セントチヒロ・チッチが、CENTとして踏み出した第一歩──初のソロ・アルバム『PER→CENT→AGE』全曲完全大解剖

CENTとしてソロでのアーティスト活動を始動させ、2023年8月23日に初のソロ・アルバム「PER→CENT→AGE」をリリースしたセントチヒロ・チッチ。BiSHとしての人生を全うし、アーティストのみならず役者活動にも注力していくことを発表した彼女はいま、何を考えているのだろうか。アルバムの全曲解説に加え、今後の目標についても語ってもらった。
セントチヒロ・チッチのソロ活動“CENT”のファースト・アルバム!
INTERVIEW : セントチヒロ・チッチ(CENT)

セントチヒロ・チッチ、あらためCENTのファースト・アルバムとして否が応でも期待値が上がってしまう本作。そんな中リリースした『PER→CENT→AGE』は、そんな周りの期待値などそっちのけで、気をてらわず、セントチヒロ・チッチそのままの姿でやってきた! 私的には、彼女のエッセイ「いままでも これからも」との連作としてめちゃくちゃ楽しませてもらったのだ。
インタヴュー : 飯田仁一郎
文 : 西田健
写真 : 大橋祐希
私が作った曲って、だいたいポジティブ
──今年2023年6月29日に、BiSHの東京ドームでの解散ライブ〈Bye-Bye Show for Never〉が開催されました。チッチさんとしてはどんなライヴだったんでしょう。
セントチヒロ・チッチ(チッチ) : わからない、というのが正直なところですね。決して悪くはなかったんですけど、それが一番いい形だったのかはわからないというか。でも確実にメンバーのなかから湧き出た熱いものが、そこにあったのは感じました。ライヴ中はとにかく清掃員が置いてけぼりにならないように終われたらいいなという思いでやっていましたね。
──なるほど。BiSHとしての人生は、チッチさんのなかでしっかり全うできたんでしょうか?
チッチ : そうですね。解散というものを決めて、6月29日に自分はセントチヒロ・チッチとしてBiSHを全うしたんです。それは、自信を持って言えますね。
──BiSHとしての人生を終えて、これからはCENTとしてソロでも活動するわけですが、加藤千尋として役者の活動をすることも発表しましたよね。名義を使い分けている理由はなぜなんですか?
チッチ : 役者と音楽のどちらにも決意をもってやりたいという意思が自分のなかにあったんです。自分の気持ちを切り替えたかったので、名義を分けることにしました。音楽のソロのプロジェクト名をCENTっていう名前にしたのは、今までの私があってこれからもその私が歩いて行くという意味を込めています。BiSHのセントチヒロ・チッチが居たから、今の私があるし、そこを切り離す気持ちは一切なかったので。
──なるほど。
チッチ : 役者の方も、そのままセントチヒロ・チッチという名前の方が知ってもらえてるとは思うんですけど、そうじゃない中で生きてみたいなと思ったんですよね。それに役者としてはまだ一歩目も踏み出せていないぐらいの道の中で、先に先行する名前があるのは、気持ちの上で妨げになりそうだったんです。それだったらそこにしがみつかずに、新しい名前で行く方が私らしいかなと思って。ひとりの人間として、どうやって生きていくかを考える上で大きな決断をした感じですね。

──8月23日にCENTとして初のソロ・アルバム「PER→CENT→AGE」がリリースされました。今作はどういうテーマでアルバムを作ろうと思ったんですか?
チッチ : 以前からずっと曲は作っていたので、貯まっていた曲たちをアルバムとして出した感じなんです。だからテーマのようなものは、決めていなかったですね。でも私が作った曲って、だいたいポジティブなんですよね。気持ちを明るい方向に引っ張っていきたいとか、自分の中でのピースな世界を表現できたらいいなという想いで曲を作っていきました。
──曲を作り始めたのはいつ頃からですか?
チッチ : BiSHの活動でいうと2020年に『LETTERS』をリリースしたくらいの時に作り始めました。元々ソロをやる構想自体はあって、渡辺(淳之介)さんから「1ヶ月で10曲書け」って言われていたんですけど、結局そのときは挫折したんです。
──それまでは楽曲を作ったことはなかったと思いますが、どうやって作っていったんですか?
チッチ : まず曲の作り方を学ぶところからですね。最初は松隈(ケンタ)さんに打ち込みのやり方を教えてもらいました。「なんじゃこりゃ」って思いながら、試行錯誤していましたね。
──実際やってみてどうでしたか?
チッチ : 大変でしたね。とりあえず機材を揃えたりしてやってみたんですけど、やっぱりまだまだ自分の頭の中が全然表現できないなって思ったんです。それで、私はひとりで生きて行かないと決めているから、友達に「こういう風に表現したいんだけど、どうしたらいいの」って相談することにしました。毎日勉強して、やっと自分でなんとか表現できるようになっていきました。
──なるほど。アルバムとしてリリースする上で、大切にしたかったことは何ですか?
チッチ : 感覚とかフィーリングですね。「これが私のスタイルだ」っていうのは、まだわからないですし、いろんなことを試してみたいと思っていました。今まで自分が通ってきたルーツや「これが好きだな」って思ったものを自分なりに解釈して作った結果がこのアルバムですね。
──今作はセルフ・プロデュースなんですよね。
チッチ : そうですね。初めて出すソロ・アルバムで、自分が表現したいことをみんなに知って欲しいと思っているのに、他にプロデューサーを立てちゃうのってもったいないなって思ったんですよね。でも意外と性に合ってました。こだわりは前から強いから、自由に表現できるのが楽しかったです。でも作品を作る上でディスカッションしたり、信頼できる人に相談するようにしています。
