それは、じめじめとした6月の深夜のことだった。
OTOTOY編集部に届いた1通のメール。差出人は水曜日のカンパネラのヴォーカリスト、コムアイ。彼女が写ったチェキとともにレキシへの熱い想いが書かれていた。そして「ラブレターを書いたので掲載してください」という簡潔な一言。連日にわたる徹夜の編集作業で疲弊していたOTOTOY編集部、ねるねるね〜るね西澤(※)は、ラブレターを掲載すればコムアイに慕われるのではないかという下心から、特集ページにラブレターを掲載してしまう。
それに味をしめたコムアイは毎週ラブレターを送ってくるようになり、ずぶずぶな関係が続いていくことになる。そんな動機からはじまっただけに、ラブレターは話題になることもなく、ただ毎週更新されるだけの意味不明のコーナーに。そして7回も続いてしまう…。OTOTOY上層部に気づかれたらまずいと思ったねるねるね〜るね西澤は、思い切ってコムアイの元へいき、今後の展開について話し合うことにした。指定されたのは、下北沢の鈴なり横町のバー。ラブレターの反省からはじまったトークは意外な方向へ…。果たして、この連載企画はどのような結末をみせるのか。行き先不明の旅がいまはじまった…。
取材&文 : ねるねるね〜るね西澤
写真 : 雨宮透貴
※コムアイより、粘着質なところが「ねるねるね〜るね」っぽいと言われ、ねるねるね〜るね西澤という名前が生まれた。
OTOTOY限定のSPECIAL Edition
水曜日のカンパネラ / ノルウェイの盛り
【価格】
wav 単曲 200円 / まとめ購入 400円
mp3 単曲 150円 / まとめ購入 300円
【Track List】
1. モノポリー / 2. ものぐさ太郎 / 3. 素子
作戦会議 ラブレター女、コムアイ
ーーミュージシャンや俳優への想いを綴ったラブレターを、毎週OTOTOYに送りつけてきた、あなたは何者なんですか。(棒読み)
コムアイ : コムアイです。水曜日のカンパネラというユニットで歌をうたっています。
ーーなんですか、それ? (OTOTOYで特集したことあるけど)
コムアイ : Kenmochi Hidefumiっていうインストの作曲家の人が、声の入っている曲をやりたいって言い出したことがきっかけで、巻き込まれてはじまったユニットです。
ーーつまり、黒幕みたいな人がいるんですか?
コムアイ : ラブレターは、私が書いていましたよ!!
ーーラブレターを書くのはあなたの勝手だけど、本人に送ってくださいよ。
コムアイ : だって他のファンレターと一緒になっちゃって、そのままポイってされたらイヤじゃないですか!! 本気で書いたラブレターが捨てられちゃったら哀しいでしょ? だったら媒体に載せてもらったほうがいいかなって。OTOTOYだったら信頼してくれるかなと思って…。
ーーOTOTOYだったら、よくわからなくても間違って載っけちゃうだろうって?
コムアイ : そうそう。そしたらほんとうに載っちゃってビックリしましたけど。
>>1枚目 池田貴史さんへ
>>2枚目 細野晴臣さんへ
>>3枚目 柄本明さんへ
>>4枚目 大友良英さんへ
>>5枚目 大根仁さんへ
>>6枚目 小山田圭吾さんへ
>>7枚目 岡村靖幸さんへ
ーーなめてますね。掲載しちゃいましたけど。ラブレター、届かなかったですね。
コムアイ : まったく反応がないんです(泣)。さみしいです。けっこうな数、書いたんですけどね。
ーーそもそも毎週違う男に書いているのがいけないんじゃないですか。
コムアイ : 浮気性な女はよくないんですかね? でも、みんなのことが好きなんですよ。
ーー別の男にラブレターを書いているのを知ったら、さすがに返す気も失せますよ。
コムアイ : そっか、もっと間を開ければよかったのか。1ヶ月に一人くらいだったら自然?
ーーそんなにころころ気が変わるの?
コムアイ : うん、飽き症なんで。ラブレターを書いて、スッキリしたというか、若干気持ちが弱まった部分はあります(笑)。
ーーわがままだなあ。じゃあ届かなくってよかったんだね。
コムアイ : 届いていたら困っていたかもしれない。いや、そんなことないです。届いてほしいです!!
30代になると不安定を楽しめるんじゃないかって
ーーちなみに歌をうたう前はなにをやっていた人なんですか。
コムアイ : 巻き込まれる前は、旅ガールだったんです。民族衣装っぽい服とかがすごく好きで、もうちょっと日焼けしていたし、休みのたびに旅行とかをしていました。それと畑をやっていました。
ーーなぜこの世界に入ることに?
コムアイ : すごく真面目な話をすると、それまで考えてやっていたことが、あまりにも人に伝わらなかったってことがむずがゆくて。もうちょっとわかりやすいもので伝えたほうが楽なんじゃないかと思ったんです。言いたいことは、私が有名になってからいえばいいと思って。
ーー(興味なさそうに)なるほどね。コムアイさんは年上の男性が好きなんですか。
コムアイ : 好きですね。
ーーなんで年上が好きなんですか。
コムアイ : いままで10代の人とか好きになったことがなくて。30歳くらいが好きなんです。ねるねるさんは、いま何歳ですか?
ーー華の30歳です!!
コムアイ : あ!!
ーー(ドヤ顔で)30歳以上の人の魅力ってどこにあるんですか。
コムアイ : 30代になると、好きに仕事ができたり、友人関係もコミニケーションも仕事もかなり自分でコントロールできるようになっていく人と、どんどん固まっていくというか、おじさんになっていく人と分かれる気がするんですよ。その前者が好きなんです。30代になると振り回されないで不安定を楽しめるんじゃないかって。
ーー僕はいまだに振り回されておりますが…。
コムアイ : じゃあ、あと数年必要ですね!!
ーーえっ、華の30歳なのに?
コムアイ : (遮って)細野さんとかすごくかっこいいですよね。時代の変化とかも飲み込んで、どんどん自由になっていく感じが。また自分の殻をやぶったよみたいな。
ーーじゃあ、ラブレターを書いた人はみんなそういう人なんだ。
コムアイ : そうです。みんなそうだと思っています。
ーーじつをいうと、コムアイさんって、ものすごくエロい人かなと思っていたんですよ。そういう下心もあって、掲載していました。
コムアイ : そういうの口に出して言わないでください。ねるねるさんは、30代になってエロくなったんですか?
ーーエロくはなっていないと思います。ただ、10代って直線的なエロだと思うんですよ。とにかく発情して身体がうずくみたいな。歳を重ねると、どうしても肉体的な部分では劣るじゃないですか。その分、知恵をつかって、いろんなアプローチができるようになったんだと思います。
コムアイ : 手つきが気持ち悪い。
ーーあのね、ぼくはコムアイさんにエロスを感じているんですよ。
コムアイ : (マネージャーに向かって)この人、大丈夫かな。
ーーだから、ラブレターみたいに純愛的なことをやっていちゃいけないと思う。ぼくと一緒にエロスを探っていってほしいんです。
コムアイ : はぁ…。
ーー一根拠はないんだけど、コムアイさんに秘めたエロスを感じたんですよ。エロっていったら、巨乳でぷりっとしたお尻とかの人を指すと思うんですけど、コムアイさんはそうじゃないよね。
コムアイ : 失礼!! でも、エロ要素ないですもんね。
ーーそう、もっと秘めたものを持っていると思うんです。肉体で勝負するというより、縄を使用するとか、そういう文学的なエロさ、艶っぽさを感じたんです。だから、ぼくとエロスを追求していきませんか。
コムアイ : ラブレターを書いているときそんなつもりなかったのに… 意外なところを評価された。
エロい映画からエロスをみつけるほうが上級かも
ーーぼくは、エロとエロスは違うと思っていて。AVとかって体験をおさめているわけじゃない。それはエロだと思うの。でもエロスは、文学的な感じがするというか、もっと深みがあって、間接的な感じがする。
コムアイ : 的確な表現な気のような気もするけど…。
ーー抽象化はできないけど、感覚的なことだけはわかるんです。コムアイさんの趣味ってなにかありますか?
コムアイ : 落語が好きです。あとは、緊縛とかも興味あります。それと鹿の解体と映画です。
ーーいかついねえ!! 映画はどんなのが好きなんですか?
コムアイ : アクションとかはみないし、SFもみない。ハリウッドとかも少ないです。
ーーとなると?
コムアイ : 邦画とか自主制作っぽい映画は幅広くみますね。実際の事件を題材にした映画がすごく好きで。最近だと、「タリウム少女の毒殺日記」っていう映画があって。2005年にタリウムで母親を毒殺した女の子がいて、それにインスパイアされた人が作った映画なんです。あと秋葉原殺傷事件をもとにした「ぼっちゃん」。最近すごくエロスを感じたのは、台湾とか香港の映画。日本人の感覚と違うエロスで、高揚感っていうか、ポーってなる瞬間を独特なタッチで描くんですよね。ホルモンを掴まえた瞬間っていうか。
ーーいい表現ですねね、それ。
コムアイ : 女の子が立っているだけだったりするんですよ。ぽーって見ているところが、ふわついた感じで描かれていて。そのあとのカットで男の人が女の子を肩にかついで持っていっちゃって、子どもができたりするんですけど(笑)。単純だけど、その表現がおもしろいなって。西洋のフェロモン表現は見慣れているけど、まだ見慣れないものがに、すごくわくわくしています。
ーー映画のことを語り出したら止まらないですね。(横にいるマネージャーに向かって)これはもう、映画からエロスを学んでいくしかないんじゃないですかね? マネージャーさんも30歳くらいでしょ? 一緒にエロスを学ぶことで最終的に僕たちも得をすると思うんですよ。楽しいし、フェロモンを出せるようになると思うんですよ。(以下、力説)
マネージャー : たしかにエロスは文学的な感じがするからいいかも…。
ーー(畳み掛けるように)マネージャーさんも経験があると思うんですけど、中学生のころって、エッチなビデオを借りたくても、ビデオ屋の奥にあるエッチコーナーって入れなかったじゃないですか。だから、その手前にある濡れ場のあるドラマ仕立てのピンク映画を勇気を出して借りるんだけど、1時間のうち50分くらいはドラマだったりして歯がゆい思いをするというか。でもいま思うと、あれがエロスへの初級編だったのかなって。
コムアイ : エロス初期衝動を語り始めたよ、この人…。
ーーあれはぜったいにエロスの壁だと思う!
コムアイ : … たしかに、エロが過ぎるとエロスが霞みますよね。それくらいニュアンスなんですよね。
ーー紙一重なのかもしれないですね。
コムアイ : エロスを持っている人でも、エロも一緒に出てきちゃって、どっちかわかんなくなる気がする。エロスは質感ですよね。
ーーあと、エロスはストーリーがいるのかもしれないですね。
コムアイ : 文脈がいりますよね。だから大人にならないとできないのかも。
ーーコムアイさんはまだ20歳ですから、一緒にエロスの原石を磨いていきましょう。
コムアイ : エロスを自由自在にコントロールできるっていうのも恐いね。化け物みたい。
ーープロフィールに書けますよ。エロスを極めた女って。じゃあ、毎月課題映画を一本決めて、そこからエロスを考察して文章を書いてもらいましょうか。
コムアイ : それでエロスは磨かれるんですかね…?
ーーエロスは文学的っていうのが僕の仮説です。だから、言葉の表現も磨く必要があるんです!! 仕草とか情景描写なのかもしれないし。やっぱりわかりやすくエロい映画から見ても仕方ないから、1回目の課題映画は… モスラとか観たことありますか?
コムアイ : 観たことないです。
ーーモスラって名前からして、エロスを感じますよね。
コムアイ : そこにもエロスがあるんですか? エロスへの路は遠いなあ…。
ーーあのね、別にやましい気持ちだけでこんなこと言っているわけじゃないんですよ。いまの世の中、エロが軽く扱われているってことを危惧してるんですよ。
コムアイ : それはあるかも。派手なものがありすぎると、見えなくなるのかもしれないですね。むしろエロい映画からエロスをみつけるほうが上級かもしれないですね。
ーー誰でもみつけられるものではないからね。最終的にはエロい映画を一緒に観にいきましょう。いちおう言っておくけど、これは下心ではないです。
コムアイ : わたし、産毛がエロスだと思う。毛がはえそうにないところに生えているやつ。
ーー勝手にエロスについて語りはじめた!! いい感じ。あと、せっかくなんで分析したものをテーマに曲を作って毎月配信しませんか? 学んだことを存分に活かしてもらわないとね。
マネージャー : やりましょう!!
ーーさすが華の30歳!! 話がはやい。
コムアイ : へんなおじさんたちばっか…。じゃあ、ねるねるさんもレコーディングに参加してください!! コムアイと愉快な仲間たちみたいな感じで。
ーー誰がやるか、そんなもん!!
8月下旬よりコムアイのエロスを巡る連載が月1でスタート!!
第一回の課題映画は「モスラ対ゴジラ」
LIVE SCHEDULE
2013年8月2日(金)@下北沢 mona records
乙女の主張
2013年8月9日(金)@渋谷 O-nest
出演 : 水曜日のカンパネラ、BELLRING少女-ハート、TAKENOKO▲、CAMOUFLAGE、他・・・
Bailas con Especia
2013年8月18日(日)@渋谷WWW
出演 : Especia、※OA:水曜日のカンパネラ
りんご音楽祭・大前夜祭
2013年8月21日(水)@渋谷 clubasia
出演 : LIVE:CHAN-MIKA、馬喰町バンド、DAMBO、ぐっとクルー、SO(WAXX)、水曜日のカンパネラ、and more…
DJ:DJ YOGURT、やけのはら、LFF!!!CREW!!! and more…
WATER MELON
2013年8月22日(木)@青山 月見ル君想フ
出演 : 関取花、ふぇのたす、水曜日のカンパネラ、Saku、blue marble
ERA presents「MEAN TO YOU」
2013年8月26日(月)@下北沢 ERA
出演 : 雨のパレード、水曜日のカンパネラ、kikey、ゆうせいから
PROFILE
水曜日のカンパネラ
2012年、夏。初のデモ音源「オズ」「空海」をYouTubeに配信し始動。
「水曜日のカンパネラ」の語源は、水曜日に打合せが多かったから… と言う理由と、それ以外にも、様々な説がある。当初グループを予定して名付けられていたが、現在ステージとしてはコムアイのみが担当。それ以降、ボーカルのコムアイを中心とした、暢気でマイペースな音楽や様々な活動がスタートしている。
コムアイ
担当 : 主演 / 歌唱
1992年7月22日生まれ。
神奈川県出身。
成人しても未だ「クロール」と「逆上がり」ができないという弱点を持つ。
高校生時代には、いくつかのNGOやNPOに関わり活発に動き回る。
サルサ・ダンスに毒され、キューバへ旅し、同世代100人のチェキスナップとインタビューを敢行。
その後は、畑の暮らしを体験したり、たまに海外へ。
最近は、鹿の解体を習得中。
好物は、今川焼と明石焼といきなり団子。
また、“サウンド・プロデュース”にKenmochi Hidefumi。
その他、“何でも屋”のDir.F。
などが、活動を支えるメンバーとして所属。