【短期連載】5thフル・アルバム発売間近! 空きっ腹に酒、メンバー単独取材第2回 いのまた(Dr)インタヴュー

桜前線と共に始まった空きっ腹に酒の4回に渡る短期連載ですが、前回の西田竜大(Gt)の単独インタヴューより気付けば3ヶ月も経ち… お待たせしてすみません!! 暑い季節、野外で飲むお酒も美味しくなってきましたが、引き続き空きっ腹に酒にはご用心!!! ということで、ようやく第2回、ドラマー・いのまたの単独インタヴューをお届けします。空きっ腹に酒になくてはならないファンクのグルーヴを生み出す彼がバンドに入った経緯から今に至るまで、じっくり話を訊きました。そして7月7日とリリースが迫った5thフル・アルバム『しあわせ』。早くもその内容にも触れています。
▶︎単独インタヴュー第1回 : 西田竜大(Gt)
空きっ腹に酒 / 人の気持ち
【配信形態】
ALAC、FLAC、WAV、AAC 単曲 270円 / まとめ価格 1,620円
【Track List】
1. わがままで都合がいい
2. 映画
3. sence
4. ハッピー
5. サウンドオブミュージック
6. 夜のベイビー feat.Funkymic
空きっ腹に酒「わがままで都合がいい」空きっ腹に酒「わがままで都合がいい」
1年ぶりの5thフル・アルバムを七夕にリリース!
空きっ腹に酒 / しあわせ
発売日 : 2016年7月7日
【Track List】 1. 音楽と才能
2. 夢の裾
3. ブス
4. 宇宙
5. ALC
6. 青にかまけて
7. ゼロ
8. ミラーボールロマンス
9. トラッシュ
10. グルーヴ問題
INTERVIEW : いのまた(空きっ腹に酒)
空きっ腹に酒の加速が止まらない! 3月に1stミニ・アルバム『人の気持ち』をリリースし、7月7日には5thフル・アルバム『しあわせ』をリリースする。4月には交通事故により公演キャンセル等はあるも、それでも止まることはなく、ボーカルのユキテルとギターの西田の弾き語り等で乗り越えていく。そんな姿は彼らが意図せずとも注目を集め、つい激しく応援してしまうのだ。前回の西田竜大(Gt)の単独インタビューから間があいてしまったが、アルバム発売前に、ドラマーいのまたの単独インタビューを掲載する。彼の発言の随所に、空きっ腹に酒が人を惹き付ける理由が散りばめられている。5thフル・アルバム『しあわせ』を楽しみに待ちながら、ぜひ読んでみてほしい!
インタヴュー&文 : 飯田仁一郎
写真 : 雨宮透貴

僕はチンドン屋(の家系)だから小さいころから楽器をやるのがふつうでした
──いのまたさんは空きっ腹に酒のほかのメンバーよりもちょっとあとに入ったんですよね。入った経緯は?
いのまた : もともと、西田(竜大)とは高校の同級生で、3年間クラスが一緒で同じクラスの男子と「バンドやろうぜ」ってなって。俺らが3年になったときに1年で入ってきた(田中)幸輝がそれを見て、「俺もバンド始める!」ってできたのが空きっ腹に酒の元(当時のバンド名は「背脂」) なんです。でも僕は、高校を卒業してフランスに行ったんですよ。
──フランスに行かれたんですか? それはなぜ?
いのまた : アコーディオンの修行に行っていました。
──いのまたさんは、元々ドラマーではない?
いのまた : そうなんです。アコーディオンの方が長くて、5歳からやっています。
──5歳からアコーディオンをやっていた!
いのまた : 僕はチンドン屋(の家系)だから小さいころから楽器をやるのがふつうでした。なんとなく部活の吹奏楽部でもトランペットをやったり。ドラムに関しては、小5のときにおかんが「音楽をやるんだったらリズム感があった方がいい」っていう理由でドラム教室に通わさせられたんです。そんでわけもわからず始めてみて、高校に入って「バンドやろうぜ」ってなったときに、本物のドラムセットでは叩いたことなかったのに、「俺、ドラムやってたぜ」って言って(笑)。
──高校時代は、どんな音楽が好きだったんですか?
いのまた : 西田とかなり仲が良かったんで、西田が「これいいで」って言っていたのを聴いてました。それこそヴィジュアル系とか、スリップノットとかのメタル系とか。でも個人的に好きだったのは、フジファブリック。初めて聴いたときに、「わぁ、すごい変なロックや」って思って。こんな変なメロディーで、こんな変な曲の構成で、こんなバンドがおんのやって。もともとひねくれてるものが好きなんですよ。
──アコーディオンの方がドラムより比重は高かった?
いのまた : 歴が長いこともあって。
──ドラムはバンドでやりますが、アコーディオンはどこで演奏していましたか?
いのまた : 高校生のときは習いにいってましたが、卒業してフランスにアコーディオン留学し、帰ってきてからはプロとしての活動を始めました。そのときに並行して空きっ腹に酒に入ったんです。

──いまでもアコーディオンはプロとしてやっているんですか?
いのまた : やっています。営業が多く、ホテルのパーティーの余興とかでやっていますね。
──仕事としてのアコーディオンとバンドとしてのドラム。その両面を使い分けているのでしょうか?
いのまた : 使いわけてはいますね。おじいちゃんやおばあちゃんが歌う伴奏の仕事をしているときにロック・バンドでドラムを叩いている面を見せるつもりもないですからね。でも共通点はたくさんあります。もちろんアコーディオンとドラムのテクニックは別物なのですが、人前で音楽を演奏することは同じなのでいい経験になっています。お互に(バンドもアコーディオンも)自分のなかで切磋琢磨していますね。
最初はベースがいなかったこともあり、僕はほとんどベースを聴いてないんですよ(笑)
──空きっ腹に酒には、どういうタイミングで入ったのでしょうか?
いのまた : 僕がフランスから帰るちょっと前に、当時のドラムが辞めて、「そういえばいのまたがそろそろ帰ってくるころや」って召喚されてたんです。アコーディオンは一生懸命やってたんですけど、フランスにいながら完全に気持ちはバンドにいっていましたね。幸輝のお姉ちゃんが撮影したライヴ動画をYOUTUBEでずっと見ながら「いいなあ〜羨ましいな〜」って思ってましたね。ある意味両思いで、さきに告白されたというか。
──やはり、バンドをやりたかったんですね(笑)。
いのまた : そうです (笑)。
──加入したころはどんな音楽をやろうと思っていたんですか?
いのまた : いや、なにも考えてなかったですね。仲のいい友達と一緒に音楽をしたかっただけなんです。
──当時はどんなドラマーになりたかった?
いのまた : それも考えてなかったですね。当時の空きっ腹に酒は、曲を作ったり決めたりせずに、いきなりステージに上がって即興でライヴをしていたんで。

──空きっ腹に酒が即興ではなく曲を作っていこうとなる転換期はいつだったんでしょうか?
いのまた : 僕からしたら気がついたらなっていました。西田が言っていたことなんですけど、前のドラムが曲を作ったり決めたり打ち合わせをするのが大っ嫌いで、即興するようになったみたいで。でも僕がポップな音楽を好きなことと単純に即興できないという理由で、だんだん練って曲を作るようになりましたね。
──空きっ腹に酒のリズム体として、ベーシストとどのようにグルーブを創っていこうと考えていますか?
いのまた : 空きっ腹に酒は、ギターがカッティングでとにかくリズムを出すじゃないですか。それに1番最初はベースがいなかったこともあり、僕はほとんどベースを聴いてないんですよ(笑)。
──えっ?
いのまた : むしろギターをいつも聴きたくて。言うたらドラムとパーカッションでリズムを合わせて演奏しているっていう意識が強いですね。だから「ベースはごめんやけど、合わせてもらって良いですか? 」っていう(笑)。
──では昨年加入したシンディさんはどんなベーシスト?
いのまた : 1番最初に合わせたときは、「わあ、すげぇ! 」って思いましたね。バチバチな感じで、僕が上手くなったように聴こえる。
──シンディさんが入ってバンドは変わったのでしょうか?
いのまた : めっちゃ変わって音楽的にしっかりしました。またシンディはインストのバンドをやっていたので楽曲や演奏にちゃんと向き合って取り組むんです。僕らがこれまでに出してきた4枚のアルバムが、シンディにとっては全部が1からの新曲だったわけですから覚えるのはたいへんだったと思います。それでも1曲1曲をコピーして、そこから「俺はこうしたい」と変えてみたりもしてくれましたね。
──じゃあシンディさんはもう全曲弾けるんですか!?
いのまた : たぶん。ライヴのアンコールのときに、お客さんに1曲選んでもらって演奏するリクエスト・コーナーがあったんですが、それがすごい楽しかったですね。しかもシンディが入りたてのときにやったんですよ。そのときに詰め込んで必死に覚えたんだと思います。
タフネスがあがった感じはしますね
──3月に発売した『人の気持ち』について解説していただきたいんですか、どこのスタジオで録音したのでしょうか?
いのまた : 録ったのは〈CONPASS〉っていうライヴ・ハウス。2枚目以降は全部そこで録っています。
──ライヴ・ハウスのステージの上で録音したんですか?
いのまた : ドラムは客席のフロアです。PA(深見北斗)さんに来てもらって、マイクもなにもないところから自分たちで立てて。
──そんなライヴ・ハウスでレコーディングした『人の気持ち』の制作期間は?
いのまた : 半年くらいだと思います。レコーディングは10月からしました。
──『人の気持ち』は、どんな作品になりました?
いのまた : 名刺代わりでもあるんですけれど、新しいことをやった1枚だと思います。新しいことは、ミニ・アルバムということと、ワンダフルボーイズ「夜のベイビー」のカヴァーを大々的にフィーチャーしたことですね。
──ここにたどり着くまでに10ヶ月連続ライヴ(〈空きっ腹に酒 企画 10カウント @梅田CLUB QUATTRO〉)を行いましたね。いのまたさんにとって、この企画はどうでしたか?
いのまた : あれは楽しかった。QUATTROじゃなくても10ヶ月毎月同じハコでやるっていうのが初めてだったんで。毎回「絶対に前回を超える」っていう気持ちがありました。

──いのまたさんの良いステージの定義っていうのは。
いのまた : 僕らがどうとかじゃなくて「お客さんがなにを感じてくれるか」ですね。お客さんにいい反応があれば、それがいいライヴかなって思います。
──やってみてどうでした?
いのまた : シンプルにすごい楽しかったっていうのが1番なんですけど、もっとよくできたなって感じもあります。メンバーが途中で変わりましたからね。あとは毎月1曲の新曲を披露するのはきつかったし、たいへんでした。もちろんそのライヴのために曲の練習をせなアカンのに、それに加えて曲を作るっていう。しかもどの月にどの曲をやろうかとか、狙っていかなアカンっていうのもありました。
──やっぱりバンドの強度は上がったんじゃないですか?
いのまた : タフネスがあがった感じはしますね。
聴き所は僕から提示するよりも、宝探しみたいな感覚で聴いて貰えたらより楽しいかな
──7月に発売する『しあわせ』はどんなアルバムになりましたか?
いのまた : 毎作品そうですが、「今」の空きっ腹らしさをしっかり消化した上で出せたと思います。今回は曲作り期間が短い上に、メンバーそれぞれの作曲の比重が多く、結構チャレンジした部分が多いですが、やはり結果は「空きっ腹に酒だな」みたいな。
──『しあわせ』の聴き所を教えてください。
いのまた : それはもう、全曲全箇所なんですが… そう言うと元も子もないですが、例えばジャンル的にも、細かいフレーズなどでも、「イイ!」と思ったことは何でも取り入れていて、ある種とっちらかっているハズなんです。だから、聴き所は僕から提示するよりも、一人一人違う箇所に良さを見出して、宝探しみたいな感覚で聴いて貰えたらより楽しいかなと思います。
──空きっ腹に酒は、集客も含めてどんどん良い状況になってると思いますが、どう変わってきたと思いますか?
いのまた : 空きっ腹に酒の音楽はある程度こんな感じでやろうっていうのができたとしても、そっから毎回新しい音楽にチャレンジしたり、そのときの好みによって、なんでもひっちゃかめっちゃかにやっちゃうんで、そういう意味でいまも変わり続けていると思います。それも含めて「空きっ腹に酒の音楽」だなって。
──誰がひっちゃかめっちゃかにするの?
いのまた : 全員じゃないですかね。でもシンディが入ったことで、よりひっちゃかめっちゃかになりました。でも僕らはそれを楽しんでますね。

──バンドのこれからについて、なにか考えていますか。
いのまた : これまでとあまり変わらないと思います。いままでと変わらずいい曲を作り、いい演奏をしようと努め続け、ちょっとずつ売れ行きも動員も増やして、あとはちゃんと新鮮さを失わずいろいろ好奇心をもって音楽を吸収していきたいですね。空きっ腹に酒としてはいろいろな音楽を消化してチャレンジし続けるだけです。僕らの1番の目標は長くバンドを続けることなんで。
──よく取材していると「とにかく一気に売れたいです」とか「武道館で演奏したいです」というひとが多いんですが、なぜ長く続けたいと?
いのまた : それは各々のメンバーが、バンドのことが好きだしバンドしかできないからです。西田もギタリストでも作曲家でもなく、やっぱり「バンドマン」だと思います。それはみんなにも言えることでみんな「バンド」がしたいんだと思います。
──いのまたさんからみて他のメンバーを紹介してもらっていいですか。
いのまた : 西田は単純でまっすぐですね。僕から観ると、少年ジャンプの主人公みたいなベタな感じ。熱血ではないけれど、誰からも愛される感じです。わかりやすいヤツです。対するシンディはきっちりしているようでどこか抜けているんですよ。まじめそうにみえてサボっているんですね。でも憎めない。面倒見のいい世話焼きで、これがベースにもでているんですよ。幸輝はすごいわがままで甘やかされている感じがするんですが、でもそこがやつのフロントマンとしての魅力だと思います。でも真面目で繊細な部分も意外と多くて(笑)。なんだかんだまわりを冷静にみていますね。
──空きっ腹に酒って仲いいね。
いのまた : 間違いないですね。
──空きっ腹に酒は、上京しようと思ったことあるんですか?
いのまた : 全然ですね。
──じゃあ大阪にこだわりが?
いのまた : こだわりはないですが、みんな実家が大好きですから(笑)。それと、「みんなが東京に出るけど俺らがいくのはどうなんだ? 」っていう、ある意味反発精神、パンク精神があるんじゃないですかね。
──空きっ腹に酒は、大阪のロック・シーンの代表格であり引っ張ってく存在だと思います。
いのまた : そうなっていれば嬉しいですね。
配信中の過去作品もチェック
空きっ腹に酒 / 僕の血
〈FUJI ROCK FESTIVAL '11〉でROOKIE A GOGOに出演、オーディエンスに強烈な印象を与えた空きっ腹に酒が、翌2012年にリリースした記念すべき1stフル・アルバム。破天荒なスタイルでつねに常識をぶち壊してきた彼ららしい、ファンキーかつエッジーな演奏、そして中毒性の高いラップのようなヴォーカルが耳から離れない。
教科書に載っていないファンク・サウンドと、コミカルに打ち出すリズム。 ダンサブルな展開と、まくし立てるラップ調の歌唱。それらが絶妙に融合した、気持ちの高ぶるバンド・サウンド。優しさと可愛さとサービス精神が随所に垣間見られる1枚。
(※11曲目の「サタデーナイトフィーバー」のみ、16bit/44.1kHzの音源となります)
LIVE INFORMATION
夢でみた幸せ 対バン TOUR
2016年8月14日(日)@広島4.14
w/ ORESKABAND /ラックライフ
2016年8月15日(月)@岡山CRAZY MAMA 2nd Room
w/ ORESKABAND /ラックライフ /ペロペロしてやりたいわズ。
2016年8月20日(土)@京都GROWLY
w/ 後日発表
5th Full album release tour 夢でみた幸せ ONEMAN TOUR
2016年9月16日(金)@札幌BESSIE HALL
2016年9月23日(金)@大阪CONPASS
2016年10月12日(水)@名古屋UPSET
2016年10月14日(金)@福岡the voodoo lounge
2016年10月21日(金)@東京O-nest
[その他]
[eyedentity Vol.6 1周年]×[静岡UMBER 5周年 前夜祭]
2016年6月26日(日)@静岡UMBER
w/ FOMARE / VERSE(フリースタイルバスケットボール)/ Climbglow
将軍至上主義
2016年6月28日(火)@池袋Abm
w/ THEラブ人間
テスラは泣かない。× CLUB UPSET
2016年7月1日(金)@名古屋 CLUB UPSET
w/ テスラは泣かない。/ アンテナ / 或る感覚 / ワスレナ
見放題2016
2016年7月2日(土)@大阪ミナミ
SPARK!!SOUND!!SHOW!! Xクラシックリリースツアー 岡山編
2016年7月4日(月)@岡山ペパーランド
w/ SPARK!!SOUND!!SHOW!! / カルナロッタ and more…
JOIN ALIVE
2016年7月16日(土)@いわみざわ公園(野外音楽堂キタオン&北海道グリーンランド遊園地)
HOTSTUFF presents Ruby Tuesday 11
2016年8月9日(火)@新宿LOFT
w/ 挫・人間 / 最終少女ひかさ
BAR STAGE ACT : あいみょん
onion night! 8周年「onion night!lv!70」 ~梅田シャングリラ11周年祭WEEKLY JACK+1
2016年8月10日(水)@梅田Shangri-La
w/ 神頼みレコード and more…
PROFILE
空きっ腹に酒
人間不信に陥ったvocal田中幸輝が、当時高校の先輩だった西田竜大、いのまたに出逢いファンクのリズムに合わせて「音楽と踊る楽しさ」を思い出す愛と絶望の感動巨編(バンドです)。ポップからアングラまで、どんな曲をやっても結局、空きっ腹に酒。