2023/06/23 18:00

【BiSH連載 最終回】Bye-Bye BiSH!!!──解散直前スペシャル大特集

BiSH

2023年6月29日に開催される東京ドームでのワンマン・ライヴを最後に解散する、“楽器を持たないパンクバンド”BiSH。「BiSH~Rock'n Roll Swindle~ 二番煎じは本物を超えられるのか?!」と題して、結成当初から彼女たちの姿を追い続けてきたこの連載も今回がついに最終回!

ラストということで、OTOTOYではBiSH解散直前スペシャル大特集をお届けします!まずは、これまで長きに渡って個別にインタヴューを行ってきたOTOTOYですが、最後は特別にメンバー全員を招集。活動をはじめた初期の頃から現在までのことを振り返ってもらいました。彼女たちはどれだけ泥だらけの道のりを駆け抜けてきたのか。ロング・インタヴューでたっぷり彼女たちの知られざる苦労と努力の歴史を紐解きます!さらには、BiSHの結成当時から行っているOTOTOYの膨大なインタヴュー・アーカイヴから、彼女たちの活動の軌跡を追う年表を作成。メンバー6人それぞれの発言を拾い集め、その軌跡を辿ります!

最後の最後まで、彼女たちの想いを感じてください!Bye-Bye & Thank You BiSH!!!

いま振り返る、これまでの日々──BiSH解散直前ロング・インタヴュー!

【BiSH連載 最終回】BiSH解散直前ロング・インタヴュー!

BiSHメンバーの歴史を辿る──年表、そしてその発言集

【BiSH連載 最終回】アイナ・ジ・エンドが駆け抜けた日々

【BiSH連載 最終回】セントチヒロ・チッチの熱い想い

【BiSH連載 最終回】モモコグミカンパニーが紡いだ言葉たち

【BiSH連載 最終回】ハシヤスメ・アツコの目に映ってきたもの

【BiSH連載 最終回】リンリンが描いてきた世界

【BiSH連載 最終回】アユニ・Dの進化の記録

節目となった数多のライヴ──オリジナル・ライヴレポート集

【BiSH連載 最終回】オリジナルライヴレポートでたどるBiSHの軌跡

祝完走!「BiSH~Rock’n Roll Swindle~」を終えて…

文 : 飯田仁一郎

「BiSをもう一度やる」と渡辺淳之介さんに告げられた時、彼の発想は大体において想像を超えてくるので頭が追いつかなかったし、「いいんじゃないですか」くらいなあいまいな返事をした気がする。でもオーディションに参加させてもらって、チッチとアイナとモモコとハグ・ミィとユカコが決まって、「スパーク」を聴いた時に、「この人たちをできる限り追いたい」と思った。渡辺さんの歌詞と松隈さんの楽曲が素晴らしく明確に他のアーティストと一線を画していて、「これはでかくなる」という予感もしたし、初期BiSの時に彼女たちが急激に大きくなって自分たちの手から離れてしまった感覚があって追い続けれなかった後悔もあったから。

チッチはオーディションから中心にいるオーラがあって、渡辺さんが彼女を軸にしたいと考えているのがわかった。アイナは、歌とダンスがオーディションにきてた人たちとはレベルが違って、もう絶対に採用すべきだと思った。モモコは、あまのじゃくそのままでやってきて、でも前髪をあげて顔を見せてくれた時の恥ずかしそうな笑顔はとても印象に残っている。ハシヤスメは、最初からキャラがしっかりしてて、その強さはBiSHに必要な存在と思わせてくれた。リンリンは遅刻してきて、同じくオーディションを受けにきていたお姉さんがとても心配そうにしていたのだけど、部屋に入ってきた時の堂々とした感じは忘れられない。アユニの時は、もう他の人とは群を抜いて目立ってて、まだ何もないけれど、この人が成長するところを見たいと自然に思わせてくれた。

それが彼女たちの最初の印象だ。そして、OTOTOYで個別インタビューが始まった。まぁ、みんなのしゃべれなかったこと(笑)。特に、リンリンとアユニ。でも、しゃべる上手さは違えど、皆に共通していたのは、とにかく一生懸命インタビューに向き合ってくれたことだ。涙を見せたことも、雑談ばっかりだったことも、一言出るのに5分かかったこともある。でも、彼女たちが手を抜いたことは一度もなくて、だからこちらもずっと必死に話し続けた。そしていつの間にか、半年に一回それぞれと会って喋ることを、本当に心待ちにするようになっていった。

並行して、できるだけBiSHのライブに通うようにした。時には地方も。もちろん自身が行きたかったからだ。それほど彼女たちのライブは魅力的だったし、調子が出ない日もあっただろうけど、それでも全てのライブ、特にワンマンでは毎回感動させてもらった。何度聴いてもあきない曲の良さ。そしてアイナの作るダンスは、完全に揃えようとしないので、毎ライブどこか違っていて楽しかった。そして何より、グループとしてどんどん成長していく姿。アユニが入って、サビの部分でチッチとアイナとアユニのボーカル三連星を聴いた時はぶっ飛んだし、モモコはいつでも人一倍大きく踊っていたし、リンリンのデスボイスはマジで最強だし、ハシヤスメのコントは、ほんとずっと楽しみにしていた。どんだけ通っても飽きることはなかったし、解散が発表されてからは、涙を流さないライブはなかった。ライブのラスト、「beautifulさ」で満杯のお客さんとともにみんなでトゲトゲダンスを踊る景色を眺めていると、楽しすぎていつまでもこの景色が続きますようにと願った。

敢えて自身のベストをあげるとしたら、彼女たちのライブがアートになったと思わせてくれた2018年12月22日の幕張メッセ「BRiNG iCiNG SHiT HORSE TOUR FiNAL “THE NUDE”」と、コロナを経て彼女たちの清掃員への向き合い方が変わった、そして清掃員も本当に待ち望んでいた332日ぶりに行われた有観客ライブ「REBOOT BiSH」@国立代々木競技場第一体育館。もちろん最初の中野heavysick ZEROも「オーケストラ」が伝説となった野音も、東京ドーム公演を発表した「世界で一番綺麗なBiSH」も最高だったし、解散の東京ドーム公演はもちろん過去最高を超えてくれると思っている。

ずっとBiSHを追っかけていたことで、よく訊かれることがある。「なぜBiSHが売れたと思いますか?」。もちろん運が良かったと思うし、個性が際立ったメンバーだったし、渡辺さんのプロデュース力や、松隈さんの楽曲の良さ、外林さんの衣装の凄さ、アユニの急成長や、アイナやチッチが歌が上手いとか、さまざまな理由をあげることができる。

敢えて書くなら、個人的にはアイナが小学生から高校までに経験したダンスレッスンでの経験だ。ぜひ当時の記事を読んでみてほしい。(2020年2月4日掲載インタヴュー)

BiSHは、パフォーマンスへの意識と、メンバー同士の距離感が他のグループと根本的に違っていた。振りを完璧に揃えること、メンバー同士でパーソナルなことも含めなんでも話しあうことなど、よく知るバンドやグループでは正しいとされていたことが、BiSHでは正しくなかった。振りを揃えることよりも大事なことがあるとアイナはずっと言っていたし、それぞれのパーソナルには自然に踏み込まないようにしていると、メンバーは皆口を揃えて言っていた。グループとしてうまくいかない時に、とにかく話し合って、喧嘩して、励まし合って、全てを言って… それをして上手くいかなくなったグループを何度も見てきたので、BiSHのようなやり方があるんだと気付かされた。でもそれって、ある程度グループ活動を経験した人じゃないと行きつかない考えだし、そんなことができたのは、学生時代にアイナが先んじて超厳しい環境で、ダンスの自由さを尾沢奈津子先生から教わり、グループ活動の難しさを経験していたのが大きいように感じている。そしてその経験を、そのままメンバーに浸透させていき、それを受け入れることができるメンバーだったことが、BiSHがここまで大きくなった理由の一つだと思っている。

もういくらでもかけちゃうのでそろそろ手を止めようと思う。それにしても、この連載「BiSH~Rock’n Roll Swindle~」を107回も続けてこれたことは本当にすごいことだ。続けさせてくれた渡辺さんとWACK & エイベックスのスタッフの皆様。そして作り続けてくれた、OTOTOYのスタッフ。彼らなくしてこの連載は成立しませんでした。そして素晴らしい写真を撮ってくれた外林健太さんと大橋祐希さん。個々の年表で成長が一望できるのは、OTOTOYの財産です。そしてずっと読み続けてくれた清掃員の皆様。マジの話、OTOTOYのPV数を支えてくれたのはみなさまです。本当に本当にありがとうございました。最後は、メンバー。一緒に成長してくれてありがとう。夢を見せてくれてありがとう。BiSHを追いかけることができたこの7年間は、まじでかけがえのない宝物です。みなさんに会えて良かった。追い続けて良かった。東京ドームおめでとう! そして終わったら、どこかで「おつかれさま」と言わせてくださいね。

LiVE iNFORMATiON

東京ドーム解散ライブ【Bye-Bye Show for Never】

2023年6月29日(木)
東京ドーム
open / start 16:00 / 18:00

詳しくはこちら
https://www.bish.tokyo/news/

PROFILE

アイナ・ジ・エンド、セントチヒロ・チッチ、モモコグミカンパニー、ハシヤスメ・アツコ、リンリン、アユニ・D からなる“楽器を持たないパンクバンド” BiSH。
2015年3月に結成。5月にインディーズデビュー。2016年5月avex traxよりメジャーデビュー。
以降、「オーケストラ」「プロミスザスター」「My landscape」「stereo future」等リリースを重ね、横浜アリーナや幕張メッセ展示場等でワンマンを開催し、ロックフェスにも多数出演。

>>BiSH オフィシャル HP

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