リリース前から話題沸騰となっていたユアソンの約3年半ぶりとなるフル・アルバム『OUT』が遂にリリース! 古今東西のあらゆる音楽を昇華させたサウンドと圧倒的なライヴ・パフォーマンスで確たる地位を築き今年で結成15周年となる。そんな彼らの5thアルバムは、全曲インストにこだわった挑戦ともいえる1枚。“なにより踊れて、こみ上げるかっこよさと、どこか泣けるワビサビを両立させたダンス・トラックでありキラー・チューン”な全8曲! ツアー・ファイナルとして恒例のリキッドルーム2DAYSも決まっている彼ら、今年の冬はユアソンで踊りまくれ!!

>>『OUT』特設ページはこちら

YOUR SONG IS GOOD / OUT

【配信形態】 mp3、WAV
【配信価格】 単曲 250円 / まとめ価格 2000円

【収録曲】
1. Re-serch
2. Changa Changa
3. Dripping
4. Ultra Roll Up
5. Pineapple Power
6. Unidentified Hot Springs
7. The Cosmos
8. Out



【OFFICIAL ALBUM TRAILER】

INTERVIEW : サイトウ “JxJx” ジュン(YOUR SONG IS GOOD)

このアルバムは、YOUR SONG IS GOODの新しい挑戦。バンド=挑戦! Life=Challenge! OTOTOY編集長JJ“ジェイジェイ”が、挑戦し続けるJxJx“ジュンジュン”を深く深く掘り下げますw

インタヴュー : JJ(OTOTOY編集長 / Limited Express (has gone?))
文 : 岩瀬知菜美

“面”で盛り上げていく感覚っていうんですかね

――YOUR SONG IS GOODは作品ごとに変化し続けているバンドですが、今作の『OUT』はさらに大きな変化を遂げたアルバムだと思います。前作『B.A.N.D.』からの製作過程を訊かせてください。

前作から3年8か月経ちましたが、具体的に今作へのビジョンが見えてきたのはちょうど1年前くらいですね。次のアルバムへのヒントを模索しながらライヴをしていくうちに、すこしずつ見えてきました。

――ヒントというと?

ひとつは、『B.A.N.D.』の曲をライヴで演奏していくうち、即興的にどんどんと曲に変化が生まれていったんです。その変化っていうのは、パーカッションだったり、コーラスだったり、ライヴで盛り上がるような機能的な部分が進化していった。それはつまり、ダンス・ミュージック的な変化であり、“面”で盛り上げていく感覚っていうんですかね。例えばパンク・ハードコアは“点”が爆発したようなかっこよさ。でもそれとは違う、“面”で聴かせるような感覚が養われていって。もうひとつは、個人的になんですが、この時期にすごくダンス・ミュージックにのめり込んで。

――それは、JxJxさんのDJ活動が影響している?

DJでの選曲も、ここ3年ですごく変わっていったんです。それまでの、選曲の妙で聴かせるようなスタイルから、ダンス・ミュージックとして機能的に働くような音楽… ハウスだったり、テクノだったり、ベース・ミュージックだったりにシフトしていったんです。その自分の個人的な音楽的嗜好と、ライヴでのバンドの変化が、なんとなくタイミングとして合ってきて。それが1年前くらいかな。

――なるほど。そのころに影響を受けた、キーワードとなるようなアーティストはいますか?

結果的にたくさんいるんですが、まず最初にヒントをもらったのは、ベース・ミュージックのなかでも、トロピカル・ベースと言われるような、またはグローカル・ビーツっていう言い方をしているような、例えば、デジタル・クンビア、ムーンバートン、クドゥロ、トリバルグアランチェロとか、各地元のノリとサブ・ジャンルがいっぱいあるんですが、そういった類ですね。レーベルで言うと、マッドディセント、マンレコーディングス、ミックスパック、ゲットーベースクエイクとかたくさんあります。その後、テクノ、ハウス、ディスコ、自分がルーツミュージックを聴きまくっている間に聴きそびれていたその辺の音をものすごい勢いで聴いていました。で、トロピカル・ベースなんですが、ルーツ・ミュージックが、ダンス・ミュージックとしてより機能的になっていった音楽だなと思って。YOUR SONG IS GOODは、ルーツ・ミュージックを自分たちなりの解釈でやるというようなバンドではあったんですが、それをダンス・ミュージックとして、機能的に生かしていくっていう発想までは行ってなかったんですよね。なるほど、こんなおもしろい解釈でやれるんだっていうのがヒントになったんです。あとはこういった音楽を「自分でもやってみたいな」って思えるようになって。我々の音楽もこういった方向で活かせるんだって思えたら、俄然自分のなかで距離が縮まったんですよね。

ベース・ミュージック : クラブ・ミュージックのジャンルのひとつ。かつてはヒップホップのジャンルのひとつで、低音部を極端に強調したサウンドと速いBPMが特徴のマイアミ・ベース、アトランタ・ベースを指していたが、近年ではジャングルやダブステップ、またシカゴやデトロイトで90年代に登場したゲットー・ベースも含まれている。

グローカル・ビーツ : グローバル(GLOBAL)とローカル(LOCAL)をかけ合わせた言葉で、80年代から環境問題や政治・経済の分野で使用されてきたターム。各種クラブ / エレクトロニック・ミュージックがグローバルに浸透した90年代以降、世界各地で発展してきたローカル・ミュージックを指す。

――そのJxJxさんのなかに生じた変化を、どうやってバンドに落とし込んでいったんですか?

そろそろ新曲を作ろうかってときに、まずデモを何点か作って持って行ったんです。コード進行、メインのリフ、シンプルなメロディーを乗っけたくらいの、かなりざっくりしたもの。それをなんとなくバンドで合わせるうちに、メンバーのアイデアを拾っていったり… 実験のような感じですね。やりながら思ったのは、そのときの自分はダンス・ミュージックに影響を受けていましたけど、本当にダンス・ミュージックがやりたいならひとりでやったほうが早いんですよ(笑)。

――?

例えば音色でいえば、シンセでやったほうがおもしろいものが出来そうだし、ビートは打ち込みでいいし、全体の音の鳴らし方が違うというか。それを、あえてバンドでやるっていうところがポイントで。音色や帯域で言えば、いろいろ足りないし、余計なものが多い。そこで四苦八苦しながら、鳴らす場所、鳴らしたい場所が変わってくるんですが、その過程で、自分の予想外な方向に転がっていったりするんです。その感じを大事にしたくて、余地を残すためにあえてざっくりしたデモを作って。僕の最初の発想にいろいろな要素が加わって、最終的にはよくわかんないものになったっていうのが良いなと思ったんです。どうせバンドでやるなら、そのほうがおもしろいな、と。

感覚的なもの、天然で生まれるものを大事にすればいいんだと思えた

――そういった実験のような作業をしながら、いちばん最初に見えてきた曲はどれですか?

2曲目の『Changa Changa』ですね。これができるまでに半年くらいかかったんですよ。まず自分の中で、この曲の最初のイメージは「スカであってスカにあらず」って感じで、まず裏打ちをやめて、ギターとエレピによるシンセのアルペジエーター的なリフに差し替えて、そこにあえてスカでありそうなファンファーレ的トロンボーンのメロディーを乗せて… でもドラムは四つ打ちで、テクノ的な響きを帯びるまで頑張って、さらにそこにお祭り的なリズムも加わってとわけがわからなくなるくらいにイジクリまくって。結果「しめしめ」という感じになったんです(笑)。

――この曲は、JxJxさんが目指していた音楽の完成形としてのものだったのでしょうか?

完成、という意味では、最初はどこが完成かがよくわからなかったんです。そこが難しかったんですが、ちょうどその頃、僕が昔YOUR SONG IS GOODと並行してやっていたTHE DOUBLEっていうバンドのテープをたまたま聴いたんです。そのバンドもどこが完成形なのかがわからなくて、ライヴのたびにコロコロとアレンジが変わっていたんですよ。それはそれでやっていてすごく楽しかったんですけど、反面モヤモヤとした感じもあって。で、久しぶりに聞いたTHE DOUBLEがえらいかっこよかったんですよ(笑)。どこが完成かわからないモヤモヤによる余白、こういう音楽ですって100%説明していないおかげなのか、その世界にスーっと入り込めたし、聴いていて自由にイメージが広がるんですよ。これが楽しくって。で、「これって間違ってなかったんだ」って確信できたんですね。当時そういうことができていたんだったら、まだできるはずだと思って。昔の自分にヒントをもらっちゃったんです。そのおかげで、「Changa Changa」の完成も、「よしこれ以上、説明とかいらないな、ここで完成だ!」ってハンコを押すことができたんですよね。結果、テクノなんて最初言っていたくせに、だいぶいろいろな要素が入ってる曲になっちゃったんですが(笑)。

――このアルバムのなかでは「Changa Changa」はいちばんポップともいえる曲ですよね。この曲を皮切りに、他の曲に繋がっていった、と。他の曲の作りかたも、やはりJxJxさんによるアイデアを基にしたものですか?

そうですね。同じような感じで。「つぎはもうちょっとアップテンポなものを」という風にいろいろ探っていきました。で、バリエーションが出てきたあたりで、モーリスからミッドテンポな曲のアイデアってことで「Dripping」が出てきたり、じゃあもっとメロディアスなものをって感じで、「Out」が出来たりしました。

――最近はライヴにもいろいろと新しいものを取り入れていますよね。その変化をアルバムに落とし込んでいくというのは相当難しい作業だったんじゃないかなと。

そうですね、考えかたを変えなければいけなかったので。でも、これはTHE DOUBLEを聴いたときの感覚にも通じるんですが、感覚的なもの、天然で生まれるものを大事にすればいいんだと思えたんです。以前はもっとカッチリしていて、例えばカリプソをやるとしたら、「どういうカリプソを表現するのがYOUR SONG IS GOODらしいんだろう?」というような、ルーツ音楽を演奏するっていう意味でいろいろ考えていたというか、良く分析していましたね、僕は。でも今回は、「カリプソが持っているおもしろそうな雰囲気だけを勝手な解釈でやっちゃおう!」と。そういった感覚のほうを、ノリのほうを大事にしようって。そこが大きく違うところでしたね。

――なるほど。それってある種賭けでもありますよね。

そうですね、賭けでしたね。でも「ここは自分の感覚に賭けてみよう!」と思って。例えば、僕が過去にやっていたバンドって、あらためて考えるとどれもかなり天然でやっていたな、と思ったりしたんですよね。そのときはいろいろ考えていたつもりだったけど、いま考えると結果として自分がおもしろいと思うモノサシでしか測っていなかったな、と。いまでもその頃のバンドが好きだったって話をいろんな人にされるんですが、もしかしたら、その辺りを評価してくれてるのかなって思って。なるほど、それなら、そのモノサシをもう一回、信じてみようと思ったわけです。

――JxJxさんがおもしろいと思うそのモノサシについて、もうすこし詳しく知りたいな。

例えば、これまでは「このコード進行使ったらベタだなあ… やめよう」っていうふうに考えていたんです。でもそれをやめた。無駄にヒネる感じのカッコつけ方っていうのをやめたんですよ。「かっこいいし、とにかく自分的にツボならもうやっちゃおう!」って、なるべく自分の直感に対して素直になるようにしたんですよね。

バンドでやれないことしかやらないでいいやと思って

――JxJxさんに生じたここまでの大きな変化を、メンバーにはどのように伝えていったんですか?

これは結局、僕もわからなかったんです(笑)! というのは、なんせ僕は感覚を信じたいと思ったので、いままでのやり方というか、「こういうジャンルのこういう曲の感じで… 」みたいな細かい話を共有するようなコミュニケーションはあえてしなかったんですよね。参考音源の共有すらほとんどせずに、僕がイメージを投げかけて、メンバーに自由に返答をしてもらおうかなと思って。僕はそれを見逃さない、聞き逃さないようにする。ある意味、感覚と感覚の応酬みたいな感じですね。

――JxJxさんが曲を持っていって、みんなで合わせて録ったものを聴く。こういった作りかたの曲には、作り込めば作り込むほど良くなるパターンとそうでないパターンがありますよね。そこのさじ加減はどうされたんですか?

確かに。そこは皆の意見も聞きつつ、自分の感覚で冷静にジャッジしていきましたね。「もっと適当なほうがおもしろいんじゃないか」とか、「これは構成が固いんじゃないか」とか。または、適当さを意識しすぎて、なにかが圧倒的に足りないと思ったら、具体的なメロディーをガンガン足していったりして。やっていくうちにだんだんとコツをつかんでいったところはありましたね。とにかく感覚頼りではあるんですが。

――レコーディングでは、その場でのセッションのようなものが反映されている部分もあるのでしょうか?

ありましたね。まず基本全部一発撮りです。で、全体のアレンジに関しては、8割くらいまでは決めてからレコーディングを始める。各自のパートは「任せた!」って投げるのがポイントで、残りの2割は最後のダメ押しに賭けるっていう(笑)。最後の最後まで、みんな細かいニュアンスを詰めてくれたんですが、これが結構おもしろくて、かなり曲が化けるんですよね。これはバンド・マジックでした。

――なるほど。8曲すべて作り終えてから、レコーディングに入ったのでしょうか?

作りながらの部分もありましたね。でも、これまでのレコーディングに比べればだいぶ楽に出来たなって。いい意味で適当でいいというか、ハプニングも楽しもうという感じだったので、気負いがなかったんですよね。「多分かっこいいものができるんじゃないかなあ」という、なんの根拠もないですが、妙な手応えがあった。すでにライヴで曲をやっていたのも大きいかもしれないですが。

――先ほど、楽曲がライヴを通して変化していくとおっしゃっていましたが、『OUT』の楽曲も変化していきましたか?

そうですね。「The Cosmos」なんか、最初はもっと素直な四つ打ちの、オルタナティヴなディスコみたいな雰囲気だったんです。でも、それが7拍子になり、アフロ的なノリも入り…。そういった変化が生まれたのは、ライヴでの手応えを基準にいじっていったからですね。

――実際にレコーディングでスタジオに入っていたのは、どれくらいの期間ですか?

録音の期間自体は3ヶ月くらい… 7、8、9月、この夏を全部費やした感じです。

――エンジニア・チームの方々はずっと同じ?

『B.A.N.D.』の時と一緒で、ライヴPAもやってくれている柳田くんにお願いして。僕らの変化をずっと間近で見ている人なので。前作を踏まえた上で、この3年半一緒にやってくれたっていうのは大きかったので、お願いしました。

――こういったダンス・ミュージックを求めた作品だと、サウンド面でエフェクティヴなものに行きそうだけどそうではなくて、プリミティヴな感覚を受けました。

そこは結構考えましたね。ダンス・ミュージック的なサウンドを突き詰めてしまうと、もう無限の広がりなんですよ。そこで、さっきも言いましたが、やっぱりバンドでやるっていうことのおもしろさを大事にしようと。つまり、バンドでやれないことしかやらないでいいやと思って。というのは、自分がDJとしてダンス・ミュージックに触れたおかげで、「バンドはここまでしかやらないほうがかっこいいな」っていう線引きの感覚が生まれたんですよね。ここから先はトラック・メイカーの領域だなと。そこで、僕は今回シンセサイザーを使わずに、オルガンとエレクトリック・ピアノだけにしたんです。で、新しいことをやるかわりに、グルーヴを強化するような方向性をとろうと考えました。全曲に参加しているパーカッションのサポート・メンバーである松井(泉)くんにはそうして声をかけたんです。で、マスタリングはceroのライヴPAもやっている得能(直也)くんにお願いして。すごくダンス・ミュージックに長けた人なので、最後にそのニュアンスを注入してもらおうと。このさじ加減がベストだと考えました。

まだまだこのまま発展していく余地があると思ってます

――なるほど。今回は全曲インストということですが、非常にインパクトがあるJxJxさんの歌を捨てるというのはどういった考えからなのでしょう。

『B.A.N.D.』は、各メンバーが持っているもの、やりたいことをすべてつぎ込んだアルバムだったんです。これまでのYOUR SONG IS GOODは、作品ごとにそれぞれの大きなテーマはありましたが、基本はそのなかでメンバーそれぞれがやりたいことをやるっていうバンドだったんです。要するに、このバンドに全部やってもらっちゃってたんですね。いろんなジャンルのインスト、歌もの、激しい曲、泣ける曲、愉快な曲。でもそのやりかたに、そろそろ限界があるなと感じて。『B.A.N.D.』のジャケットで、矢印がそれぞれの方向を向いているんですけど、「このまんまこの矢印が伸びていったらバンドとして意味があるのかなぁ…」という考えが出てきて。例えば、やりたいことが出てきたらメンバーそれぞれ別にアウトプットする場を設けてもらって、YOUR SONG IS GOODがやることはもっとシンプルに、楽にしてあげていいんじゃないかなって。バンド的に15年かけてパンパンになってきた部分があって。その辺を開放させてあげたくなったんですよね。

『B.A.N.D.』ジャケット

――そういえば、これだけのメンバーが揃っていて、バンドをかけもちしている人はほとんどいないですよね。

そうそう。でもかけもちしている他のバンドの人達を見ると、勝手なイメージですが、なんだか楽にやっているなと思って。そんなこともあって「やりたいことが他にあったら、別でやってもらって構わない」っていう話をメンバーにしたんですよ。「今回のアルバムはインストにして、ダンス・ミュージック的なことにトライする場としてやらないか」と。なので、今回はそこを徹底的にやろうと考えたんで、歌ものは外しましたね。

――やっぱり歌はいちばん表現が強いですからね。

良くも悪くも強いですよね。だからもしくは逆で、全編歌ものバンドになるか… とも一瞬考えましたけどね。そこでどうしてインストにしたかというと、ダンス・ミュージックを聴いていておもしろいなって思ったのが、聴いている人それぞれが自由に解釈をする余地がめちゃくちゃあるなと。ある意味、そこは歌ものよりも、はるかに感覚的なコミュニケーションだと思ったんです。ここで、さっきの自分の感覚に賭けてみようって話ともつながってくるんですが。自分なりの解釈だったり、ツボだったりっていうのが、すごく活かせそうだなと思ったんですね。それから僕的にダンス・ミュージックがおもしろいなと思ったところは、一対一のコミュニケーションというか、我々の鳴らしている音が、たったひとりに対して鳴っている、というような感覚。皆でうわ~! って騒ぐというより、一人ポツンと佇んでる人が、なんとなく踊っちゃったっていう感覚。それが、場所によっては結果複数の人間が楽しんでいることになったりするんでしょうが、実際は実にパーソナルなやりとりをしているというか。個人的にはそこは凄く意識しましたね。よくライヴでも、みんな同じポーズでノるっていう現象がありますけど、アレはちょっと気持ち悪いなっていうのがあって。基本、個人の好き勝手なノリで楽しんで、それが総じて、みんなでわけわかんない状態になっていたっていうほうがいいな、と。

――前作の『B.A.N.D.』に関して、YOUR SONG IS GOODの集大成だと感じたんです。「ここまでやっちゃったら次はどうするんだ!?」って。バンドとしての性というか、てっぺんの部分まで上り詰めちゃったなって。

そういうのはありましたよ。それまでやってきたことをすべて入れてしまった感じがあったので、「ああ次はどうしようかな」って。極端な話だと、もうやることないな、ヘタすれば、もうやらなくてもいいかなっていう。『OUT』を作れたのは、その後、あまり深刻な方向へいかないで、なんとなくすこし呑気になれたのが良かったのかな。

――作っている段階で、ファンの反応は考えましたか? すべてインストで、サウンドも大きく変化して… もしかしたらこれまでのファンを突き放す可能性があるアルバムだとも思うんです。

実は今年の6月に、『OUT』の新曲を3曲くらい混ぜてライヴする機会があったんですよ。そのときはじめて松井くんにサポートで入ってもらったんですけど。やっぱり最初は、自分たちがこれからやろうとしている音楽の構造と、これまでにやってきた音楽の構造がちゃんとはまるのかっていう心配はありましたね。でもパーカッションが入ることによって、不思議とすべてが有機的に繋がったんです。なので、僕らのなかでは、過去との断絶をして新しいところにいったというより、これって結構地続きだったんだな、ってライヴを通じて思えたんですよね。それってバンドにとって大きい出来事だったと思うんですよね。

――つまり、今後のYOUR SONG IS GOODの方向が『OUT』のものになるわけではない?

そうですね、なんとも一概には言えないですが。ただ『OUT』を踏まえた上での一大グルーヴというか、こういう表現が加わってきたぞっていうのは大きいと思います。

――JxJxさんにとって、『OUT』という作品は次にむけての始まり? それとも、『OUT』は『OUT』として完成されているものなのでしょうか?

今回、結構曲が余ったんですよ。いつもは余らないのに。なので、もうちょっとこのままいくんじゃないかなっていう気はしていますね。まだ試していないビートのパターンもあるし、まだまだこのまま発展していく余地があると思ってます。という意味では始まりかな。

――なるほど。今回それだけ自由にやれたっていうのは、カクバリズムから独立してリリースするという部分は大きいですか?

そうですね… カクバリズムから単独でリリースするっていうのはすごく久しぶりだし、自由な立ち位置になったっていうのはありますね。カクバリズム自体がすごく自由な雰囲気だし。あとは例えば、ceroのメンバーが、僕らが新しくやろうとしていることを「めちゃめちゃいいですね!」って言ってくれるわけです。感覚として共有できる仲間が近距離にいたっていうのはデカかったですね。「ああやっぱり俺がやろうとしていることは間違ってないかもしれないな」と思えた。

――(((さらうんど)))も全く同じことを言っていました(笑)! 「こういう奴らがいるから、がんばろうと思ったんだよ~」って。

ceroに褒められると嬉しいっていう、“カクバリズムあるある”ありますよ(笑)! 自分のなかにはない若い感覚があって、40歳になったばっかりだし、彼らとタメを張ろうなんていう気持ちはないんですが、でも自分が単純にやりたいと思ったことが、若い彼らに褒められると異常に嬉しい(笑)。

――いい仲間、という感じなんですね。ありがとうございました、ライヴにお伺いするのがとても楽しみです。

はい。なんとなくなんですが、いまこのバンドはメンバーそれぞれが無理せずにいい距離感でバンドができているなって思うんですよね。それって、個人とバンドとの距離が離れること=表現が薄まることではないって気づけたんですよね。これの意味がわかったのはデカいですね。なので、いますごくおもしろいです。ライヴ、楽しみにしていてください。

RECOMMEND

片想い / 片想インダハウス

結成だいたい10年目にして、遂に! 待望! 初CDリリース決定!! ceroのサポートでお馴染みのMC sirafu、あだち麗三郎が所属する8人組バンド!! MC sirafuが所属する別バンド、ザ・なつやすみバンドも好セールス中! Ceroはもちろん、カクバリズムファン必聴アイテム!!!

>>特集ページはこちら

CUBISMO GRAFICO FIVE / HALF DOZEN

松 田“CHABE”岳二、村田シゲ(□□□)、TGMX(FRONTIER BACKYARD、SCAFULL KING)、恒岡章(Hi-STANDARD)からなる超オール・スター・バンド、CUBISMO GRAFICO FIVEのミニ・アルバム!! 安易な表現ではありますが、まさにおもちゃ箱のようにバラエティーに富んだ内容で、USインディーも感じさせるショート・チューン・パンクから、彼らのルーツを感じる90年代初頭のマッドネス、スペシャルズなどにインスパイアされるブリディッシュ・アンセムなど非常に面白い内容になっております!!

toconoma / POOL

fox capture plan、Jazz collective、cro-magnon、Ovallらとの共演、他にてクラブ・ジャズ / ジャズ・ロック / ジャム・シーンで徐々に存在感を高めてきたtoconoma、豪華エンジニアを迎え、堂々たる全国デビュー作リリース!! レコーディング・エンジニアは、クラムボン関連作品の他、the chef cooks me、SPECIAL OTHERSに携わる等繊細なバンド・アンサンブルを手掛けてきたエンジニア、星野誠! マスタリングはロック系のサウンド・プロダクションにおいて聖飢魔II、原由子らのRECを手掛ける等、華々しい実績を背景に、マスタリング・エンジニアに転身したカリスマ、内田孝弘! 豪華デジパック仕様!

LIVE INFORMATION

『OUT TOURS』- 5th Album Release Party -
2013年11月30日(土)@梅田 AKASO
2013年12月1日(日)@名古屋 CLUB QUATTRO
2013年12月7日(土)@恵比寿 LIQUIDROOM
2013年12月8日(日)@恵比寿 LIQUIDROOM
2013年12月14日(土)@札幌 BESSIE HALL

KAKUBARHYTHM SPECIAL in SENDAI
2013年12月21日(土)@仙台 MACANA

PROFILE

YOUR SONG IS GOOD

1998年東京で結成。カクバリズム所属。通称YSIG。サイトウ“JxJx” ジュン、ヨシザワ“モーリス” マサトモ、シライシコウジ、ハットリ“ショーティ” ヤスヒコ、タカダ“ダータカ” ヒロユキ、タナカ“ズィーレイ”レイジからなる6人組。はじまりはパンク・ロック、現在はあえて言うならダンス音楽を演奏するインストゥルメンタル・バンド。メロウでハード、それでいてハートに響く激烈なライヴで、DIYなスタジオ・ライヴから、ライヴ・ハウス、クラブ、FUJIROCKグリーン・ステージ等の巨大野外ロック・フェスまで、ジャンル、場所、雰囲気、メジャー / インディ、問わず活動中。様々なスタイルと対峙しながら、これまでに4枚のオリジナル・アルバムをリリース。7インチ・シングル、ミニ・アルバム、コンピなどの収録も多数。2013年は結成15周年を迎え、これまでにない新たなる局面に突入した模様。そして、待望のニュー・アルバム『OUT』を11月20日にリリース。はたしてどこに辿り着くのやら、GOD ONLY KNOWS状態で諸々進行中、WAH! WAH! WAH! WAH! WAH! WAH!

>>YOUR SONG IS GOOD official web

o

 
 

インタヴュー

Summer Rocket、待望の1stアルバムを期間限定フリー配信&メンバー全員インタヴュー
[CLOSEUP]・2017年12月14日・新メンバーとともに7人のサマロケを作っていきたいーーSummer Rocket、1stアルバムを期間限定フリー配信 永原真夏&工藤歩里が楽曲プロデュースを務める、永遠の夏を歌うアイドル・グループ、Summer Rocketが待望の1stアルバムを完成させた。これまでにリリースされてきた4枚のシングルを再レコーディング、リマスタリングした楽曲に加え、初音源化となる「太陽のアリア」「ロードスター逃飛行」を収録した全10曲。発売日の12月25日に先駆け、OTOTOYでは同アルバムのmp3版を無料配信!! そしてメンバー4人へのインタヴューを実施。12月17日(日)には新宿LOFTにて3rdワンマン・ライヴ〈さよならセカイ〉を開催し、新メンバー3人を迎えることも決まっている激動のサマロケ・メンバーが何を考え活動しているのかに迫った。今のサマロケに注目してほしい!! サマーロケット、待望の1stアルバムを期間限定フリー配信!!Summer Rocket / Summer Rocket(期間限定フリーパッケージ)【配信形態】mp3【配信価格】まとめ 0円(税込) 【Track List】1. 太陽のアリア2. Sum
by 西澤 裕郎
オルタナティヴを突き詰めた“復活作”──CAUCUS、4年ぶりのフル・アルバムをリリース
・2017年12月13日・オルタナティヴを突き詰めた“復活作”──CAUCUS、4年ぶりのフル・アルバム『Sound of the Air』をリリース 邦楽インディーズ / シューゲイザー・シーンで確かな足跡を残し、日本だけでなく海外にもその活躍の場を広げてきたCAUCUS。そんな彼らから4年ぶりのフル・アルバム『Sound of the Air』が届いた。制作期間中の3年半、ライヴも行わず、スタジオでのアルバムの制作に没頭したという。その結果これまでになく濃密な色彩と、繊密な構成が光る楽曲が並ぶ作品になった。OTOTOYでは11月15日にリリースしたLP盤の音源を『Sound of the Air (High DR Master)』としてハイレゾ配信開始! そこから「Shy Girl」を期間限定のフリー配信でお届け。CD版となる『Sound of the Air』もこのタイミングで配信開始しております! 4年ぶりの“復帰作”をぜひインタヴューとともにお楽しみ下さい。 まずはこちらを聴いてみて! 期間限定フリー配信! CAUCUS / Shy Girl (High DR Master)(期間限定フリー配信)'【配信形態】ALAC、
by 岡本 貴之
細かすぎる仕掛けたち!? ──ヘルシンキの橋本が語る『Time,Time,Time』のサービス精神
[CLOSEUP]・2017年12月12日・細かすぎる仕掛けたち!? ──ヘルシンキの橋本が語る、サービス精神旺盛なパッケージと“時の流れ”を感じる楽曲 2017年に自身のレーベル〈Hamsterdam Records〉を立ち上げたHelsinki Lambda Club。これまで、1stシングルにはじまり、1stミニ・アルバム、1stフル・アルバム、1stスプリット…… と、“ファースト縛り”でリリースを続けている彼ら。そして今作も懲りずに、バンド“初”となるアナログ盤とUSBとミニ・トートバッグをセットにした全3曲入りのシングル『Time,Time,Time』をリリース。 もうヘルシンキといえば…… “ファースト縛り”と“パッケージの手作り感”というところでもありますよね。ただそんな“手作り感”満載のパッケージだけがヘルシンキの魅力ではないんです! 今回収録された楽曲も、いままでにないほど深層心理に突き刺さる佗しいものに仕上がっていて、これがなんとも素晴らしい! 今回は、なぜ毎回“手作り感”にこだわるのか、そして本作収録の楽曲について深く掘り下げるべく作詞作曲を務める、橋本薫(Vo&Gt.)へのインタヴューを実施! さらにOTOTOYでは、『Ti
by JJ
渋谷慶一郎のレーベル、ATAKの過去音源配信開始、第4弾
・2017年12月11日・ATAK過去作配信第4弾、今回はパン・ソニックや灰野敬二のライヴを収めた初の動画作品も 2017年9月11日より、毎月11日に、半年に渡って渋谷慶一郎が主宰レーベルのATAK過去作品を配信リリース。OTOTOYでは各作品に関して、毎回、ライター、八木皓平による渋谷慶一郎本人へのインタヴューを行い解説をお送りします。第4弾は、2006年リリースの渋谷慶一郎、中村としまる、ノルベルト・モスランによるスリリングなライヴを収録した『ATAK008』。2007年リリース、渋谷慶一郎の、世界初の三次元立体音響を実現したヘッドフォンによるリスニング専用の作品『ATAK010 filmachine phonics』。そしてレーベル初の映像作品となったライヴ作品『ATAK011 LIVE DVD ATAK NIGHT 3』(動画データを配信)の3作品となっている。インタヴュー : 八木皓平ATAK配信作品のまとめページはコチラ 曲に聴こえるけどこうは作曲できない、僕にとってそこが即興の醍醐味 今回は『008』からだっけ? ──ですです。今回は『ATAK008 Keiichiro Shibuya+Norbert Moslan
by 八木 皓平
過去、現在、そして未来へと繋がるサウンドスケープ──キセル、3年ぶりのアルバム『The Blue Hour』リリース
[CLOSEUP]・2017年12月08日・過去、現在、そして未来へと繋がるサウンドスケープ──キセル、3年ぶりのアルバム『The Blue Hour』リリース 2014年にリリースした『明るい幻』から3年…… 来年結成19周年を迎えるキセルがついに新アルバム『The Blue Hour』をリリース! 3年ぶりに届いた今作も、キセルらしく浮遊感満載のサウンドスケープがひろがる、ファンタジックな楽曲が並んでおります。今作は、インタヴューのなかで辻村豪文が「“4人のバンド”として録りたいというのも思ってました」と語ってくれているように、以前よりキセルをサポートしていたドラムの北山ゆうこと、サックス、フルートの加藤雄一郎の4人が全曲で参加。これまでのキセルにはなかった管楽器というエッセンスを加えたことで、よりキセルのふたりが描く風景が美しく膨らんで聞こえる。3年間待ちわびたみなさん! 『The Blue Hour』を読み解くテキストとしてぜひお楽しみください。 メロウに、ドリーミーに、ミニマムに響く3年ぶりのフル・アルバム キセル / The Blue Hour'【配信形態】ALAC、FLAC、WAV(16bit/44.1kHz) / AAC【配信価格】
by JJ
【短期連載】いつ解散してもおかしくない緊張感とバンドを続けていく矛盾、どついたるねん、梁井一&岩淵弘樹対談
[CLOSEUP]・2017年12月08日・【短期連載】いつ解散してもおかしくない緊張感とバンドを続けていく矛盾、どついたるねん、梁井一&岩淵弘樹対談 どついたるねんが、12月20日にキングレコードよりメジャー1stシングル『BOY』をリリースする。表題曲「BOY」に加え、ZEN-LA-ROCKとメイリン(ZOMBIE-CHANG)がfeat.で参加した「おならぷーぷーセッション feat. ZEN-LA-ROCK, ZOMBIE-CHANG」、親交のある澤部渡(スカート)がバンド・アレンジを施した「街」、同じく親交の深いミツメの代表曲「煙突」をアレンジした「煙突(モクモク remix)」が収録される。リリース当日には渋谷CLUB QUATTRO にて完全無料のライヴ開催も予定するなど、怒涛の勢いで突き進むどついたるねんの短期連載を3回に渡り掲載する。2回目は、どついたるねんの映像を撮り続けている梁井一と岩淵弘樹をお迎えしインタヴューを敢行。バンドとはなんなのか、そしてメンバーの脱退について彼らだから語れる話を訊いた。 メジャー1stシングルは12月20日リリース!!どついたるねん / BOY'【収録曲】''1. BOY2. おならぷーぷーセッショ
by 西澤 裕郎
孤独だからこそ誘われた「warbear」という名の灯り──元Galileo Galilei・尾崎雄貴ソロ・プロジェクトが始動
[CLOSEUP]・2017年12月06日・孤独だからこそ誘われた「warbear」という名の灯り──元Galileo Galilei・尾崎雄貴ソロ・プロジェクトが始動 2016年10月、惜しまれながらもその活動に終止符を打ったGalileo Galilei。そのフロントマンであった尾崎雄貴が新たにソロ・プロジェクト「warbear」を始動させた。札幌にある自身のスタジオでレコーディングされ、弟で元Galileo Galileiのドラマーでもある尾崎和樹や、フィラデルフィアで活動をするサックス・プレイヤーDan Wallaceなどが参加した初アルバム『warbear』が2017年12月6日(水)にリリースされた。いわゆるギター・ロック的なサウンドを鳴らしていた初期のGalileo Galileiからはガラッと印象は変わり、バンド後期に彼らがつくりだしたメランコリックな音楽性の、その先が凝縮されている。 いったいこの作品はどのようにつくられたのか。OTOTOYではワールド・スタンダードに視点を置いた作品群となっている本作を探るべく、ライターの真貝聡による尾崎へのインタヴューを掲載。また、Galileo Galileiの音楽を聴いてロックに目覚めた人も多
by ?
女性SSW・平林純、初の全国流通作『あとのまつり』をハイレゾ配信 & 福島を中心に活動するSSW・Chanoとの対談を掲載
[CLOSEUP]・2017年12月06日・「青臭さ」も「やさぐれ」も、ありのままの自分自身── 平林純×Chano、真逆の世界観を持つ女性SSW対談 2009年に路上ライヴから活動を始め、2015年には日本各地から集まったアマチュア・ヴォーカリストから優勝者を選ぶ番組『Sing! Sing! Sing! 3rd season』に出演し3500組の中からトップ3に選ばれるなどの実力派女性SSW・平林純が初となる全国流通作『あとのまつり』をリリース。バンド・アレンジによる楽曲から弾き語りの楽曲までバラエティに富んだポップな楽曲と毒気のある歌詞が印象的な今作を、OTOTOYではハイレゾにて配信スタート。そして、しなやかな歌声と美しくも力強いメロディが光る2ndアルバム『toi et moi』をリリースしたばかり、福島県いわき市を中心に活動する同じく女性SSW・Chanoとの対談を掲載。同じSSWと言えど、世界観が真逆な2人の対談は一体どうなるのか!? ページの最後にはディスク・レヴューもありますのそちらも是非! 初となる全国流通盤をハイレゾで!平林純 / あとのまつり '【配信形態】ALAC、FLAC、WAV(24bit/48kHz) / AAC【配
筆者について
J J (JJ)

パンク・バンドLimited Express (has gone?)のギター・ボーカル。BOROFESTAの主催者。ototoyのチーフ・プロデューサー。JUNK Lab Recordsのレーベル・オーナー。ライターやイベント・オーガナイズも多数。ototoyでは、リミエキのJJとして喋っている時は、JJ(Limited Express (has gone?))と記載しています。

同じ筆者による他の記事