【BiSH】Episode64 セントチヒロ・チッチ「誰かの頭の中にあるBiSH像やBiSHの概念を壊したい」
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2018年3月発売のメジャー3rdシングル『PAiNT it BLACK』がオリコン・ウィークリーチャート1位を獲得、日本レコード大賞新人賞を受賞し、幕張メッセ9・10・11ホールにて1.7万人を動員した単独ワンマン公演〈BRiNG iCiNG SHiT HORSE TOUR FiNAL “THE NUDE”〉を成功させた"楽器を持たないパンクバンド”BiSH。2019年7月3日、メジャー3rdアルバム『CARROTS and STiCKS』をリリースするBiSHに10周目となる個別インタヴューを敢行。第1回は、セントチヒロ・チッチの声をお届けする。
メジャー3rdアルバム、発売決定!!
BiSH / CARROTS and STiCKS
発売日 : 2019年7月3日(水)
<初回生産限定盤>ALBUM2枚組+Blu-ray Disc+PHOTOBOOK・BOX仕様
AVCD-96297~8/B
10,000円(+tax)
<DVD盤>ALBUM2枚組+DVD
AVCD-96299~300/B
5,800円(+tax)
<MUSIC盤>ALBUM2枚組
AVCD-96301~2
3,900円(+tax)
<CD盤>ALBUM
AVCD-96303
3,000円(+tax)
新曲4曲収録EP
BiSH / STiCKS
配信日:2019年4月3日 0時~Apple Music限定で配信開始
1. 遂に死
2. FiNALLY
3. 優しいPAiN
4. FREEZE DRY THE PASTS
BiSH / 遂に死(OFFiCiAL ViDEO)BiSH / 遂に死(OFFiCiAL ViDEO)
新曲4曲収録EP
BiSH / CARROTS
配信日:2019年5月3日 0時~ Apple Music限定で配信開始
1. I am me.
2. まだ途中
3. CAN YOU??
4. NO SWEET
BiSH / I am me. (OFFiCiAL ViDEO)BiSH / I am me. (OFFiCiAL ViDEO)
INTERVIEW : セントチヒロ・チッチ
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インタヴュー : 飯田仁一郎
文 : 井上沙織
写真 : 外林健太
今の若い子たちにも生き抜く力をもらってほしい
──初めての自主企画イベント〈THAT is YOUTH!!!!FES curated by CENT CHiHiRO CHiTTiii〉の開催が近づいてきましたが、いつ頃からやりたいと考えていたんですか?
セントチヒロ・チッチ(以下、チッチ) : 2年前くらいですね。ライブの打ち上げで先輩方に「BiSHは自主企画やらないの?」って言われたことがあって。バンドの人は“自主企画”っていうものが当たり前にあるじゃないですか。でもBiSHにとっては当たり前じゃなくて。それに気づいたときに自分で何かをしてみたいなって思ったんです。今までのライブは全て渡辺さんやスタッフが決めてきて、良い状況でやらせてもらってありがたいことだったんですけど、何かひとつでもアクションを起こしてみないと変われる気がしないなと思って。“楽器を持たないパンク・バンド”って言ってる以上、自分たち発信で何かしたいって思っていました。
──そこから実現するために、どう動いていったんですか?
チッチ : 渡辺さんと対談したときに「何かやりたいことないの?」って聞かれて、「自主企画やりたいです」って言ったんですよ。そしたら「いいじゃん、やろうよ」って言ってくれて。まだ無理だって言われると思ってたので驚きましたね。
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──しかもいきなりZepp Tokyoで。
チッチ : 最初はライブハウスでやろうと思っていたんですけど、たまたまZepp Tokyoが空いていて。せっかくZepp Tokyoでやらせてもらえるなら頑張ろうと思って、日付と場所だけ押さえてもらって、そこからブッキングを考え出しました。
──まずは誰に声をかけたんですか?
チッチ : リーガルリリーです。「今日会えない?」って連絡して会って、「自主企画するから出て欲しいんだけど」って話をしたら「絶対出るよ!」って言ってくれて、速攻決まりました。リーガルリリーは同じ女の子としても尊敬してるし、日本を飛び越えてもっと彼女たちの音楽を知ってほしいとも思う存在です。人の意見とか関係なくて、囚われることなく自分の思想や音楽を貫いててすごくかっこいい。
──リーガルリリーのどんなところを観てほしいですか。
チッチ : 音の渦の中で、ほのかちゃんが儚い花が咲いたように歌い出す瞬間がゾクゾクするので、そのゾクゾクを味わってほしいです。あと、彼女はライブや人となりをみていると天使か悪魔か分からない瞬間があるんですよ。リーガルリリーの音楽もそうで、その不気味な感じっていうのは他の人にはないから、それを感じて欲しい。
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──GEZANはどうして声をかけたんですか。
チッチ : GEZANも大好きだから。2年前のSET YOU FREEで対バンしたときに観て、「これはヤバい!」って一瞬で引き込まれました。それからライヴに通うようになったんですけど、観ていくうちに変化していってるというか、火をまとったドラゴンがどんどん大きくなってるようなイメージがあります。
──GEZANのどんなところが好きですか。
チッチ : マヒトゥさんは丁寧に音楽をやることをすごく大事にしていて。私は伝えたいことは必死にやれば伝わるって思っていたから、丁寧に生きて、自分の言葉や音楽を丁寧に伝えるのも大切なことだなって気づかされたんです。音楽は耳で聴くものだけど、箱の中に閉じ込められてるものじゃなくて、自分の身体で感じてやっと分かるんじゃないかなって思うから、何より体感してほしいバンドですね。
──そして御大eastern youth。決まってよかったですね。
チッチ : よかったです。私はいじめられたりして人間怖いな、明日来るの嫌だな、って思っていた時期があって。そのときGOING STEADYの音楽を知って青春パンクにハマっていろんな音楽を聴きだしていったんですけど、eastern youthの曲は「頑張れ」とかそういうのじゃなくて、生き抜く力があるというか。その頃は吉野さんのことを全然知らなかったですけど、曲を聞いて吉野さんは地の底を知っていて、必死に生き抜いているのかなっていうのを感じたので、私も頑張ろうかなって思えたんです。今の若い子たちにもその生き抜く力をもらってほしいと思って、今回声をかけさせてもらいました。
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──なるほど。生き抜く力ですか。
チッチ : あとはBiSHの初めての曲が「スパーク」で、タイトルからTHE YELLOW MONKEYをイメージする人が多いけど、私はeastern youthの「夜明けの歌」のイメージが大きいから、私の中ではBiSHのルーツ的な存在なんです。だからこそ自主企画の1回目に絶対に出て欲しかった。
──いいアーティストが集まったし楽しみですね。
チッチ : 楽しみです。このイベントで、年齢問わず青春を感じて欲しいんです。青春って人生のある一定期間じゃなくて、自分が心の中で決めたその瞬間だと思っているから、何度でも青春はくると思っていて。私は学生時代があんまり楽しくなかったから、高校生で音楽と出会ったときの感情も、今こうやって音楽をやってることも両方青春だと思ってるんです。自主企画をする理由のひとつに、新しい音楽に出会ってほしいっていう気持ちがあって。おじさん世代のファンの人には、こんなにかっこいいことをやってる若いバンドがいることを知ってほしいし、逆に若い世代の人には、昔からこんなにかっこいいバンドがいるんだよって伝えたい。どのバンドも表現者としてすごく尊敬していて、その場にいる人たちに伝える力が強い3組なので、来た人は素直に感じていってほしいですね。
人によって絶対感情が分かれると思う
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──ニュー・アルバム『CARROTS and STiCKS』の「FiNALLY」はチッチ作詞ですが、どんなテーマがあったのでしょう。
チッチ : 私は現在進行形の自分の心情を書くことしかできないので、思ってることを吐き出しました。そのときはSNSとかでひとつのことに対して攻撃したり、リツイートだ、いいね!だ、フォロワー数だ、みたいなことにこだわってるのに腹が立ってきていて。しかも結局人が集まるのは誹謗中傷のことばかりで気持ち悪いなって。
──それは何か具体的な出来事があって?
チッチ : いや、最近どうこうというよりずっと感じてきたことで。私もメンバーもいろんなことを言われることがあって、そういう経験をしながら、ステージでは自分の中のハッピーな部分ばかり出していたら、汚い部分が溜まっていた感じです。
──こういう活動をしている以上、SNSを見ないようにすることも難しいですよね。
チッチ : そうですね。言葉ひとつで人は殺せると思うから、ニュースやSNSの言葉ってすごい鋭い刃物だな、怖いものだなって思います。私の書いた歌詞でもしかしたら傷つく人がいるかもしれないけど、救われる人もいるんじゃないかなという思いで書きました。「FiNALLY」は、私の中では渡辺さんが浮かんだんです。渡辺さんって楽しそうだし、友達も多いし、いろんなことをやっててハッピーに見えるけど、実は一番孤独な人間だなと思っていて。WACKの中でもいろんなことがあって、渡辺さんがいろんなことを言われてるのを見たときに、遠い向こうのほうで1人佇んでいるイメージがあった。影みたいな、今にも消えそうだけど消えることができない存在で、「FiNALLY」の登場人物としてぴったりだなって。
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──「FiNALLY」の歌詞はこれまでと少し毛色が違うように感じましたが、チッチ自身、何か変わったことはありますか?
チッチ : 対話することをすごく大切にするようになりました。誰かと1対1で面と向かって話していく中でいろんな考えを知れることが私にとってはすごく大事で。人の考えてることを聞いただけだとそれまでなので、そこから自分で考え抜いて終着点を見つけるようになりましたね。そうすることで自分の中で意義が見えて、意志が芽生えるから。
──『CARROTS and STiCKS』はどんなアルバムになりましたか。
チッチ : 人間っぽいアルバムだなって思います。人によって絶対感情が分かれると思う。「CARROTS」と「STiCKS」の正反対な曲があって、「STiCKS」のイメージがどうしても強く捉えられるかもしれないけど、実は新しく足された6曲がすごく力を持っていて、大事だと思っています。「CARROTS」と「STiCKS」の間を調和しつつ、人間の本質的な部分を語ってくれている、一番人間っぽい曲。
──なるほど。
チッチ : 特に歌詞が弱さも情けなさも吐き出していて。今までは光に向かって必死にもがいたり、まだつかめないもどかしい気持ちっていうのがテーマかなと思っていたんですけど、今回はどこかで渡辺さんやメンバーの弱さとか人間らしさを見せていこうかなっていう気持ちがあったのかなって。本人と話したわけじゃないですけど、それぞれの捉え方でいいかなと思ってます。
──今までとは決定的に雰囲気が違って、本当に挑戦的なアルバムだと思いました。
チッチ : BiSHの人間らしさというか、いろんな顔があることが世の中に伝わったらいいなと思います。誰かの頭の中にあるBiSH像やBiSHの概念を壊したい。過激なのがBiSHだって思う人もいれば、メロディアスな「オーケストラ」とか「プロミスザスター」みたいな曲がBiSHだって思う人もいて、なんならコメディがBiSHだって思ってる人もいるから、こんなにいろんな顔があるアルバムを聞いて、もっと新しいBiSHに出会ってくれたらいいなって思います。
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前回の記事はこちら
LIVE INFORMATION
THAT is YOUTH!!!!FES curated by CENT CHiHiRO CHiTTiii
2019年7月16日(火)@Zepp Tokyo
時間 : Open 17:30 / Start 18:30
出演 : BiSH / eastern youth / GEZAN / リーガルリリー
チケット料金 :
1Fスタンディング 5,000円(税込)
2F指定席 6,000円(税込)
※18歳未満キャッシュバックあり(身分証提示で¥3,000キャッシュバック)
w.pia.jp/t/tiyf
And yet BiSH moves.
2019年9月23日(月・祝)@大阪城ホール
時間 : Open 17:00 / Start 18:00
チケット料金 :
S席 : 15,000円(税込)
A席 : 7,000円(税込)
B席 : 3,500円(税込)
BiSHファンクラブ抽選先行
【受付期間】5月9日(木)20:00~5月20日(月)23:00
【受付URL】https://bish.fc.avex.jp
WACK FAMiLY CLUB抽選先行
【受付期間】5月21日(火)20:00~5月27日(月)23:00
【受付URL】https://wackfamilyclub.com
HP抽選先行一次
【受付期間】5月28日(火)20:00~6月3日(月)23:00
【受付URL】http://w.pia.jp/t/bish/
HP抽選先行二次
【受付期間】6月4日(火)20:00~6月10日(月)23:00
【受付URL】http://w.pia.jp/t/bish/
プレイガイド統一抽選先行一次
【受付期間】6月11日(火)20:00~6月17日(月)23:00
【受付URL】http://w.pia.jp/t/bish/
プレイガイド統一抽選先行二次
【受付期間】6月18日(火)20:00~6月24日(月)23:00
【受付URL】http://w.pia.jp/t/bish/
プレイガイド統一抽選先行三次
【受付期間】6月25日(火)20:00~7月1日(月)23:00
【受付URL】http://w.pia.jp/t/bish/
一般発売日 8月17日(土)AM10:00~
LiFE is COMEDY TOUR
2019年6月29日(土)@新潟 新潟LOTS ※SOLDOUT!!
2019年6月30日(日)@新潟 新潟LOTS ※SOLDOUT!!
2019年7月2日(火)@東京 Zepp Tokyo ※SOLDOUT!!
2019年7月3日(水)@東京 Zepp Tokyo ※SOLDOUT!!
チケット一般発売中:https://l-tike.com/concert/mevent/?mid=355687
PROFILE
アイナ・ジ・エンド、モモコグミカンパニー、セントチヒロ・チッチ、ハシヤスメ・アツコ、リンリン、アユニ・Dの6人からなる楽器を持たないパンク・バンド。BiSを作り上げた渡辺淳之介と松隈ケンタが再びタッグを組み、彼女たちのプロデュースを担当する。ツアーは全公演即日完売。1stシングルはオリコン・ウィークリーチャートで10位を獲得するなど異例の快進撃を続けている。