アイナ・ジ・エンドが内に秘めたダークとポップの二面性──2枚のEP『BORN SICK』&『DEAD HAPPY』を徹底解剖!
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BiSHの活動と並行して、ソロとしても目覚ましい活躍を見せるアイナ・ジ・エンド。今年2021年1月の初のソロ・アルバムをリリースして以降、急速にシンガーとして、さらにはソングライターとしての力をメキメキと発揮している彼女が、新たに『BORN SICK』と『DEAD HAPPY』という2枚のEPをリリース。今回のインタヴューでは、この2作について1曲1曲じっくりアイナ・ジ・エンド自身の言葉で語ってもらいました。アイナ・ジ・エンドが内に秘めた、ダークとポップの二面性を存分に感じてください!
「BORN SICK」&「DEAD HAPPY」ハイレゾ配信中!
INTERVIEW : アイナ・ジ・エンド
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10月22日の東京中野サンプラザホールにアイナ・ジ・エンドのソロを見にいき、その歌、ダンス、存在感... つまりライヴショウとして素晴らしすぎて、立てなくなるくらい感激した。音楽性がBiSHと大きく違うので、そこを期待するのは間違っているが、それでもこれがアイナ・ジ・エンドの表現したいサウンドかと思うと、その対比を楽しむことができるくらい、すでに完成されているステージだった。宇多田ヒカル、安室奈美恵、MISIA... 日本を代表する歌い手として彼女が名前を刻む日は、もう本当に間近だと思う。そしてそれでも人懐っこく、一生懸命インタビューに答えてくれるのも、彼女の大きな魅力だと思う。
インタヴュー : 飯田仁一郎
文 : 西田健
写真 : 大橋祐希
いかにおもろい歌詞を付けられるかみたいな、そのやり取りが楽しくて
──『BORN SICK』と『DEAD HAPPY』のふたつに分けた理由を教えてください。
アイナ : ファースト・アルバムを出したあとに、スタッフさんから、アイナって暗がりにいる曲が多いから、一回ポップな方向の曲も聴いてみたいって意見をもらって。それでそういう方向もチャレンジしてみたいなって思ったんです。でも、自分の得意な暗がりにいるような曲も絶やさずに創りたいって思ったので、EP二枚でダークとポップの両極端のものを創ろうって思ったのがきっかけです。
──どういうところが大きく違うの?
アイナ : でも、実はどっちも一緒。たとえば『BORN SICK』も生まれるから病気になるし、『DEAD HAPPY』も辛いことがあるから幸せを感じられるみたいな。辛いことも幸せなことも共存しているから人間って楽しいだろうなと思っていて。だから違いを付けるっていうより、この二枚を出したことによって、辛いも楽しいも一緒じゃない? みたいなことを自分自身で気づいていったんです。
──最初にコンセプトを作ったけど、結果的には同じになっていったと?
アイナ : そうなんです。でも、サウンド的には全然違うかも。
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──例えばShin Sakiuraさんには、こういうコンセプトのEPを2枚創るから、イメージを分けて欲しいと伝えたの?
アイナ : 全然。『BORN SICK』に入っているShin 君が編曲してくれた“家庭教師”は、EP『内緒』のときにはできていたんです。でも『内緒』には向いてないから、お蔵入りになってしまって。でも、いま超ぴったりなタイミングで出せたので結果としてはよかったですね。
──どういう気分のときに創ったんですか?
アイナ : これは完全におふざけですね。家庭教師を付けたことがないから妄想です。「太刀魚に鱗あるの知ってた?」みたいに、いかにおもろい歌詞を付けられるかみたいな遊びをShin君としてたら、そのやり取りが楽しくて。この曲に関しては、おふざけが板についちゃって、それを深くしていったらこうなっちゃいました。
──変な歌詞が多いですよね。
アイナ : でも私は気にいっていますね。いままでの曲も、言葉に責任を持って歌わなきゃって思いすぎていたので、歌うのにも勇気がいったんですよ。でも“家庭教師”は、聴いている人も息抜きができるというか。こういう曲があるからこそ、自分の深い曲が響いてくるのかなって。
──なるほど。この曲のこだわりの部分を教えてください。
アイナ : “家庭教師”は、メロディにこだわっています。Bメロで上がったキーが、サビで下がるんですよ。 “家庭教師”では、AメロBメロなどのセクションごとで全然違う顔をしたメロを創りたかった。それで悩んで2カ月くらいかかりました。
──アイナはメロから創る人?
アイナ : この曲に関してはトラックありきだったんですけど、基本はメロからですね。だから、トラックからメロを考えるっていう作業が慣れなくて時間がかかっちゃったのかも。
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