何気ない日々を祝おう──NEMNEが初アルバムに込めた“自分らしさ”

2014年にUKOとしてデビューし、2021年より新たに活動をスタートさせたNEMNE(ネムネ)。活動を重ねるなかで、より自身のルーツに寄り添ったゴスペル・ライクなサウンドへと向かっていった。デビュー当初から制作を共にしてきたSEIKIや、友人の大比良瑞希ら周囲の存在にも背中を押されながら、“自分のやりたい音楽”の輪郭を徐々に掴んでいった彼女。模索の末にたどり着いた“NEMNEらしさ”を落とし込んだ初のフル・アルバム『NEMNE』には、何気ない日々へ光を当てるような、穏やかな体温が宿っている。今回は、そんなNEMNEというアーティストの現在地と、“自分らしさ”を掴んでいくまでの道のり、そして作品に込めた思いについて話を訊いた。
R&B/ソウルを軸に、ポップかつメロディック。
自然と溢れ出たものを詰め込んだセルフ・タイトル作
INTERVIEW : NEMNE

シンガーUKOによるソロ・プロジェクト。2021年始動。冨田ラボや家入レオらの作品参加、コーラス・アレンジや楽曲提供など幅広く活動。R&BやJAZZ、ゴスペルをルーツにしたサウンドとアップリフティングな歌声で注目を集める。
取材・文 : 坂井彩花
撮影 : 廣田達也
“NEMNEらしさ”とはなんぞや?
──そもそもNEMNEは、どのようなプロジェクトでしょうか。
NEMNE:もともと私はUKOとして2014年にCDデビューして、そこから長く活動していたんです。でも、2018年に渋谷WWWでワンマン・ライブをしたころから、漠然と「新しい形でやっていきたい」と思うようになって。UKO時代のシティポップのような音楽性ではなく、もっと自分のルーツに寄り添い、ゴスペル・ライクなサウンドに挑戦したくなったんです。UKOで培ってきたサウンド感と、幼い頃から好きだったブラックミュージックを融合させて、新しい自分を表現したいなって。
アーティスト名のNEMNEも、「NEW ME=新しい私」から来ているんですよ。同じ大学に通っていたTENDREが何個か最終候補があった中で、「何年先でも愛される名前がいいんじゃない?」とアドバイスもくれて。「新しい自分でいくぞ」という気持ちで、2021年からNEMNEとしてスタートを切りました。

──UKOからNEMNEへ、スムーズに移行できたんですか。
NEMNE:実をいうと、ワンマン・ライブを終えたあとは、2年間くらいちゃんと活動しきれない時期があって。ちょうどコロナ禍とも重なっていたので、時間をかけてNEMNEを温めていきました。とはいえ、いざ2021年に始めてみても「NEMNEとはなんぞや」と模索状態で。「UKOのときと何も変わらないじゃん!」って言われたらどうしようとか、けっこう周りを気にしちゃってました。その影響もあって、2023年から2024年頃は曲が作れなくなってしまったんです。流行りのジャンルやサウンドを意識しすぎてしまったんでしょうね。
──そんな状態から、どのようにして立ち直ったのでしょうか。
NEMNE:とにかく自分の引き出しを増やそうと思って、これまであまり聴いてこなかったジャンルも含め、いろいろな音楽を聴きました。そのなかで「私って意外とこういう部分が好きだったんだ」と気づいたり、改めてルーツに立ち返って好きなものに出会い直したり。そうしているうちに、周りを気にしすぎて「私は何をやりたいのか」が薄くなっていたことに気づいたんです。
あと、デビューしてからずっと一緒に曲作りをしてくれているトラックメイカーのSEIKIが「NEMNEらしさをもっと自分で理解して」と言ってくれたのも大きかったですね。そこから改めて自分に対して、いろんなことを考えるようになって。結果的に「自分がやりたい音楽だけを落としこもう」と思えるようになり、2025年の頭にリリースした『Imperfect / Have a good day / Pray for you』から、ようやく自分のやりたい音楽が見え始めました。
──NEMNEさんにとって、“やりたい音楽”はどのようなものでしたか。
NEMNE:『Imperfect / Have a good day / Pray for you』は、自分が好きなゴスペルのサウンド感を、色濃く落とし込んだシングル。その楽曲を作っていくうちに、やっぱり私は多幸感ある音楽が好きだなと気づいたんです。R&Bやソウルを軸にしながらも、ポップかつメロディック。それが“NEMNEらしさ”なんじゃないかなって、2025年から2026年の1年間で、かなり明確になりました。
──SNSを拝見していると、健やかで穏やかな日々を送ってらっしゃるのかと思っていたので、2025年頃まで“多幸感”というキーワードに辿りつかなかったのが意外でした。
NEMNE:表向きでは、ポジティブに見せていた部分もあったのかもしれないですね。どんなにしんどくても、発信自体は止められないじゃないですか。今思うと、そういう本音と建前の矛盾もけっこう感じていたのかも。
仲のいい大比良瑞希も、「そのままの姿を出した方がいいんじゃない?」と言ってくれていて。今回のアルバムでは、自分をフラットに落としこめたと思っています。
──そんな自身をフラットに落としこんだ、初のフル・アルバム『NEMNE』が完成してみて、いかがですか。
NEMNE:安堵しております(笑)。もともとは去年6月に『Imperfect / Have a good day / Pray for you』リリース・ワンマンの時点で、「秋にアルバムを出します!」って宣言していたんですよ。でも、気づいたら2025年終わってるぞ、みたいな(笑)。
アルバム用に作っていた曲もあったんですけど、自分のなかで納得しきれない部分があって、「今じゃないな」と思っているうちに、どんどん後ろ倒しになってしまって。最終的には「絶対4月までに出す」と決めて、ヒーヒー言いながら完成させました。でも、本当に自分が作りたかった曲たちを収録できましたし、曲順もかなりこだわったので、形になったときはすごく嬉しかったです。
──既発の収録曲は、どういった基準で選んだのでしょうか。
NEMNE:お客さんがどう感じてくれるか、今の私がどう見せたいかを考慮しながら、普段のライブセットや1日の流れをイメージして組み立てました。たとえば、「LIBERTY」と「Taion」はライブで盛り上がれる曲だし、4つ打ちが好きなのでマストでいれたかったとか。
NEMNE:あと、ゆったりした休日の朝をイメージした「Cozy」で始めて、唯一のバラードである「Imperfect」で締める構成は最初から決めていましたね。歌詞や空気感も含めて、かなり細かく曲順を調整していて。最初は去年リリースした「Have a good day」も入れる予定だったんですけど、ギリギリで「mirror」に差し替えたんです。
「Have a good day」は多幸感に溢れた曲なので、今の自分らしさもあるんですけど、アルバム全体で見ると、それだけじゃない感情も見せたくて。「mirror」はバンドアレンジも含めてクールな印象があるし、自分の内側にある沸々とした感情を書いている曲でもあるので、抑揚をつける意味でも必要な曲でした。入れてよかったと思っています。













































































































