか、人にどんどん頼むとかも含めて、全部こじつけられる完璧なタイトルだなって
——音作りの面で苦労したこと、こだわったことはありますか?
シュガー : 苦労したのは、前のアルバムだったら録音からミックスまで一気にいけるくらいの勢いがあったけど、今回は録音してみたらピンとこない部分があって、一度解体しないと進まなかったというか。
——ピンとこなかったのはなぜなんでしょう。前作のように勢いでいくこともできた?
シュガー : そもそも作ろうとしてるものが違うから。同じものをまたその勢いで作ることはできても、それはやりたくなかったし。
——前のアルバムを超えたいと思った?
シュガー : そういう感じでもないんです。今の自分たちに正直に作りたいという気持ちが常にあるから。
——Buffalo Daughterは常に新しいものを打ち立ててきた人たちだと思ってるのですが、今回はそれが壁になった面もありますか?
大野 : そういうわけじゃないけど、単純に自分が聴きたいものを作るなかで、「これはずっと聴いてられない」と思ったというか。ちょっと作り変えたほうがいいなと思って。
シュガー : 長年一緒にバンドをやってるんで、前に作った曲と似てるものも当然出てくるわけですよね。今回ゲストを入れたのは、そこからもう一歩先に進むための途中経過だったんだと思う。
——やはりBuffalo Daughterとして先に進みたいというモチヴェーションは強い?
シュガー : 新しいことが発見できるとやっぱりおもしろいから。そのために一緒にやるし、次の作品も作る。途中でピンとこなかったのは、もう一歩先のBuffalo Daughterというにはちょっと足りない感じがあったからで、それでフィニッシュできなかったんです。
——フィニッシュに向かう決定的な瞬間ってどういうときですか?
シュガー : なんか、「これ!」って言えるものがないとダメなんだよね。ゲストを入れる前の段階で、「大手!」くらいまではいったんですけど。
大野 : フィニッシュに達するのにちょっと足りないものを自分たちで発見したからゲストに手伝ったもらったんだけど、今思うといろんな人と繋がってみたかったのかなって。
シュガー : ピーターのブロック・パーティをテーマにして始めたアルバムなんだけど、いろんな人を入れて、いろんな人と楽しむっていう意味では、「ブロック・パーティ」っていうテーマがずっと生きていて、結局はそこに着地したなと思ってるんですけど。
——そこに繋がるわけですね。ある意味では、自分たちができないことがはっきりしたアルバムでもある?
大野 : できないというか、違う人がやったほうがいいなと。
シュガー : そこは自由度を重視したんです。ピーターのその作品も、絵自体はピーターが描いてるんだけど、色を塗るのはヴォランティアの人たちが一緒にやってたり、すごくたくさんの人が関わって作ってるんですよ。その「みんなで作ってる感」がおもしろくて。最後までそのスピリットはあったんで、もっとオープンに、いろんな人に頼んでみたという感じですね。
——そのあたりは『Konjac-tion』(コニャクション)というタイトルとも繋がってきそうですね。これはコネクションを意味する言葉であると同時に、コンニャクのような柔軟性という意味も込められているということですが。
シュガー : コネクションがキーワードだなと思ったんですよね。でもそのままコネクションじゃつまらないから、何か違う言葉に置き換えたいなと。で、たまたまコンニャクっていう言葉を調べてたら、英語のスペルが「K」から始まることに気づいたんです。それがなんかドイツっぽくてかっこいい! って思って(笑)。今回のアルバム、ドイツっぽくしたいというのもあったので。
大野 : 音が硬いところとかね。
シュガー : コンニャクっていう言葉自体が、日本人が知らないスペルが付いてるくらいのグローバルな言葉なんだなっていうのがまず驚きで。その柔軟でフレキシブルな感じとかが全部ブロック・パーティに繋がるんですよ。自由に音楽を作るとか、人にどんどん頼むとかも含めて、全部こじつけられる完璧なタイトルだなって。
——なるほど。最後に、『Konjac-tion』はどんなアルバムになったと思いますか?
大野 : 私はすごく満足してます。最後の2週間で頑張った甲斐があったなと。最初は「みんなで楽しむ」っていうテーマを考えていたから、明るい感じで終わらせようと思ったんだけど、途中から変わってきましたね。
山本ムーグ : 今までのアルバムの中で一番総称しづらい作品です。言葉に落とし込むってすごく難しいなと。ディスコとかブロック・パーティから始まってるんですけど、ダイレクトにそれを描くような作品にはなってないと思うし、解体や再構築をしているので説明しづらいんですよね。けど、そのあたりはタイトルの、ちょっと見慣れない単語が一番しっくりくるなと。
——ディスコやパーティという単語から連想するような、明るいアルバムではないですよね。シュガーさんは?
シュガー : 毎回最高傑作だと思ってるんですけど、前のアルバムは、あんまり世の中の人はそう思ってないみたいで(笑)。今回は今までとは違う試みをいっぱいして、違う形でフィニッシュできたと思うので、自分たちとしてはおもしろかったし、充実感は強いですね。
Buffalo Daughter過去作
活動20周年(2013年時)記念となる初ベスト・アルバム。オリジナル・アルバムからの代表曲やライヴの定番曲をはじめ、ビースティー・ボーイズのアドロックが制作したリミックス、環ROY+鎮座DOPENESS(KAKATO)の非公式ビートジャックから発展したコラボレーション曲など、本作のための新規録音やライヴ・ヴァージョンも多数収録。
The Weapons Of Math Destruction
2010年、ゲスト・ドラマーに松下敦を迎えた、前作から4年ぶりのオリジナル・アルバムを自らのレーベルBuffalo Ranchよりリリース。"物理"という圧倒的なパワーに対する、アート宣言、破壊宣言! ムーグが言いだしたというヒップホップ的アプローチも内在。
3年という製作期間に50近くの新曲を録音し、バンド結成以来かつてないほど、歌詞とそれを伝える声にフォーカスが当てたられた作品。クラシックの楽器、ストリングス・カルテット、ピアノ、フルートといった生楽器の導入も特徴的な1枚。
Captain Vapour Athletes(24bit/44.1kHz)
米英のインディ・ロックのファンジンからからスタートした「米国音楽」という雑誌のスタッフがはじめたカーディナル・レコーズからリリースされた曲を中心とした内容のファースト・アルバム!
PROFILE
Buffalo Daughter
シュガー吉永(Gt, Vo, tb-303, tr-606) / 大野由美子(Ba, Vo, Electronics) / 山本ムーグ(Turntable, Vo)
1993年結成。雑誌『米国音楽』が主催したインディー・レーベル、Cardinal Recordsより発売した『Shaggy Head Dressers』、『Amoebae Sound System』の2枚がたちまちソールドアウト。ルシャス・ジャクソン東京公演でメンバーに音源を渡した事がきっかけで1996年にビースティ・ボーイズが主催するレーベルGrand Royalと契約。同年1stアルバム『Captain Vapour Athletes』(Grand Royal/東芝EMI)を発表、アメリカ主要都市のツアーも行い、活動の場は東京から世界へ。1998年に発表した2ndアルバム『New Rock』(Grand Royal/東芝EMI)では、アメリカ・ツアーの車移動の際に見た同じ景色の連続とジャーマンロックの反復感にインスパイアされた内容となり、大きな反響を得て瞬く間に時代のマスターピースに。その後もアメリカ中を車で何周も回る長いツアー、ヨーロッパ各都市でのツアーも行い、ライヴバンドとして大きな評価を得る。2001年『I』(Emperor Norton Records/東芝EMI)発売した後、2003年『Pshychic』、2006年『Euphorica』は共にV2 Recordsよりワールドワイド・ディールで発売される。2006年には、雑誌『ニューズウィーク日本版』の”世界が尊敬する日本人100人”に選ばれるなど、その動向は国内外問わず注目を集めている。2010年夏、自らのレーベル”Buffalo Ranch”を設立。ゲスト・ドラマーに松下敦を迎え、前作より約4年ぶりとなるアルバム『The Weapons Of Math Destruction』を発表。
2013年、結成20年周年を記念し初のベスト盤『ReDiscoVer. Best, Re-recordings and Remixes of Buffallo Daughter』を発表。このアルバムは過去の音源のみならず、新録、カヴァー、ライブ音源、リミックスを収録。新しいベストの形を提示。また東京/大阪のギャラリーでバンドの歴史を辿る展示も開催した。2014年夏に7枚目となるアルバムをリリース!
>>Buffalo Daughter Official HP