“完璧なデビューアルバム”──オルタナティヴ・ロック・アイドル「NO MARK」セルフライナーノーツ掲載
オルタナティヴ・ロック・アイドル、NO MARKが、2018年12月21日に1stアルバム『SET YOU FREE』をリリース。オルタナティヴ・ロックを基調としつつ、エモやラウド、メロディック・パンク調の楽曲など、デビュー作にふさわしい全10曲を収録。OTOTOYではアルバム発売日前日のまで、なんと本作を無料配信!! そして本特集で同作のレビューと、メンバー&プロデューサーによるセルフライナーノーツを掲載。アルバム発売日の12月21日からは東名阪を回るツアーを開催、年明けには初のワンマン・ライヴも予定しているNO MARKが2019年は旋風を巻き起こす!!
期間限定フリー配信実施中!!!
NO MARK / SET YOU FREE
【収録曲】
1. Dawn of Hope
2. I'm not you
3. this rulez
4. メランコリック
5. リグレット
6. thousand sky
7. コトバアソビ
8. I Scream Candy
9. set you free
10. hide your eyes
【配信形態】
MP3
【配信期間】
2018年12月14日(金)19時〜12月21日(金)0時
REVIEW : 完璧なデビューアルバム
text 西澤裕郎
当たり前のことだけど、デビューアルバムはそのグループにとって1回きりの大切な作品だ。グループの名刺であり、これからどのような方向に進んでいくのかを占う非常に重要な1作ともなる。
2018年4月に突如活動をスタートさせた4人組のアイドル・グループ、NO MARK。これまでライヴを中心に活動をし、メンバーの脱加入もありながら、3曲のデジタル・シングルをリリースしてきた彼女たちが、満を持して1stアルバム『SET YOU FREE』を12月21日にリリースする。
正直、このアルバムを聴いたとき、完璧なデビューアルバムで驚いた。
今作の作曲、編曲はすべて、プロデューサーのyUsUkeが行っている。それだけではなく、レコーディングエンジニア、ミックスエンジニア、「リグレット」のベース以外の楽器と打ち込みもyUsUkeが1人で担当している(作詞は「リグレット」、「メランコリック」、「コトバアソビ」の3曲をメンバーの宮部すずが担当、それ以外をyUsUkeが行なっている)。
もともとyUsUkeはバンドのギタリストであり、近年はつばさFlyの楽曲制作をきっかけに自身でもアイドル・グループWiLLをプロデュース、昨年には独立しPRIMAL GLOWという事務所を立ち上げている。クリエイターでもあり起業家としての側面も持っているyUsUkeが、自分の土俵で作り上げた集大成的ではじめの一歩を踏み出すデビュー・アルバムと言い換えることもできる。
これまでのyUsUke作品は、どこか気負いがあったり、悪い言い方をすればコンセプトに寄せたように感じる部分があった。ある意味、言い訳できる余白があるようなくらい彼自身の嗜好は抑えられているように感じられた。アイドルというフォーマットの上では至極まっとうなことで、プロデューサーの色だけを押し通すのであれば、自分で音楽をやればいいことになってしまう。
しかし、このNO MARKのデビュー作『SET YOU FREE』ではyUsUkeの嗜好が全開で発揮されている。包み隠すことなく、彼の好きなものや影響を受けてきた音楽がNO MARKというグループに憑依するような形で昇華されているのである。
やもすれば、プロデューサーのエゴにまみれた作品になってしまうかと思いきや、いい意味で余白があり、そこをメンバー4人が補完するといったバランスが保たれている。オルタナティブ・ロック、メロディック・パンク、時にラウドロックや現行のJ-ROCKを感じさせるサウンドの上で、メンバー4人が自分たちの意思を持ってシャウトし、歌いきる。
メンバー4人の声も楽曲と実にマッチしている。アイドルらしすぎないけれどかわいさを感じる高音に、時にデスヴォイスや哀愁を感じさせるような表現力を持っており、グループの物語を知らなかったとしても純粋に楽曲で勝負できる可能性を秘めている。
そうした作品が完成した背景として、2018年4月〜11月にかけて、yUsUkeの事務所内に作られたブースでヴォーカルも楽器もレコーディングされていることが挙げられる。メンバーたちとともにライヴ会場を回り、時間を作っては事務所のブースでレコーディング、まさに時間も場所も機材も制約がある中でメンバーと顔を突き合わせ制作された。だからこそ、まるでバンドのようにグループで作り上げたといえる作品になっているのだろう。
そういう意味で、本作『SET YOU FREE』は完璧なデビューアルバムだと思う。より多くの人たちに届くべき作品だと思うし、こういう化学反応が起こるから録音作品を聴くのを辞められない。
2018年最後のインパクトを与えるデビューアルバムの誕生をうれしく思う。
メンバー&プロデューサー(yUsUke)セルフ・ライナーノーツ
1. Dawn of Hope
汐宮しゅり
私はゲームが好きなのですが、ゲームの世界の高原で夜が明けて日が昇る時なんかに流れていそうだなぁと連想しました。今回のフル・アルバム唯一のインスト曲ですが、この1分ちょっとで人それぞれ色んな背景を想像できると思います。是非じっくり聴いてみてください。
yUsUke
今回のアルバムの導入部分を考えた時に、当初は普段実際にライヴで使っている登場用のSEを入れようと思っていたのですが、ふと「Dawn of Hope」という言葉が浮かび、ピアノ曲を入れることを思いつきました。実際に鍵盤に向かって即興で弾いたフレーズをほとんどそのまま採用しているのですが、タイトルに込めた想いをしっかりと表現できたんじゃないかと思ってます。個人的にもかなり気に入ってます。
2. I'm not you
坂元優美香
NO MARKの始まりであり代表曲。普段ロックを聴かない私にとって、「I’m not you」はまさに私が思い描いていたロックそのものでした。NO MARKの楽曲はメッセージ性の強い曲が多いですが、その中でも特に強いメッセージ性の強い曲なんじゃないかと思います。ライヴではメロディを主に体感している方がたくさんいると思うので、このアルバムを機に歌詞にも注目して聴いてみてください。
yUsUke
NO MARKというグループを作ろうと思った時に、まず最初にできた楽曲です。ロック・アイドルといえばハードロック主体か、メタルを含むラウドロック主体のグループが多いと思いますが、自分のルーツでもあるオルタナティヴ・ロック、エモといったサウンドアレンジを目指しました。デモの段階から「I'm not you」というタイトルが付いていて、「自分は他の誰でもない」といったメッセージを歌詞に込めています。NO MARKの代表曲としてライヴでこれから更に成長していって欲しい楽曲です。
3. this rulez
汐宮しゅり
ロック・アイドルになれることが決まった時1番最初に「やりたい! 挑戦したい!」と思ったのがデスヴォイスを出すことでした。初めてのデスヴォイスで出し方がわからなかったり声が枯れたりなど大変なこともたくさんあったのですが、毎回ライヴを重ねる毎に少しずつ成長できていることが実感できてすごくやりがいを感じています。BPMも早めですし、曲中にブレイクダウンの箇所もあるのでライヴでは自由に暴れ回って欲しいなと思います。
yUsUke
メンバーの汐宮のスクリームをしたいという発言から着想を得てできた楽曲。こういった疾走感のある楽曲は自分の得意とするところなのですが、聴いていて単調で退屈になってしまわないよう、コードのテンション感や間奏のブレイクダウンなどのアレンジに気を使いました。全英詞というのは自分にとっては割りとオーソドックスなのですが、メンバーからしたらレコーディングやライヴで慣れるまではかなり苦労した点かもしれないですね。
4. メランコリック
宮部すず
今回アルバムを制作するにあたり作られた楽曲で、私が作詞をさせていただいた楽曲です。静かなAメロから始まり徐々にリフトアップしていきサビに入るという印象です。NO MARKの楽曲の中でも特に"静"と"動"の対比が見られる1曲だと思います。歌っていることは決して明るくはないのですが、メンバーの声が相まってサビでは明るい未来が待っているかのような錯覚をさせるイメージを持てます。最後のサビでは、一方が歌っている中でもう一方が歌い出す箇所があるのですが、今までのNO MARKの楽曲では無かったので個人的に聴き所となっております。
yUsUke
アルバムの引き締め役として書いた1曲。サウンドはいわゆる西海岸系のポップパンクですが、ブリティッシュな匂いも多少あって、いい緊張感のある楽曲になったと思います。今回のギター・レコーディングで3本のエレキギターとアコギの計4本のギターを使ってますが、歪みまで全てストラト1本で録ったのはこの楽曲だけ。現時点ではまだライヴ未発表ですが、ライヴでもいいフックになる楽曲なんじゃないかと思っています。
5. リグレット
宮部すず
私がNO MARKに入って初めて作詞させて頂いた思い入れのある曲です。作曲者の意向は分かりませんが、初めてこの曲を聴いたとき 私の大好きなバンドPay money To my Painの代表曲「Home」を彷彿させるなというのが第一印象でした。ロック・アイドルと謳っているだけに、激しめの曲が多い私達のグループの中で"聴かせる"曲となっていて、いいクッションの様な役割になっていると思います。ライヴ・パフォーマンスでは サビにひたすら頭を振るだけのシンプルなダンスですが、それ以上に楽曲のインパクトが強く引き立っているなという印象です。NO MARKになってこの曲をパフォーマンスしたい! って強く思った大切な曲です。
yUsUke
NO MARKデビュー当初よりライヴでパフォーマンスしているミディアム曲。アレンジやメロディに自分が最も影響を受けたバンドやカルチャーの影が色濃く反映されているんじゃないかと思います。イントロのアルペジオはどこか温かみが残りつつも、淡々とした印象を与えられるように音の構成をこだわってレコーディングしました。この曲以外のベースは全曲自分で弾いているのですが、この曲に関してはゆるめるモ! のバックバンドをはじめ、数々のアーティストのサポートでベースを弾くshioRiさんにお願いしました。彼女の繊細さが楽曲とマッチして浮遊感の中にもしっかりとした芯を作ってくれたと思います。
6. thousand sky
坂元優美香
私の中でこの曲は、「魅せる」「聴かせる」を重点にイメージして歌っています。イントロ終わりのサビでは、敢えて「いつ『か』きっと」の『か』の部分を裏声で歌うようにしたり、ブレスをいつも以上に意識してみたり、要所要所で抜け感を表現させるイメージで歌いました。NO MARKでは声を張ったりサークルを作ったり参加型になる楽曲が多いですが、この曲は参加型でもないバラードでもない違った表情を見せてくれると思うので、是非歌声にも注目して「Thousand Sky」の雰囲気をゆっくり味わって頂けたらと思います。
yUsUke
コード進行も楽曲のアレンジも自分が1番得意とする路線の楽曲ですね。楽曲制作はパズルのピースを探して当て嵌めていく感覚が自分にはあるのですが、この手の楽曲は最初から正解が分かっていて、それを再現していく感覚に近いかもしれません。ただ、改めてできあがったものを聴くと、自分が思い描いた絵以外に、メンバーの色や筆あとが残るのがまた面白いところです。メロディが浮かんだ時にアルバムの核となる楽曲になるのは想像がついていたのですが、この並びでアルバムを通して聴いてみると、やはりこの位置に入れて良かったと思っています。
7. コトバアソビ
宮部すず
今時のキャッチーなメロディーに乗せて歌詞は【ザ・日本語】な1曲。こちらも私の作詞させて頂いた曲です。楽曲を聴いた瞬間、所謂"降ってきた"という感じでスラスラ歌詞が出てきました。イメージは古今和歌集です。初めて聴いた方には何を歌っているんだろう? と思われるような難しい言葉の羅列が並びますが、個々の意味を理解すると何を伝えたいかが明確になります。かっこいいギターロックのサウンドにあえて古風な日本語を乗せることで良い科学反応が起きていると思います。ダンスもキャッチーでサビではジャンプしてタオルを回すというオーディエンスも参加方になっているので、ライヴでも人気の曲となっています。
yUsUke
イントロやアウトロのフレーズ、歌メロなど和のテイストをふんだんに盛り込んではいるものの、あまりコテコテにならないように全体のアレンジには気を使いました。その点では、サビでの急な転調がいいフックになってるのではと思います。実は昨今のJ-ROCKを自分のカラーで再現したらどうなるか… という実験的な裏テーマがあったりします。自分としても作曲家としての幅を拡げてくれた楽曲だと思っています。
8. I Scream Candy
美結
NOMARKの曲の中では可愛い曲だと思うのですが、力強さもあってみんなで盛り上がれる曲です。落ちサビで私が歌っている「いろんな味を試してみたいから」という歌詞は、飽きっぽくてなんでもやってみたがる私にぴったりだなと思い、歌いながらちょっと楽しいです。サビではみんなで輪を作ってグルグル回る振り付けがあるので、見に来てくれた際は一緒に回りましょう!
yUsUke
こうして楽曲を並べてみると歌詞も楽曲のカラーも重いものが多くなってしまった印象があり、多少は能天気な楽曲があってもいいんじゃないかな?と思って書いた楽曲。2ビートの入ったメロディック・パンクはまだやっていなかったので、自分の思う王道メロディック・パンクをまんまアレンジに落とし込みました。能天気さの中にもしっかりとしたメッセージ性を皮肉のような歌詞にのせられたのには満足しています。可愛い曲を書いたつもりはないですが、メンバー曰く可愛い曲だそうです…。
9. set you free
汐宮しゅり
NO MARK結成初期からの「I'm not you」に継ぐ代表曲だと私は思っています。振付はなく、曲名と同じくフリーにメンバーはステージで好きなことをやっているのですが、毎回違う動きを見せられたらいいなと意識してやっています。サビではお客さんも一緒に腕を挙げてメンバーとグータッチをするのがライヴでの定番となっています。初めての方がちょっと恥ずかしいような笑顔でグータッチしに前まで来てくれた時が本当に嬉しい瞬間です。ぜひライヴでグータッチしましょう!
yUsUke
今回のアルバムのタイトル曲にもなっている楽曲。サウンドアレンジは普遍的なメロディック・パンクですが、上もののギターやオブリガードなど、自分らしさを上手く表現できたんじゃないかと思ってます。今回のアルバム全体に言えることですが、歌詞は特に悩むことなくスラスラ出てくることが多く、特にこの楽曲はメロディと歌詞のハマリ具合、メロディ感に対する歌詞のイメージ、メッセージ性など自分が伝えたいことの全てを上手く詰め込めたと思っています。NO MARKにとってはもちろん、自分の作家人生の中でもかなり大切な1曲になりました。
10. hide your eyes
美結
上手く行かない、報われないことがあっても、焦らずにゆっくりやればいい。そんな気持ちにさせてくれる曲だと思います。綺麗な夜空に流れる星を連想するような、少し冬っぽい切ない感じもするので、今の季節にぴったりだなとも思いました。心地よいアコースティックのメロディを聴きながら、全てを忘れて何も考えずにそのまま眠りたい。とても素敵な曲です。
yUsUke
アルバムの最後を飾るのはアコースティックな楽曲にしようと決めていました。実際に全楽曲の中で最後に書き下ろしたのですが、所謂アルバムの最後のおまけ的楽曲ではなく、しっかりとした1曲としてカウントできる楽曲にしたいという想いが強くあり、メロディラインにはかなりこだわりました。生きていれば目を逸らしたくなる事なんて誰だってあって、そういったことは最終的には野放しにはしておけないものの、前に進む為に一度立ち止まることも悪くない。そんなメッセージを込めました。今回のアルバムの最後を飾る1曲として、そんなメッセージを感じて聴いてもらえたら嬉しいです。
RECOMMEND
期間限定フリー配信実施中!!!
NO MARK / SET YOU FREE
【収録曲】
1. Dawn of Hope
2. I'm not you
3. this rulez
4. メランコリック
5. リグレット
6. thousand sky
7. コトバアソビ
8. I Scream Candy
9. set you free
10. hide your eyes
【配信形態】
MP3
【配信期間】
2018年12月14日(金)19時〜12月21日(金)0時
LIVE SCHEDULE
NO MARK 1st tour「SET YOU FREE」
2018年12月21日(金)@東京・新宿レッドノーズ
2018年12月23日(日)@名古屋・大須Dt.BLD
2018年12月24日(月祝)@大阪・日本橋COCHLEA.
-FINAL-
2019年1月12日(土)@東京・新宿MARZ(ワンマン)
PROFILE
NO MARK
2018年4月27日よりPRIMAL GLOWからデビュー!!
Member / Twitter
宮部すず : @mi2maruco
汐宮しゅり : @shiodaisukiman
坂元優美香 : @kndymk
美結 : @mymy_hsn
>>> NO MARK 公式HP
>>> NO MARK 公式Twitter