
2013年7月に、Yasei Collectiveの松下マサナオと、Ovallのmabanuaを講師に迎えて、で開催したモダン・ドラム高等学校! 満員御礼となったこの講座、基本的なリズムの感じ方、講師2人が影響を受けたドラマーや変拍子の極意などなど、充実の3時間となりました。この2人の話を、もっと多くの人に届けたい! そんなことを考えた、学校長の飯田仁一郎が、2人に取材を敢行!! ドラマーだけでなく、音楽人必見の熱い対談となりました。
モダン・ドラム高等学校とは?
大好評につき、進化した第二回、開講決定! 受講生募集中!!
モダン・ドラム高等学校vol.2 ~最先端のリズムとビートを体得せよ!! ~
講師 : 松下マサナオ / mabanua
日時 : 2013年11月23日 14時00分〜 (全1回)
会場 : オトトイの学校 (東京都渋谷区代々木5ー59ー5 東信代々木ビル 2F)
受講料 : 3,000円 (税込)
定員 : 30人
あれは序章にすぎなかった… 前回7月20日に行われ、熱狂と興奮を呼び大好評だったドラム講座の第2弾が開催決定! ドラマー以外も大歓迎、ビート・メイキング / 音楽制作に、“いま”の最新鋭のビートを生かしたいという人のための、ドラム(=“モダン・ドラム”)を学べる講座です。アメリカへの音楽留学の経験がある松下と、ブラック・ミュージックを軸に様々な音楽を独自のセンスで混ぜ合わせるmabanua。国内にとどまらない彼らの活躍から得た経験、技術、そして幅広い知識をまるごと伝授。この講座は、ドラムの叩き方だけを学ぶドラム講座ではありません。ドラム経験がない方でも、ビートや音楽に興味がある人なら誰でも受講可能。前回の講座をさらにヴァージョン・アップさせた最先端でクールなドラムの魅力に、どっぷり浸ってください。
お申し込みは
NEW INFORMATION of Yasei Collective
お待たせしました! 2ndアルバム『Conditioner』配信開始!!
Yasei Collective / Conditioner
【配信価格】
mp3、wavともに まとめ購入のみ 1,000円
【Track List】
1. Goto / 2. Conditioner / 3. Do Good / 4. Bong Bong Chin Chin / 5. De Mode:Re / 6. Chat-Low (Remaster)
>> 特設サイトはこちら
4枚のライヴ・アルバムの代表曲と未発表音源を独自に編集したベスト盤、OTOTOYで独占配信中
Yasei Collective / The Best of Really Real Live
【配信価格】
HQD ver.(24bit/48kHzのwav) まとめ購入のみ 1,000円
mp3 ver. まとめ購入のみ 800円
Yasei Collectiveのメンバーが絶賛するKneebodyを迎えて、リリース・パーティーを開催!!
2013年8月22日(木)@青山 CAYKneebody x Yasei Collective 「Wリリース・パーティ」
詳しくはこちら
Kneebody
Adam Benjamin / keyboards
Shane Endsley / trumpet
Ben Wendel / tenor sax
Kaveh Rastegar / bass
Nate Wood / drums
2001年にバンド結成以来、その独特な音の配列は、唯一無二の音楽として、世界のインストゥルメンタル音楽に多大な影響を与えている。洗練された作品と“超”ハイレベルな即興演奏を組み合わせるパフォーマンスは、アメリカやヨーロッパ各地に多様で厚いファン層を築いている。
NEW INFORMATION of Ovall
11月20日、Ovallの2ndアルバム(タイトル未定)・リリース&全国ツアー開催が決定!
Ovall ~The PEEP TOUR~
2ndアルバムの初披露は音源ではなくライヴ!? “リリース前にアルバム曲順通りに披露する全国ツアー”
さらにスマートフォンなどでのライヴ撮影許可、YouTubeやSNSへのアップも自由!!
2013年9月29日(日) @静岡 BLUE NOTE 1988
2013年10月3日(木) @東京 渋谷WWW "HMV GET BACK SESSION"
2013年10月18日(金) @福岡 ROOMS
2013年11月3日(日) @愛知 名古屋UPSET
2013年11月4日(月・祝) @長野 松本 MOLE HALL
2013年11月9日(土) @大阪 FANJ twice "HMV GET BACK SESSION"
2013年11月16日(土) @神奈川 Motion Blue yokohama
2013年11月17日(日) @群馬 高崎市内6会場のいずれか NORTH WIND WAVE (サーキット・イベントへの出演となります。)
対談 : 松下マサナオ(Yasei Collective) × mabanua(Ovall)
ビートが新しい音楽を創る。Yasei Collectiveの松下マサナオと、Ovallのmabanuaという2人の気鋭のドラマーは、日本で最も最先端のビートをならす。だからこそこの2バンドは、斬新であり続ける。そして彼らを聴く我々は、音楽が一歩更新する姿を目撃する。彼らの目線は、世界水準。ドラマー、そしてミュージシャンには、必ず読んで欲しい対談である。
進行 : 飯田仁一郎 (オトトイの学校長、Limited Express (has gone?))
文 : 岩瀬知菜美

かっこいいものに対する美学はすごく近い(松下)
ーーまず、おふたりの出会いについて訊かせてください。
mabanua : 岩崎太整君っていう作曲家がやっている、The Cubesっていうバンドのイベントに、Ovallが 対バンとして出てたんです。そのライヴに松下君が来てくれて。
松下 : すげえ良かったんです。僕がアメリカから帰ってきたばっかりで、調子に乗っててオラオラな感じのときに(笑)。Charaさんとの対談記事でmabanua君を知って、「同世代にこんなドラマーがいるんだ」ってびっくりして、Facebookからメールしたんですよ。mabanuaっていう名前から最初は勝手に外人だと思ってたので、英語でメールを送ったら、完全に無視されたっていう…(笑)。
mabanua : スパム・メールだと思って(笑)。
松下 : そのあともう1回日本語でメールを送ったら、ちゃんと返信をくれたんですけどね。
ーー(笑)。出会いは3年前くらいですね。逆に、mabanuaさんが松下さんのドラムをはじめて観たのはいつ?
mabanua : はじめて会ったのはそのライヴのとき。そのあとにYouTubeでYasei Collectiveの動画を見せてもらって、とにかく普通じゃないなって(笑)。2012年の冬くらいにやっとOvallとYasei Collectiveで対バンできて、松下君のドラムをはじめて観たのはそのときかな。

ーーYasei CollectiveとOvallの2バンドは、広大なシーンのなかでも、とくに姿勢が近い稀有な存在だと思うんです。2つのバンドが共鳴し合う部分というのはどこだと思いますか?
松下 : 僕たちの話でいうと、音楽的に影響を受けているものはそれぞれ違うんだけど、かっこいいものに対する美学はすごく近いかな。
mabanua : ポップなものを好んで聴いていると、ジャズとかブラック・ミュージックを聴かない人が多いんですよ。逆に、ジャズとかブラック・ミュージックの深いところをつきつめてしまうと、メインストリームに対して嫌悪感を持ってしまうというか。そのなかで、それまであまりメインストリームに出ることのなかった僕をCharaさんが起用してくれたっていうのはすごくうれしいし、考えに垣根がないですよね。
松下 : そのあたりがmabanua君はアメリカみたいだったんですよ。向こうはジャンルとか結構関係なく、自分らしいサウンドのままにメジャーで活躍することができる。mabanua君も、メジャー・シーンに行ってもmabanua君の独特の感覚や楽曲の雰囲気を残したまま活動していて、それはすごいかっこいいし、そうあるべきなんですよ。
ーーなるほど。オーバーグラウンドな活動とアンダーグラウンドな活動を両立するということですね。バンドとしての活動、個人としての活動をおふたりともされているわけですが、今後どちらをメインに活動していくのでしょう?
松下 : 僕は両方ありますね。バンドでの活動からピックアップされたのがもともとなので。個人のドラマーとして仕事をするときは、Yasei Collectiveの音源を聴いてもらって「ドラムを叩くにあたってこのバンドの感じではどうですか?」って訊くようにしてます。そうすると、たまにミチ君(中西道彦/Ba、Synth)も一緒に声が掛かったり。僕ひとりよりも、ミチくんとセットのほうがパワー・アップするんですよ。お互いの考えがわかって、パッと作れて楽なんです。
mabanua : 僕も両方ですね。両方間口があって、掴めるチャンスの幅が広がるのかなって思います。
松下 : mabanua君とOvallってどっちが先に世に出たの?
mabanua : Ovallが出るまえに、Charaさんとのお仕事がはじまっていたりはするなあ。でもmabanua名義でのファースト・アルバムは、Ovallのファースト・アルバムに比べたら全然セールスは少ないよ。逆に、Ovallが最初にドカンといったから、mabanuaとして世に知られてないっていうのが悔しかったんだよね。「Ovall越えをしてやる!」っていう、いい意味での競争心が芽生えて。
松下 : 俺も、自分の参加している他のバンドの方が人気出てきた時期があって。チクショーと思ってすごい頑張ったんです(笑)。

欲しいものがあると、それを手に入れないとだめなタイプなんです(松下)
ーーバンドとしても個人としてもおふたりにはすごく共通点を感じるのですが、ドラマーとしては、お互いのどういったところを尊敬していますか?
mabanua : リズムの分析力ですね。俺は本当に数学がだめで、感覚だけでやってきたので、譜面におこしたり、計算して分析するっていうことが苦手なんですよ。そういう部分をつきつめたくてもできないことがコンプレックスだったりして。
松下 : でも、俺は自分のことを感覚系だと思ってるよ。譜面にするのは、わからない人に対しての説明みたいな感じで覚えていったもので。逆に、俺は最初mabanua君がめっちゃ計算してやっていると思ってて。「なるほどねー、そういう解釈するんだ。」って(笑)。
mabanua : 松下君は、計算的なところと、感覚的なところを両立させてるっていうのがすごいよね。
松下 : それはつねに課題だね。システマティックな練習をするうえでも、できるだけメトロノームを使わないようにしたり、逆に感覚っぽく叩くときにメトロノームを使ったり。最近では両方やるようにしてるかな。「やっぱ16ビートだ!」って思って、1時間ずっと16ビートを叩き続けたりとか(笑)。
ーーmabanuaさんは、松下さんのように長時間スタジオに入るというような練習方法はしますか?
mabanua : ドラムに関しては、10代の頃にすこしやったくらいかな。この間、ドラム・ボーカルをやる機会があって、その練習を1日7、8時間、週に2、3回っていうのはやりましたけど、それが久しぶりの長時間練習だったかな。
ーー練習法に関する部分は、すごく対照的ですね。
松下 : 欲しいものがあると、それを手に入れないとだめなタイプなんです。気になるフレーズがあると4,5時間スタジオに入って練習したりとか。
mabanua : 僕は購買欲は強いんですけど、最近は機材を売ったり人にあげたりしてて。身の回りはできるだけミニマムにしたいんです。いいプレイをしたい、いい音を出したいと思って「あのスネア欲しい、こっちも欲しい」っていうふうに欲が出ちゃうと、技術面での成長がなくなっちゃうんですよ。曲を作るにしても、「いいプリアンプを使いたい」っていうのはお客さんからしたらあまりわからない。だったら、いろんな曲を聴いたり、作ったり、練習をしたほうが身のたメイカーなって。ツールに頼りすぎないという意味で、最近は機材を減らすようにしてますね。
松下 : たしかに、俺も楽器はすごく減ってきた。シンバルとかいっぱいあったらいろんな音色が使える気がするけど、実際は2枚あれば十分なんだよね。
mabanua : そう! 2枚でいいんだよね。3枚目を入れると、途端になにかが崩れる。
松下 : 実は1枚でいろんな音色が出せるんだよね。プラスアルファがあると、ライヴ中に「こっちにもいけるし、こっちにもいけるぞ」っていう邪念に繋がっちゃう。それが嫌なんですよ。レコーディングはまたちょっと別なんですけど。

ーーそれぞれ、バンドでの曲作りはどういう風にやっているんですか?
mabanua : OvallはShingo Suzuki(Ba)がだいたい作って、俺がアルバムに足りないぶんの数曲を作る感じ。まず簡単なデモにして、メンバーのみんながいろいろ考える余地を残して作ってます。逆にソロ名義のmabanuaバンドのほうは、俺がかっちりトラックを作ってバンドに細かく指示を出していく感じかな。
松下 : 僕は曲を作らないので、(斉藤)拓郎(Gt、Vo、Synth)が作ってきたものを最後にすこしいじるくらいです。最近はドラムのズレとかも入れたかなり細かいものを作ってくるんですよ。それを一旦ほかのメンバーで再現して、そこから構成を変えていったり。あとは、たまに僕がカッコいいなってビートを思いつくと、それを誰かに渡してメロディを乗せてもらったり。

流れを学ぶことって、リスペクトすることにもつながる(mabanua)
ーーそれぞれが影響を受けたドラマーはどうでしょう?
松下 : 共通するのは、リヴォン・ヘルム(注1)、リンゴ・スター(注2)、クエストラブ(注3)、クリス・デイヴ(注4)とか。70年代のドラマーが多いのかな。
注1 : リヴォン・ヘルム (Levon Helm, 1940年5月26日 - 2012年4月19日) は、米国出身のミュージシャン。ザ・バンドでの活躍で知られる。オリジナル・メンバー5人中、唯一のアメリカ人である。「ローリング・ストーンの選ぶ歴史上最も偉大な100人のシンガー」において第91位。
注2 : ザ・ビートルズのドラマー。左利きだが右利き用のドラム・セットを使っている。 2013年2月には18年ぶりの来日公演をZepp Tokyoでおこなった。
注3 : アメリカ、フィラデルフィア出身の人気ヒップホップ・バンドのザ・ルーツのドラマーにしてバンドの頭脳。
注4 : ロバート・グラスパー・エクスペリメントでの活動や、マックスウェル、ディアンジェロのツアー・メンバーとして活躍するなど、若手最高峰のドラマーとして知られる。
ーーモダン・ドラム高校でも言ってましたね。モダン・ドラムと銘打っておきながら、実はおふたりの好きなドラマーはかなり昔の人たちだったという。
松下 : そこが基本で、大事だと思うんですよね。そこを通っていない若いアーティストが多い。僕らの世代で、リヴォン・ヘルムを超聴いたり、「ラスト・ワルツ(注5)」のテープを擦り切れるくらい観た人って皆無だと思うんですよ。そこが、いまの専門学校とかでも抜けているところだと思うし。
注5 : 1976年11月25日にサンフランシスコ、ウィルターランドで行われた、ザ・バンドの解散コンサートを追った音楽ドキュメンタリー映画。
ーーそこを通っているかいないかでなにが変わってくるんでしょう?
松下 : そこを通ると、やっぱりかっこいい“音”を知るんですよ。音色に対してのアプローチの仕方が変わって、ドラム・チューニングの技術も絶対に高くなる。あとは、要求にこたえられるようになる。「リンゴみたいに」とか言われても、ちゃんと聴いてなかったら絶対にできないんですよ。Yasei Collectiveの場合は、わざとそういうセクションをストンと曲のなかに入れるときがあって。それをライヴでも再現するために、僕以外のメンバーにもめちゃくちゃ聴かしたりとか。
ーー古い音楽に対しての重要性という部分で、mabanuaさんはどうですか?
mabanua : クリス・デイヴとか昔のジャズ・ドラマーって、ドラムがはじまったくらいの時代から学んでいると思うんですよ。それまでの流れを学ぶことって、リスペクトすることにもつながるから。昔のドラマーがAだとして、クリス・デイヴとかをC、中間くらいの時代にBっていうドラム・スタイルがあったとしたら、BのスタイルをやったときにはAを感じられないといけないし、CをやったらそこにはAとBのテイストが入りこんでなきゃいけない。AとBを知らずにCから学んだ人って説得力がなくて、Cを応用したりしても、一気に自分のものじゃなくなっちゃうんです。クリス・デイヴばっかり聴いているような上面のプレイヤーが多いなとは感じますね。
ーーお二人より上の世代の国内のドラマーで、「この人はすごい!」という存在はいますか?
松下 : 東京ローカル・ホンクっていうバンドの、田中邦雄さん。彼は、リヴォン・ヘルムみたいな感じなんです。それを本人に言うと、「バカヤロー、俺はストーンズばっかり聴いてんだよ!」って言うんですけど(笑)。生き字引みたいな人ですね。あとは、村上“PONTA”秀一さん。僕がプロになろうと思ったのはポンタさんがきっかけですね。『IT'S A POPPIN' TIME』っていう山下達郎さんのライヴ・アルバムでのポンタさんのプレイは、いま聴いてもすごいです。
mabanua : 僕は、山木秀夫(注6)さん。山木さんのドラムを聴いて、スタジオ・ミュージシャンになりたいなと思ったんです。結果としてスタジオ・ミュージシャンとは違う方向にきちゃいましたけど、ドラムで飯を食いたいと思ったきっかけですね。参加されていた今井美樹のツアーのビデオを観て、感動して(笑)。高校生のときに井上陽水のライヴをひとりで観に行ったりもしたんですよ。歌ものにも寄り添う幅広さがすごいんです。あとは、僕はアン・ミュージック・スクールっていう音楽学校に2年くらい通っていたんですが、そこの樋口晶之っていうドラム科の先生。年配の人って型から外れたスタイルを嫌いがちなんですけど、その先生はすごく柔軟な考えで教えてくれたんです。
注6 : 熊本県出身のドラマー。桑田佳祐、福山雅治など数多くのアーティストの作品、ライヴに参加している。
どんな現場に行っても通せる自分のスタイル(mabanua)
ーー松下さんは大学卒業後にアメリカに渡っていますが、それはどうして?
松下 : 日本にいたらだめだと思ったんです。そのときは全然うまくなかったけど、習いたい人もいなかった。なら若いうちに行ってみようと思って。
ーーアメリカで学んだいちばん大きいことはなんですか?
松下 : いちばんは、向こうはジャンルの概念が完全に壊れてることかな。すごくちいさいクラブで活動してる人がいきなりメジャーなアーティストに起用されたりとか、めちゃくちゃ有名なアーティストと誰も知らないような人がリスペクトし合ってたりとか。メジャー、インディっていう差が本当に少なくて、向こうのインディ・シーンっていう言葉は、日本でいうインディ・ロックのようなイメージではなく、変わったことをやってる奴ら、っていう認識。向こうにいって、ドラマーとして、ドラムにバカになろう、他の楽器は一旦全部捨てて、ドラムだけに集中しようって決意できたんです。ただ叩けて、うまいっていうことではなく、そのレベルを超えてからのなにかを掴みたかった。向こうのうまい人って、みんながそれぞれ“自分の音”を持ってるんです。
ーーおふたりは、“自分の音”は定まりましたか?
松下 : 去年の冬くらいから、がっつり決まってきたかな。すごく悩んで、スタイルを固定していって。バンドも安定してきたしね。
mabanua : 僕はここ2年くらいの間にメジャーの現場とか、Ovallでの活動をいききするなかで定まってきた。昔は極端にプレイ・スタイルに違いが出てしまっていたんだけど、ちょうどよく中間のところに統一されてきたというか。どんな現場に行っても通せる自分のスタイルが統一できたかな。
松下 : 「mabanuaといったらこれ!」っていうのあるもんね。俺もYasei Collectiveの曲で、「この曲俺じゃなくてmabanuaくんのほうがいいんじゃないかな」って思うことあるもん。今年の春にOvallのリズム隊とYasei Collectiveのリズム隊でツイン・ドラム、ツイン・ベースっていうのをやったんですけど、あれすごい楽しかったし。ツイン・ドラムってやっぱりどこかぶつかったりしてやりにくさを感じるんだけど、mabanua君だとまったく感じなかった。
ーーおふたりは、いまおもしろいドラムのシーンいうのはどういうものだと考えますか?
松下 : リトル・ドラゴン(注7)っていうバンドのドラマーのエリック・ボダンがすごくおもしろい。まだ日本で人気は出てないんですけど。
注7 : スウェーデンのヨーテボリを拠点としたバンド。ヴォーカルは日系のスウェーデン人。
リトル・ドラゴンリトル・ドラゴン
mabanua : 俺も大好きです。メンバー全員が共通のコンセプトを持ってやっている感じだよね。
松下 : 超オタクな感じだよね。あとは、マーク・ジュリアーナ、ネイト・ウッドやルイス・コールっていうドラマーがすごく好きで。これは彼らの第一目標でもあるんですけど、ドラムで打ち込みを再現するっていうことがしたいんです。一見エイト・ビートっぽく聞こえても、波形をずらしたようなものとか。それをライヴでやりたいんだよね。シンプルな音なのに「なんかよくわかんないけどすげえ気持ちいい!」っていうようなものを。抽象的なんだけど、すごい技術がいることなので。
ーーmabanuaさんはどうですか?
mabanua : 真っ先に出てくるようなおもしろいシーンは、俺はいま日本にはなくて。クオリティが高くておもしろいシーンはあるんだけど、突出しているものはないかな。日本でもドラマーが先陣切って曲を作ったり発言したり、音楽を指揮する立場に立ってほしいな。
松下 : うちらがそれを作っていくのが一番簡単なのかもね。新しいシーンを作って、メジャーの人達を引き込んでいくような。

ーーそれぞれのニュー・アルバムの手ごたえはどうですか?
松下 : すごく良い感じです。2日間で全部仕上げたんですけど、それが逆にいい感じになってて。「ここからがYasei Collective!」っていう感じですね。全曲ジャンルを変えて、普通の人が聴いたらどんなバンドかわからないように作ったんですよ。ヒップ・ホップみたいな曲、J-POPみたいな曲、ロックみたいな曲、と僕らの解釈での、それぞれのシーンのものを6曲詰め込んだんです。トータルでエンジニアと組んで、健康的な作品として仕上げられたし、細部まで僕の手が行き届く作品になった。
mabanua : Ovallの新しいものは、歌ものとインストが半々くらいなんですね。まえはヒップ・ホップ・ビートが中心だったんですけど、そればっかりだとライヴをやってもつまらなくなってくるんですよ。「もうすこしリズムにヴァリエーションが欲しいね」っていう話をメンバーとして、リズムとかテンポに幅をきかせた。あとは前作よりギターを全面に出しているかな。ギターの良い部分をもっと活かせれば、前よりもっと違った方向性に行けるんじゃないかって。Ovallの曲のイメージを、いい意味で変えられたらいいですね。
PROFILE
松下マサナオ

長野県飯田市出身。
17歳でドラムを始め、大学卒業後に渡米し、Ralph Humphrey、Joe Porcaroに師事。現地の優れたミュージシャン達と演奏を重ねながら、2年間武者修行をする。帰国後は様々なバンドで活動する傍ら、2009年に自身のバンドYasei Collectiveを結成し、2012年にはFUJI ROCK FESTIVALに出演するなど、精力的に活動。現在までにマインズ・レコードから5枚のアルバムを発表している。今夏、8/21にはニュー・アルバム『Conditioner』のリリースが決定。翌22日には青山Cayにて、US最強のジャムバンドKneebodyとのWリリースライブの開催も決定している。常にアメリカやヨーロッパの最先端のサウンドに目を向け、それらを咀嚼し取り込み続けていくそのドラム・スタイルは、今絶大なる支持と多くの注目を集めている。Zildjian Cymbal、Bonny Drumエンドーサー。
[参加バンド] Yasei Collective、Gentle Forest Jazz Band、Za FeeDo
Yasei Collective
2009年に米国より帰国した松下マサナオを中心に、エレクトロ、ジャズ、ロック、ヒップホップなどが融合されたNY音楽シーンのサウンドを国内で体現するべく結成。自主制作盤『POP MUSIC』をリリースし、都内を中心に全国各地でのライヴを精力的におこなう。
2011年7月には 1stアルバム『Kodama』をマインズ・レコードよりリリースし、渋谷CLUB QUATTROにてレコ発ライヴを開催。 一筋縄では行かない楽曲や、秀逸な演奏が、Ralph Humphrey、Jason Lindner、大谷能生、浜野謙太ら、国内外のアーティストから賞賛される。
2012年には、バンド初となるLive盤『Really Real Live』四部作を立て続けにリリース。 同年7月には、FUJI ROCK FESTIVAL’12「ROOKIE A GO-GO」に出演。突き抜けたポップネスと常に進化するストイックなライヴで絶大な支持を集めている。自主企画のイベントにおいては、現在まで、柳下 “DAYO” 武史(SPECIAL OTHERS)、山本ムーグ(Buffalo Daughter)、 在日ファンク・ホーンズ、仰木亮彦(在日ファンク)、Ovall、類家心平、田中”Tak”拓也、大渕愛子(Modern Irish Project)、井上文貴(東京ローカル・ホンク)、Sardine Head他(アーティスト名順不同)、多くのミュージシャンを招いた演奏が、いずれも好評を博している。
>> Yasei Collective Official website
>> MINE'S RECORDS Official website
mabanua

ドラマー/ビートメイカー/シンガーという他に類を見ないスタイルが話題の日本人クリエイター。全ての楽器を自ら演奏し、それらの音をドラマーならではのフィジカルなビート・センスでサンプリングし再構築、Hip-Hopのフィルターを通しながらもジャンルに捉われない音創りが世界中から絶賛される。その唯一無二のスタイルにジュラシック5のAKIL THE MC、アレステッド・デベロップメントのEshe、Kev Brownらも共感、MySpaceを通じ彼らと交友を深めコラボした1stアルバム『done already』はヨーロッパ全域の iTunes HIP-HOPのトップ・ページでピック・アップされ、英BBCラジオでOAされるなど各国で話題に。
2009 年、レーベル・メイトのShingo Suzuki(Bass)、45 a.k.a. SWING-O(Key)、渥美幸裕(Guitar)と共に月刊でアルバムをリリースするプロジェクト<laidbook>をスタート、1つのテーマに沿ってセッションを繰り広げアートと音楽を融合させたソング・ブックを毎月リリースし続けるという前代未聞の試みが各所で話題となる。
ソロとしても活躍の場を広げ、Chara、TWIGY、七尾旅人、福原美穂、BENI、COMA-CHI、清水翔太、川本真琴、AISHA、Eshe (Arrested Development)、Chet Fakerなどのプロデューサー、リミキサー、ツアー・ドラマーとしても活躍。2011年にはビートメイカーBudamunkと共に<Green Butter>、タブラ奏者U-zhaanと共に<U-zhaan×mabanua>プロジェクトを始動するなど積極的なコラボワークを展開。また山嵜廣和(toe)×U-zhaan×mabanuaとして、中村勇吾ディレクションのもとUNIQLOに楽曲提供。さらに、Tower Recordsの“No Music, No Life?”キャンペーンにレーベルとして登場。2012年、mabanua名義でITADAKI、U-zhaan×mabanua名義でFUJI ROCK、KAIKOO、さらに矢野顕子、小山田圭吾、MIYAVIと共に100%ユザーンに出演。2013年OvallとしてSUMMER SONIC出演決定。ライヴのみならず、各種メディアへの楽曲提供も多数手掛け、Google、イオン、キューピー他数々のTVCMやフジテレビ系アニメ「坂道のアポロン」の音楽を制作。待望の2ndアルバム『only the facts』は発売直後から品切れが続出し、国内外から絶賛され大きな話題なっている。
現在最も注目されている日本人ドラマー/クリエイター。
Ovall
Shingo Suzuki(Ba、Key、Track)、mabanua(Ds、Vo、Beat)、関口シンゴ
トラックメイカー/ベーシストShingo Suzukiによるバンド・プロジェクト。同じくトラックメイカーとしても話題のドラマーmabanua、“vusik”としても活動するギタリスト 関口シンゴという3人のプレイヤーを中心に活動。
バンド名義でのアルバム・リリース前にも関わらず朝霧JAM 2009に出演、緊張感とピースフルな空気が共存するパフォーマンスで場の空気を一遍させオーディエンスから「今年のベストアクト!」という声が多数挙がった。また2010年にはFUJI ROCK、GREEN ROOM、SUN SET LIVE、RINSING SUNなどに出演し、3月にリリースした1stアルバム『DON’T CARE WHO KNOWS THAT』はiTunes HIP-HOPチャートで1位、タワーレコードbounce年間チャートで総合(洋邦含む)8位を記録し話題に。さらに2011年にリリースした1stミニ・アルバム『Heart Fever』をリリース、その人気は不動のものに。
2012年、origami主宰のWebメディアOshite(オシテ)にて2ndミニ・アルバム『In TRANSIT』を3,000人限定で無料でリリース。リスナーのみならずミュージシャンやクリエイター陣の間でも反響を呼び、grooveman Spot、Budamunk、Kan Sano他豪華リミキサー陣によるリミックス・アルバム『Re: Ovall』が急遽リリースされた。また、ヒップホップ・ユニットGAGLEとの<GAGLE×Ovall>としても活動開始、アルバム『GAGLE×Ovall』のリリースに加え、全国各地でのライヴで定評を得ている。
サンプリングと生演奏のシームレスな融合で織り成す野太いグルーヴにカラフルなサウンド・スパイスがブレンドされ浮かび上がるユニークな音像は聴く者を別次元へと誘う。進化するアブソリュート・ミクスチャー・ミュージックから耳が離せない。
>> Ovall Official website
>> origami PRODUCTIONS Official website