【BiSH】Episode84 モモコグミカンパニー「できないって決めつけるのをやめようと思った」
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約1年ぶりの有観客ライヴ〈REBOOT BiSH〉や、今までの楽曲全てを踊った配信コンテンツ〈BiSH presents FROM DUSK TiLL DAWN〉を開催するなど、新たなステージへ進む“楽器を持たないパンクバンド”BiSH。13周目となるメンバー個別インタヴューの第2回は、エッセイ『きみが夢にでてきたよ』を執筆するなど、多彩な才能を発揮しているモモコグミカンパニーに昨年のライヴの話や、各メンバーへのソロでの活動への率直な想い。そして、これからのBiSHについて伺いました。
INTERVIEW : モモコグミカンパニー
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TO BE CONTiNUED WACK TOURでWACKのグループを連続で観て、それぞれのグループの強さを感じると共に、その中でもBiSHは群を抜いてモンスターだなと感激。その理由は、ここ最近メンバーが発言している「個々人として立つこと」が実現できているからではないだろうか。どうも彼女たちの発言に更に伸び続けるBiSHのヒントが隠れているようだ。余談だが、BiSHの新衣装はモモコさんにめちゃくちゃ似合っていることを報告しておきます。
インタヴュー : 飯田仁一郎
文 : 井上沙織
写真 : 大橋祐希
おばあちゃんになって読み返しても面白いだろうなって
──エッセイ『きみが夢にでてきたよ』、面白かったです。モモコさんがスルメになるんじゃないかと思うくらい内面を絞り出していて。
モモコグミカンパニー(以下、モモコ) : ありがとうございます。スルメ大好きなので嬉しいです(笑)。エッセイがあって救われましたね。
──こんなにさらけ出すんだと思って。内面をさらけ出して書くのは勇気がいることですよね。
モモコ : 綺麗な部分やいい面だけを書くこともできますけど、クラウドファンディングで寄付してもらって書けた本だから、かっこつけずに暗い部分や自分のドロドロした部分も含めて書いたほうがいいと思ったんですよね。言いたくないようなことでも書くことで救われる人がいるんじゃないかなって、その人が救われればいいなと思って、海に飛び込むような気持ちで書きました。
──エッセイ本を出してみてどうでしたか。
モモコ : 出せてよかったです。ファンの人の力に押されて書きましたね。私がモモコグミカンパニーとして立っていられる一番の存在というか。たとえばBiSHで出会うことがなかったら駅とかですれ違ったとしてもなんとも思わないじゃないですか。見もしないし。それがBiSHで出会ったからこそ私のことを深く知ってくれて好きになってくれて。ファンの人との奇跡的な繋がりっていつまでもあるものではなくて、本当に綺麗で儚いものだなって思うんですよね。私なんてBiSHじゃなかったらそんな応援されるような人間じゃないんですよ。だけどBiSHに入ってこんなに応援してもらえるようになったのはすごく素敵なことだなって思うので、自分がおばあちゃんになって読み返しても面白いだろうなって思います。
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──あとがきでは「私はBiSHが始まってすぐのインタビューで『オタクなんて嫌いだ』という発言をしている」と。
モモコ : OTOTOYさんの最初の頃のインタビューですよね(笑)。
当時のBiSHのメンバー初インタヴュー
──あのセリフは一生忘れないですよ(笑)。でもこういう昇華の仕方があるのかと思ってジーンとしましたね。
モモコ : あのときはオタクの愛を知らなかったから本気で言っていたんですよね。 いろいろひねくれていましたよね。
──今後も執筆予定はあるんですか?
モモコ : 書きます!とは言い切れないですけど、次何か書くんだったらエッセイではないかな。小説も相当恥ずかしいんですけど。
──小説ぜひ読みたいです。先日、芥川賞・直木賞の候補に尾崎世界観さんの『母影』や加藤シゲアキさんの『オルタネート』が選ばれたじゃないですか。バンドやアイドルをしながら候補に選ばれて。
モモコ : すごいですよね。でも忙しいとは思うんですけど、バンドマンだからとかアイドルだからとか関係ないよなって思うんです。私の中では職業作家1本でやっている人と、アイドルが本業で作家もやっている人、どっちがかっこいいとかそういう優劣は全くなくて。同じ作家さんだって思うし、そういう人間がいるっていうことは私にとってすごく心強いことですね。
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