【連載】Episode63 MiKiNA EMPiRE「みんなの記憶に残るライヴにしたい」
WACKとavexの共同プロジェクトEMPiRE。2021年11月23日(火・祝)に幕張メッセイベントホールで開催予定のワンマンライヴ〈EMPiRE’S SUPER ULTRA SPECTACULAR SHOW〉は、チケット発売後即完売。9月からクラブツアー〈EMPiRE’S GREAT PARTY CARAVANS〉を開催し、11月10日には約2年ぶりとなる3rdアルバム『BRiGHT FUTURE』をリリースするなど、勢いがますます加速していきそうな彼女たちの2021年2周目となる個別インタヴューを敢行。第3回はMiKiNA EMPiREの声をお届けする。
INTERVIEW : MiKiNA EMPiRE
EMPiRE史上最大規模の幕張メッセイベントホールでのワンマンライヴのチケットが、一般発売後に即完売した。彼女たちへの期待の大きさの現れであるが、メンバー6人がパフォーマンスを磨き地道に努力してきた成果であることに間違いはない。2019年10月にリリースした2ndアルバム『the GREAT JOURNEY ALBUM』で示したダンスミュージックの方向性を軸にしながら、これまでのWACKの伝統も感じる楽曲など表現の幅を広げる楽曲が収録された3rdアルバム『BRiGHT FUTURE』をひっさげ、どのような気持ちで日々を過ごし、幕張メッセへと向かうのか。自分の素を出すようになったというMiKiNA EMPiREに取材を行った。
取材&文 : 西澤裕郎
写真 : 外林健太
全部、EMPiREらしい
──約2年ぶりとなる3rdアルバム『BRiGHT FUTURE』、MiKiNAさんはどんなことを意識して歌詞を書きましたか?
MiKiNA : できるだけありのままを出そうと思って書きました。作詞した当時にやっていたオンライン特典会で、自分はエージェント(※EMPiREファンの総称)に対して、普段起きたおもしろいこととか落ち込んだことを話すのが好きだなって思ったんですよ。そういうのを歌にして伝えられたらいいなと、できる限り私のそのままを出して歌詞を書こうと思いました。
──どちらかと言うと、活動初期の頃は、格好よくなきゃいけないという気持ちを持っていたように感じるので、素を出そうと思うようになったのは大きな変化ですね。
MiKiNA : たしかに前まではエージェントが見ているEMPiRE内のMiKiNA EMPiREというものがあって、できる限りみんなが求める私になった方がいいのかもと考えていた時期があったんです。そのときはどういう自分になりたいか悩んでいたんですけど、いろいろな経験を乗り越えてきて、今はそこで悩んでいる時期じゃないのかなと思ったんです。自分が向かっている場所を信じてもいいのかもしれないなって。だから格好つけるのも辞めたし、どうせ格好つけるんだったら、もっと自分を磨いて知ってもらった方がいいなと思って。そこからいろいろな場所で、だんだんとありのままを出すようになりました。それによって、あらゆる面で楽になったかもしれないです。
──日常を描いた曲や、アグレッシブで攻撃的な歌詞も今作にはありますよね。
MiKiNA : アルバムを制作していく中で、できる限りエージェントの生活に合った歌を書きたいと思ったんです。周りの人から無責任に圧をかけられたり、否定されるような状況って体験している人も多い気がして。そういうのを感じている人に対して、別に頑張らなくていいし、皮肉を吐き出してもいいんだなと思ってもらいたくて。私自身、無理に前向きになることが苦手なタイプで、そんなにポジティブ人間でもない。決してネガティブではないんですけど、自分の気持ちをそのまま出しました。
──たしかに、ストレスや思っていることを吐き出したいときはみんなありますもんね。
MiKiNA : そう。歌の中や音楽を聴いてる時ぐらいは素直に吐き出していいのかなって。
──今回のアルバムは、前作以上に音楽的な幅を広げた作品だと感じました。MiKiNAさんにとって、どんなアルバムになったと思いますか?
MiKiNA : いろいろなジャンルの音楽が組み込まれているんですけど、聴いていてすごくおもしろいし、全部ちゃんとEMPiREらしいんですよ。メンバーの作詞が多いからというのもあるんですけど、作詞にもいろいろな色が出ている。今までは結構自分の気持ちとか、とにかく行かなきゃみたいな、目的に進む部分を書くことが多かったんですけど、今作では歌の中で第三者が見えたりしていて。誰かに向かって歌っていたりもするし、カラフルなアルバムだなって思います。あと日常感の強い歌詞が多い。コロナ禍で、会える機会が今までより少なくなっていたから、いつでもEMPiREが近くにいると感じられるアルバムになるといいなと思っていますね。
──いわゆるWACKらしいエモーショナルな楽曲も収録されています。EMPiREの色が確立したからこそ、ここまで幅を広げられたのかなと思いました。
MiKiNA : 曲に負けずに、しっかり自分たちなりの表現を出せるようになったと思います。
──タイトルも『BRiGHT FUTURE』と、ある意味原点回帰ともいえますね。
MiKiNA : いろいろなジャンルや感情があって、様々な可能性が広がるアルバムだと思っていて。そういう意味でもぴったりのアルバム名だと思います。
アウェイだからこそ自分たちを解放できたかもしれない
──春ツアーが終わって、MiKiNAさんはどのようなことを考えて過ごしていましたか?
MiKiNA : 春ツアーで、等身大でライヴをやるとか、目の前の人を楽しませたいと考え方が変わったんです。手応えもあったし、ライヴってこういうことなんだって実感できた。それが前提になって、これから先、どういう自分たちを見せたいかみたいな。それを考える期間になりました。というのと、新しい発表がなかったから、すごくもどかしかったです。もちろんツアーをやることは自分たちは知っているけど、エージェントに対して、発表までもうちょっと待ってて! と思いながら(笑)。とりあえず準備だけはちゃんとしようと思って。あと、春と夏は制作期間でもあったので、制作に集中してたくさん考えました。
──8月にはBiSHのメンバーの新型コロナウイルス感染によって、EMPiREが〈ROCK CIRCUIT 2021 in EZO〉と〈TOKYO BiSH SHiNE 7〉に急遽出演しました。一線で活躍しているバンドなどが出演する〈ROCK CIRCUIT 2021 in EZO〉への出演はいかがでしたか。
MiKiNA : ロックバンドのファンが多い場所だったと思うんですけど、ああいう場での自分たちの魅せ方を知ったというか。そういう場でも自分たちが今までやってきたことがちゃんと活かせるんだなって実感できました。アウェイだからこそ自分たちを解放できたかもしれないなって。その中で見えた景色がすごく貴重で、いい経験だったなって思いますね。
──音楽好きなMiKiNAさんからしたら、感慨深さもあったんじゃないですか。
MiKiNA : 自分たちは自分たちのライヴをしようって意気込んで臨んだんですけど、この場に立っていることはすごいことだなっていうのはしみじみ感じていました。
──次は自分たちの力で立ちたいという気持ちにもなったんじゃないですか?
MiKiNA : 立ちたいですね。もっといろいろな人に会いたいです。楽しかったです。
──SNSを見ているだけでも、反響がすごかったですもんね。
MiKiNA : いろいろなことが重なって、自分たち的にも手応えのあるライヴができました。それに対する反響もあって、自信を持てた本当にいい経験でした。
──その4日後には、BiSHが毎年やっている恒例のイベント〈TBS〉に豆柴の大群とともに出演しました。どんな心境で臨んだんでしょう?
MiKiNA : マインド的には同じで、自分たちなりの全力を尽くそうと思って臨みました。お客さんはどういう気持ちなんだろうという不安はあったんですけど、急遽豆柴と私たちになったとしてもライヴを観に来ようと思って来てくれたわけだから、その人たちとの時間をいいものにするしかないと思ってやれることをした次第です。
──目の前のライヴに全集中したと。
MiKiNA : 目の前にいる来てくれた人にただ真摯に向き合って、楽しい時間にすることだけでした。みんなにとっていい時間にできていたらいいなと思います。
みんながグループのことを考えられているし、いい方向に向かっている
──今回、現行メンバーでEMPiREの代表曲を再レコーディングした音源全10曲もDiSC2に収録しています。今のメンバーでレコーディングをするということで、レコーディングに臨む気持ちだったり、歌い方での変化は感じましたか?
MiKiNA : ライヴの中で習得した自分の歌い方をそのまま出しただけなんですけど、好きな自分の歌をちゃんと出せているなと思いながらやれました。だから曲を聴くと、自分の声が固くない、柔らかいなって。ライヴをやってきた中で培われた歌い方を出しているから、私だけじゃなくてみんなの声に厚みも出ていると思うし、昨日も聴いていたんですけどすごくいいなって思います。それとともに昔は昔で、その時の気持ちが込められているからいいなと思うんです。何もかも初めてで、まだ見ぬお客さんに向けて歌っている、はじめましての気持ちも含められているから、どっちも最高です(笑)。
──その時々のメンバーの状態が、記録として音に残っていくのがいいですよね。
MiKiNA : そうですね。あと、NOWが入っての音源を聴いてもらえるのが嬉しいです。1stアルバムの曲とかEP『EMPiRE originals』の曲は前メンバー体制の音源だったから、ちゃんと今のEMPiREでの音源を聴いてもらえるのが嬉しい。
──渡辺(淳之介/WACK代表)さんの歌詞は、毎回メンバーへのメッセージに感じるような曲が多いですよね。歌詞を通して、本質的なメッセージみたいなものを送っている印象があるんですけど、今回の渡辺さんの歌詞に関してはどんなことを感じましたか?
MiKiNA : ライヴの後とかにも渡辺さんに感想とか意見を聞くんですけど、その時に話してくれたことを深堀りした感じが歌詞に出ているなと感じました。EMPiREに対して渡辺さんが思っていることを歌詞で伝えてくれていんだろうなと受け止めています。もっともっとできるから! って言われている気がする。まだいけるでしょ? みたいな。
──たしかに気を抜くんじゃないぞ、いまが勝負だぞって感じはありますよね。MiKiNAさん的には、今のEMPiREをどういうふうに捉えていますか?
MiKiNA : みんなの視野がグッと広がっていると思います。曖昧になっていた部分が明確になったというか。個人的な悩みとかも含めて1個1個丁寧につぶしていけている気がする。みんながグループのことを考えられているし、いい方向に向かっている。私は自分には得意なことと不得意なことがあるのを理解するようにしていて。だから、不得意なことは不得意で自分なりにやろうって思うようにしているんです。無理に負担をかけないようにしているし、それを補い合えるのがグループだから。もちろん努力するけど、できないからって自分が間違っていると思わないようにしています。むしろ、得意なことは上限なく伸ばそうってことを考えられるようになってきた。それはメンバーみんなもそう考えているんじゃないかなって思っています。
──個別インタビューをしていると、そこは同じように考えていると感じますよ。
MiKiNA : だから、本当に強くまとまってきてると思います。
──今まで以上に自然体になった気がしますよね。
MiKiNA : 無理しなくなったと思う、みんな。いい意味で無理していない感じ。
やれることを全部しようって思っています
──初の幕張メッセワンマン、チケットが一般発売後即完売しました。エージェント含めて、大きな期待の現れだと思いますが、どのように捉えていますか?
MiKiNA : 私たちのために時間とお金をかけてくれた事実がしみじみありがたいし、それに対して全力で向き合いたいと思っています。なにより純粋にうれしかったですね。目に見えて分かるありがたい事実だから。あとは本当にライヴを最高の時間にするための準備をするだけです。
──どんなライヴにしたいと思いますか?
MiKiNA : みんなの記憶に残るライヴにしたい。普段、EMPiREの曲をよく聴いてくれているエージェントにとっても、「この曲、幕張ですごいよかったな」と、ずっと心に残るものにしたいです。というのと、その後のEMPiREにも期待してもらえるライヴにしたい。幕張でどれだけのライヴができるかによって、今後EMPiREがどうなっていくか想像できることが変わってくるから、「EMPiREこれからもやばいかも!」とワクワクできるような、そんなライヴにしたいですね。
──最後に、幕張への意気込みを訊かせてもらえますか?
MiKiNA : やれることを全部しようと思っています。今考えていることだけじゃなく、それ以上のものをもっともっと作り出して、お客さんのイメージの遥か先までいかないといけないなと思っています。1日1日無駄にしないで考えたい。幕張にエージェントがいて、私たちがいて、作り出す最高の時間を純粋に楽しめたらいいなって。そんな1日を作ります!
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LIVE INFORMATION
〈EMPiRE'S SUPER ULTRA SPECTACULAR SHOW〉
2021年11月23日(火・祝)@幕張メッセイベントホール
時間 : OPEN 16:00 / START 17:00
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