水曜日のカンパネラはどのように産まれたのか? 仕掛け人Dir.F、初ロング・インタヴュー&カレーメシくん登場
水曜日のカンパネラ、5作目となるオリジナル・アルバム『ジパング』のハイレゾ音源、聴きましたか? メンバーであるケンモチヒデフミが100%プロデュースした本作は、これまでの水カンの印象がガラリと変わった超大作に。テーマは国外から見た日本、ユーラシア大陸の旅。KOHHのアルバムも手がける上岡拓也によるイラスト・ジャケットが示しているように、コムアイが最前線に立ち、アイデアを全面に散りばめた、水曜日のカンパネラ、第2章の幕開けです。
OTOTOYでは、4週連続で企画を実施中。最終週となる今回は、水曜日のカンパネラを立ち上げたディレクターでもあり、マネージャーでもあり、何でも屋でもあるDir.Fにロング・インタヴューを敢行。水曜日のカンパネラというプロジェクトがなぜここまで大きくなったのかに迫ります。そして、リード曲「ラー」でコラボレーションしたカレーメシくんと、「カレーメシ2」のCMを手がけた瀧澤慎一氏(HAKUHODO THE DAY)にインタヴューを敢行!! アルバムを聴きながら、じっくりお楽しみください。
取材 & 文 : ねるねるね〜るね西澤
待望のハイレゾ配信スタート!
水曜日のカンパネラ / ジパング(24bit/96kHz)
【配信形態】
WAV、ALAC、FLAC(24bit/96kHz) / AAC
>>ハイレゾとは?
【配信価格】
単曲 205円 / まとめ購入 1,800円(税込)
【Track List】
1. シャクシャイン
2. 猪八戒
3. メデューサ
4. ラー
5. ツイッギー
6. ウランちゃん
7. ライト兄弟
8. 小野妹子
9. 西玉夫
10. マッチ売りの少女
INTERVIEW : Dir.F
ーー初めてコムアイに会ったときから、Dir.Fは彼女にアーティストとしての可能性を感じていたんでしょうか?
Dir.F : 最初は、共通の知り合いの映像作家のパーティでたまたまコムアイに会って話す機会があって、この人はどういう形になるかはわからないけど、おもしろくなるだろうってことを直感的に思っていました。鹿の解体とか、ピースボートとか、若いながら経験値も高く、何かやりたい事がある人でカタチを模索しているようなふつふつした感じがあったんです。表現の方法として直線的なアプローチが多かったので、その時にアーティストになったらスムーズに伝わることもあるってことを伝えて。僕はおもしろいと思った人とは1回仕事をしたいと思うんですよね。それからしばらくして、ケンモチさんと前から温めていたプロジェクトの水曜日のカンパネラに参加してもらうようにオファーしました。
ーーケンモチさんとの出会いは〈デザインフェスタ(以下、デザフェス)〉なんですよね。
Dir.F : そうですね。もともとケンモチさんのことは知っていて、CDも買って聴いていたんですけど、たまたま〈デザフェス〉に出展していたので旧譜も買って、別日に打ち合わせをさせてもらったんです。最初はケンモチさんも半信半疑だったと思うんですよ。だから、まずは会うことが大事だと思って、当時参加していたクラブ・イベントに出演してもらったり、何回か会ってるうちに「なにかやろうよ」という話になって始まっていきました。
ーー水曜日のカンパネラとして一番最初に作ったのはどの曲ですか?
Dir.F : コムアイ以外の初期メンバーの声も入っているレア曲なんですけど、「オズ」って曲ですね。当時は活動をはじめたばかりで、世の中に告知できるメディアも持っていなかったので、曲を知ってもらうにはYouTubeしかないと思って静止画に曲を載せて楽曲をアップすることから始めたんです。実は、どこかで一瞬画像が変わります。このアイデアは、コムアイが考えてくれました(笑)。
ーーYouTubeにアップして反響とか反応はありましたか?
Dir.F : いや、あんまりなかったですね(笑)。 それでも曲だけ先行して作り続けていて、〈デザフェス〉でもケンモチさんが出展してるところにデモ盤を置かせてもらったりしていました。あとは、水曜日になにかするってことだったり、独自のイベントをすることだったりを決めて、YouTubeでアップすることに集中していましたね。基本的に僕の戦略の構造は、集中と拡散が軸になっています。
ーーたしかに1stアルバム『クロールと逆上がり』も、ヴィレッジバンガード下北沢店限定での販売でしたもんね。
Dir.F : そう。まずは局所的な盛り上がりっていうのを見せたかったんですよね。それでちょっとずつ知られるようになっていった感じです。あと、「オズ」と「空海」っていう全然タイプの違う2曲を出して、今後の方向性を探っていこうと思って。「オズ」の方がダントツで人気だったので、そこも参考にしました。その頃から、国立FMっていうネットラジオもやり始めて、1ヶ月に2本くらいのペースでPVもアップしていました(笑)。
ーー当時、ライヴについてはどういうふうに考えていたんですか?
Dir.F : ライヴはひたすら回数を重ねないとダメというか、元々ライヴはあまりやる気がなかったからコムアイが「やだな~」「やめたいな~」と思う瞬間がないくらい数をやろうと思って、できるだけ場数を増やしました。それでダメになるんだったら仕方ないし、化けるんだったら化けるし、どっちかだろうなと思って。なので、2013年は結構ライヴをやりましたね。今はその時期は終えました。
そのアーティストに合わせて物事を進めないと売れないと思っている
ーーそのころ、りんご飴をテーマにしたサイト「ringo-a.me」と、〈りんご音楽祭〉出演を目指す企画もはじまりました。「ringo-a.me」のアート・ディレクターを務めていた藤代雄一朗さんは、水曜日のカンパネラのPVやドキュメンタリーなどを監督する映像の中心人物となっていったり、外に開けたきっかけの一つになったのかなと思いますけど、なんであそこでりんご飴チームに行き着いたんですか?
Dir.F : 行き着いたというよりは、僕らのライヴを観て「おもしろかったです!」って声を掛けてくれたのがきっかけなんです。当時、僕もいろいろなフェスを調べていて、〈りんご音楽祭〉のオーディションがあるっていうことは知っていたので、〈りんご音楽祭〉を目指す過程を世の中に出したらおもしろいんじゃないかなって思って、そのプロセスを写真や動画でWEBニュースとして拡散しました。そこから初の自主企画イベントとして〈りんご飴音楽祭〉というイベントも一緒に企画していったんです。
ーー出会いのチャンスをできるだけ生かすっていうのが、Dir.Fのやり方ですよね。
Dir.F : ある程度流れに任せつつも、その中でチャンスを作ることが多いかもしれないですね。
ーー大きな疑問なんですけど、Dir.Fには、水曜日のカンパネラをはじめるまでに培っていた人脈があったと思うんですね。その人脈を使わずに、新しい出会いを求めているように見えたんですけど、そこに理由はあるんですか?
Dir.F : 僕の基本的な考えとして、そのアーティストに合わせて物事を進めないと売れないと思っているんですよ。自分の範疇でしか動かないと、進む方向が全部同じになってしまうじゃないですか。もし僕がまた違うアーティストのマネジメントを始めるとしたら、再び0から考えて、その人に合う人たちにコンタクトしていくと思います。そもそも自分が声をかけている場合は、その時点で魅力的なアーティストなので、後はその人の魅力をどう引き出すか? ってことを考えます。
ーーそういう意味で、ちゃんと届ける人にアプローチしていったことが、2013年の秋くらいに形になってきています。2ndアルバム『羅生門』はタワーレコードのタワレコメンにも選ばれました。
Dir.F : もともとタワーレコードでケンモチさんを推していたのを知っていたので、流通で何かをしかけるなら「タワレコ」に行こう! ということで、今の水カン担当の佐々木さんのところに話をしにいったんです。音源を持って行ったら気に入ってくれる人が多くて、こちらから働きかけるわけじゃなく、本当に推薦してもらってタワレコメンが決まったんですよね。
ーー2013年の終わりくらいには、「musicるTV」で地上波にも取り上げられましたけど、「可愛いけど、なにがやりたいのかわからない」みたいな反応でしたよね。逆に地方に行くと「マリーアントワネットのPV見ました~」って言われたり、YouTubeによる反応はじわじわあがっていきました。
Dir.F : 2013年の終わりくらいの時期は、音楽が好きな人の動きって最初はウェブサイトやラジオで、そのあとはCD販売店、次くらいがライヴハウスなんだなってことを感じましたね。あのころの水曜日のカンパネラは、まだ人の足が動きはじめる前って感じはしていました。
なんとなく全部いいっていうのはなかなか人に伝わらない
ーーそして、2014年3月に3rdアルバム『シネマジャック』をリリースしました。「ミツコ」ができたり、MVのクオリティもあがったり、内容はどんどんよくなっていたんですけど、それに対する世間の反応に停滞感を感じている時期でもありましたよね。自主企画の〈水曜日の視聴覚室〉はすぐにSOLD OUTすると思っていたんですけど、なかなか売り切れなくて、なにかやらないとってことで、ゲリラ路上ライヴとかUstreamとか、いろいろやりましたよね。
Dir.F : 懐かしいですね(笑)。最初の〈水曜日の視聴覚室〉は、チケットも1,000円にしていたので最終的にお客さんは入ったんですけど赤字でしたからね。このころ沖縄にも初めて行ったり、タワレコメンにも選ばれたので東京以外のタワレコのインストアを増やすことで、積極的に知ってもらう機会は増やしていきましたね。
ーー同時に『シネマジャック』は、音楽メディアが評価し始めた時期でもありました。それによって、音楽的にもいいんだぜっていうのが、より認知されていったのかなと思います。
Dir.F : 確かに。そのあと、ヴィレバンとのコラボ・ミニ・アルバム『安眠豆腐』を出したんですよね。ヴィレバンの金田さんが、〈水曜日の視聴覚室〉で映像とコラボしたのを見て、もっと歌が聴きたくなったって言ってくれて。カヴァーをやりませんか? って提案をくれて、ぴったりくる曲を金田さんが持ってきてくれたので、そこからチョイスして作りました(笑)。
ーーそして、2014年の11月に4作目となる『私を鬼ヶ島に連れてって』がリリースされましたが、これまでで一番大きい反響がありましたよね。特に「桃太郎」の反響がすごかったと思うんですけど、ここでケンモチさんのダジャレ・ラップが完成して、聴く人にも伝わったんだなという感じがしましたよね。
Dir.F : とはいえ、『シネマジャック』の後からライヴにも変化が出てきて、それがあっての『わた鬼』があるって感じですよね。『羅生門』『シネマジャック』はまだ種まきというか、制作やライヴの面でも色々悩んだ部分もありましたね。なので、『わた鬼』までは、まだツアーをしようという気持ちにもならなかったんです。
ーー初めての全国ツアーも始まりましたけど、水カンへの反応も変わってきていましたよね。ビックリするのは、『シネマジャック』のリリース前にリキッドルームでワンマンをやるっていってことを言っていて、まだ早いんじゃないのと思っているなかで、リキッドルームを押さえてましたよね(笑)。
Dir.F : (笑)。みんな信用してなかったと思うんですけど、いざチケットを発売したら、リキッドルームが即SOLD OUTして、ケンモチさんもコムさんも大きな動きの戦略に関しては何も言わなくなりましたね。けど、基本的には2人の合意を得てアイデアを取りまとめて進めています。その後は、動員もCDの枚数もコンスタントに伸びていきました。あと、フェスへの出演が多くなりましたね。
ーーちょうど1年前くらいはフェスにたくさん出たいって言っている状況だったのに、 なんでこんなに実現したんですかね(笑)。
Dir.F : 「桃太郎」がヒット曲になったということは、わかりやすい象徴で、それがいろんなところに伝わっていって、他の曲も聴いてくれて知ってもらえたのが大きかったと思います。そういう意味では、良くも悪くも認知度が高めの代表曲があるっていうのは効果的だったんだと思います。なんとなく全部いいっていうのはなかなか人に伝わらないですからね。
ーー「桃太郎」は、別にそういうヒット曲を狙って作った曲じゃないですよね。僕も最初聞いた時そんな曲だとは思わなかったんですけど、今となってみると「これは代表曲だ」と思うようになって、そこは不思議ですよね(笑)。
Dir.F : まさにそうですね。人名縛りで曲のタイトルをつけているんですけど、もっとわかりやすい名前の方がいいんじゃないかな~というタイトルの中の1つが「桃太郎」でしたからね。あとあと考えたら、「桃太郎」にはいろんなフックがあって。子どもたちが歌いやすいメロディーだったり、リリックのおもしろさだったり、テンポ感もそう。ただ、「桃太郎」ってタイトルじゃなかったら、ダメだったかもしれないですね。
ーー狙わないで、そこに行き着いたっていうのがおもしろいですよね。
Dir.F : カンパネラで狙って爆発したことって、実はあまりないかもしれないです。かっこいいからとかおもしろいからやるっていうのが重要で、これが売れるだろなと思ってやってることはほとんどないかもしれないです。
もうちょっと違うフィールドにもコムアイとしては立ってもらいたい
ーーそして今作の『ジパング』ですけど、「ツイッギー」みたいなタイアップ曲もあったり、曲の作り方で新たな試みも多く入っていますね。
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※ 曲番をクリックすると試聴できます。
Dir.F : 『ジパング』は、いままでと違うことをやりたいって前から話はしていて。だから、タイアップが決まったからっていうのは、きっかけの一つに過ぎないと思うんですよ。もちろん大きなきっかけにはなっていますけど。
ーー前回のインタヴューで話してくれましたけど、コムさんにとってもプラスに働いたコラボレーションだったんだなと思います。実際に、彼女自身の意識も変わってきましたよね。最初は、周りにいるみんなが幸せになればいいからみたいな感じで、クリエイティヴの部分である程度線引きをしていたけど、いまはプロデュース部分もけっこう関わるようになってきていますもんね。
Dir.F : それはあるかもしれないですね。もともとやりたいことをやってほしいと思ってたんですけど、どういう形でやっていこうかと探っていて。言ってみれば、コムアイ本人が大将で、僕がマネージャーなので軍師的な感じで、ケンモチさんがサウンド担当で武器を作る人という感じなんですよ。コムアイを軸にその時におもしろいと思ったものを実現したり提案していくのが我々の仕事で、失敗しながらも次に進んで新しいものが出来るスタイルというか。音楽活動自体もコムアイは初めてなことが多いので、とにかく迷ったらやってみようっていうスタイルで臨んでいます。なので、これまでだったらダメだったけど、もしかしたら水曜日のカンパネラなら行けるかもしれない、という感じで新たな事に挑戦していることも多いですね。そして、CDが売れていた過去の時代とも環境も違うので、色々と音楽業界もお客さん自体も変わって来ていますね。
ーーDir.Fのやり方は、合気道みたいに周りの人のエネルギーを受けて、うまく転換するって形ですよね。そこがとてもうまいと思います。
Dir.F : 個人的に、全体的な流れを作ったり見たりするのが好きだし楽しいんですよね。みんな思いつきで動くので(笑)、絶妙なタイミングと機会で回収していかないといけないですよね。
ーー先ほどの金田さんの話もありましたけど、周りの人たちの意見を取り入れて実現していってくれるというところでの巻込み方もすごいなと思っていて。OTOTOYでも映画からエロスを読み解く連載をしていましたけど、それにあわせて毎回楽曲を作ってくれたじゃないですか。そこまで一緒にやってくれるっていうのは、こちらも一緒にがんばってるんだって気持ちにすごくなりますよね。そういう人たちが多いのも、水曜日のカンパネラの強みなんだと思います。
Dir.F : おもしろいことは即採用して取り込むというのがスタイルなので。後、一番嫌なのは、自分でやろうって言っておきながらやらないことなんです。だから、僕がやるって言うときは82%くらい成功するタイミングが多いですね。 そういうのが性格の根本にはあるかもしれないですね。
ーーちなみに、活動当初に計画していた目標のほとんどは、もう実現されてる状態だと思うんですけど、この先はどういうところを目指してるんですか?
Dir.F : まだ全国的には知られてないから、そこには広げたいですよね。来年は海外にもエリアを広げたいし、音楽は音楽でやりつつも、もうちょっと違うフィールドにもコムアイとしては立ってもらいたい。というか個人的に見てみたいというのもあります(笑)。アーティストは、俳優とか作家のように職業がはっきりしていなくて、曖昧じゃないですか(笑)。そこがおもしろくて、何やってもいいっていうのが特権じゃないですか。そこはもっと自由にやっていきたいしやってもらいたいなと思ってます。時代も変わっていくので、これまでの体系や考えじゃ窮屈になって来ている事も多くて、その中でちょっとでも新しい兆しを模索していけるようなアーティストが世の中に出て来てもおもしろいな~と思います。
水曜日のカンパネラの女性マネージャー募集!!!
それにあたって、女性のマネージャーも募集しています。
免許を持っていて、英語ができる人がいたら、ぜひメールして欲しいです!!
宛先 : y.fukunaga@tsubasa-records.co.jp
件名に「マネージャー希望」と記載の上ご連絡下さい!
できれば簡単な履歴書も頂けると助かります。
※一週間以内に返信が無い場合は不採用となります。
INTERVIEW : カレーメシくん、瀧澤慎一(HAKUHODO THE DAY)
カレーメシくん
佐藤可士和氏のディレクションにより生み出されたキャラクター。
ゆるキャラ界最後の刺客。ゆるキャラらしいフォルムの「ノーマルタイプ」と、
キレキレに動ける「アクティブタイプ」の2体で活動中。
瀧澤慎一
HAKUHODO THE DAY クリエイティブディレクター / CMプランナー
2003年博報堂入社。クリエイティブを希望するも、人事局に配属。
3年半、新卒採用などを担当したのち、クリエイティブへ異動。現在は、HAKUHODO THE DAYに所属。
主な仕事に、日清カレーメシ「ジャスティス!」、カレーメシ2「ペーペコチン!」、
メルセデス・ベンツ×スーパーマリオ「GO! GLA」のTVCM、水曜日のカンパネラ「ラー」のMVなど。
ーーそもそも、カレーメシくんはどんなキャラクターなんでしょう?
瀧澤慎一(以下、瀧澤) : カレーメシくんは、佐藤可士和さんのディレクションで生まれたキャラクターで、なんでもありというか、どうでもいいというか、極めて自由なキャラクターです。ゆるキャラって、キャラクター設定がいろいろ決められていると思うんですけど、カレーメシくんはヒール的なこともやるし、ちゃんとしたこともやるしという感じで。
ーー「極めて自由である」というのは、丸投げってことではないんですよね…?
瀧澤 : そうですね。キャラクターって時間と共に出来上がっていくものなので、最初から決めた通りにやってもおもしろいとは限らなくて。世の中との関わり合いの中で育っていくものだと思うので、自由度を残したんですよね。まぁ、基本ノリでやってます(笑)。
ーーカレーメシくんが初めて人の目に触れたのはいつですか?
瀧澤 : 2014年4月にカレーメシのテレビCMを打ったときですかね。「ジャスティス!」っていう決め台詞があるんですけど、それと共にネットでもかなり広がって。それからは、ゆるキャラ界最後の刺客として、地方のゆるキャラとひたすら対決してみたり、ゲリラ的に「ニコニコ超会議」で太鼓の達人やってみたり、浅草で人力車に乗ってみたり。商品を試食してもらうために、スーパーをまわったりもしましたね。
ーー食品売場にいるのはわかるんですけど、タワーレコードみたいなお店に来たことはあるんですか?
瀧澤 : どうでしょう。カレーメシくん、実は2体いて、僕が知らないところでも勝手にいろいろやってるんで(笑)。ただこれまでにない新しい取り組みなのは間違いないです。今回は、水曜日のカンパネラと日清カレーメシでコラボレーションさせてもらっているんですが、僕らとしては『ジパング』が売れてくれれば大成功と思っているので、カレーメシくんをバイトに出して少しでも売上に貢献できればと思っています(笑)。
ーー今日のバイトで、カレーメシくんはどういうお仕事をしているんですか。
瀧澤 : エレベーター・ホールの前で、タワーレコードさんが制作してくださっている水カン新聞とかオリジナルのステッカーを配っています。
ーーカレーメシの横にちっちゃく「2」という文字が入ってますが、こんな数字ありましたっけ?
瀧澤 : 日清食品さんは毎年商品の改良をしているんですよ。例えば、iPhoneも3とか4とかアップデートして変わってくじゃないですか? 食品でそういうのがあったらおもしろいなと思っていたのと、せっかく進化してるのに伝わらないのはもったいないなと思ったので、「2って付けたらどうですか?」ってお話をしたら、いいですねってなって、今年は2をつけることになりました。
ーー本当に自由度があるというか、遊び心があるキャラクターなんですね。
瀧澤 : コミュニケーションのコンセプトとして「理解不能な新しさ」を置いているんです。一瞬見て「ポカーン」ってなるんだけど、一周回って考えると、よく出来ているものになるといいなって。今回、水曜日のカンパネラとコラボレーションしたのも、楽曲から受ける感覚が、僕らがやろうとしていることと共通していると感じたのと、常識の範疇をかろやかに飛び越えていくコムアイさんの自由さが、カレーメシとマッチするんじゃないかと思ったので一緒にやらせてもらったんです。
強いシンボルがあると自由度が上がる
ーー「ラー」に関しては、曲の注文もけっこうされたんですか?
瀧澤 : そうですね。とはいえ、僕はコマーシャル・ソングを作ってほしかったわけではなくて、あくまでも水曜日のカンパネラとして、新しい扉を開くような曲を一緒に作れたらということをお話させていただいて。もちろんカレーメシを想起させるような〈ペーペコチンダンス〉とか〈ユア・ジャスティス〉のようなキーワードが入っていますけど、カレーメシを楽曲を創作する上でのスパイスというか刺激として使ってもらっている感じです。楽曲は当然ながらアーティストのものだと思っているので、ケンモチさん、コムアイさん、Dir.Fさんが納得いくものを作ってもらえればと思っていたし、3人は時代の感覚を掴んでいると信じていたからお任せしました。
Dir.F : 最初、「ガンジー」って曲もありましたもんね(笑)。
瀧澤 : 僕は「ガンジー」も推していたんですけどね(笑)。でも、「ラー」は太陽神のことで、歌詞の中にもコスモっていう宇宙の話が出てくるんですよ。カレーって、ある種の小宇宙って感覚があって。結果的に「ラー」を選んだことは正解だったというか、上手くいったなと思っています。
ーーとはいえ、それをCMとして映像と組み合わせていくのは難しくなかったですか?
瀧澤 : 僕らはMAD動画をそのままCMに流したこともあるんです。公式がMADをやるということをコミュニケーションの技として持っていたので、アーティスト・サイドのMVをオリジナルで作り、それをマッシュ・アップという形で壊して、新しいものを作るという流れは、すごく自然にやることができたかなと思っています。結果的には2つの違うおもしろさというか、ネクスト・ステージを開く水カン第二章としての壮大なMVと、カレーメシ流にそれを破壊したマッシュ・アップとの、いいシナジーが作れたのでよかったですね。
ーーMAD映像をオフィシャルが使いこなすというのはおもしろいですね。CMに出てくるカレーメシくん以外のキャラクターもインパクトが強いですよね(笑)。このキャラ揃いの中で、カレーメシくんの役割ってどういうものなんですか?
瀧澤 : CMもそうなんですけど、山吹色の黄色いバックにカレーメシくんがドンと立っていると、それだけでカレーメシの世界観が生まれるんです。あの背景とカレーメシくんがいることによって、周りの自由度が上がる。それが彼のいる1番の意味なんじゃないかと思うんですよね。
ーーカレーメシにおける絶対的な象徴的存在なんですね(笑)。
瀧澤 : 彼がいるからこそ、なんでもやれるんです。強いシンボルがあると自由度が上がるっていうのが、やってみてすごく分かりましたね。
食品という存在を超えて、新しいカルチャーを作る
ーー今日はタワーレコードさんでのバイトですけど、タワレコさんの色も黄色でお揃いですよね。
瀧澤 : そうなんですよ。僕らが水カンと組む前、なにかしらコラボレーションをしたいと思っていろいろ考えてたんですけど、黄色縛りのコラボレーションもあるなと思って。打ち合わせで、タワーレコードさんの名前も勝手にあげていたんですが、図らずも今回、水カンをパワー・プッシュしてるタワーレコードさんと一緒にやれることになり。コラボレーションしたかった2組と同時にやれることになったので、すごいことが実現したなと感激しました。
ーーそして生まれたのが、タワーレコード限定発売のダウンロード・コード付きのカレーメシなんですね。
瀧澤 : どうせやるんだったら、水曜日のカンパネラも、タワーレコードさんも盛り上がって、僕らも含めてみんなでおもしろがれる関係にならないとダメなので、そのアイデアがパラデータ付きのカレーメシに集約されています。タワレコの店頭で、『ジパング』と一緒にカレーメシを買い物かごに入れてもらってる光景は、なんか意味わからないけど素敵だろうなって。
ーーパラデータを配るってことは、MADの話じゃないですけど、リミックスだったり、いじってもらうことを期待されてのことですか?
瀧澤 : いかに世の中の人に遊んでもらうかがすごい大事で、広がっていったり、愛される上で大切な要素だと思っています。去年僕らが作ったCMをベースに、ニコ動とかにはすごい数のMAD動画ができてたんです。水カン的にも「桃太郎」でパラデータを配布した実績もあったし、一緒にやるんだったらパラデータとして素材で出すのがいいなと思ったんですよね。
ーーこれだけ好き勝手やってますけど、それを許してくれる日清食品さんの懐の深さみたいなのもありますよね。
瀧澤 : カレーメシの仕事は、佐藤可士和さんと日清食品の安藤徳隆社長と日常的に会話しながら進めているんですが、「思い切り振り切ってください」といつも背中を押してくれるので、僕もつい調子に乗っちゃうんです。そういう意味ではとても懐が深いクライアントですし、カルチャーを作ることに対する理解があるんですよね。カップヌードルもそうですが、日清食品さんが作っている商品って、ある種のジャパニーズ・ポップ・カルチャーだと思うんです。食品という存在を超えて、新しいカルチャーを作る。そのことに対する理解や気概がある会社なので、こういう取り組みもどんどんやってみたらって言ってくれるんです。ありがたいことですね。
ーー最後は、象徴的存在であるカレーメシくんから一言お願いできますか?
カレーメシ : ジャスティス!!
一同 : (笑)。
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※ 曲番をクリックすると試聴できます。
>>5thアルバム完成記念企画①タワレコ×TSUTAYA対談
>>5thアルバム完成記念企画②BAYCAMP×サマソニ制作者対談
>>5thアルバム完成記念企画③コムアイ、ケンモチヒデフミ、Dir.Fに訊くアルバム制作秘話
水曜日のカンパネラ LIVE SCHEDULE
水曜日のカンパネラ・ワンマン・ライヴ・ツアー〈ジパング〉
2015年11月27日(金)@大阪umeda AKASO 18:30/19:30 SOLD OUT
2015年12月4日(金)@札幌Sound Lab mole 18:00/19:00 SOLD OUT
2015年12月6日(日)@仙台CLUB JUNK BOX 17:00/18:00 SOLD OUT
2015年12月12日(土)@福岡BEAT STATION 17:00/18:00 SOLD OUT
2015年12月18日(金)@名古屋CLUB QUATTRO 18:30/19:30 SOLD OUT
2015年12月23(祝・水)@沖縄ガンガラーの谷・ケイブカフェ 18:30/19:00 ※ゲスト : オオルタイチ
前売 : 3,400円(税込・ドリンク代別途)
水曜日のカンパネラ・ワンマン・ライヴNANIWA! / OEDO!
2016年2月24日(水)@大阪 BIGCAT 18:30/19:30
2016年2月28日(日)@東京 Zepp DiverCity 17:00/18:00
前売 : 3,500円(税込・ドリンク代別途)
オフィシャル先行予約 : 11/18(水) 12:00〜
水曜日のカンパネラ・競演ツアー「ジパング」
2015年12月13日(日)@広島 414 17:00 / 18:00 w / tricot SOLD OUT
2015年12月19日(土)@神戸 太陽と虎 17:00 / 18:00 w / 吉田一郎不可触世界 SOLD OUT
〈ジパング・インストアツアー〉
2016年1月9日(土)@TOWERmini盛岡店 15:00~
2016年1月16日(土)@タワーレコード高松丸亀町店 15:00~
2016年1月17日(日)@タワーレコードららぽーと磐田店 16:00~
2016年1月23日(土)@タワーレコード佐賀店 15:00~
水曜日のカンパネラの作品をチェック!!
3名のプロデューサーによるEPをハイレゾ配信中!!
水曜日のカンパネラ / トライアスロン(24bit/48kHz)
【配信形態】
WAV、ALAC、FLAC(24bit/48kHz)
【配信価格】
単曲 208円 / まとめ購入 555円
【Track List】
1. ディアブロ
2. ナポレオン
3. ユタ
>>>インタヴューその①「ナポレオン」プロデューサー・OBKR
>>>インタヴューその②「ユタ」プロデューサー・オオルタイチ
>>>インタヴューその③「ディアブロ」プロデューサー・kenmochi hidefumi
>>>インタヴューその④ヴォーカル・コムアイ
待望の4th・ミニ・アルバムをハイレゾ配信中!!
水曜日のカンパネラ / 私を鬼ヶ島に連れてって(24bit/48kHz)
【配信形態】
WAV、ALAC、FLAC(24bit/48kHz)
【配信価格】
単曲 208円 / まとめ購入 1,234円
【Track List】
1. 千利休 / 2. 桃太郎 / 3. エンゲル / 4. チャイコフスキー〈Interlude-ラモス-〉 / 5. インカ / 6. デーメーテール / 7. ジャンヌダルク / 8. ドラキュラ
>>4thミニ・アルバム完成記念企画①ビレバン、タワレコ、OTOTOYバイヤー座談会
>>4thミニ・アルバム完成記念企画②振り付け師・竹森徳芳への初インタヴュー
>>4thミニ・アルバム完成記念企画③ヴォーカルのコムアイへのインタヴュー
>>4thミニ・アルバム完成記念企画④トラックメイカー・kenmochi hidefumiへのインタヴュー
ヴィレッジヴァンガード限定のカバー・ミニ・アルバム、ハイレゾ版!!
水曜日のカンパネラ / 安眠豆腐(24bit/48kHz)
【配信形態】
HQD(24bit/48kHz)
【配信価格】
単曲 249円 / まとめ購入 800円
【Track List】
1. カンフー・レディー / 2. めぐる季節 / 3. 月灯りふんわり落ちてくる夜 / 4. 星めぐりの歌
>>コムアイの前世を占うために催眠術にかかりにいくの巻
映画をテーマにした3rdミニ・アルバム、ハイレゾ版!!
水曜日のカンパネラ / シネマジャック
【配信形態】
HQD(24bit/48kHz)
【配信価格】
単曲 205円 / まとめ購入 1,234円
【Track List】
1. ミツコ / 2. 二階堂マリ / 3. 義経 / 4. モスラ / 5. ラオウ / 6. ダ・ヴィンチ / 7. ニキータ / 8. ランボー
>>Kenmochi Hidefumiへのインタビューはこちら
CD版とはミックス違いの2ndミニ・アルバムをハイレゾ配信中!!
水曜日のカンパネラ / 羅生門
【配信形態】
HQD(24bit/48kHz)
【配信価格】
単曲 205円 / まとめ購入 1,234円
【Track List】
1. モノポリー / 2. 素子 / 3. 星一徹 / 4. シャア / 5. マリー・アントワネット / 6. アリババ神帝 / 7. 不二子 / 8. 竹久夢二
>>コムアイ、Dir.Fへのインタビューはこちら
お待たせしました!! ヴィレッジバンガード下北沢店限定の1stミニ・アルバムをハイレゾ配信スタート!!
水曜日のカンパネラ / クロールと逆上がり
【配信形態】
HQD(24bit/48kHz)
【配信価格】
単曲 205円 / まとめ購入 1,440円
【Track List】
1. パフ / 2. お七 / 3. ゴッホ / 4. テンテン / 5. 浮雲 / 6. ヒカシュー / 7. マチルダ / 8. マルコ・ポーロ / 9. ネロ
エロスの連載を振り返っておこう
本連載から生まれた、水曜日のカンパネラのエロス第一弾シングル
水曜日のカンパネラ / モスラ(幼虫Ver.)
【価格】
wav / mp3 : 単曲 200円
水曜日のカンパネラのトラック・メイカー、Kenmochi Hidefumiによるモスラをテーマにしたトラックと、そこに乗っかるコムアイのエロスをモチーフにしたリリック。連載第一弾配信シングルにして、すでに最高傑作ともいえる湿気たっぷりのエロス・ソング!! 怪しくくぐもったサウンドにエモーショナルな鍵盤が絡まるロマンティックでエロティックな楽曲にときめきを感じてみては? 水曜日のカンパネラが羽化していくことを予感させる名曲!!
>>第一回『モスラ対ゴジラ』の考察ページはこちら
本連載から生まれた、水曜日のカンパネラのエロス第二弾シングル
水曜日のカンパネラ / ラオウ
【価格】
wav / mp3 : 単曲 200円
水曜日のカンパネラのトラック・メイカー、Kenmochi Hidefumiによる北斗の拳をテーマにしたトラックと、そこに乗っかるコムアイのエロスをモチーフにしたリリック。連載第二弾配信シングルにして、エロス・ソングとしては最大の問題作。
>>第二回『真救世主伝説 北斗の拳 ラオウ伝 殉愛の章』の考察ページはこちら
本連載から生まれた、水曜日のカンパネラのエロス第三弾シングル
水曜日のカンパネラ / ミツコ(セーラー服ver.)
【価格】
wav / mp3 : 単曲 200円
水曜日のカンパネラのトラック・メーカーKenmochi Hidefumiによる『恋の罪』をテーマにしたトラックと、コムアイのエロスをモチーフにしたリリックが結実した、連載第3弾配信シングル。水カン至上最も難産となった1曲にして、現時点での最高傑作。不穏なイントロとくぐもったサウンドでスタートする本曲は、ぐるぐる城の周りを歩いているように、辿り着きそうでつかない雰囲気が醸し出された内容となっている。水曜日のカンパネラが、新境地を切り開き、次のフェーズへ踏み出すためのきっかけになるであろう作品。
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本連載から生まれた、水曜日のカンパネラのエロス第四弾シングル
水曜日のカンパネラ / ニキータ(若気の至りver.)
【価格】
wav / mp3 : 単曲 200円
水曜日のカンパネラのトラック・メーカーKenmochi Hidefumiによる『ニキータ』をテーマにしたトラック&リリック、それをコムアイが歌った連載第4弾配信シングル。静かにゆったりはじまるサウンドスケープから一転、軽快なドラムンベースが疾走感をもたらす。映画のストーリーを示すリリックとあわさることで妙な哀愁がただよう、これまでの水曜日のカンパネラにはない1曲。
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OTOTOY限定のSPECIAL Editionも配信中!!
ここでしか手に入らない限定版
水曜日のカンパネラ / ノルウェイの盛り
【価格】
wav 単曲 200円 / まとめ購入 400円
mp3 単曲 150円 / まとめ購入 300円
【Track List】
1. モノポリー
2. ものぐさ太郎
3. 素子
PROFILE
水曜日のカンパネラ
2012年、夏。初のデモ音源「オズ」「空海」をYouTubeに配信し始動。
「水曜日のカンパネラ」の語源は、水曜日に打合せが多かったから… と言う理由と、それ以外にも、様々な説がある。当初グループを予定して名付けられていたが、現在ステージとしてはコムアイのみが担当。それ以降、ボーカルのコムアイを中心とした、暢気でマイペースな音楽や様々な活動がスタートしている。
コムアイ
担当 : 主演 / 歌唱
1992年7月22日生まれ。
神奈川県出身。
成人しても未だ「クロール」と「逆上がり」ができないという弱点を持つ。
高校生時代には、いくつかのNGOやNPOに関わり活発に動き回る。
サルサ・ダンスに毒され、キューバへ旅し、同世代100人のチェキスナップとインタヴューを敢行。
その後は、畑の暮らしを体験したり、たまに海外へ。
最近は、鹿の解体を習得中。
好物は、今川焼と明石焼といきなり団子。
また、“サウンド・プロデュース”にKenmochi Hidefumi。
その他、“何でも屋”のDir.F。
などが、活動を支えるメンバーとして所属。