熱いスピリットで、チームとしてやっていく──プー・ルイ&Ryan.Bが語るPIGGSサウンド誕生の秘密

いま、いちばん勢いがあるアイドル・グループPIGGS。“クマンバチの独白”のMVでの109回のパフォーマンスや、ライヴ会場まで徒歩で移動するツアーなど、彼女たちの活動は世間を驚かせながらも、ファンの心を掴んでやまない。しかし、その魅力はプロモーションのハードさだけにあるわけではない。PIGGSというグループが持つ武器の1つは、その楽曲の素晴らしさである。
オトトイでは、PIGGSのプレイヤー兼プロデューサーを務めるプー・ルイと彼女たちのサウンドを手がけるBRIAN SHINSEKAIことRyan.Bの対談を実施。Ryan.BがPIGGSのサウンド面について語るのは、このインタヴューが初。プー・ルイとRyan.Bはどのようにして出会い、チームとして楽曲を制作するようになったのか、そして、サウンドプロデュースの面から見たメンバーの印象とは。また、前回に引き続き、オンライン・イベントも開催決定。こちらも決してお見逃しなく。
『5KILL STARS』リリース記念、オンライン・インストア・イベント開催!

今作『5KILL STARS』のリリースを記念して、オンライン・イベントの開催が決定。こちらは2部制になっており、第一部はPIGGSへの公開インタヴューを実施。今回のEP『5KILL STARS』の聴きどころや、作品を完成させるまでの制作秘話を語る1時間になる予定。この様子はOTOTOYのLiveチャンネル(https://ototoy.jp/live/) で公開され、だれでも無料で視聴が可能です。
そして、第2部はZoomを使ったオンライン特典会を開催。参加ご希望の方は、12月9日18:00より予約受付がスタートする今作『5KILL STARS』を購入し(通常配信は12月16日0:00よりスタート)、指定の時間にメールで送られてくるZoomのURLにアクセスすると、ハイレゾ版1枚につき30秒メンバーとのオンラインでのトークが楽しめます。お見逃しなく!
〈PIGGS『5KILL STARS』リリース記念 オンライン・インストア・イベント〉
日時 : 2020年12月16日(水)
19:00〜 1部 : 公開インタヴュー (60分)
配信URL : https://ototoy.jp/live/
20:15〜 2部 : オンライン特典会 (150分)
オンライン特典会参加券付きアルバム『5KILL STARS』のご予約はこちら
https://ototoy.jp/merch/
詳しくはこちら
INTERVIEW : プー・ルイ&Ryan.B
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インタヴュー : 飯田 仁一郎
文 : 西田 健
写真 : Masahide Tsurumoto
出会ったときは髪も緑だったし、変な人ってイメージが強かった
──おふたりはいつ出会ったんですか?
Ryan.B:2014年にグラムロックのバンド(Bryan Associates Club)で活動をしていたんですけど、そのときにプー・ルイさんがライヴを観にきてくれていて。その打ち上げ会場で話してたのが最初ですね。
プー・ルイ:当時は私もBiSでめちゃくちゃ調子があがっていた時期だし、彼はバンドをバリバリやってたし、そこから一緒に活動していくって感じではなかったですね。共通の知り合いがいないと特に話もしなかった気がします。
──いつから楽曲を作ろうという話になったんですか?
プー・ルイ:私は松隈さんと渡辺さんのチームという関係に憧れてたので、PIGGSとして活動するにあたって、大きくなっていく過程を一緒に楽しみながら、チームとしてやってくれて、なおかついい曲を書ける人を探していたんです。いま考えると、めちゃくちゃハードルが高いですけど(笑)。そんなとき、PIGGSでデザインをやってくれているMETTYから「Ryan.Bがいいんじゃない?」って言われたんです。出会ったときは髪も緑だったし、変な人ってイメージが強かったので、実はそのときは全然ピンと来てなくて。でも、METTYに「あいつは変人だけどめちゃくちゃいい曲書くと思う。あのときから時間も経って人間的にも変わっているだろうから、チームとしてやれるんじゃないか」って言われて。そのタイミングで、Ryan.Bにいきなり電話したんです。
Ryan.B:そうそう、本当になんの前触れもなく電話かかってきましたね。楽曲提供みたいな感じで、なにか1曲書くのかなと思って話を聞いていたので、「ん? アルバム全部?」みたいな。でも、作りはじめたらめちゃくちゃ楽しかったので、やってよかったなと。
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──それから、ファースト・アルバム『HALLO PIGGS』はどのようにして作られたんでしょう。
Ryan.B:最初は松隈さんの曲の方向性で作ったんですけど、もともと松隈さんっぽい曲を作ってきたわけではないので、なぞった感じの曲ができてしまったんです。そのときに、Bryan Associates Clubでやっていた曲を「こういう曲もあるけどどう?」ってプーちゃんに渡したら、そっちの方がいいじゃんって。
プー・ルイ:そこから過去のデモ曲をいっぱい聴かせてもらって選んでいきました。
Ryan.B:実は『HALLO PIGGS』に収録されている曲は7割くらい過去のデモ曲を作り直したものなんです。たとえば“PIGGS-モナ・リザ-”は、バンド時代にあったサビを使いつつ、Aメロとかは新しく作って組み合わせました。ほかにも“飛べない蛇”は毎回ライヴでやっていた曲ですね。
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ロックは封印してたというか、やらないと思っていた
──プー・ルイさんのグループの曲を作るということにおいては、松隈さんとはライバルのような関係になってしまうと思うんですが、その辺についてはどうでしょう?
Ryan.B:同じジャンルだとしたら相当プレッシャーだったと思います。でも、グラムロック的な楽曲には自信がありましたね。僕も日本のバンドだとイエモン(THE YELLOW MONKEY)とかブランキー(BLANKEY JET CITY)が好きなんですけど、松隈さんと渡辺さんもそういうところから影響を受けているというのも聞いていて。ジャンルは少し違うけど、リンクするところもあるのかなと思っています。
──実際、PIGGSに曲を書くようになってどうですか?
Ryan.B:そもそもバンドでの活動が終わってからは、ヒップホップ要素の入ったエレクトロ・ポップの曲を作っていて。ロックは封印してたというか、やらないと思っていたんです。でもPIGGSでロックっぽい曲を作っていたら楽しすぎて曲も詩もどんどん出てくるんです。ロックの蓋をしていたのが、ポンと開いたような感じがします。
──プー・ルイさんはRyan.Bさんの曲についてどう思っていますか。
プー・ルイ:書いてくる曲が全部カッコいいから、安心して任せられますよね。これまで松隈さんが曲を書いてくださっていたから、自分のなかの音楽のハードルが上がってしまっていて、任せられる人がなかなか見つからなかった。でもそのハードルを越える人がRyan.Bだったんです。松隈さんの曲も好きなんですけど、同じくらいRyan.Bの曲が好きなんです。松隈さんも「めちゃくちゃかっこいいね。脂乗ってるね」って曲を認めてくれていて。だから、してやったりというか(笑)。本当にそういう人が見つかって良かったなと思っていますね。
──Ryan.BさんはPIGGSのメンバーそれぞれの声質についてどう思っていますか?
Ryan.B:ファースト・アルバム『HALLO PIGGS』のときは、メンバーが決まってすぐにレコーディングしたので、全員に全パートを歌ってもらって。ミックスしていく段階で「この子はこういうところが上手い」とか「この子はこの曲だとこのキーが合うのに、言葉によっては合わないな」とかを精査できたんです。僕はサビでハイトーンのディレイを飛ばしながら、艶っぽいメロディを書きがちなので、CHIYO-Pの声はそこにどんぴしゃでハマッてくれる声だなと思っていますね。
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──他のメンバーについてはどうですか?
Ryan.B :僕が書く曲は、湿っぽい声とか色っぽい声がハマるので、SHELLMEの声があることによって、かなり締まるなと思っています。彼女の声が入っているだけでも曲の深みがエッジーになるというか1つのフック・ポイントになるなと。BAN-BANは今回のレコーディングで、前作からめちゃくちゃ成長していました。僕が仮歌で録ったデモをしっかり聴き込みつつ僕の意図を汲み取って歌ってくれました。かっこいいものを掴む努力がすごいなと。今後がたのしみですね。
プー・ルイ : BAN-BANは要領を掴むのが早くて、なにを言われているのか瞬時に理解してそこを直してくるんです。『HALLO PIGGS』のときはリズムがめちゃくちゃで、ずっと走っていたんですけど、それを指摘したらリズムの教則本を見て復習していましたね。
Ryan.B : UMIちゃんも努力家なんですよね。一生懸命ピッチに合わせようと歌ってくれて、とにかく真面目に取り組んでくれます。“スナッチャー”のイントロやコーラス・パートなど、主メロじゃないところはUMIちゃんの声ばっかり使っています。今後大化けする可能性が1番あるのはUMIちゃんかもしれない。
──本人の前で言うのは恥ずかしいかもしれないですが、プー・ルイさんの声はどうでしょう?
Ryan.B : 曲を作るときは、プーちゃんが歌っていることを前提にしていますね。キー設定もメロディーもなんとなくプーちゃんに合わせていて。
プー・ルイ : 『HALLO PIGGS』のときは、PIGGSの心情というよりも、人間っぽくない誰かを主人公として書いているイメージだったんですよ。でも今回の『5KILL STARS』では、半年間の活動を見てメンバーのこともわかってくれていたので、Ryan.Bがメンバー目線で書いた曲もあって。こっちもライヴで感情を乗せやすいです。
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「これはすごい曲がきたな」と思いました
──『5KILL STARS』の制作前には「どんなEPを作ろう」という話をしたんでしょう?
プー・ルイ:『HALLO PIGGS』を出したあと、“PIGGS-モナ・リザ-”と“とらえる”、“KICKS”の3曲の反応がよくて。だからそれを踏まえて幅を広げたアルバムを作ろうかとなったんです。私たちの音楽を聴く人はWACKファンが1番多いので、その人たちが聴いて1発でかっこいいと思ってもらえるような物を作りたかった。それで今回は全部リードっぽい曲で、聴いてくれた人をぶん殴るようなEPにしました。
──なるほど。今回のEPではそれぞれサウンドもバラエティーに富んでいますよね。
Ryan.B:PIGGSのイメージもまだ定まっていないし、これからいろんなバリエーションや引き出しを見せていきたいなと。『HALLO PIGGS』のときは、メンバーが決まる前から曲を用意していたし、PIGGSの名刺代わりのアルバムとしてまず音楽性メインで作ったんです。今回は、メンバーとのコミュニケーションが増えたりライヴを観たりしたことが大きくて。歌詞についても僕からのメッセージだったり、「きっとこんなことで悩んでいるんだろうな」ということを言語化していきました。この歌を歌うことによって、実は気づいていない気持ちに気づいて成長していくみたいな曲があるといいなと思って。
──では、1曲ずつエピソードを教えてください。“クマンバチの独白”はどんな曲ですか?
Ryan.B :前作『HALLO PIGGS』にはパンクっぽい曲がないなと思ってこの曲を作りました。メンバーに接していくなかで、ロック・スピリットのある曲でその個性を際立たせてあげられたら…… と思って。それでめちゃくちゃ早いBPMで曲を作りました。
──この曲はPVの撮影で109回パフォーマンスしたことが話題になりましたね。
Ryan.B :この曲の振り付けは50メートルを全力疾走しているみたいな振り付けなので、あれを109回は踊るのはめちゃくちゃすごい。歌詞に関していうと、アイドルとして人前に経つがゆえに制限される苦悩を、歌うことで無理やりにでも跳ねのけてほしくて、攻撃的な歌詞を書きました。
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──“ザ・ストレンジャーズ”はどういう思いで作られたんでしょうか?
プー・ルイ :この曲は新しいけど懐かしさもある感じで好きですね。BILLIE IDLE®の“シンデレラアンセム”っていう曲もすごく好きだったので、ライヴでやってみたら楽しそうだなって。あと、歌詞がエモいんですよね。
Ryan.B :ダンス・ミュージックっぽいロックの曲はPIGGSの5人に合いそうだなと思っていたんです。歌詞に関して言うと、今後バラバラになってしまうこともあるかもしれないけど、こういう曲で1つにまとまってほしいなって思いから、最初に「We are the one」というフレーズを入れました。
──3曲目の“フォーエバー・ヤング”はどんな曲ですか?
Ryan.B :“PIGGS-モナ・リザ-”をさらなるいい曲にしたいというリベンジの気持ちがあって、この曲はあえてアレンジもサウンドもそこに近づけました。実は“とらえる”はプーちゃんに向けての応援ソングだったんですけど、この“フォーエバー・ヤング”は、メンバーに向けてのメッセージ・ソングでもありますね。メンバーの立場に立ちつつも、僕の目線でのメッセージ・ソングでもあるし、かなりストレートな表現で書きました。
プー・ルイ :お客さんが声を出せるようになったら“フォーエバー・ヤング”の最後の「オーオー」は相当すごいことになりそうですよね。実は“フォーエバー・ヤング”の振り付けは(カミヤ)サキちゃんなんです。サキちゃんもいま脂が乗っているので、ライヴはすごくいい感じになるはず。
──EPのリード曲“フューチャー・スターダスト”はいかがですか?
Ryan.B :さっき「僕と松隈さんは違うジャンル」って言ったんですけど、この曲は、松隈さんが作ってきた道のりを僕の中で解釈したらどういう曲ができるだろうっていうところから作りはじめました。松隈さんみたいな曲を作るのではなくて、あくまで松隈さんがやってきたことを自分の中で昇華しながらサウンドを作っていきました。
──松隈さんの曲と対峙してみてどんなふうに思いましたか?
Ryan.B :プーちゃんが歌っていた最初のBiSの曲も含めて、松隈さんの曲をたくさん聴いて研究したんですけど、人の心を震わせるような泣きのメロディの素晴らしい曲をたくさん書かれていて。みんなそういうところに熱狂しているんだろうなと感じましたね。
プー・ルイ :この曲が送られてきたとき「これはすごい曲がきたな」と思いました。これから活動していくなかで、絶対に良くない時期も来ると思うんですけど、そういうときに一緒に育っていくような曲だなっていう印象はあります。
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──最後の“THANK YOU FUCK YOU”はどんな思いで作ったんですか?
Ryan.B :個人的に、人生は常に「THANK YOU FUCK YOU」の連続だと思っているので、そういうところを歌詞に盛り込みました。5人の女の子がひとつの家に集まって生活をしていたら、「THANK YOU」と言った裏に「FUCK YOU」と思っているときもあるだろうし、そういう背中合わせの表現を曲の中に入れたかったんです。僕がインダストリアル・ロックも好きなのでそういうサウンドも取り入れつつ、メンバー5人のバリエーションをそのまま曲にしてみようと思って作りました。
プー・ルイ :“THANK YOU FUCK YOU”は、いままでやってきたことに1番近いというか。ラップもPIGGSっぽい感じも出ていてすごくいいなと思いました。ライヴでみんな一緒に盛り上がるのが楽しみな曲です。
──それでは最後に、プー・ルイさんがRyan.Bさんに期待しているところを聞かせてください。
プー・ルイ :最後まで一緒にやりたいと思います。
Ryan.B :それはありがたいことだね。熱いスピリットで作っているし、5人が想いを言葉に乗せてしっかり歌ってくれるので、やりがいしかないという感じですね。
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編集 : 西田 健
過去作はこちらにて配信中
過去の特集ページはこちら
PROFILE:PIGGS

プー・ルイ、CHIYO-P、SHELLME、UMI、BAN-BANからなる5人組アイドル・グループ。Produce IDOL Go to world is Good Society= PIGGS。とても良いグループです。
【公式HP】 https://2952053.amebaownd.com/
【公式ツイッター】 https://twitter.com/PIGGS_idol
【公式YouTubeチャンネル】 https://www.youtube.com/channel/UCJD9kdqH1hRyCOFpGxfyFjQ