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"驚きで世界を楽しくする! ”というテーマの下、acoを中心に結成されたエレクトロ・ポップ・ユニットspoon+。おもちゃ箱のようなポップ・チューン「ギャザー」に、かねてからファンの間で音源化が望まれていたバラード曲「break up rain」を収録したニュー・シングル『ギャザー』が、HQD(24bit/48kHz)の高音質でOTOTOY限定配信スタート! OTOTOYでしか手に入らない今作をぜひチェックしてほしい。
OTOTOY限定高音質配信!!
spoon+ / ギャザー
【配信形態】
HQD(24bit/48kHz)、mp3
【配信価格】
HQD、mp3ともに 単曲 200円 / アルバム購入 300円
【Track List】
01. ギャザー / 02. break up rain
INTERVIEW : aco(spoon+)、山本真平(あんどりいらんど。)
カラフルに彩られたMVを眺めるでも、シューティング・ゲームのついたWebサイトをのぞくでも、ポップなエレクトロ・サウンドに触れるでもいい。まずはspoon+の表現に触れてみてほしい。そこにあるのは、首謀者であるacoの確固たる世界観とポップな美意識だ。そして、それぞれの表現は独立しているわけではなく、世界を構成するうえで、一つも欠かしてはならないものである。サウンドだけにフォーカスしてspoon+を語ることは、ナンセンスと言っても過言ではない。
“驚きで世界を楽しくする!”というテーマの下、acoを中心に結成されたspoon+というユニットは、そのときどきで彼女の世界観を表現するためにベストなチームが組まれている。acoが生んだ楽曲の種を花にするアレンジャーが選ばれ、それを表すためのVJやヴィジュアル・イメージが作られていく。あくまでも観る人に驚きを与えたいという想いから、acoがかたちづくっていったものだ。そんなspoon+とは、どういう想いをもって活動しているユニットなのか、なにを目標としているのか、その根本を探るべく、acoと、本作のアレンジを担当した山本真平に話を訊いた。
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インタビュー&文 : 西澤裕郎
写真 : 雨宮透貴
音楽をやっている自分を大事にしつつ、もっとおもしろい世界観を作っていきたい
ーーspoon+は、acoさんを中心に独自の世界観を作りあげているクリエイティヴ集団といった印象があるんですけど、そういう認識は間違ってないですか?
aco : わたしが思い描いたひとつの世界観みたいなものを、仲間を集めて一緒にやっているっていうのが近いのかなって思います。
ーープロフィールには、「作詞+作曲、衣装、ヴィジュアル・プロデュースはすべてacoが担当」って書いてあるんですけど、中心はあくまで音楽なんですよね。
aco : 前のユニット(amU)を休止したとき、もう音楽はいいかな… みたいに思ったんですけど、音楽をやっている自分を大事にしつつ、映像とかを使って、もっとおもしろい世界観を作っていきたいと思ったんです。
ーー逆に言うと、音楽だけやっているのはもの足りなかった?
aco : もの足りなかったんです。わたし、すごく好きなバンドのライヴに行っても、2曲聴いたらしんどくなるんですよ。すばらしい演奏を聴かせるのって素敵なことだと思うんですけど、わたしはそれをやる人間じゃないなと思って。普通のライヴハウスだと、歌詞もわからないじゃないですか。そうじゃなくて、もっとわかりやすく、楽しく見てほしいって思うんですよね。だからこういうスタイルでやっています。
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ーー好きなミュージシャンのライヴでも観に行って途中で飽きちゃったことがあるって、インタビューズで読みました(笑)。
aco : 最初に出てきたときは「わあ!」ってなったんですけど、2曲目を観て「うーん」、3曲目で「しんどいから出よう!」みたいに離脱して、外のモニターでうーんって感じで観ていたんです。そのときに、わたしは音楽を好きって思い込んでただけなのかなって思って。そういう若者特有な病気みたいなものに侵されてたのかもしれないです。
ーーそのライヴには、なんの要素が足りなかったんでしょうね。
aco : 1曲目を聴いて、最後までの流れを予想できたというか。10あるとしたら、1を観て10わかってしまう感じがして、おもしろくなかったんですよね。失礼ぶっこき野郎ですね、わたし(笑)。
ーー正直でいいんじゃないですかね(笑)。そして20歳になってからは音楽をあまり聴かなくなって、音楽を掘ることもしなくなっていったと。
aco : よく、インタビューズ読まれてますね(笑)。
ーーあははは。そこで音楽から離れてしまったんですね。
aco : 高校生ぐらいのときは週1でTSUTAYAとかに行っていたんですけど、高校を卒業したあたりから曲を聴くのがしんどくなってきて。音楽を聴きたいとか、新しい音楽を探したい気持ちがなくなってしまって。家でも音楽を聴かないですし、車でも無音のことが多くなりました。
ーーそんなacoさんが、いまは自分で曲を作って歌っているわけじゃないですか。そこにいたるきっかけみたいなものがあったんですか。
aco : わたし、夢の世界が好きなんですよ。それを描くのに音楽が必要不可欠なものだったんですよね。自分のことを表すのに音楽が必要だったんです。
ーーたとえば、ディズニーランドのパレードに音楽がないと成立しないみたいなイメージに近いですか?
aco : たぶん、そうだと思います。ある人にとってはなくても成り立つと思うんですよ。でも、わたしができる限られたことの中でも、自分がやりたいことをやるためには、音楽が必要なんですよね。
ーー自分の思い描いているものを形にするには音楽が必要だったと。それを中心にチームで作りあげていくわけですね。
aco : もしわたしが一生死なないんだったら、すべてのことを自分でやりたいんですよ。だけど、人間っていつか死ぬじゃないですか。20年後に「やっとクオリティーが高いものを作れた」ってなっても、50歳なんですよ。だからいまは、自分の思ってることをいかに上手く周りの人に伝えられるか、その人が思ってることを受け入れてうまくバランスを取れるのかってことが、spoon+にとっていちばんスムーズなんじゃないかなと思って。みなさんにお力を貸していただいて、こういうことがしたいんですっていうのを伝えながら、思い描いたものに近づけていけたらって思います。
ーーそれを口で言うのは簡単ですけど、実践できるのがすごいなあって。
aco : やってみるとそのバランスがむずかしくて。その人のいいとこを理解してあげられないことももちろんあります。「自分がやったほうが早いのに!!」と思うこともあるんですけど、もっと先のことを考えたら、それは正解じゃないような気がして。
山本くんは、あたしのなかでコンペイ糖みたいな曲を作る人
ーーアレンジをいろんな方にお願いするというのも、いまの流れのひとつだと思うんですけど、今回、山本さんにアレンジお願いしようと思ったのは、どうしてなんでしょう?
aco : 山本くんは、あたしのなかでコンペイ糖みたいな曲を作る人なんですよ。ざっくざくな感じなんですけど、かわいらしくてポップな部分もある。今回の歌詞世界とマッチするんじゃないかと思って、LINEでお願いしたんですよ。そしたら「はい!!」みたいなスタンプが返ってました(笑)。
ーー(笑)。コンペイ糖って言葉が出てきましたが、山本さんは自分のアレンジにそういう感覚はありますか?
山本 : よくわからないです(笑)。
aco : よくわからないとしか言いようがないよね(笑)。
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ーーあははは。山本さんは、いまacoさんが言ってたようなチーム感だったりコンセプトを知って臨まれたんですか。
山本 : 知らなかったです。なんの情報もなしにはじまったし、会ったのも最近ですから。
aco : あははは(笑)。
ーーアレンジをしてみて感じたacoさんの特徴って、どんなところにありました?
山本 : 特徴かあ… なんですかね。いきなりぽーんって感じで弾けたと思ったら、ガクンってテンションが下がったりってことはあるかな。いままで自分がやってないことをやっている感じはします。
aco : よく言われるんですよ。なんでこのコードの次にそのコードに行くの? みたいな。知識がないゆえにこうなってしまうんだと思うんですけど。
ーーacoさんは、曲作りの際、なにから作っていくんですか?
aco : 最初につくるのは歌詞なんですよ。歌詞ができたら、だいたい想い描けるじゃないですか。次にメロディをつくるんです。そのあと、キューベースでメロディを打ち込んで、コードを探していくみたいな感じです。このコードとこのコードは合うんじゃないかなみたいに。
ーー山本さんは、そうして出来た楽曲を崩さないようにアレンジしていくんですか。
山本 : そうですね。そのままキレイな音にするような感じで作っています。
ーーそうして完成したものがコンペイ糖みたいになっていくわけですね。
aco : そうなってくっていうよりも、山本くんの作る曲のイメージがコンペイ糖なんですよね。形とか手触りとか。
ーーコンペイ糖って、ぼこぼこしていてとんがっていて痛いけど、全体的にポップで舐めると甘いみたいな、相反するかわいらしさがありますよね。
aco : そういう感じのする曲なんです。 曲を聴いたときの手触りみたいなものってあるじゃないですか。ちょっとザラっとしてるとか、なんかトロってしてるみたいな。山本くんの曲は、なんかゴツってしてるんですよね。
ーーだけど、よく聴くとなめらかな甘い部分もある。
aco : そうです。ポップスとしてのよさも含みつつのザラッみたいな感じ。
ーーコンペイ糖のはなしもそうなんですけど、acoさんの歌詞もポップに見えて実はちょっとトゲがある。そういう部分はずっと一貫してるんですか。
aco : それを狙ってるわけじゃないですけど、よく聴いてくださってる方からはそう言われます。一見ポップスだけど、よーく聴くとずーんって感じがするよねって。狙ってるわけじゃないんですけどね。
最終目標は、spoon+に関わった全員がハッピーになることなんです
ーーspoon+の表現って、インスタレーションとか芸術作品みたいに捉えられることもあると思うんですけど、acoさんとしてはspoon+というプロジェクトはどういうものがいちばんの軸になってると思いますか?
aco : 「驚く」ってことですかね。音楽、アイドル、アーティストとか、観ている人が勝手にカテゴライズするだけで、そこに対してわたしはなんとも思ってなくて。ただわたしが面白い、これ驚くんじゃないかみたいなものが軸になっていると思います。
ーー観る人が予想できないものを見せていきたい?
aco : そうですね。「はっ! おもしろい」みたいな。パッてみて、「ああすごい!」みたいな単純なことなんだと思います、やりたいことは。
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ーー観たことのないもの、驚かせるものを作るためのアイデアの源泉みたいなものはどこにあると思いますか?
aco : わからないです。どこにあるんですかね?
ーーacoさんは、そんなに本を読んだり音楽も聴かないんですよね。そうなると、spoon+に反映されている着想点ってなんなんだろうなあって。
aco : たぶん、ちょっとしたことなんじゃないですかね。「おいしい」とか「たのしい」みたいな、そういうものが蓄積されてなるんですかね。
ーーそれこそ歌詞を書くときに、自分のちょっとした経験から膨らませていくんですか? 日常のなかで感じる、おいしいとかって感情がぽこぽこぽこってひろがっていくというか。
aco : 良い表現ですね、ぽこぽこぽこ(笑)。そうかもしれないですね。
ーーspoon+は、チームとして世界観を描いていると思うんですけど、最終目的として、どういうふうになっていきたいと思いますか?
aco : 最終目標は、spoon+に関わった全員がハッピーになることなんですよね。死ぬときに「ああ、spoon+やっててよかった」みたいに思ってもらうのが一番の目標なんです。前2、3年くらいVJをやってもらってた子は、spoon+をやるまでVJをやったことなかったんですけど、いまはいろんなところでVJをしていて。spoon+をやったことで、VJの楽しさとかを知って、めっちゃ広がっていったってことがあって。spoon+がひとつの扉になって、どんどん広がっていくみたいなチームになれればおもしろいんじゃないんかって思います。別にずっと同じメンバーでspoon+じゃなくても、かたちを変えていくのもおもしろいと思う。関わっている人が夢を実現できるものになったらいいなって思いますね。
ーーacoさんは人間ができていますね。
aco : そこ、太字でお願いします(笑)!
ーーあははは。WEBもゲームができるようになっていたり、すごく凝ってますよね。
aco : WEBはずっとなかったんですよ。で、「WEBつくった方がいいよね」みたいなこと言っていたら、やりたいですって言ってくれる子がいて。その子も、自分の勉強もかねてテストみたいな感じで作りたいって言ってくれて。いまはバリバリWEBで活躍しているんです。
ーーみんなspoon+に関わって、それぞれの道を切り開いていっているんですね。
aco : わたしだけ取り残されていって、さびしい気持ちです(笑)。
ーーそんなことないでしょ(笑)。spoon+から飛び立った人たちで集まって、オールスターみたいになったらおもしろいですね。
aco : めっちゃいいですね!! オールスターいいですね。
ーーマネージャーさんも、最初はこういうお仕事はしてたわけじゃないってお聞きしました。
杉原 : そうですね。こんなに内側に入るとは思いませんでした(笑)。
ーー2、3年後に大物マネジャーになって、関わっている人を集めて、オールスターで曲を作りましょうよ!!
aco : 肩にカーディガン巻いてるかもしれませんね(笑)。
一同 : (笑)。
ーーチームとしてどんどん大きくなって広がっていうのをacoさん自らの口から聞いて、今後がさらに楽しみになりました。この先さらに予想もできないものができるかもしれませんね。
aco : 難しいと思うんですけど、これから先そういう姿勢でやっていけば、おもしろいものができるかなって気がしています!!
spoon+の過去作品
spoon+ / hear
不敵な曲名の「バカにあげよう」のメロディーやサウンドに潜むソウルな要素、「上等な眩暈」のぶっといブレイクビーツ、「イチゴオンザショートケーキ」で歌われる恋という身勝手な感情、「ワンダー・タイマー」の聴く者の記憶を呼び覚ますかのような感覚など、何度も強い波動が押し寄せる。何度も感情が揺さぶられる。
spoon+ / birth
「あー、こんな子と付き合ったら大変そうだなぁ」と思うような女の子に限って魅力的だ。spoon+のファースト・アルバム「birth」はどこを切っても、作詞作曲とヴォーカルを担当するacoの世界。
PROFILE
spoon+
2010年3月“驚きで世界を楽しくする!”というテーマの下、aco(大坂在住)を中心にサウンド・オペレーター、その他数人の映像ディレクターの協力により、spoon+を結成。同年8月、東京高円寺Highにて初のライヴを行う。その後、1ヶ月に1~2回のペースで東京、名古屋、大阪、京都と精力的にライヴ活動を行っている。映像とサウンドの融合をテーマとしたステージは、まさに驚きの連続。舞台上の大きなスクリーンに映像を投影し、acoのパフォーマンスとサウンド全てをシンクロさせて、歌詞の世界観をアーティに描き出しているのが特徴。作詞+作曲、衣装、ビジュアル・プロデュースは全てacoが担当。友人のアマチュア・ミュージシャン(Shoes/MissileChewbacca、FQTQ、USYN、Island Houseほか)がアレンジを手がけている。人が持っているポジティブさ、ネガティブさを素直に表現した歌詞と、ふわふわでスイートなボーカル、ポップでファンタジックなセンスのメロディー+アレンジが特徴的なテクノ・ポップとなっており、音楽関係者からの評価も高い。