DÉ DÉ MOUSE、2020年は平和の音楽=ダンス・ミュージックで遊ぶ! ──極上ニューディスコ『Nulife』リリース
新年明けましておめでとうございます! 今年は子年。つまりDÉ DÉ MOUSEの年! ということで、新年1発目に登場してもらうのは、ニュー・アルバム『Nulife』をリリースしたばかりのDÉ DÉ MOUSE。本インタヴューでは、毎回作品ごとのコンセプトが魅力の彼に、新アルバム『Nulife』に詰め込んだこだわりとともに新年の抱負を語ってもらいました。
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エキゾチックな極上ニューディスコ
INTERVIEW : DÉ DÉ MOUSE
ラジオを聴きながら車を運転していると、DÉ DÉ MOUSEの新曲“Nulife”がスピーカーから流れてきた。彼との付き合いは、もう15年以上。貪欲にサウンドを変え、フレキシブルな状態に自身を保ち、毎回刺激的な音楽を届けてくれる。あ〜、2019年暮れの首都高になんて似合う音楽なんだろう…… もうすぐ2020年。僕らは彼の音楽に包まれながら2020年を迎えることに感謝しなくちゃ。そんなことを思わせてくれる未来に向けたニュー・アルバムが『Nulife』なんだ。
インタヴュー : 飯田仁一郎
文&構成 : 鈴木雄希
写真 : 大橋祐希
今作のテーマは「ニューディスコ」
──DÉ DÉ MOUSEは、毎回作品ごとのコンセプトをしっかり持っています。今回はどのようにアルバム制作に着手したんですか?
もともとは前作の『be yourself』を作っているときから構想はあって。はじめてその世界の続編を作りたいと思ったんですよ。『be yourself』はジャケットに描かれた女子高生がこのあとどうなっていくんだろうということにすごく興味を持ったんです。
──なるほど。
いままではストーリーと世界観だけでアルバムを完結させていたから、キャラクターを作り上げていくということはやったことがなくて。ただ『be yourself』でキャラクターを作ってみたらやっぱりそのキャラクターが独り歩きしてきて、この子のこのあとのストーリーを考えるのが楽しくなってきたんです。
──じゃあ今作はそういった思いからスタートしたんですね。
そう。たくさんの作家さんが集まってAメロ、Bメロ、サビ…… とかをそれぞれ人が作っていくコーライティングという作曲方法があるんですけど、今回はトラックをいっぱい作ってコーライティングをひとりで行うイメージで曲を作っていって。ある程度曲のイメージが固まってきたときにスタッフ全員とのアルバム進捗会をやりはじめたんです。そこでスタッフから「ちょっと派手すぎる」とか「もうちょっといまっぽい感じがいい」みたいな意見があがったんですね。たしかにいまは熱いものがウケる時代じゃないし、一歩引いたくらいの感じの方が割とウケたりするから、スタッフの意見に「たしかにそうだな」って思って。そういう客観的な意見ってすごく大事だったりするから、今回はそういう客観的な言葉を受け取って自分の中で消化することをテーマにしようと。毎月1回進捗会をしながら制作を進めていたんだけど、6月の3回目の進捗会で1曲目の“Nulife”を聴かせたときに、「これ、いい」ってはじめてスタッフ全員の意見が一致したんですね。そこでやっとアルバムのコンセプトが固まった感じです。
──“Nulife”でスタッフの意見がバチッとハマったのはなぜだったんでしょうか。
どちらかというと「これ、あんまり好きじゃないな」って思っているもののほうが、みんなに「いい!」って言われることは結構あって。“Nulife”も、たしかに僕もいいなとは思っていたけど、アルバムの1曲目に持ってくる曲ではないと思っていたんです。でもデモをスタッフに聴かせたときに「これ、リード曲っぽいですね」って言われて。「じゃあもうちょっとリード曲っぽく作り直しますね」と。だから僕もどうしてみんなに“Nulife”がいいって言われたのかわかっていないんです(笑)。
──もともとスタッフの意見を聞くタイプでしたっけ?
自分も年齢を重ねてきているし、ファンの年齢も上がってきているんだけど、新しく若い人にも僕の音楽を聴いてもらいたい気持ちは強くて。ただ映画を観てもゲームをしても、僕らの年齢だと見落すところも、若い人は反応することもあるし、やっぱり年齢によって感じることもぜんぜん違うんですよね。若い人の意見を受け入れずに「俺たちカッコいい」って言ってるダサいおじさんバンドってたくさんいるじゃないですか。10代、20代のときからそういうのがダサいなって思っていたから、そうならないためにどうしたらいいのかを考えたときに、どこかで考え方を切り替えないといけないな、と。だから今回は「外部の人たちの意見を聞いて自分の中になかったものを見つけていく」という作り方で進んでいったんです。
──スタッフの意見を聞いて楽曲の感じも変わっていった?
最初はもっと音を引いてシンプルな感じにしていたんですね。だけど、あまりにも音を引きすぎるといままでのファンが置いていかれるかもしれないし、前作とのテンションもだいぶ変わってくるなと思って。そのバランス感とか距離感を考えながら作るのが今回のテーマでもあって。いまのシーンと自分の好きなものの距離感をとるうえですごくいいキーワードになったのが「ニューディスコ」というジャンルだったんです。これを使えばいろんなものの橋渡しができるなと思ってから、ラテンっぽい要素を入れてみようと。
──DÉ DÉ MOUSE的には、ニューディスコってどんなものだったんですか?
僕の父親がオーディオ・マニアだったから、原風景的に1980年代の洋楽のポップ・ミュージックやダンス・ミュージックにはノスタルジーを感じるんですね。ニューディスコって、ディスコだったり1980年代の音楽だったりの再構築というか、違う解釈でのダンス・ミュージックとして造られるものでもあって。だからたとえばペット・ショップ・ボーイズとかカイリー・ミノーグとかも、ニューディスコというジャンルになってノスタルジーを感じられるというか。好きだったものを再認識した感じがすごいあったんですよね。トロピカル・ハウスとかとも親和性があるし、どこかエキゾチシズムもあるので、ニューディスコをプレイしていくうちに、『be yourself』でやっていた押し出しの強いものを、もっと引いてもいいのかなって思うようになって。
──そう思ったきっかけとかはあったんですか?
ここ数年、20代前半の若い子たちの中でハウスとかガラージみたいなものが流行っているのを現場で見ているので、その辺は繋がっている部分もあるのかなと思ったりもして。
ジャケットのキャラクターにはじめて名前をつけた
──先ほど、『be yourself』の世界の続編を作りたかったとお話しされていましたが、前作ではジャケットの女子高生が学校帰りに見慣れないダイナーを見つけて、そこのマスターにそのお店でかけていた音楽のプレイリストをもらうというストーリーが作品の背景としてありましたよね。
はい。マスターにもらったプレイリストをかっこいいなって思えたことで、無理をして友達と趣味を合わせる必要もないし、自分らしくいればいいんだって気づく。そういうことが『be yourself』のときのテーマとしてありましたね。
──その続きのストーリーというと具体的にどのようなものが頭の中にあったのでしょう。
あのプレイリストをきっかけに、この子が「音楽を作りたい」って思うかもしれない…… もっと言うと「そうなったらいいな」という感情が僕の中にあったりして。だから最初は「この子が音楽を作っていたら……」と想像して作っていたんだけど、ニューディスコっぽいサウンドを目指すうちに、だんだんなんか違うなと(笑)。そのときちょうどアートワークに関しての打ち合わせをしたんだけど、みんなどうしていいかわからなくなっちゃって(笑)。
──最初にDÉ DÉ君の頭にあったストーリーがそこで破綻しちゃったんだ。
そうなんです。本当に決まらなかったんですよ。それで9月くらいに前作のアートワークをお願いしたTOKIYA SAKBA (7ZEL)さんと打ち合わせをして。話をしていくうちにTOKIYAさんが「『be yourself』の女の子の手に乗っているお面をしたネズミがいますよね。そのお面をしている誰かを描くのはどうですか?」って。そこで僕もピンときて。このネズミが擬人化して彼女の前に現れるという設定ならいいかもしれないと。ネズミの擬人化との出会いと別れを通しての『be yourself』の女子高生の成長がテーマになりました。
──そうなんですね。
あと今回ジャケットのキャラクターにはじめて名前をつけたんですよ。舞踊の踊をとって「踊(よう)」という名前をつけて。今作は“ダンス”がテーマになっているから、このネズミの化身はダンスを擬人化した存在にしようと思って。
──ダンスに絡めた名前なんだ。
そうなんです。新美南吉という作家の『子どものすきな神さま』という短編がすごく好きなんですけど、それがストーリーのヒントとして頭の中に浮かんできて。『be yourself』の女子高生が帰り道にダンスを踊ってる子(=踊)を見つけて興味を持って話しかけてみた。だけど夕暮れを過ぎるとその子は必ず帰ってしまう。女子高生としては仲良くしたいから、ファミレスにでも行ってもっと話をして、もっと仲良くなりたいのに、すぐに帰ってしまうし、その理由も言ってくれない。踊は昼の神様が支配している世界の存在で、夜になるとネズミになってしまうからなんだ、と。女子高生としては、どうして帰ってしまうんだろうという寂しい思いを抱えつつ、恋愛としてではなく、踊のことを好きになるというストーリーがあります。
──なるほど。
今回のアルバムは「失恋」というか「新しい1歩を踏み出す」というテーマもあって。
──だからアルバムのタイトルが『Nulife』なんだ。
そうです。失恋だったり、新しい1歩を踏み出したりするときって、希望はあるけどやっぱり不安じゃないですか。そういう不安や焦燥感という感情を今作では表現しています。ただアッパーなだけではないし、ただ暗いだけでないし。テンポはいいんだけど、ちょっと寂しい感じにフォーカスをしていますね。「好きな子に『好き』って伝えるのが1番いいんだけど、それを言ったことでこの関係が終わってしまったらどうしよう」みたいな感情を経験して大人になっていくものだと思うんですね。だからその過程を、ダンスの化身(踊)を通して、音楽的にも人間的にも成長をしていく様を描いているというか。
──なるほど。DÉ DÉ MOUSEの作品は、音楽を聴きつつも、アルバムのストーリーを訊くことでより理解が深まるのがおもしろいですよね。
そうですね(笑)。
ダンス・ミュージックは平和なものだよ
──今回OTOTOYでは2020年の1発目としてこのインタヴューを掲載するのですが、2020年はどんなことをやっていきたいですか?
いまのところ、2020年はもっとフットワークを軽くやっていきたいなと思っていて。あとはいままで通り精力的にやっていきたい気持ちもありつつ、作家的な動きもできたらいいなとも思ってます。この間リリースしたんだけど、『ワイルドフリッパー』というゲームのBGMをやらせてもらったんですね。そういうこともたくさんやっていきたい。
──具体的に考えていることはありますか?
特には決まっていないけど、まずは『Nulife』を出したので、このアルバムのニューディスコという世界観というか、ただアッパーなだけじゃない良い音楽を自分を通して伝えていきたいですね。僕自身もそういうシーンと繋がりたい気持ちがあるから、定期的にやっているDJ生配信用に作ったエディットをリリースするのもいいかなと思ってます。たとえば1ヶ月間毎日リリースとか(笑)。
──それはすごい(笑)!
少しでもチャンスを掴むために、出せるものは出し続けて、精力的にやっていきたいなとは思っていて。年を重ねるごとにフットワークを軽くしていきたい。
──DÉ DÉ MOUSEって、他のアーティストに比べてフレキシブルだと思う。
ダンス・ミュージックもロックもそうだけど、若者が作っていくものだし、若者が聴くものじゃないですか。だからこそ、自分がそこに入れることがうれしいし、そこに居続けることができればいいなって。若さにしがみつくのとは違って、大人たちにもアプローチしていきたいから、そこにはニューディスコというものがうまく作用すると思うし。DJも劇伴もやるし、何でも屋みたいな感じで修行を積んできたから、それをうまくいかせるようにしながら、“遊び”の部分を大事にして活動していきたいですね。
──2020年の抱負は「遊ぶぞ!」という感じなんだ。
そうです。あと、毎年子どもがいる会場でプレイさせてもらいことが増えてきていて。自分のマンパワーさえあればトラップでも子どもたちは大盛り上がりするし、『be yourself』で大盛り上がりしてたんですよ。子供たちを楽しませるパワーがあれば、ダンス・ミュージックは平和の音楽だし、そういったことを親の世代にも届けられたらいいなと思ってます。去年『おかあさんといっしょ』の歌を担当したんですけど、エゴサーチをしてみると「こんな音楽を子どもに聴かせるのは……」とか「リズムがつかみにくいから子どもっぽくない」みたいなことが書いてあって。でもその子どもっぽくないは親のさじ加減であって、子どもからしてみたらそういう制限はいらないと思うんですよね。ダンス・ミュージック=悪いものという印象は本当につけたくないから、「ダンス・ミュージックは平和なものだよ」と伝える動きをしていきたいなと。それは2020年に思うことですね。
編集 : 鈴木雄希
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LIVE SCHEDULE
DÉ DÉ MOUSE "Nulife" Tour
2020年1月18日(土)@福岡Kieth Flack
時間 : OPEN / START 17:00
2020年1月26日(日)@京都CLUB METRO
時間 : OPEN 17:15 / START 18:00
2020年2月15日(土)@渋谷WWW X
時間 : OPEN 17:15 / START 18:00
【詳しいライヴ情報はこちら】
https://dedemouse.com/liveschedule
PROFILE
DÉ DÉ MOUSE
遠藤大介によるソロ・プロジェクト。作曲家、編曲家、プロデューサー、キーボーディスト、DJ。
また、自身の曲のプログラミングやミックス / マスタリング、映像と多方面に活動し、他作品のプロデュース / 楽曲提供 / remix も行う。メロディカットアップの手法とキャッチーで不思議なメロディ / 和音構成は、国内外問わず多くのフォロアーを生み、以降のシーンにひとつの発明とも呼べる功績をもたらす。
トラックメイカー / プロデューサーとしてのライヴの追求にも早い段階から積極的であり、2008年からはバンドを従え、〈フジロック〉や〈タイコクラブ〉など、毎年多くのフェスやイベントに出演。
2018年には7th アルバム『be yourself』をリリースし、京都メトロ、渋谷O-EAST、台湾、中国5都市にてワンマン・ツアー敢行。
2019年からは『be yourself evening』『Nulife Groove』というインターネット上にて不定期のDJ配信プロジェクトも始動するなど、バンド・シーンとクラブ・シーンからあらゆる枠組みを超えた縦横無尽なライヴ・パフォーマンスは人々を魅了し続ける。
【公式HP】
https://dedemouse.com/
【公式ツイッター】
https://twitter.com/DEDEMOUSE