次に狙うのは中国!?──プー・ルイが創る新たなアイドルの形

BiSでの破天荒なプロモーションや突然のBILLIE IDLE加入など10年間のアイドル活動のなかで常に僕らに衝撃を与え続けてきたプー・ルイ。そんな彼女から2020年の新年早々にまたまた驚くべきニュースが届いた。それはプー・ルイが会社を立ち上げ、社長兼プロデューサー兼メンバーという形で新たなアイドル・グループを結成するというもの。はたしてプー・ルイはいまどんなことを企んでいるのか。彼女の10年間のアイドル人生を活動年表とともに振り返りながら、新たな挑戦に向けての話をじっくりと訊いた。それではBILLIE IDLE解散後初のプー・ルイのインタヴューをどうぞ。
INTERVIEW : プー・ルイ

プー・ルイとの付き合いは、もう10年になる。彼女が新しい行動を起こすたびに僕はいちいちびっくりしている。「えっバンド?」「えっ! Youtuber?」「えっ! 中国?」。もはやびっくりさせてくれる動きをできるのが、彼女の最大の才能だし、それを諦めず成し遂げる様は、大きな信頼に繋がっている。プー・ルイはまた新しいことをはじめるようです。さぁ、追い続けましょう。
インタヴュー&文 : 飯田仁一郎
写真 : 大橋祐希
私個人としてはプライベートはいらない

──プー・ルイさんのこれからの動きを聞く前に、現状を軽く教えてください。
プー・ルイ : 1年半ぐらいBILLIE IDLEというアイドル・グループをやっていました。2019年の夏くらいにプロデューサーのNIGOさんに呼び出されて「解散します」って言われて(笑)。いまはBILLIE IDLEが解散したあと、次の段階としてWACKの渡辺(淳之介)さんが個人的に資本金を出してくれた会社を立ち上げて、新しいグループを作ろうとしています。
──過去を振り返ると最初のBiSがあり、LUI FRONTiC 赤羽JAPANがあり、BiS2期がありました。BiS2期から自ら飛び出したのは、自分自身で新しいことをしたいという思いからだった?
プー・ルイ : 偉そうなことを言うとそうなんですけど(笑)。BiS2期の頃は、もうすでにWACKで渡辺さんがトップにいたんです。初期のBiSは常に渡辺さんがいて一緒に話してグループを作り上げるというものだったんですけど、そういう状況じゃもうなくなってしまって。WACKというものを大きくしていく中でBiSも大きくなっていくという段階というか。この感じだと、今はトップを走っているBiSHの後ろを追いかけるだけで、ピラミットの順位は崩れないし母数が大きくなるだけなんじゃないかと感じてしまって。普通の人はそれでいいと思うし喜ぶべきことなのだと思うのですが、BiSはやっぱり始まりのグループだしBiSのプー・ルイとしてはどうしてもそこが気になってしまった。あとはそこをひっくり返すのが各グループ、メンバーの役目だとも思うけど、変わっていくBiSに対するモチベーション的にも頑張ることができなくなっていました。
BiS2期卒業前のインタヴューはこちら

──なるほど、そこから次は“新生YouTuber研究会-BYS-“としてYouTuberに変身したわけですよね。これはやってみてどうでしたか?
プー・ルイ : 実際にやってみてYouTubeというものの可能性はすごく感じました。いまもチャンネル自体は残していったん止めてるんですけど、学ぶことは多かったですね。BILLIE IDLEのイベントをやっていた時に、「YouTubeを観て、ファンになりました!」というのが断然多かったんです。まだまだYouTubeは面白くなると思いますし、企業の参入によってメディアとしてもっと力を持つのかなと思います。
── 次に加入したBILLIE IDLEはどんな感じだったんですか。
プー・ルイ : 私が入ってからの活動自体は1年半くらいだったんですけど、かなり恵まれた環境のグループだったんですね。BILLIE IDLEは余裕を売りにしてるグループ。WACKのグループがいっぱいいっぱいで必死なところを売りにするグループだったら、逆にBILLIE IDLEはスカした感じがかっこいい。それは確かに表現できてたと思います。私が加入してインストアをがっつりやったりとか衣装を新しく作るとかいろいろ変わったんですけど、その結果がNIGO®さん的にちょっと違ったのかなって思います。理由はたくさんあるとは思いますが、NIGO®さんがインタビューで答えてくださっていたお金の問題がやっぱり1番大きな原因だとは思います。
──なるほど、BILLIE IDLEはBiSの頃とはやり方がぜんぜん違ったんですね。
プー・ルイ : 私個人としてはプライベートはいらない。働く時は寝れないなら寝ないでもいいって感じなんですね。だから、そこはちょっと志が違ったのかもしれないです。でもBILLIE IDLEでやることはやりきったし学ぶこともたくさんあったから、やってよかったと思います。未練はないです。
30歳越えても「私可愛いでしょ」の方がウケると思う

──いま改めてこれまでのプー・ルイとしての活動を振り返ってみてどうですか。
プー・ルイ : 最初のプー・ルイは卵って感じで、BiSの一期からは雛、そこからYouTubeをはじめるまで全然成長しなかったんですね。言われたことをやるのが自分には合ってると思ってたので、これやりたいあれやりたいっていうのがあんまりなかった。でもYouTuberをやることではじめて意思を持つようになった。「YouTubeは自分で企画を考えないといけない」とか「この企画をやったのに再生数がはねない」とかそういう頭を使わないといけなかったんです。BILLIE IDLEはそれでいうと、結構自由にやっていいと言われてて、そこでまた自我が出てきました。そこでも少しは成長できたと思います。
OTOTOYでのプー・ルイ最初のインタヴューはこちら
──これまでアイドルを辞めようと考えたことはありましたか?
プー・ルイ : BiS2期くらいの頃が1番セカンド・キャリアについて考えてました。これはアイドルをやっている女の子達みんなに言いたいことなんですけど、25歳〜27歳くらいが1番悩むし焦ると思います。そこを超えると、もう何も怖くない。28歳からその先になるともう時は戻んないし、悩んでも仕方ねえなって気持ちになりました。それより30歳越えても「私可愛いでしょ」って自信を持っている方がこれからはウケるんじゃないかと思います。

──時代的にそうなっていきそうですよね。これからは本格的にアイドルをやりながらプロデュースもされるということなんですけど、どういう経緯でそうなったんですか?
プー・ルイ : BILLIE IDLEを解散することを伝えられた時、自分が本当にやりたいことは何なのか、真剣に考えはじめたんです。BiSは自分で辞めたんですけど、BILLIE IDLEは「終わります」だったので。その時はソロでやるイメージはあんまりなかったんです。私は誰かと一緒に何かを作ることが好きだし、その中心に歌があると楽しいんだなと思っていました。それで、実はバンドをやろうと思ってメンバーを集めていて。でも方向性が固まる前に解散しちゃいました。それからちょっと悩んでしまって、そのあと相談したのがWACKの渡辺さんでした。
──渡辺さんからはどんなことを言われたんですか?
プー・ルイ : もともとBILLIE IDLEが解散するって決まった後すぐに渡辺さんから「ソロをやらないか」と言われてたんです。「何をやるか決まるまでの間でもいいから、その間をつなごうぜ。もう1回『みんなのプールイ』を出そう」って。ただその時、私はバンドがやりたかったので1回断ってるんです。結局バンドの話がなくなってしまったので、「すみません。もう1回ソロをやって考えたいです」ということを伝えました。

──そこで渡辺さんと話しながら少しずつ未来ができていった感じですね。
プー・ルイ : 最初は完全に裏方としてプロデュースをやれば? と言われたんですけど、まだ表でやりたかったので「いまはまだ嫌だ」って断ったんです。そうしたら「じゃあそれならプロデュース兼アイドルみたいな感じでやるのがいいんじゃない? とりあえず企画書を書いてみて」って言われたんです。でもやりたいことが固まってなかったので、全然書けなくて、それで3週間ぐらい悩みました。
──結構悩みましたね。それからどうやって方向性が決まっていったんですか?
2019年は色んな人に会うというのを自分の中で掲げて生活していて、「いまは中国がビジネスで熱い」とかそういう話を聞いて、なんとなーく「中国」って単語が自分の中に残っていたんです。そのあと別の友達と雑談している時に「もう全然なにも浮かばないし、全然誰も知らない土地で生きようかな」みたいなことを言ってたら、「え!なにそれめっちゃ良くない!?」って言われて。そのときハッとして、全てを捨てて全然知らないところ、たとえば中国でアイドルやるのがおもしろいんじゃないかなということを思いついて渡辺さんに報告しました。
──渡辺さんには第一声に何て言われたんですか。
プー・ルイ : 「落ち着け」って(笑)
──ですよね(笑)
プー・ルイ : 渡辺さんにはそんなに熱量があってやりたいんだったら、改めて企画書を書いてみてって言われて。それで書いてみたら3週間全然進まなかった企画書がするするって書けるようになって。あ、私がやりたいことはこれなんだって思いました。多分最初期のBiSみたいに全くゼロから新しいことをやりたいんだろうなと思います。

中国で最初期のBiSみたいなことをやりたい
──中国という着眼点はおもしろいですよね。これからはどうやっていく予定ですか?
プー・ルイ : 中国を選んだ理由は直感なんですけど、勝算は絶対あるんじゃないかなと思いました。もちろん人も多いし。中国について調べたら「次はアイドル・ブームが来る」と言われてるんですよ。アイドルのオーディション番組もやっていて、そこでいくつかグループができてる。でも、そこから出てきている人たちはK-POPっぽい完成系のアイドルらしいんですよね。そこで初期のBiSみたいなあべこべで凸凹なアイドルが来たらおもしろいんじゃないかなっていうのは思いました。「誰でもアイドルになれるんだよ」ってグループを中国に持って行ったら、向こうの人はびっくりするんじゃないかな。まずは1年間日本で頑張ってから中国に上陸するイメージ。2年目ではもう中国をメインに活動したいですね。やりたいことは結構そっちにあるし。死に物狂いでやりたい。
──中国には行ってみたんですか?
プー・ルイ : 行ってみました。普通に観光しちゃったんですけど、街中で日本の曲やアニメが流れていて、文化的には日本のものが結構入ってるんじゃないかなって感じましたね。以前、インフルエンサーを広める事業をしてる中国の方に会う機会があって。お話を聞いたら「中国では日本の女の子も人気あるよ」と言われたんです。だから、いろいろ勉強して日本の「ちょっと正統派じゃないアイドル文化」を広めていけるように頑張りたいなと思ってます。

──次のグループの音楽性はどうなりそうですか??
プー・ルイ : 楽曲の制作チームには最初、WACKの曲をたくさん作られている松隈さんの曲っぽいものを依頼していたんですけど、どうもうまくいかなかったんです。そんな時、「こういうのが実は得意なんだけどどう思う?」って言われて渡された曲がめちゃくちゃ良かったんです。それからは松隈さんの曲を真似するのではなく、得意な分野で曲作りしてもらうようにしました。なのでWACKの曲とはちょっと違う雰囲気になりそうです。 他にもデザインや衣装のチームはいままでアイドルに携わった事がない人とやっています。その方がおもしろい事をやってくれるかなって。でも制作チームが熱いので、毎日おもしろいですね。
──おもしろいことになりそうですね。スケジュール大変じゃないですか。
プー・ルイ : 2月にオーディション、5月にはアルバムをリリースしてワンマン・ライヴを考えてます。さらにいまソロのレコーディングも同時進行でやっているので、かなり忙しいです。自分でリリースするのがそもそもはじめてだし。でも、がっつりやっていきたい気持ちはあります。

──次にやるグループとしての武器はどのようなものになりそうですか?
プー・ルイ : 「初期衝動」と「親しみやすさ」ですね。私は親しみやすいものが好きなんですよ。新しいグループでもYouTubeをやろうかなと思ってます。 Youtubeは距離が近いのが魅力のひとつなので、そういった部分で武器のひとつにしたいと思います。昔YouTubeでの方向性を試行錯誤してた時期に、ドMなプールイが無理難題に挑戦していくという連載企画をやろうとしていたんです。その時は流れちゃってやらなかったので、新しいグループではそういうバラエティっぽい笑えることも表現したいなとは思ってます。
──アイドルとしてはどういうものを目指したいんですか?
プー・ルイ : 氣志團とかゴールデンボンバーみたいな(笑)。あとは、Youtuberさんだと東海オンエアさんですね。結局コミカルなものが好きなので。いろいろ挑戦はするけどコミカルで笑える方向にもっていきたい。キャラを立たせて親しみやすさを持たせて、ゆくゆくは「うたばん」の頃のモーニング娘。の感じを目指したいんです。恋愛に関しては、特に禁止はしません。自分がなりたい像とかがあって、それに近づくために恋愛話が必要なら恋愛しててもいいと思う。でもやっぱり「アイドルは彼氏がいない方が人気は出るよ」とはアドバイスをしますけど(笑)。

編集 : 西田健
オーディション情報
〈新グループメンバーオーディション〉
全員面接日程:
2020年2月2日(日)
参加資格:
18歳〜29歳までの女性。
経験不問。
特定のレコード会社・プロダクションと契約のない方。
現在所属の方は面接当日に事務所等契約解除通知が証明できる方。
参加方法:
2月2日(日) 10:00よりオーディション参加整理券を配布。
※整理券は限界人数に達し次第、時間に関わらずに配布終了となります。(300枚程度)
オーディション参加整理券に記載のオーディション時間の10分前より面接会場にて受付。
面接の最終終了予定時刻は20:00を予定しておりますが、20:00以降の終了となる可能性がございます。
面接会場:
株式会社WACK(東京都渋谷区道玄坂1-16-6二葉ビル)
整理券配布:
二葉ビル1F
持ち物:
①筆記用具
②記入済みオーディション用紙と写真
※オーディション用紙に名前、年齢、身長、体重、住所、緊急連絡先を明記の上、写真2枚(全身・顔正面アップ各1枚=3ヶ月以内に撮影したもの)を貼り付けて提出をお願いします。
③契約解除通知
現在所属の方は面接当日に事務所等契約解除通知が証明できる書類が必要となります。
書類には以下項目の記載が必要となります。
・契約終了日
・本人の署名、捺印
・所属先の署名、捺印
・未成年者は親権者の署名、捺印
面接内容:
自己紹介・自己PR、歌唱審査
面接後:
面接を通過された方には、次の審査過程に関して個別にご案内をさせていただきます。
応募資料の返却・審査に関する問い合わせ不可。
備考:
・交通費に関して
全員面接にかかる交通費につきましては、ご自身での負担となりますことご了承ください。
・帰宅交通手段に関して
当日の運行状況、残席状況、面接参加人数によっては当日中に帰宅ができない可能性がございます。
当日中に帰宅ができない場合の宿泊手配・宿泊費用に関してもご本人負担となることご了承ください。
【詳しいオーディション情報はこちら】
https://2952053.amebaownd.com/posts/7528991
PROFILE
プー・ルイ

”ニューエイジロックアイコン”のキャッチフレーズを掲げ、2009年「限られた時間の中で☆」でデビュー。翌2010年に第1期BiSを結成し、破天荒なプロモーション手法で注目を集めた。近年は昨年12月に解散したBILLIE IDLEのメンバーをはじめ、YouTuber、羊毛フェルトアーティストなど多岐にわたって活動している。今年3月11日に約10年ぶりのソロアルバム「みんなのプー・ルイII」をリリースする。
【プー・ルイ公式ツイッター】
https://twitter.com/pour_lui