ナゴムレコード再始動第1弾となる鈴木慶一とKERAのスーパー・ユニット、No Lie-Sense。ベテラン・ミュージシャンが織りなす壮大ないたずらと諧謔の産物!! 意味をこえたことばの破壊力!! 絶対に正体をつかませない遊び心あふれるソング・ライティング、謎の楽器をもちいた不思議でポップなサウンド・メイク!! さらに大槻ケンヂ、野宮真貴、坂本美雨、武川雅寛、上野洋子、犬山イヌコ、緒川たまき、ゴンドウトモヒコ、大森靖子という多彩なゲストをむかえ、いろんな角度で楽しめる今年の本命盤!! OTOTOYでは高音質配信。聞きのがしたら末代までの損失ですよ。


No Lie-Sense発売予告編


No Lie-Sense / First Suicide Note

【配信価格】
HQD(24bit/96kHzのwav) 単曲 250円 / アルバム購入 2,500円
mp3 単曲 250円 / アルバム購入 1,800円

【Track List】
01. けっけらけ
02. 僕らはみんな意味がない
03. 嘘つきぶっく
04. だるい人
05. 鉄道少年
06. MASAKERU
07. 反転せよ/火事
08. DEAD OR ALIVE(FINE, FINE)
09. イート・チョコレート・イート
10. 大通りはメインストリート

INTERVIEW : 鈴木慶一、KERA(No Lie-Sense)

有頂天、筋肉少女帯、たま、ばちかぶり、人生 (ZIN-SAY!)… いまあげたミュージシャンたちの共通点はなんでしょうか? わからない人はググってください。面倒だという、ずぼらなあなたは、そのまま読み進めてください。答えは… 全員同じレーベルに所属していたことがあるミュージシャンたち。そのレーベルの名は? ナゴムレコードです。有頂天のヴォーカリストで、現在は劇団「ナイロン100℃」の主宰者でもある、KERAが主宰しているインディ・レーベルで、日本のサブ・カルチャーを語るにあたって、決して外して語ることはできないレーベルなのです。

1983年から断続的に活動していたのですが、このたび30周年を迎える年に、再始動というニュースが飛び込んできました!! しかも、その第1弾は、現在無期限活動休止中のムーンライダーズのフロントマン、鈴木慶一とKERAのスーパー・ユニット、No Lie-Sense。さらにいうと、新生ナゴムは、KERAと鈴木慶一の共同運営体制ということ。なんで2人が結びついたのか、ナゴムはどうなっていくのか、そしてNo Lie-Senseはどんなことを考えているユニットなのか。気になって気になって仕方なかったので、2人にじっくり伺ってきました。つかみどころのない作品なので、あまり気負いせず、ゆるりと聴きながらお読みください。

インタビュー & 文 : 西澤裕郎

左 : 鈴木慶一 右 : KERA

無意味な歌詞を作るのってなかなか難しいの

ーー今日はお伺いしたいことがあり過ぎて、どうしようかなと思っているところです(笑)。

鈴木慶一(以下、慶一) : なんとかしてください(笑)。
KERA : 聴いてみて、どう思いました?

ーーかなり奇天烈で、どういう楽器で作ってるのかすらわからなくて(苦笑)。秋葉原にある権藤さんというかたのスタジオで、転がってる楽器を使って作ったとお伺いしたんですけど。

慶一 : 権藤くんのスタジオはTHE BEATNIKSの制作でも使っていて。音楽が生まれやすい場所なんですよ。楽器がいっぱいあるんでね。
KERA : 名前もわかんないような楽器が多いんですよね。破けたタンバリンとか(笑)。
慶一 : アナログ・シンセサイザーもいっぱい並んでいて、どんな音が出るかもよくわかんないんだけど、適当にいじって権藤くんが、どんどん録音してゆく。KERAが自宅のレコーダーで録音した断片をいっぱい持ってきて、この間に違う断片を入れようとか、そういう作業の繰り返しでしたね。

ーー断片的に録った音を編集していくわけですね。

KERA : 僕は楽譜も読めないし、楽典的な教養もまったくないから、ベーシックなトラックを作っていく段階では意見は言わせてもらうけど、実務は慶一さんがやってくださっていて。イメージとか、すごく抽象的なことをいうのが僕なんです。

ーー抽象的っていうのは、どういう感じで言われるんですか?

KERA : 昔、佐野元春さんが「もっとタイルにひたひた水が滴る感じにしたいんだよ」ってライヴの当日リハの人に言っていて。「これじゃあ、全然わかんないなあ」と思っていたんだけど、似たようなことを僕も言っていたと思います(笑)。
慶一 : 私はわかるよ(笑)。そう言われてから、権藤くんと考えるわけだよ。昔、シンセの音色に関して、硫酸がトタンを溶かすような音を作ってくれとか言ってたし。

ーーイマジネーション溢れる進めかたをされていたんですね(笑)。実際、曲作りは、どういう部分からはじめていったんですか。

慶一 : 最初は、一個づつ歌詞を作って、それから始めようとしたよね。

ーーなんで最初に歌詞を一曲ずつ書こうと?

慶一 : んー、スタートとしては、文字を見たほうがいいのかなって感じがしたんだよね。あと、なるべく意味のないものを作りたいなと思っていて。無意味な歌詞を作るのってなかなか難しいの。

ーーたしかに、無意味な歌詞って、作れっていわれると難しいですよね。

KERA : それもあって、歌詞を書く前に、慶一さんの事務所で無意味な曲をいろいろ聴きましたよね。(森山加代子さんの)「じんじろげ」とか(笑)。
慶一 : でもさ、作っていくうちに、だんだん戦争やら戦車やら、戦争っぽい言葉がいっぱい入ってきたね。
KERA : 「けっけらけ」って、基本的になんなんだかわからないんだけど、〈けっけらけーは戦後のドッカーンだ〉って書かれると、そっからなんらかのフィードバックが自分の中にあるわけですよ。〈驢馬の首を両手大事にかき抱き〉って書かれると、自分の詩で首のない驢馬を出してみたり。そんなキャッチボールも楽しかった。


森山加代子「じんじろげ」

ロック的な要素をなるべく排すってことは考えたね

ーーあと、なるべく意味を持たせないって資料に書いてあって、“なるべく”っていうのがおもしろいなと思いました。

KERA : (笑)。なんか、クレイジーキャッツとか例えば「ウンジャラゲ」とか聴いていて、まったく無意味な歌詞なんだけど、そっから感じ入るものはがあったりするんですよね。グダグダとメッセージを並べ立てている歌よりも、よっぽど考えさせられる。。
慶一 : 〈一つ山越シャ ホンダラホイホイ〉(「ホンダラ行進曲」)って、なんだろうなって思うじゃないですか。いや、なんだろうなって考えないんだけど、「すげー…」とは思うよね(笑)。
一同 : (笑)。
慶一 : あの破壊力にたどり着くかどうかわからないけど、ちょっと違う破壊力を持てればなあと思ったんだよね。

ーー今日歌詞をプリントアウトしたものを初めてもらったんですけど、「けっけらけ」も字にしてみるとかなり強烈ですね。

慶一 : 長いよね(笑)。無駄な言葉が長い。
一同 : (笑)。
慶一 : それとロック的な要素をなるべく排すってことは考えたね。なんて言ったらいいんでしょう。ロック・ミュージックにありがちなイディオムを使わない。

ーーそれはKERAさんもですか?

慶一 : だって、KERAはロック嫌いなんで。
KERA : まあ、そうですね。そう言いながら自分でずっとやってきてますけど。ケラ & ザ・シンセサイザーズは、一応ロックバンドですから。ただ、今回のアルバムでわざわざロックをやる必要もないなとは思って。慶一さんがもうひとつ新しく作ったバンド(Controversial Spark)がロックだし。

ーーたしかにControversial Sparkは新しいロックを目指しているバンドですもんね。だからこそ、No Lie-Senseでロック的なイディオムを使わないっていうのがおもしろいなと思って。

慶一 : Controversial Sparkがあるから、こっちはロックを出さない。住み分けがうまくできたと思いますよ。

いまはナゴムの名前でやっても別個のものとしてできそうな気がして

ーーなによりも、新生ナゴムをお二人で一緒にやるっていうのが不思議だったんですけど、どういった意図があったんでしょう。

KERA : ナゴムをやろうっていうのは、あとづけなんですよ。いっかい、ロードランナーっていうオランダ資本のレーベルでシンセサイザーズのCDを出したとき、ナゴム復活をやりかけたんです。そしたら、デモ・テープもきたんだけど、電気グルーヴの二番煎じぽいのとか、筋肉少女帯っぽいのとか、たまっぽいのとかしかこなくて、これはもうダメだと思って。

ーーナゴムの色にあわせたものが送られてきたわけですね。

KERA : やっぱり、かつてのナゴムレコードが、自分にとっても世間にとっても強大な存在としてあったんですね。あまりうまくいかなかった。でも、いまはナゴムの名前でやっても別個のものとしてできそうな気がして。抵抗がなかったんですよね。あと、単純にナゴムの30周年の一つのイベントとしてもわかりやすいかなって。

ーーこの数年でナゴムの名前がかなり肥大化したというか、いろいろなイメージがついてしまったと思うんですね。だから再始動って腰が重い部分もあったと思うんですけど、今回はそれほど気負いはなかったんですね。

KERA : まったくなかったですね。楽しくやっていければいいかなっていうのと、一人じゃイヤだから慶一さんとやろうっていうのがあったんで(笑)。
慶一 : 私もレーベル(水族館レーベル)とかやったけど、ちゃんと完結せずに終わってるかね。だから危険なんですよ(笑)。
一同 : (笑)。
慶一 : それこそ、ナゴムはインディーズの走りとして始まって継続してたからね。

ーー「10年前に同じことをしても世間に受け入れられなかったものも、いまは受け入れられる土壌ができてきた」って、KERAさんがインタビューでおっしゃってたんですけど、No Lie-Senseの音楽も受け入れられやすいような状況下にあると思いますか。

KERA : どうなんですかね? いまは、なんでも受け入れられる反面、驚いてもらえないっていうのも一方ではあるから。昔はちょっとなにかやると、みんなびっくりしてくれましたよね。っていうのも、昔はこうでないといけない! みたいなのが多かったんですよね。例えば、東京ロッカーズの人たちが愉快なことやっちゃいけなかったり。ナゴムの連中、(石野)卓球とか僕とか大槻(ケンヂ)とかは、そこを逆手に取って、斜に構えてパロディーにしたことで、立ち位置を確立できたと思うんですよ。いま、これがどのくらい受け取られるのか、僕もすごく興味があります。

ーー確かに、なんでもありのなかで驚きを与えるのは難しいですよね。


ZIN-SAY「オールナイトロング」

KERA : しかも、いまの若い人にとっては、昔の音源もいまの音源も同列上にあるじゃないですか。若い子が普通にクレイジーキャッツとか聴いてたりするし。僕なんかの時代は、「トニー谷リバイバルだー!」みたいに、いちいちエポックな感じだったけど、いまは普通に一人一人いろんなものを聴いているから、キワモノ感は昔よりは少ないかもしれないですね。昔、ナゴムが出たてのころは、とにかくキワモノで片付けられて、ずいぶん悔しい思いをしましたから。

ーーそれは、悔しい思いだったんですか?

KERA : 悔しかったね。例えば大槻の書く詞はくっだらないけど、ソノシートで出した空手バカボンのころから、その裏には詩人としての大槻ケンヂがちゃんと脈打ってた。それがあってのしょうもない打ち出しかたってことを、両面両サイド含めて感じないと、本当に楽しんだことにはならないと思って。初期のばちかぶりを出すまでは、本当にいじめられっ子でしたよ、ナゴムは。コミックバンドだろっていわれて。

ーーそれははいわゆる世間の反応とかがですか。

KERA : そう。レコード屋さんとか雑誌の編集部に持っていっても、「コミックバンドのレーベルでしょ?」といわれたり。で、プロの人たちにはへたくそだっていわれて。


空手バカボン「中央線ヤクザブルース」

なにをやってもいいやって気持ちになっているんだよ

ーー常に最先端のことを取り入れたり、実験的にフォーマットを更新し続けている慶一さんから、ナゴムレコードはどのように見えてたんですか?

慶一 : キワモノだと思ってたよ、うそうそ(笑)。ナゴムのエリアってでかいと思うんだよね、音楽の範囲が。だから、No Lie-Senseって、すごくフィットしていると思う。ムーンライダーズがいま休止中でしょ。蹴っ飛ばす相手がいると作りやすくて、それがムーンライダーズだったんだよね。でもいまは休止中だから、蹴っ飛ばすものがない(笑)。だから、実は非常に難しいの。でも、ないからこそ本当に独自のものというか、ここにしかないものが作れる気もしている。要するに、これじゃないものを作ろうっていう対象がないわけだから。いま、こういっちゃあなんだけど浮遊感があって、なにをやってもいいやって気持ちになっているんだよ。そこがおもしろいし、ナゴムにフィットしているなって。

ーーそれこそ、なにかを蹴飛ばすわけではなく、ぽっと出てきた閃きをおさめていってわけですね。

慶一 : そうだね。THE BEATNIKSの最新作が2011年に出たときは、数ヶ月がかりでムーンライダーズを休止に持ってく時期でもあったんだよ。その途中に作ったんで、思いつきが複雑に展開された。蹴っ飛ばすところが半分ない感じで。でもいまは完全にないんで(笑)。その分、おもしろいものができるんじゃないかなと思っている。

ーーそれを、演出家のようにKERAさんが補足していくと。

慶一 : そうそうそう。なんか、でこぼこしたものを作ろうって感じだね。でも、どこかさ、ロック・ヒストリーに抵触するようなものがあって、そういうのを消したい。

ーーどういうことですか?

慶一 : 「これって、70年代のなんとかだよね」っていう話をしないほうがいいというか、解放された感じがあるようにしたい。幸宏とやるときは、世代が一緒なので、そういう話をたくさんするけどね。

ーーそれこそカテゴライズしたい人には優しくない作品ですよね(笑)。最初に僕もよくわからないっていいましたけど。

一同 : (笑)。

ーー「80年代の~っぽいですよね」的な質問はしづらい。

KERA : そうですよね。今だからこその、そしてこのふたりにしか作れない音楽になったと思います。その点は自画自賛したい。

ーーちなみに、No Lie-Senseは一回限りの企画じゃなく、今後も続けていくんですよね。

慶一 : もう来月レコーディングしようかっていってるぐらいですから。

ーーもう、ですか(笑)。

KERA : ちょっとずつですけど、次のアルバムを作ろうって。
慶一 : KERAの空いてる時間をとにかく使おう!

ーーあははは。じゃあもう結構近いうちに聴けるかもしれないってことですね。

KERA : まとまるのは来年後半になるかもしれませんけど。僕は今、音楽家というよりは演劇人としての認知の方が一般的ですけど、可能な限り、音楽に時間をとっていきたいと考えています。レコーディングも毎日本当に楽しかったんですよね。

ーーちなみに、ナゴムとしてNo Lie-Sense以外の音源も出していったりするんですか?

KERA : 具体的には考えてないですけどでも、漠然とは考えてます。また、いろいろ思いつくんじゃないですかね。偶然も含めて、いろんなものが生まれてくるんじゃないかなあ、と。この場があることで、慶一さんが変なものや人を見つけてきたりとか、変なことをやったりしてくれるじゃないかなあと期待しています。
慶一 : 私もマジで見つけてこなきゃ(笑)。
一同 : (笑)。
KERA : すごく普通のロック・バンドとかね(笑)。
慶一 : それも相当古臭いのね(笑)。

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PROFILE

No Lie-Sense

2011年末に無期限活動休止を宣言したムーンライダーズでの活動のかたわら、おおくのCMや映画音楽、アーティスト・プロデュースなどをてがけ、音楽界におおきな影響をあたえてきた鈴木慶一と80年代よりインディー・レーベル、ナゴムを主催し、ヴォーカルを担当する有頂天がオリコン・チャートにランクインするなど日本のインディーズ界で一時代を築いてきたKERAが結成したユニット。
今年2月におこなわれたイベント「INU-KERA」の楽屋で「さほど意味のない音楽」を作ろうと意気投合し、結成にいたる。1988年、テレビ番組をきっかけにシングルをリリースした秩父山バンド以来、ひさびさにタッグをくむ。鈴木慶一の日本レコード大賞優秀アルバム賞、日本アカデミー賞、また、劇団ナイロン100℃をひきいる脚本家 & 演出家、ケラリーノサンドロヴィッチとしても活躍するKERAの岸田國士戯曲賞、読売演劇大賞優秀作品賞など、おおくの受賞歴をもつふたりであるが、飄々としたスタンスで音楽と、別のフィールドを行き来している。ふたりともに、運転のライセンスをもたないので、ユニット名をNo Lie-Senseとした。

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