ウミネコサウンズ × スーパーノアの世代を超えたコラボレーション!!
我らのヒーロー古里おさむのウミネコサウンズ と、2010年京都で最も勢いのあるバンド、スーパーノアが、軌跡のコラボレーションを果たし、ウミネコスーパーサウンズな音を生み出した! なんと、ウミネコサウンズの名曲「手紙」を、スーパーノアがリ・アレンジし、そこに古里が新たなボーカルを乗せる。なんかインディー・ファンクラブにとっては、たまらない企画。さらには、下北沢440のウミネコサウンズの企画にお邪魔し、古里おさむとスーパーノアのボーカル&ギター井戸健人の両者に突撃し「対談してください!」とお願いまで。リハーサル前の大忙しの時に引き受けてくれた彼らの対談は、年齢差を軽く飛び越えた素敵な素敵なものとなりました。
進行役 : JJ(Limited Express(has gone?)
人は誰しも弱いから
——今回のコラボレーションのきっかけを教えてください。
スーパーノア 井戸健人(Vo/Gu)(以下 I) : 磔磔でご一緒した時に、古里さんから誘ってもらったんです。
ウミネコサウンズ 古里おさむ(以下 F) : 「せっかくだから、何かやりましょう」って話をして。
I : メールで「手紙」をやらせてくださいって伝えて、後日、凄いラフなトラックだったんですけど、渡してみたんですよ。
——古里さんの、スーパーノアへの第一印象を教えて下さい。
F : myspaceで聞いて、歌とギターがかっこいいなって。それで磔磔で一緒にやらしてくださいってオファーしたんです。ギターを三拍子で掻きむしる感じがいいんですよね。僕は、三拍子がスッと入って来るのが好きなんで。
——三拍子???
F : どっちとも付かない感じあるじゃないですか(笑)。疾走感あるんだけど、おおらかでもあるっていうか。そう言う感じが、好きなんです。
——スーパーノアのライブを初めて見て、どう思いましたか?
F : 良かったです… うーん、言葉が見つからないんですけど、あまのじゃくな所が垣間見えるっていうか、スタンダードでありつつも一筋縄じゃいかない感じがあるんです。ぱっと聞くと、エモとかが好きなのかなって思うんだけど、でもそうじゃないのかなって思ったり… エモとか聞いてんのって聞いても「いや、全然」って(笑)。なんか、そういうかっこよさがあるんです。
——それは京都っぽさなのかなぁ?
F : あぁ、そうかも。僕、ボロフェスタって、すごい好きなんですよ。動画で、ボロフェスタの様子を見てたりしてたんです。で、京都のシーンっていいなぁって思ってて、スーパーノアも知ったんです。
——ひねくれた感じっていうのが京都っぽいんですかね?
F : あぁ、そうなのかもしれないですね。たぶん育った環境とか、生まれつき持ったリズム感とかそういうのを引っ括めて、ひねくれているというか京都らしさというか、そんな気がするんです。
——やってる方としては、どう?(笑)
I : そうですね。でも俺は京都出身ではなく神戸出身なんで、京都の音楽にそこまで影響されたかっていうと、そこまでではないんです。そして、割と王道なスタンダードに近い音楽をやってるつもりなんですよね(笑)。でも、ひねくれてるとか京都っぽいと言われるのは、実は全然嫌じゃないんです。
——井戸君は、いつ頃ウミネコサウンズを知りましたか?
I : 曲をちゃんと聞いたのは、CDを頂いた時なんですけど、名前自体はノイズ・マッカートニーの時から知っていました。
——初めて聞いた印象は?
I : 上から目線な言い方ですいません(笑)。でもほんとうに、もっとガツッと行ってほしいなって思ったんです。
——過小評価されてるってことですか?
I : そうです。例えばすごい大きいテレビ会社の宣伝に出たりとか、もっと宣伝してもらって、もっと駆け上がって、そして売れてほしいと思いましたね。
F : ありがとうございます。
I : 本当に「凄くいい! 」って思いました。なんか素直に聞けたんです。この人は、歌をしっかり聴かしたいんだなっていうのが分かって。俺だと、歌も聴かせたいんですけど、変な音とかを入れて、ちょっと面白くして笑わしてやろうとか、すぐやっちゃうんです。そういうのが、全くないのが凄いなって。だから、凄い響くっつうか、こういうのが増えたらいいのになって、偉そうにも思ったんです。
——なんか凄い分かります。古里さんは、自分で作ってるから分からないかもしれないけれど…
F : My Spaceとかでなんでもすぐ聞けるし、音楽を聞く環境がどんどん良くなってきてる。だからこそ、僕の曲はスタンダード過ぎて目立たないのかもしれないけど、やっぱり歌1本で勝負したいなっていう思いはあるんです。
——だからかな。やっぱり歌が抜けてくるよね?
I : そうですね。
F : あえてそこで勝負しようかなって。
I : 古里さんの歌は、一つの音に一つの歌をちゃんと乗せてるのもあるんですけど、そうじゃないのも多くて、2つの音符の音に1つの単語とかもあったりする。そういうの面白いなって思いつつも、やっぱり聞き易いんですよね。「すごいいい歌です」ってしか表現出来ないですね(笑)。奥田民生さんとかを聞いている感覚に凄い近いんです。車運転しながら、一緒に歌いながら聞きたいです。
——古里さんは、井戸君をシンガー・ソング・ライターとしてどう捉えていますか?
F : 「泣き」だなって思いましたね。僕もそうなんですけど、歌に込めてる「泣き」の部分を感じたんです。
I : 自分ではまだ泣けてないなって、自分の楽曲を聞いて思うんですよね。自分の声があんまり好きじゃなくて、もっとソウルフルに歌いたいって思ってて。その点、古里さんはソウル・フルだなって… 羨ましい。
F : だから、スーパーノアは「泣き」なんですよね。俺が好きなミュージシャンって皆そう。前に見たルー・バーロウ(セバドー)もそうなんですけど、結局自分に自信が無いから「泣き」なんですよね。そこにグッと来るんです。だって、人は誰しも弱いから。「泣き」って一番純粋だと思うんですけど、生まれて「オギャー」って言ってる感じと、掻きむしってる感じが、スーパーノアには共存しているんです。音楽に対して純粋なのかな… 上手く言えないですけど。
——ウミネコサウンズは「泣き」を意識してますか?
F : 僕は意識してないですけど、ソロの時にそれこそ掻きむしりながら色々やってみて、自分の向かうべき方向っていうのを思考錯誤して。で、最終的に駄目だって諦めて出来たのがウミネコサウンズなんですよ。それって、もしかしたら開き直りに聞こえてるのかもしれないですね(笑)。
自分のエゴですよね
——今回、スーパーノアがカヴァーした「手紙」に込めた思いってありますか?
F : 上京してきて、こっちで一人っきりでやってる純粋な思いです。なかなか歌えずにいたんだけど、親父が亡くなったりして、初めて思ったんですよね。もう胸張って歌おうって。
——井戸君は、「手紙」のトラックをアレンジしてみてどうでしたか?
I : 最初はスーパーノアらしいノリのいい曲にしようと思ってたんですけど、やっぱりウミネコサウンズの特徴でもある、和音と詩とメロディーをしっかり聞かせたくなった。だから、もともと入っているトラックよりも、もっと和音とメロディーを前に出してみようって作っている途中に閃いたんです。
——ライブでやってみようかなって思ったりしないんですか?
I : 古里さんが歌ってくれるなら、やってみようかなって(笑)。
——井戸君が、歌おうとは思わない?
I : 仮歌で歌ってみて聞いた時に、「これは俺は歌わない方がいいな」って思ったんですよね。
F : そうかな? 逆に凄い良かったけど。
I : なんか恥ずかしかった(笑)。生々しさの違いですかね。俺はこの曲は歌っちゃあかんなって…。
——古里さんは、時代とどのように向き合いながら、音楽を作っていこうと考えていますか?
F : ウミネコサウンズをやっているのは、自分のエゴですね。自分がしっかり生きていくための、しっかりとした土台というか… ブレない物をちゃんと吐き出したいと思ってやっているんです。だから、時代を考えてはやっていないですね。
——井戸君はどう?
I : ソング・ライティングは、自分が聞いてみたい曲をただ作っていますけど、アレンジは、流行ってるからそういうのはやらん! とかありますよ。アンチというか、そう言う気持ちもあるかな。別に流行ってるのが悪いとかじゃないんですけど。どうせなら、これとこれを組み合わせたらかっこいいじゃんみたいな、そういう目線で作っていますね。
——お互いの歳の差は、「手紙」をリアレンジしてみて感じましたか?
F : 僕は全然感じなかったですね。同じ感じで、楽曲を見ることが出来ましたね。
I : 俺は逆に練習せないかんわって思いましたね(笑)。深さっていうか、その違いを感じました。
——なるほど。結構、両極端な二人だなって思ってるんです。井戸君と古里さんって根本は似てるけど、バンドで音を出した時にその差が出ると言うか…。
I : そのまま出しているのと、出していないその差を感じますね。
——それは古里さんのように、井戸君もそのままを出したいってこと?
I : そのまま出せている人が凄いなって思っています。出したいか出したくないかっていうと、今の気持ちとしては出したくないですね。それよりも面白みを出したいんですよね。
F : 僕もそうだったし、これからもそう言う時がまた来ると思ってます。
I : 俺も出したいって思うかも知れないしね。
F : ソウル・フルに歌いたいって言ってたもんね。
I : そうですね。
F : 聞いてみたい。井戸君がソウル・フルに歌っているのを。
——古里さんは、スーパーノアのような音楽をやってみたいとか、こんなバンドのアレンジをしてみたいとか思いますか?
F : バンドのアレンジって無限だからすごい興味があって。だから今回のコラボとかもノリノリだったんです。全部、変えちゃってくださいって気持ちでお願いしてるんです。そして、その中で自分がどれだけやれるかっていうのを試したいって思ってて。
I : それで一枚作れたら、めちゃ面白いすよね。
F : そうそう。バックは全員違う! そんなアルバムが出来たら素敵(笑)。
——お二人は、今後どうなりたいと思っていますか?
F : それは時代が決めることなのかなって思ったりしています。ブレないモノを1つでも残したいっていうのが目標なんです。それが出来た後は、楽しんでいこうかなって思ってて。ちゃんとブレないで一枚作りたいですね。
I : ウミネコサウンズには、あんまり変わらないでほしいです。家でテレビを見てたら、普通にチチンプイプイに出てきちゃうぐらいにメジャーなのに、何も変わっていないみたいな。スーパーノアは、お金も人気もあれば良いけど、ただただ売れたいっていう気持ちは、そこまで強くは思っていなくて、面白いことをやりたいなって気持ちが強いんですね。もちろん、バイトせんで、好きなことやれたら最高やなって思いますけどね。
——30歳を超えると、音楽をすることが、自然になってきますよね。
F : 逃げ道がどんどん無くなって行く。こういうことをやりたいっていうのを出来なくもなってくるからね。あぁ、僕にはこれしかないっすみたいな。だからスーパーノアには今行ける時ガツンと行って欲しいっす。
ウミネコサウンンズ profile
くるりが主催するNOISE McCARTNEY RECORDSより04年3月にソロアルバムをリリースしている古里おさむが新たに始動したソロ・ユニット。公式リリース前にも関わらずロック・フェス「ロックの学園」に出演(校長に忌野清志郎、共演に 斉藤和義など)。心ゆさぶるメロディーと歌声、サイケやUSインディーを通過したロック・サウンドは高く評価されている。2009年5月13日に、CINRA RECORDSよりデビュー・ミニ・アルバム『夕焼け』をリリース。「FUJI ROCK FESTIVAL'09」にも出演を果たす。2010年1月20日、2ndミニアルバム『宇宙旅行』をリリース。
スーパーノア profile
2009年夏に変拍子や転調など駆使した複雑な展開を軽々と織り交ぜ、時に刹那さを感じさせるメロディーで突き抜けたポップへと昇華したアルバム『雨の惑星、ステレオの向こう』をリリースしたスーパーノア。関西若手勢の一角としてますます存在感を増し、今目が離せないアーティスト。