PEDRO、セカンド・フル・アルバム最速インタヴュー──アユニ・D、浪漫を語る
“楽器を持たないパンクバンド“BiSHのアユニ・Dによるソロ・バンド・プロジェクト、PEDROの2ndフル・アルバム『浪漫』のリリースが決定。BiSHとしての活動と並行して多忙な日々を過ごすなかで制作された今作。ギターの田渕ひさ子やドラムの毛利匠太とともに、研ぎ澄まされたバンド・サウンドを掻き鳴らしながら、人生を肯定するような歌詞からは彼女の大きな変化を感じ取ることができる。そこでOTOTOYは、アユニ・Dにどのような変化が起きたのかを探るべく、いち早くインタヴューを行った。カメラマン・宇佐美亮による撮りおろし写真も必見。
またリリースに先駆け、今作『浪漫』の予約受付を開始。同梱されるデジタル・ブックレットで、アユニ・Dが手がけた歌詞の世界を隅々まで堪能してください。さらに、予約した方の中から抽選で1名にアユニ・Dの直筆サイン色紙をプレゼント。名盤『浪漫』聴き逃しなく!
セカンド・フル・アルバム『浪漫』ハイレゾ版予約受付中!(デジタル・ブックレット付き)
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予約した方の中から抽選で1名様にアユニ・Dの直筆サイン色紙をプレゼント!
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INTERVIEW : PEDRO
PEDROの新作『浪漫』を聴いて久しぶりにぶっ飛んだ。バンドがやりたいことはより明確に、数多く合わせることによりグルーブは上がり、彼女の歌詞のひとつひとつはより重く、でも初期衝動は消えてない。これは名盤といわれるべき作品だ。PEDROは、一人の少女の閉塞から外に向かう開放のストーリー。アルバム後編、「愛してるベイベー」から「へなちょこ」までの怒涛の流れには、自然に拳を上げてしまったのだ。
インタヴュー : 飯田 仁一郎
文 : 井上 沙織
写真 : 宇佐美 亮
この世は意外と浪漫的だよって伝えたくて
──今回のアルバムはどんな作品になりましたか。
アユニ・D(以下、アユニ) : 自分の中で作りたいと思っていた作品を超えた、いいアルバムができたと思います。
──超えたというのは、なにを超えたんですか?
アユニ : 毎回新しい音源を作るときは、いちばんやりたいことを衝動に駆られてそのまま出すようにしていたんです。だけど、いままでは好奇心に惑わされてやりたいことがわからなくなったり、考えすぎて道がずれてしまったり、納得いく表現ができなかったこともあって。今回はそれが全くなくて、本当に自分から出たものを詰め込みすぎたものになったと思います。
──PEDROはずっと衝動がテーマにあったと思うんですけど、活動を続けてきたなかで衝動の表現の仕方に変化があったのでしょうか。
アユニ : 自分ができないことをやっている人をすごくかっこいいと思うんですけど、だからといって私がそれをやってかっこよくなるのかといったらそうではなくて。憧れのモノマネをしても真似事というか、自分の性に合わないことをしても意味がないなって気付いたんです。いい意味で世界が広がって、世間の反応を気にしたりせずに自分の衝動のみに駆られてできていると思います。ギターの田渕ひさ子さんもドラムの毛利さんもそれに全面協力してくださっていて。音を合わせる回数も増えて、形だけじゃなくて思考回路から一緒に作っていってくれるので、意識的にそういうものができたのかなって思います。
──音を合わせる回数が増えたんですか。
アユニ : はい。もちろんツアーがあったらもっと増えていただろうし、一緒にスタジオでセッションをして録るのは難しくてできなかったんですけど、やりたいことや音の好みを素直に話して聞いてもらったり、ひさ子さんもレコーディングの前に作ったリフを送って聴かせてくださったりして。デモを自分たちなりにアレンジして、想像以上のものが出来上がったなと思います。
──BiSHだとバックバンドの人たちは普段5、6人でやっていると思うんですけど、PEDROは3人じゃないですか。3ピース・バンドの面白さは感じたりしていますか?
アユニ : 難しいですね……。私がベースをめちゃくちゃ弾けたらいいんですけど、ヘタクソで自分のことで精いっぱいなので、まだ3ピース・バンドのかっこよさを語れるところまで達していないですね。ただPEDROに関しては私は心の底から大好きで。尊敬している2人がいてくださるので、それが1番かっこいいところだなとは思います。
マイナスがあるからこそできるプラスの表現をやってみようかなと
──今作、素晴らしかったです。衝動的な部分は残しつつよりポジティブになった印象で。「浪漫」というワードが出てきたのもそれを象徴しているのかなと。
アユニ : BiSHに入ってPEDROもやって、ようやく物心がついて音楽がすごく好きになって、人との縁も増えて。人生って意外と浪漫的なんだなってわかったことが自分にとって革命的なことだったんです。その衝撃と、人生がロマンチックであってくれっていう願いを伝えたくて。この世は不条理だらけだけど、意外と浪漫的だよって。一貫してその思いが入ったアルバムになったのでタイトルも『浪漫』にしました。曲の“浪漫”はアルバム名とは少し違って、恋愛の意味合いを含んだロマンチックな物語の曲です。
──表題曲の“浪漫”は自身で作った曲なんですよね?
アユニ : はい。自分で曲を作ってみようと思って、1カ月の間に10曲以上をDTMで作って。その中から“浪漫” と“へなちょこ”を入れることになりました。PEDROをはじめてから作曲意欲が徐々に湧いてきて、今回2曲入れられたのがすごく嬉しかったので、いつかは自分で作った楽曲だけのアルバムも作りたいですね。
──ロマンチックさも恋愛も、PEDROではこれまであまり触れてこなかったテーマですよね。そこを肯定的に表現するようになったのは何故なのでしょうか。
アユニ : いままではヘイトを全部吐くために歌詞を書いていたというか。フラストレーションが溜まっていて、それこそFUCKみたいな気持ちが9割だったんです。でも自分の人生を考えたときに、自分のことを肯定できるのは自分しかいないし、そうしないと自分を保てなくなると思って。前はマイナスをマイナスのままで吐いていたんですけど、マイナスな思いも肯定して、マイナスがあるからこそできるプラスの表現をやってみようかなと。
──そう思ったきっかけはあったんですか?
アユニ : PEDROを始めたことが大きいですね。ひどい言葉で言うと、いままで音楽は人生のBGMみたいだなと思っていたんです。だけど全然そんなものではなくて。音楽ってひとつひとつ誰かの時間と体力と脳みそを使ってできていて、そこから生きる力をもらえるってことを涙が出るほど実感してしまったんですよね。本当に愛がないと何をやってもダメだと思うし。
先入観なしにPEDROというバンドの作品として聴いてほしい
──曲ごとにも話を聞かせてください。1曲目の“来ないでワールドエンド”は現状とリンクする曲ですね。
アユニ : これは前作のEP『衝動人間倶楽部』のときに作った曲なんです。いまの自分だったら書こうと思わない歌詞だけど、10カ月前の自分は漫画や映画にインスピレーションを受けていたので、想像性が高い歌詞だなと思います。そのときはコロナの影もなく、ワールドエンドって言葉は自分とは関係ないと思っていたんですけど、いま聞くと他人事じゃないし、曲は聴くタイミングによって意味が変わるんだなと思いましたね。
──“pistol in my hand”はオルタナな曲というか、挑戦的なサウンドで。
アユニ : 私はおかしな曲が大好きなので一番かっこいいと思いました。やっぱりひさ子さんは私には到底理解できないギターのリフを弾いてくださるので、めちゃくちゃかっこいい曲になるんですよね。一生自分だけの力では作れない曲をやっていきたいなと思わされます。
──「後ろ指さす奴に中指立てる」では、「怪我をしたら治せ」と寄り添うような言葉を使っていたのが印象的でした。
アユニ : いままでだったら「後ろ指さす奴に挫けて死ぬ」みたいな感じだったんですけど、やっぱり自分は自分自身を肯定しないと強く生きていけないので。反骨精神はそぎ落とせなくて心の奥にずっとあるので、それが前面に表れているなと思います。
──これまでは言葉に意味をもたせないような歌詞が多かったですが、今回は物語性のある歌詞が多いですよね。作詞はスムーズにいきましたか?
アユニ : 考えすぎると訳がわからなくなっちゃうんですよね。なので適当な言葉を入れていたら、自分の気持ちをストレートに出すっていうのができるようになってきたんです。昔はわざとひねくれた表現の仕方をしていたので、ストレートな言葉を出せるようになりたいと思っていた部分もあって。
──それはアユニにとっては結構な変化ですよね。
アユニ : 日本のロックバンドの歌詞を意識して聴くようになったことも大きくて。いままではナンバーガールとか海外の昔のバンドとか、わりと聴く音楽が偏っていたんですけど、いろいろ聴いてみることにしたんです。
──日本のロックバンドっていうのは例えば?
アユニ : 2、ネクライトーキー、コンテンポラリーな生活とか、自分が好きなバンドですね。こういう歌詞の書き方もあるんだって知ったら自然と私もやってみたいと思うようになって。いままでは自分の実体験で感じたことでしか歌詞を書けなくて、それこそ恋愛ソングなんて書かなかったですし。
──“空っぽ人間”も恋愛ソングですよね。
アユニ : 物語を空想で書く、っていうのがやりたくて恋人の話を書きました。「今度行こう水族館 約束してたっけ」って歌詞とか「水族館に行く約束をしてる人しか書けないじゃん、実体験じゃないのに書けた私すごっ!」って思っちゃった曲です(笑)。
──「さよならだけが人生だ」はどういう曲ですか?
アユニ : 嬉しくも悲しくも目に見えるものは古くなっていくけれど、変わっていく現実をありのままに肯定して生きていこうと思って書いた曲です。他の曲は大体深夜とか明け方に書くことが多くて、それこそロマンチックな気持ちになって書いていたりしたんですけど、この曲は仕事の合間とか活動している時間に書いていたので一番冷静で。BPMが早くてギターもドラムも銃撃戦みたいなサウンドだったので、サウンドに持っていかれないようにあえて現実的な気持ちで書こうと意識しましたね。
──“乾杯”も人生を肯定する曲ですよね。
アユニ : 自分を肯定する、という行為を最上級に表そうとしたときに「乾杯」という単語が出てきたんですよね。肯定するときって「大丈夫」とか「できる」とかいろんな言葉があると思うんですけど、自分の人生を振り返ったときに、全部まとめて「人生を祝して乾杯!」と言っちゃえば気持ちいいくらい肯定できるなと思って。
──なるほど。「肯定」はこのアルバムを象徴する言葉ですね。最後の“へなちょこ”もそうですし。
アユニ : この数年で自分が好きな方向にちょっとずつ変わってきたと感じているんです。明るくなったというか、笑う時間が増えたり、人とコミュニケーションを取りたがったりして、その変化にもちょっとずつ慣れてきて。“へなちょこ”はそんななかで昔の自分を思い返して書いた曲です。学生時代の自分のこととか、もしBiSHに入らないで社会生活を過ごしていたらどうしていただろう?って考えながら、優等生でもヤンキーでもない、へなちょこだっただろう自分を書きました。
──“へなちょこ”の歌詞の最後で主語が変わるのはいまの自分からのメッセージですか?
アユニ : はい。昔の自分でもこういう曲は作れたと思うんですけど、最後の「泣けばいいよ」とか、自分を肯定してくれる歌詞は絶対に書けなかったと思うので、いまのPEDROだから作れた曲ですね。
──アユニはPEDROを始めてからすごく充実しているように見えますし、それに輪をかけてこの作品はすごいと思いますよ。
アユニ : 人生楽しいです。今回のアルバムは初めてPEDROを知った方にも聴いてほしいですね。BiSHのアユニ・Dがやっているから聴くとかじゃなくて、先入観なしにPEDROというバンドの作品として聴いてほしいです。
編集 : 西田健、東原春菜
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応募締め切り8/24 23:59
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LIVE INFORMATION
PEDRO / LIFE IS HARD TOUR
2020年9月3日(木)@名古屋 DIAMOND HALL
時間 : OPEN 18:00 / START 19:00
2020年9月4日(金)@大阪 なんばhatch
時間 : OPEN 18:00 / START 19:00
2020年9月8日(火)@広島 LIVE VANQUISH
時間 : OPEN 18:00 / START 19:00
2020年9月09日(水)@高松 オリーブホール
時間 : OPEN 18:00 / START 19:00
2020年9月11日(金)@福岡 DRUM LOGOS
時間 : OPEN 18:00 / START 19:00
2020年9月16日(水)@仙台 RENSA
時間 : OPEN 18:00 / START 19:00
2020年9月18日(金)@札幌 PENNY LANE24
時間 : OPEN 18:00 / START 19:00
2020年9月22日(火・祝)@新潟 NEXS NIIGATA
時間 : OPEN 16:00 / START 17:00
2020年9月24日(木)@東京 Zepp Tokyo
時間 : OPEN 18:00 / START 19:00
PROFILE
“楽器を持たないパンクバンド”BiSHのメンバーであるアユニ・Dによるソロバンド・プロジェクト。
ベース・ボーカルに加え、全楽曲の作詞から一部作曲までを行う。
セルフ・プロデュースで放たれる彼女の持つ独特の世界観や感性が大きな支持を集める。
【INFO】
■PEDROオフィシャルHP:
https://www.pedro.tokyo/
■PEDROオフィシャルファンクラブ:
https://sp.pedro.tokyo/ (スマートフォンのみ)
■PEDROオフィシャルTwitter:
https://twitter.com/pedro_ayunid
■アユニ・D Twitter:
https://twitter.com/ayunid_bish