史上、最もダークかつアッパーな作品!! DE DE MOUSEの、レイヴ / ドリルンベースな新作EPを独占ハイレゾ配信
細かく刻まれたヴォイス・サンプルで作り上げられるエスニックなメロディーと煌めきに満ちたトラックで、聴くものを魅了してきたDE DE MOUSE。今回彼が、自身のレーベル〈not records〉から発表した新作『youth 99』は、いままでの作品とは明らかに一線を画す、ダークかつアッパーなサウンドだ。ジャングル・ビートやTB-303の過激なシーケンスなどの、まさに90'sダンス・ミュージックな音達を独自の解釈で消化した全6曲。そんなエイフェックス・ツインやスクエアプッシャーなどを思わせる本作を、OTOTOYでは独占ハイレゾ配信!
今回、なぜ“バック・トゥ90's”な作品を出したのかを訊くべく、DE DE MOUSEへのインタヴューを行った。制作までの経緯や表現について、そして7月にリリースされる新作についても大いに語ってもらった。
OTOTOYハイレゾ独占配信
DE DE MOUSE / youth 99(24bit/48kHz)
【Track List】
01. satan disco 999
02. rave 93
03. light speed you
04. morph ball
05. satan rave
06. suburban acid
【配信形式】
WAV / ALAC / FLAC(24bit/48kHz) / AAC
ハイレゾについてはこちらから
【配信価格】
単曲 250円 / まとめ購入 1,200円
INTERVIEW : DE DE MOUSE
「satan disco 999」が完成してから90年代縛りにしようって思ったんです
——ミニ・アルバム『youth 99』、『milkyway drive』リリースおめでとうございます。今はどんなモードなんでしょう?
ここ数年、『faraway girl EP』、『to milkyway planet EP』、『dirt kart 2 shots knuckle』、『planet to planet』と 毎年ミニ・アルバムを出していたんですが、自分の活動の中心には、ずっとライヴがあったんです。プラネタリウムでのライヴは、ファンもプラネタリウムと僕の音楽との親和性を感じてくれて、チケットがすぐ完売するくらい人気のあるコンテンツになっていたから、そこを活動の中心にしていたんです。プラネタリウムのツアーをやるから、それに伴って作品をリリースしようっていう感じでアルバムを出していました。また、CDを流通すること以外に色々やり方があるんじゃないかなって思って、去年は「planet to planet」っていうUSBカードを作って販売したり、そういう違った音楽のビジネスのやり方で、面白いなって思ったものをやっていたんですけど、音楽業界は右肩下がりが止まらないじゃないですか。CDに代わるものは何かって言っても突破口があるわけでもなく、ダウンロードも、Apple Musicも始まるしSpotifyが日本に入ってきたら相当音楽事情が変わってくるなとか考えていたり。そんななかで、会場限定販売とかは、聴く人の範囲を狭めているし、だったら全国流通させて、自分も外側に向かってオープンな感じでやっていこうかなと思うようになって。
——色々やってきて行き着く先は分からないけど、ちょっと全国流通してみようみたいな?
ですね。CDショップも含めて、少しでもお店の活気に貢献できたら嬉しいなっていうのもあるし、自分は貢献できるのかな? っていうのもある。自分も出てきて8年くらい経つし、毎年新しい良い人たちが出てきているのも事実だし。その中で自分がどれくらいやれるのかと。
——その辺の悩みというか、葛藤は常にあるんですね。
長くやっていても、自分には長くやっている感覚は全然ないんです。ずっと新人のつもりでいる。自分より一回り下のDJとかトラックメイカーとか色んな人たちと接するようになればなるほど、「ああ、自分は結構活動してきたんだな」っていうのを感じる。最近は「中学生のとき大好きで聴いていました」っていうのを聞くようになって、時間が経っているんだなと。だからと言って今の流行りに合わせようとすると、ジェネレーション・ギャップがあるというか… 今流行っているものに合わせようとしても共感できない溝みたいなものがあるんです。
——なるほど。では『youth 99』の解説をしてもらえますか?
ちょっとハードな90年代のレイヴ感、ハードコア感があるようなEPです。クラブの深夜帯に流れるようなアッパーな曲でもなく、ライヴハウスでやる曲でもない。プラネタリウムで聴かせるものでもない。ノイズとかエレクトロニカにするのも違う。ある時、僕の中でこういう懐かしい90年代っぽい曲が流行って、その時作った曲をアンドレアス・ドーラウが来日した時にライヴでやったんです。そしたら、一緒に出ていたCHERRYBOY FUNCTIONに「あれ、すっごくかっこいいね! 」って言われて、僕が「あれすごく出したいんだけど、スタッフが全然良いって言ってくれないんだよね」って言ったら「いやいや、何としてでも出した方が良いよ! 」と言ってくれて。「DE DE MOUSEの名前を出さずに、ホワイト・レーベルのレコードとして出して、後から“実はDE DE MOUSEでした”って公表したらかっこいいよ! そうでなくても俺は買う! 」って言ってくれたんです。そんなにかっこいいって言ってくれるなら出そうと思って。最初は12インチサイズのレコードでA面 / B面くらいが丁度いいと思っていたんだけど、流通させることになって、CDにもしようって。
——流通させることになったのは何故ですか?
『youth 99』の前に『milkyway drive』を流通させるのが決まっていたのと、〈not records〉を作って3年目になるから、アニバーサリー的な意味も込めて。スタッフとは、タワーレコード限定で『youth 99』のシングルを出したりするのがいいんじゃないかとか話したりしたけど、ディストリビューターの人たちに意見を聞くと、皆言うことが違って。『milkyway drive』の中に入れてしまえばいいとか、DE DE MOUSEの表と裏みたいな形にして、一枚の中で聴いてもらった方が良いとか。サンプルを配る時に、二枚より一枚で配った方が皆に聴いてもらえる。そういう意見もあって「もうそんなこと言うなら出さないよ! 」、「いや、そんなこと言わずに! 」っていうのもあったり(笑)。それが今年の1月くらいで、しばらくシングルで出すって話をしていたんだけど、3月頃に、僕がマネージャーに「シングルじゃなくて、EPにしていい?」って聞いて、「いまさらですか」って言われて(笑)、そこから急遽、ライヴでやっていた曲を聴かせられるくらいにまとめ上げる作業を始めたんです。
——何故曲を増やしたんですか?
曲増やしたらいい感じでまとまるんじゃないかなと思って。3曲目に入ってる「light speed you」っていう曲は僕が昔作った曲。最初は、1曲目の「satan disco 999」と2曲目の「rave 93」しかなくて「light speed you」も色々変えたりしたから、一週間くらいで4曲作ったんです。
——6曲目の「suburban acid」がチルな感じで、すごく聴きやすかったです。
90年代半ばくらいにあったアンビエント・ブームの頃のイメージですね。自分が90年代中盤から後半くらいに聴いていたダンス・ミュージックとかテクノが、この作品の主軸になっています。
——過ぎ去りし90年代に対するアンサー・ソングのようなもの?
少し違うかな。〈リフレックス〉とか、〈ワープ・レコーズ〉とかその辺が好きだったんです。エイフェックス・ツインやスクエアプッシャーとか。機能的なテクノやハッピーさを共有し合うようなものに馴染めない人達が作る音楽と言うかそういうひねくれたポップさのある音が好きだったんです。マイク・パラディナス(μ-ziq)が「クラブなんか大嫌いだ」と言っていた、と音楽雑誌で見て「そうか、クラブなんて大嫌いでいいんだ」なんてクラブが好きじゃないのにクラブでお客さんをヒートアップさせている自分かっこいいって妄想したり(笑)。実際東京に出て来て2年くらいクラブなんて行かなかったので90年代のクラブ・シーンは体験していないから、当時の自分が妄想していた頭の中にある90年代のエレクトリック・ミュージックのパーツをごちゃごちゃくっつけていった感じですね。
——なるほど(笑)。でも「satan disco 999」めちゃくちゃかっこよかったですよ。
最初から90年代をテーマにして作ったというより「satan disco 999」が完成してから90年代縛りにしようって思ったんです。キャッチ―さと、かっこよさがまとまっている、シングルらしさが強いのは「satan disco 999」ですね。
——「satan disco 999」はいつ出来たんですか?
去年の秋くらい。10代の頃に持っていたサンプリングCDで久し振りにいっぱいサンプリングしたら楽しいなー! って。でも自分でもダサイってわかってる(笑)。
僕がライヴでやるしかない曲だとも思っています
——10代の頃を懐かしんでる感じですね。DE DE MOUSEが出てきたのは2000年代ですが、どんな時代でしたか?
2000年代は音楽ジャンルの細分化と、インターネット黎明期ですね。2000年代初頭にピアー・ツー・ピアーとかのインターネットを通してファイルを共有するソフトが出てきて、違法ダウンロードなんて言葉もないくらい、何でもダウンロード出来ちゃうようになった。あと、2000年代に切り込む重要なアルバムがレディオヘッドの『Kid A』だと思っています。エレクトロニカ・ブームの火付け役になったのは間違いなく『Kid A』。
——なるほど。
トム・ヨークがインタビューで「オウテカとエイフェックス・ツインをすごく聴いているんだよ」と言ったら、オウテカのアルバム『Confield』をOLやパンクスの人まで聴いていたり。エレクトロニカ・ブームが来てからは、タワーレコードのbounceでもエレクトロニカ特集とかあって「現代の室内弦楽だ! 」みたいなことを、バイヤーさんが言ったりしていて、皆こういうのを読んで真に受けるんだろうなぁって思ってました(笑)。そんななか、エイフェックス・チルドレンみたいな人たちが台頭してきて、〈ロムズ・レコーズ〉の人たちやkid 606等がやっていた、エレクトロニカとは違って、もう少し踊れるアッパーな感じのものが、ブレイクコアになってきた。そして、どんどんジャンルが細分化され、そのままシーンとして定着していったんですね。
——では、2010年以降をどういう風に見ているのかを知りたいです。
2000年代の後半に10代から20代になるくらいの人だと、tofubeatsさんや〈マルチネ レコーズ〉の存在がでかいですね。僕の一回り下のDJさんとかは「自分はこういう風にやっているんだ! 」っていうのがはっきりしている。僕が20代前半だったら全然考えられなかったこと。今、90年代リバイバルが来ているじゃないですか。tofubeatsさん、sugar's campaign等のアート・ワークは、結構わかりやすい90年代感が出ていると思うし、ファッションとしてもう少し増えていくと思います。
——そうなんですね。『youth 99』を聴いた時に、すごくかっこいいなと思いました。
ありがとうございます。使い道のない曲だけど、僕がライヴでやるしかない曲だとも思っています。4曲目の「morph ball」は4つ打ちのテクノなんだけど、ベースもあんまりないし、テンポも速いし、踊れないし、機能性ありそうで全くないみたいな(笑)。
アーティストだからってあまり守りに入るのも駄目だなって思って
——なるほど。そして一ヶ月後には、もう一作、リリースしますね。
『milkyway drive』ですね。これはDE DE MOUSEのライヴに来ていた人が求めているものです。
——何を求められているんですか?
僕は、ライヴをやるごとに曲のアレンジを変えちゃうんですけど、あの曲良かったから出してくださいって言われるんです。そんなライヴで人気が高いものを6曲集めて、それをトリートメントして。
——どういったアルバムですか?
再構築アルバムというか。これがDE DE MOUSEの入口になる人がいてもいい。釣りで言う撒き餌みたいなもの。分かり易いノリは、多くの人に聴いてもらえるかなって。
——シンプルで分かり易いってことですね。
そうですね。皆で盛り上がろう! みたいな。再構築アルバムでもあるけど、これをオリジナルとして聴いてもらってもいいんです。
——ライヴで人気の曲ということは、踊れることに特化はしているんですか?
踊るだけじゃなくて、聴ける。今日も元気に行こう! って気合い入れる時や、仕事終わったー! っていう時に聴いてもいいし、どんなシチュエーションにも合うような曲を集めたんです。
——このミニ・アルバムの構想はいつ頃にあったんですか?
2010年の『A journey to freedom』っていう3枚目のアルバムを出した時くらいから。深夜帯にライヴをやると『iTunes Live from Tokyo』っていう銀座のアップルストアでライヴをした時の音源が売れるんですよ。これは、わかりやすいアッパーな曲が入ってるんですけど、ライヴ版じゃなくてちゃんと出したいねってスタッフと話してて。〈not records〉が3周年だし、僕の気持ちも外に向かってオープンになっていたので、タイミングもいいから出そうかって。
——気持ちがオープンになった理由はなんですか?
昔は自分から発信しないことがかっこよかったじゃないですか。イベントも自分で全く宣伝しないけど客がいっぱいみたいな。これだけSNSが発達した時代では、スタッフが発信するより、本人が発信してる方が結局一番届くんです。
——そうですね。
そういうのもあって、僕はわりとふらーっとこんなことありましたって自分から発信してて。アーティストだからってあまり守りに入るのも駄目だなって思って。
——今は難しい時代ですよね。
会えるアイドルみたいに、会えることが一つの売りになってないと、イベントの集客が難しくなってしまった。ブームになって皆がそれを当たり前と思ってしまうと、発信する側はそれをせざるを得ないというか。じゃあ僕も「握手券つけて握手します!」とかは、もうやっていることが違ってきちゃうから(笑)。
インタヴュー&構成 : 飯田仁一郎
文字起こし : 鈴木千絵
過去作品
LIVE INFORMATION
2015年6月20日(土)@渋谷FLAME TOKYO
DE DE MOUSE one-man「for 2EPs」 -youth 99 & milkyway drive release party-
2015年7月23日(木)@代官山UNIT
not × CONPASS -not records 3rd anniversary showcase live-
2015年7月26日(日)@心斎橋CONPASS
PROFILE
DE DE MOUSE
織り重なり合う、計算しつくされたメロディと再構築された「歌」としてのカットアップ・サンプリング・ヴォイス。流麗に進む和音構成と相交わりから聞こえてくるのは煌びやかで影のある誰にも真似出来ない極上のポップ・ソング。沁み渡るような郊外と夜の世界の美しい響きから感じる不思議な浮遊感と孤独感は、多くのクリエイターにインスピレーションを与えている。
ライヴ・スタイルの振れ幅も広く、ツイン・ドラムで構成されリズムの高揚感を体現するDE DE MOUSE + Drumrollsや、縦横無尽に飛び回るDJスタイル、即興とセッションで繰り広げるDE DE MOUSE + his drumner名義に、映像を喚起させるDE DE MOUSE + Soundandvisions名義など、多種多様のステージングを展開。FUJI ROCK FESTIVALやTAICOCLUB、RISING SUN ROCK FESTIVALにSonarSound Tokyoなど多くのフェスティバルにも出演、イギリスやフランス、ドイツなど海外遠征も盛んに行っている。
近年では実験的な試みを体現する主催イヴェント"not"、 "DE DE MOUSE × 2"や即日完売が恒例となっているプラネタリウムを舞台にした公演を開催し、イベントの演出やその完成度が、各方面から多くの注目を受ける。ファッションやアニメ、ゲームなど他ジャンルからの支持も強く、作品、グッズ、イベントに至る全てのプロデュースを手がけると共にファッション・ブランド等とのコラボレーション・ワークも数多く行なっている。