2021/10/27 21:00

【連載】Episode64 NOW EMPiRE「エージェントに寄り添ったライヴをしていきたい」

WACKとavexの共同プロジェクトEMPiRE。2021年11月23日(火・祝)に幕張メッセイベントホールで開催予定のワンマンライヴ〈EMPiRE’S SUPER ULTRA SPECTACULAR SHOW〉は、チケット発売後即完売。9月からクラブツアー〈EMPiRE’S GREAT PARTY CARAVANS〉を開催し、11月10日には約2年ぶりとなる3rdアルバム『BRiGHT FUTURE』をリリースするなど、勢いがますます加速していきそうな彼女たちの2021年2周目となる個別インタヴューを敢行。第4回はNOW EMPiREの声をお届けする。

INTERVIEW : NOW EMPiRE

NOW EMPiRE

EMPiRE史上最大規模の幕張メッセイベントホールでのワンマンライヴのチケットが、一般発売後に即完売した。彼女たちへの期待の大きさの現れであるが、メンバー6人がパフォーマンスを磨き地道に努力してきた成果であることに間違いはない。2019年10月にリリースした2ndアルバム『the GREAT JOURNEY ALBUM』で示したダンスミュージックの方向性を軸にしながら、これまでのWACKの伝統も感じる楽曲など表現の幅を広げる楽曲が収録された3rdアルバム『BRiGHT FUTURE』のリリースを11月10日にひかえる中、どのような気持ちで日々を過ごし、幕張メッセへと向かうのか。グループの振付を行う、ダンスの軸となるNOW EMPiREに取材を行った。

取材&文 : 西澤裕郎
写真 : 外林健太

生きてきた中で1番ネガティブな期間に入っていた

──幕張メッセでのワンマンまで1ヶ月を切りましたが、今どんな心境ですか?

NOW : アルバム制作をしている中でEMPiREの既存曲を聴く機会が前より増えたんですけど、幕張のステージを毎日イメージしながら聴いています。自分がこういう姿で立ちたい、というイメージは決まっていて。ツアーやアルバム制作を通して、前よりたくましくなれたと思うし、より自信を持てるようになったので、幕張までの期間はポジティブさを失わないようにしていきたいです。

──今までポジティブさを失うことがあったんですか?

NOW : 春ツアー中は、自分たちが楽しむことでエージェントにとっても楽しい空間が作れたらいいなと思いながらライヴをしていたんですけど、ツアーが終わって自分を見つめ直す時間が増えて、春ツアー中の反省点ばかりを考えてしまうときがあったんです。生きてきた中で1番ネガティブな期間に入っちゃって。悪いところを1個見つけたら、そこからずっと繋がってしまうような期間があったんです。

──そこからどうやって気持ちを立ち直らせることができたんでしょう。

NOW : メンバーに、春ツアーが終わった後にこういうことを考えて悩んでいたんだって打ち明けたんです。そしたら、「春ツアーは私たちも楽しかったし、自信に繋がったツアーだったじゃん」って言ってくれて。あと、MAYUちゃんとカフェに行ってお話をした時、「NOWのありのままがEMPiREを明るくしてくれているから、私たちは頼りにしてる」って言葉をかけてくれて、その言葉に救われました。下を向いている時間があるなら、もっとかっこいい姿を作るのに少しでも時間にかけた方がいいなと思うようになり、心をパッと入れ替えて、気持ちも前向きになりました。

──先ほど、既存曲もよく聴いていると言っていましたが、当時どんな曲をよく聴いていたんでしょう。

NOW : 気分によって聴く曲を決めていました。落ち込んでいた時は、「Black to the dreamlight」をすごく聴いていて。私自身、EMPiREの曲に救われていたんだと思います。「Have it my way」も気分を上げようって聴いていたし、「ERROR」は単純に好きだからたくさん聴いていました。落ち込んだ時は、少しでも気分転換をするためにお散歩をよくしていて。その時は「I don't cry anymore」を聴いたり、朝の練習に向かう時は「I have to go」聴いたり、シチュエーションによって変えて聴いていました。

EMPiREの成長に繋がる1つの大きなきっかけになった

──今年8月にはBiSHメンバーの新型コロナウイルス感染によって、EMPiREが〈ROCK CIRCUIT 2021 in EZO〉と〈TOKYO BiSH SHiNE 7〉に急遽出演しました。改めて振り返ってみて、どうでしたか?

NOW : メンバーと練習をしているときに出演のことを聞いたんですけど、その時メンバーは自分たちにできることをしっかりとやりきろうと言っていて。この5人は本当に頼もしいと思ったし、私もみんなと一緒の気持ちでした。出演させていただくと決まったからには、観てくれた人たちに「うわ、なんだこの子たち!」「今まで出会ったことない子たちだけど、すごく楽しい」って楽しんでもらいたかったし、前向きな気持ちで挑みました。〈ROCK CIRCUIT 2021 in EZO〉は、ステージに上がった瞬間、ロックバンドのTシャツを着ている人たちがたくさん拍手してくれて。私はそれが「今から頑張れー」って拍手に聴こえて、背中を押してくれた気がして。6人全力のパフォーマンスで、端から端の人までEMPiREの世界を感じてもらうことができたんじゃないかなと思います。

──SNS上での反響もすごかったんですけど、手応えはあったんじゃないですか。

NOW : ライヴ中に、初めて観てくれただろう人たちも一緒に踊ってくれているのを見て、すごく嬉しくなりました。本当に楽しかったし、出演させていただけてよかったなって思います。

──初めて見てくれる人が多いなかで、1番反応が強かった曲はどの曲でしたか?

NOW : 1曲目に「Have it my way」をやったんですよ。「これが私たちの曲だぜ! ここからは私たちのライヴだぜ!」って気持ちの顔でやったら、お客さんも踊ってくれているし、1曲目が終わった後に拍手が起こって。それがすごくうれしかった。あと最後にやった「MAD LOVE」は、どちらかと言うとかわいい曲でアイドルソング的な楽曲でもあるのでロックバンドファンの人たちが楽しんでくれる不安だったんですけど、会場にいる人たちみんながジャンプをして踊ってくれて。鳥肌が立っちゃったぐらい、うれしかったです。全員が今、私たちの曲で1つの空間を楽しんでくれているんだなって。

──そこから4日後には〈TBS7〉が開催され、豆柴の大群と一緒に2マンを行いました。〈TBS7〉に関してはどんな気持ちで立って、どんなライヴになりましたか?

NOW : 〈TBS7〉も、いつものEMPiREらしくステージに立ちたいとは思って臨みました。BiSHの「ALL YOU NEED IS LOVE」をパフォーマンスさせていただいたんですけど、その時に「私は今、BiSHが立つはずだったステージに立っている」と改めて気づいて。「ALL YOU NEED IS LOVE」は本当に素敵な曲だなと感じながら歌わせていただきました。〈 ROCK CURCUIT 2021 in EZO〉も〈TBS7〉も、EMPiREの成長に繋がる1つの大きなきっかけになったなと思って、幕張前にそういう機会がもらえたことは自分たちにとって大きかったです。

──精神面での成長という点で、かなり重要なライヴになったんじゃないかと思います。

NOW : 改めて、沢山のロックフェスに出演しているBiSHはすごいって実感して。次は自分たちの手で、そういったフェスへの出演を掴みに行きたいなって、また1つ夢ができたきっかけになったなと思います。次は代打じゃなくて、ちゃんと出演できるようになっていきたい。ライヴが終わった後に、アイナさんから連絡をいただいて。「楽しかった? 次は一緒に出ようね」って言ってくださったのがすごくうれしかったです。

──10月2日に出演した〈TIF〉では、EMPiREとしての出演だけでなく、WACK所属メンバーが様々なコラボをした「WACK presents DREAMLIGHTS in TIF」にも登場しましたが、振り返ってみていかがでしたか。

NOW : 初めてWACKステージに出たときは、自分の中でやりきれなかった部分もあって。今年は歌を上手くしようとかダンスを頑張ろうとかも、もちろん意識したんですけど、SAiNT SEXでのパフォーマンスは年に1、2回できるかどうかだから、このメンバーと目の前にファンの人たちがいる空間を楽しもうという気持ちでパフォーマンスをできました。あと、「WACK presents DREAMLIGHTS in TIF」のステージからエージェントを見つけると、すごくうれしいです。エージェントが手を振って「頑張れー」って言ってくれている気がして。あとは、アツコさんのバックダンサーがめちゃくちゃ楽しかったです。本当に楽しい。

──各グループから選出されたダンスの上手いメンバーがバックダンサーを務めていましたよね。

NOW : マイクを持たずにダンスに専念して踊るのがいつもとは違う感覚で、やっぱりダンスが大好きだなって思いました。バックダンサーとしてやるのもすごく楽しいなって感じて。マイクを持たないで踊るのもまた違った楽しさがあるなと思いました。

これからのEMPiREにも期待してもらえるようなライヴを6人で作りたい

──アルバム『BRiGHT FUTURE』は1年以上かけて完成させた作品だと伺いました。本作ではNOWさんはどんなことを考えて歌詞を考えたんでしょう。

EMPiRE / Happy with you (OFFiCiAL ViDEO))

NOW : 今回は全部不採用だったんですけど、後悔のない歌詞が書けました。1個1個の曲にベストを尽くして出せたんです。褒められた曲があるんですよ。「I don't care」が攻撃系のテーマって絞られてなかったら、もしかしたら採用されていたかもと言ってもらえたりして。1曲1曲どれも楽しみながら書けたし、自分らしさを取り入れつつ書けた曲が多かったので、これからの作詞にまた繋がる、成長があったと思うことができました。

──NOWさんは、どのような歌詞を書いたんでしょう?

NOW : 今回は1曲、恋愛ソングにチャレンジして。割合的には楽しい曲とシリアスな曲が一緒ぐらいだったと思います。今までは、シリアスな曲があまり書けなかったんですけど、今回は春ツアー後に感じた気持ちもあったのか、前より書けるようになって。あと、ラップを書くのが本当に楽しくて。韻を踏むのが楽しくなったので、いつかラップの曲を書きたいなって思います。

──今回、他のメンバーの歌詞を読んだ時にどんなことを感じましたか?

NOW : 制作期間が長かった分、その時期ごとのメンバーの気持ちが分かるものも多くて。メンバーとして、こういう気持ちを思っていたんだとか歌詞からメンバーらしさを感じました。本当にメンバー1人1人の個性がすごく詰まっていて、全部いいですね。

──渡辺(淳之介／WACK代表)さんの作詞曲は、毎回メンバーに対してのメッセージとしても捉えられるような歌詞が多いなと思うんですけど、どう感じていますか?

NOW : 以前から、渡辺さんからのお手紙として歌詞を感じているんですけど、今回の「Happy with you」の歌詞を見た時、もっと気持ちを強く前に進んでいこうと思ったり。渡辺さんの歌詞から、今の自分のことを改めて見つめ直すことができています。

──今回の振り付けはもうできている?

NOW : 今日で全部できました。「LET'S SHOW」と「IZA!!」は振付師の先生に振付していただいて、それ以外の曲は基本私が振付を考えていて。私がEMPiREに加入した時から、アイナさんみたいな振付師になりたいという目標をずっと持っていて、今年の春ぐらいに、メンバーに「次アルバムが出る時、私が全曲振り付けしてみたい」と言っていたんです。アルバムが出ることが決まって、メンバーに「今回のアルバムは、チャレンジしたいと思う」って伝えたら任せてくれたので、私が全て振付を考えた曲もあれば、メンバーにアドバイスを貰いながら振付した曲もあったり、いろいろなテーマがあります。

EMPiRE / LET’S SHOW (OFFiCiAL ViDEO))

──NOWさんは、どのようなテーマをもって振付を作っていくんでしょう?

NOW : 曲によって全然違うんですけど、「FLY! SiNG! CRY! TRY! SMiLE!」は作詞したYU-Kiちゃん主役で、YU-Kiちゃんの性格をそのまま振り付けにしたようなポップかつかわいい振付にしました。「I don't care」は攻撃的な歌詞なので、振付も攻撃的な振りになってたり。

──今回のNOWさんの振付の中で、1番得意な部分が発揮されている曲はどれでしょう。

NOW : 「RATHER」のサビは、音に合わせて、クールな振付にしていて。すごくダンサブルに踊っている曲です。「FLY! SiNG! CRY! TRY! SMiLE!」の間奏も、結構踊っています。今回は歌詞の内容や世界観を意識しながら振付けているので、どの曲も注目してみてほしいですね。

──EMPiREの代表曲を現行メンバーで再レコーディングした音源、全10曲もDiSC2に収録しています。

NOW : 私の声が入っている曲が出ることがうれしいです。他のメンバーも、以前の音源と比べると歌い方が変わっていたりとかしていて。比較して聴くのも楽しいし、すごく素敵な音源になっていると思います。もともと私の声が入っている曲が「SUCCESS STORY」以降のものしかなかったので、EMPiREを好きになったきっかけの曲を自分も歌って、それをみんなに聴いてもらえるのがうれしいです。

──新作のアルバム、代表曲の再録をリリースして、幕張メッセでのワンマンに臨むわけですが、最初話していたみたいに、どんなステージにしたいかイメージはできていますか?

NOW : できています。エージェントとリリースイベントとかで話すと、楽しみに期待して待っていてくれているなってことが伝わってきて。目の前にいるエージェントを幸せに楽しんでもらうことを1番に考えてステージに立ちたいです。エージェントに寄り添ったライヴをしていきたいなと思っています。1番後ろの席の人にまで届くパフォーマンスをしたいし、これからのEMPiREにも期待してもらえるようなライヴを作りあげたいと思います。