ポスト・ロックには、2つの大きな流れがある。
海外ではトータスやマイス・パレード等のスリル・ジョッキー周辺のアーティスト。国内では、今や実力、そしてセールス共に日本を代表するバンドにまで成長したtoeや、若手を代表するLITE等を筆頭とするアーティスト達の流れだ。彼らの特徴は、何よりもドラムが面白い。ジョン・マッケンタイア(トータス)や先日KIRIHITOの竹久圏とL&K&Oとのスペシャル変態セッションを繰り広げたアダム・ピアース(マイス・パレード)の凄まじいテクニックと独創的なドラミングは、いつ見ても興奮する。国内勢も負けておらず、toeの柏倉隆史は、木村カエラのサポート・ミュージシャンを務める等、各地で引っ張りだこだ。
もう一つの流れが、海外ではシガー・ロスやムーム等、国内では、downy等が先駆者だろうか、『Capital of gravity TOUR FINAL -ONEMAN SHOW-』も素晴らしかったsgt.等、個人の技術や楽曲の独創性ではなく、映像と頻繁にコラボレートしたり、様々な楽器を導入したりしながら、楽曲に彩りを付けていく。彼らの特徴は、何よりも美しいの一言。一概には言えないが、MONOやmogwaiも、この流れになるだろう。
そして、今回紹介するnumber0は、後者の流れをしっかりと受け継ぐ、若手有望株である。詳しいバイオグラフィはわからなかったが、Vocal、Guitar、Keyboard、Programmingの吉津卓保。Programming、Keyboard、Noise、Alto Recorderの小林良穂。Drums、Sampler、Kalimba、Melodionの藤井保文。Bass、Guitar、Programmingの青葉聡希の4人組のようである。また、メンバーの藤井は、KYTEやA RED SEASON SHADEのプロモーション・ビデオを手掛ける映像作家としても活躍している。
本アルバムの美しさは、1曲目の「Cyclorama」であっという間に証明されてしまう。本アルバムにコメントを寄せているAmetsubの言葉を借りると、まさに春が見えたような曲である。目をつむって聞くと映像が想起され、映像を見ながら聞くと映像が切なげに輝きを増す。ポスト・ロック・バンドの存在が珍しくなくなった今、評価は曲でしか出来ない。そんな意味で、「Cyclorama」は全く申し分ないのである。
機会があれば、春の訪れと共にnumber0のライブに訪れてみたい。音源だけでは決して聴くことの出来ない彩りを必ず見せてくれることだろう。(text by 飯田仁一郎)
「etoile」のフリー・ダウンロードはこちら(期間 : 4/1〜4/8)
PROFILE
小林良穂、吉津卓保、青葉聡希、藤井保文の4人組。2007年、Rallye Labelより6曲入りのデビューEP『sero』をリリース。シガー・ロスやムーム、アルバム・リーフといった海外のバンドともリンクする高い音楽性、楽器に縛られない自由なアレンジとパフォーマンス、映像を使ったステージ演出が話題となり、その後EPも完売。その後も精力的にライブ活動を続け、KYTE、AU REVOIR SIMONE、I AM ROBOT AND PROUD、RUBIESやTHE LATE PARADEといった海外バンドとも共演し、ファッション・ブランドSUPPORT SURFACEの東京コレクションでもパフォーマンスを披露。また、リミキサーとしてZAZA(US)やTHREE TRAPPED TIGERS(UK)といったバンドのリミックスを手掛ける他、メンバーの藤井は映像作家として日本でも大ブレイクしたUKバンド、KYTE("Eyes Lose Thier Fire")やフランスのA RED SEASON SHADE("Oimiakon")のプロモーション・ビデオを手掛け、国内外から高い評価を獲得。
- official site : http://number0.jp/
LIVE SCHEDULE
- 4/12(月)@渋谷o-nest
DJ : Dela (CMFLG) / morrissy (chimera)
Sweets : Kazuko Shimazaki (sunday bake shop)
open 20:00 / start 20:30
adv 3,500円 / door 4,000円
- 4/19(月)@渋谷o-nest
DJ : Dela (CMFLG) / morrissy (chimera)
Sweets : Kazuko Shimazaki (sunday bake shop)
open 20:00 / start 20:30
adv 3,500円 / door 4,000円
圧倒的な情景を
For Long Tomorrow / toe
『New Sentimentality ep』以来4年ぶりとなる本作は、原田郁子(クラムボン)をフィーチャリングしたリード・トラック「After Image」、フジ・ロック・フェスティバル07で好評を得た土岐麻子バージョンの「グッドバイ」、そして朋友千川弦(Ex.Up and Coming / Pre.Dry River string)をゲスト・ボーカルとして迎えた「Say It Ain't So」を含む全13曲を収録。新たなフェーズへと突入したサウンドに、ただ圧倒されるばかりです。
toeインタビュー
Capital of gravity TOUR FINAL -ONEMAN SHOW-@下北沢era / sgt.
映画音楽的な手法にクラシック、ノイズ、エモ、ジャズ、即興といったジャンルを融合させてきた彼らの、高音質ライブ音源。24bit/48KHzのHQD音源で送るこのライブ・アルバムは、2009年11月25日に下北沢eraにて行われた"Capital of gravity TOUR " FINAL -ONEMAN SHOW-の軌跡を鮮明に記録。結成10年を迎えた彼らの集大成であり、新たなステージでもある1時間を越える大作を、高音質のHQDファイルでどうぞ。
sgt.特集ページ
still have nothing to be sure / Autumnleaf
USインディー・ロックに影響を受けつつ、さらにメンバー個々の多彩なバック・グラウンドが溶け込み完成したデビュー作。入念だが流麗なアレンジが施され、聴き込むほどに新しい輝きがあるプリリアント・カットのようなサウンドをつくりあげており、さらにエンジニアである美濃隆章氏(toe)の手腕をもって音響がブラッシュ・アップされ、デビュー・アルバムにして非常に完成度の高い作品となった。サウンドはまさに彼等の真骨頂。次世代インディー・ロックの礎となるだろう。
Autumleafインタビュー