なによりこの曲がBiSHにあって本当によかった
──久々の有観客ライヴ〈REBOOT BiSH〉はどんなライヴになりましたか。
モモコ : ライヴって現場だけがすべてではなくて、それまでの道のりも組み込まれているものなんだなって実感しました。私たちも関係者もファンの人も、ずっとその日に希望を託していた感じがしたんですよね。こういう時期なので、行けない、行きたくないっていう人ももちろんいる中で、行くって決めて現場に足を運んでくれた人、みんなが主役だったなって。
──実際にライヴをしてみていかがでしたか。
モモコ : いつも私は裏切っちゃいけないっていう気持ちが強いんです。振りを間違っちゃいけない、来た人にBiSHってこんなもんかって思われちゃいけない、足手まといにならないようにしなきゃいけない、とか。でも今回は自分も100%楽しめたんです。ガッカリされないようにっていうマイナスの部分を減らすんじゃなくて、全力で這い上がって伝えようって、気持ちをそっち側に持って行けたのが本当によかった。お客さんが同じ空間にいるだけでありがたいし力になります。
──印象に残っている曲はありますか?
モモコ : “スパーク”がよかったですね。はないちもんめの振りでメンバー同士が目を合わせたりとか、歌詞に背中を押されたというか。そのときの自分の心情に一番合っていたし、なによりこの曲がBiSHにあって本当によかったと思ったんですよね。「息吸えるか 確かめる」とか「血がめぐるのを確かめる」とか、コロナ禍になって生きることがどれだけ大変なことかっていうのを思い知らされたりもしたので。いろんなBiSHがあるけど、原点に帰れたなって思えてよかったですね。
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──〈REBOOT BiSH〉も終わって再び緊急事態宣言が出ている状況(取材日2月18日)ですが、モモコさんはどう過ごしていますか。
モモコ : 仕事に繋がるようなことはコソコソ書き溜めるとかそういうことですかね。この数ヶ月メンバーの個人活動を傍らで見ていて、すごい頑張っているから私も頑張らなきゃなって自分自身に向き合えました。
──PEDROの武道館を観てどう思いましたか。
モモコ : 私の知っているアユニじゃなかったですね。やっぱりPEDROのアユニだなって思いました。どっちが上とか下とか全くないですけど、やっぱり顔つきが違っていたりとか、背負っているものが違っていたりとか。めちゃくちゃ堂々として見えました。かっこいいな、あのバンドの中でも頼もしい存在なんだろうなって思ったし、アユニ自身も背負うものがたくさんあるだろうなって思いました。
──アイナのソロも聴きましたか?
モモコ : はい。すごいやりたいことをやっているイメージですね。夢がありますよね。BiSHに入る前のアイナの活動とかもちょっと知っていたから、その頃のことを思うと、1人でアーティストとして活動するっていうことは夢だったんだろうなって言わなくても分かるし、やりたいことができて本当によかったなって思っています。
──メンバーが個人活動をすることは、モモコさんにとって刺激的なことですか?
モモコ : そうですね。でも、この子がこうしているから私もこうしよう、とはあんまり思わないかもしれない。同じグループの人だけど他人事にも思えるんですよ。それは別に悪いことではないと思っていて、その子の人生だから、ソロの活動にBiSHを持ち込んだり私も入り込みすぎる必要もないし、いい意味でフラットに見られるから個人戦っていう感じですよね。個人活動の感想をきかれると、たまにちょっと困っちゃうんですよね。同じメンバーだけど、ソロで出しているアイナ・ジ・エンドは同じメンバーじゃないから。それは、その子の人生の延長戦な感じがしていて。
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──BiSHの外側にある、6人それぞれの世界ってことですよね。
モモコ : そうですね。だから踏み込みすぎないように、曲を聴くときは同じメンバーだからとかではなくて、1人のリスナーとして聴いています。でもすごく誇らしいなって思います。私ももっと自分の道を見ようって思わせてくれますね。いまのBiSHは、手を伸ばしたりすれば何でもできる可能性があるから、本当に面白さと刺激を兼ね備えたミラクルなグループだなって。個性があるっていうことは1人1人戦える素質があるってことなのかなと思っているし、自分も違うことをしてもいいんだっていう安心感と、ちゃんとやらなきゃなっていう緊迫感がありますね。
──配信シングル「STORY OF DUTY」はどんな曲になりましたか。
モモコ : 軍艦島で撮影したのがすごく楽しかったです。あれが最後の修学旅行になったような感じがしましたね。みんなで遊んだり、ふざけ合ったりできた何日間だったので、ソロ活動とかバンバン始まる前にそういう時間を与えてもらったのは嬉しかったです。
──あれいつ頃でしたっけ?
モモコ : 全く覚えていないな(笑)。
──(笑)。何をして遊んだんですか?
モモコ : それも覚えていないですね(笑)。でも、曲については「息しにくい未来も 切り開く方法があるさ」とか、ゲームの世界に沿った歌詞がいまの状況ともリンクして、もっと死ぬ気で毎日戦わなきゃいけないんだなって思いました。BiSHって不思議とそのときの自分やグループの状況に合った世界観の曲をリリースするので、背中を押されることが多くて面白いです。
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