自分自身銀杏BOYZに救われて、今ここにいるんだ
──それぞれの楽曲についても聞いていきます。まず1曲目の“すてきな予感”。この曲はどんな想いで書いたんですか?
チッチ : これはトヨタ カローラのWEBCMソングだったんですが、私は免許を持っていなかったので助手席目線で明るい未来を想像して歌詞を書きました。誰かと出かける時って、小さなことが大きなきらめきに見えたり、一瞬一瞬がすごく記憶に残るハッピーなイメージがあるんです。自分が大事な人とドライブしていたら、こういう気持ちになるかなと思って大切に書きました。
──2曲目の“ナポレオーネ通りにて”は、おかもとえみさんが作詞・作曲を手がけています。
チッチ : 私の中で大好きなPUFFYみたいな曲を作りたいと思ってたんですけど、自分で作ってみるとなかなか難しくて。そんなときにえみさんに作ってもらったのがこの曲です。えみさんが書いた歌詞も私だったらこう思うかなと重ねてくれながら書いてくれています。“サーキットの娘”をリファレンスに作った曲なんだそうです。私もとても気に入っています。
──3曲目の“決心”は銀杏BOYZの峯田和伸さんが作曲を担当しています。
チッチ : ソロでアルバムを出すことが決まったとき、誰と一緒にやりたい?と聞かれて、1番に峯田さんに楽曲を作って欲しいという想いが浮かびました。幸せなことにやるよと言ってくれて、実際に峯田さんと話すなかで、「銀杏BOYZのどの音楽が一番好きなの?」って聞かれたので「どの曲も大好きだけど私が表現するんだったら、“夢で逢えたら”みたいなキラッとする銀杏BOYZのような曲が良いです」って答えたんです。すると峯田さんから「僕が考えてたのと一緒だから大丈夫だ。チッチはこういうのがいいなって思って、ちょっと出来ているのがあるんだ」って言ってくれて、その後デモが送られてきたんです。仮歌も全部峯田さんの声で届いたんですけど、本当に感動しちゃって。「自分自身銀杏BOYZに救われて、今ここにいるんだ」という気持ちを表現したいと思って一生懸命に歌詞を書きました。
──編曲はTHIS IS JAPANの杉森ジャックさんですが、こちらはどういう経緯で決まったんですか?
チッチ : “決心”は峯田さんからいただいた魂を私が歌い継ぐ気持ちだったので、銀杏BOYZがすごく好きな人と一緒にやりたかったんです。杉森さんはめちゃくちゃ銀杏BOYZファンなので、編曲をお願いしました。彼のこだわりぬいたギターソロとか銀杏大好きなのが伝わるアレンジがすごく良くて、峯田さんチームに聴いてもらった時にもすごく気に入ってくれてたみたいです。峯田さんはレコーディングにも来てくれたんですけど、新たにコーラスを考えてくれたりいろんなことをその場所で一緒に作った感じで、すごく貴重で忘れられない時間を過ごさせていただきました。決心という曲名もこの時にいただきました。

──4曲目の“おとぎばなし”はどうでしょう?
チッチ : これは渡辺さんに「1ヶ月で10曲作りなさい」って言われたとき、時間に追われて焦りながら作るのが嫌になって、自由な気持ちで作った曲ですね。生きていて体感している当たり前のことだけど、わざわざ言葉にしないような思考を物語のように伝えられたらいいなという思いで歌詞を書きました。
──5曲目の“君へ”は?
チッチ : 目の前にいる人。自分を応援してくれている人や大事な人に向けて書いた曲です。大切な存在が消えてしまいそうなオーラを放つ時ってたまにある。物でも人でも。そんなときに私が音楽でそういう人を救えたらいいなと思って作りました。
──6曲目の“インマイルームフェス”はすごくおもしろい曲ですね。
チッチ : これは私がコロナにかかってしまった時にできた曲です。1ヶ月間くらい外出できなかったので、家で毎日ギターを練習していたら、ちょっと弾けるようになってきたんです。だからこの期間で曲を作ろうと思って書きました。歌詞は皮肉じみてますが、美味しいはずのご飯もおいしくなくて嫌なことばかりで心も体も健康じゃないことは幸せじゃない!と思ってムカついたこととか、その時巡らせた考えを素直に。テーマとしては、おうちのなかでも自分の好きなことをしよう、ひとりでも音楽で繋がればフェスできるんだぜ、みたいなイメージでした。
──トラックもすごく良いですね。
チッチ : ステアリング・シープというUKのポップバンドがすごい好きで、この時よく聴いていてそれをリファレンスにしました。彼女たちはポップですごくかわいらしいんですけど、自分たちの思想を自由に芯を持って楽しんで歌っている姿勢に、すごく憧れていたんです。
