OTOTOY編集長・飯田仁一郎が語るAureoleの魅力とは?ーー約2年9ヶ月ぶりの4thアルバムを1週間先行ハイレゾ配信

kilk recordsを主宰する森大地が率いるAureoleが、2年9ヶ月ぶりとなる4thアルバム『Spinal Reflex』を2015年6月10日にリリースする。これまでの「内向的な心の中の音楽」から「感覚を刺激する外へ解き放たれた音楽」へ。バンドとしての肉体感とグルーヴにうごめく作品へと大きな進化を遂げた。2015年3月にはタワーレコード渋谷店をジャックしライヴ・ベスト・アルバムをリリースするなど、自分たちならではの仕掛けを見せて話題を呼んだ彼ら。OTOTOYでは本作を1週間先行でハイレゾ配信。より多くの人に聴いていただきたい想いから全曲フル試聴も実施する。そして、7年以上の付き合いで森のことを1番よく知るOTOTOY編集長・飯田仁一郎がAureoleを、そして森大地を語った。このバンドの燃え尽きることのない情熱に耳を傾けてみてほしい。
待望の4thアルバムを1週間先行ハイレゾ配信スタート!!
Aureole / Spinal Reflex
【配信価格】
WAV / ALAC / FLAC : 単曲 216円 / まとめ購入 2,160円
AAC / mp3 : 単曲 162円 / まとめ購入 1,620円
【Track List】
1. I / 2. Core / 3. Closetsong / 4. The House Of Wafers / 5. Pearl / 6. Hercules / 7. Edit / 8. Inner Plane / 9. Brighten / 10. In Light / 11. Ghostly Me / 12. Last Step
『Spinal Reflex』をCD発売日まで全曲フル試聴実施!!
レーベル kilk records 発売日 2015/07/02
01. 02. 03. 04. 05. 06. 07. 08. 09. 10. 11. 12.
※ 曲番をクリックすると試聴できます。
森さんがロックにこだわれたってことは、かっこいいことだなと思って
ーーずばり訊きますが、『Spinal Reflex』を聴いて率直にどう思いましたか?
飯田仁一郎(以下、飯田) : いや、素晴らしかったです。 特にアルバム最終曲「Last Step」。前作よりも全員のビート感が似てきてリズムが細かいなと思ったんですけど、最後にテンポが落ちるじゃないですか? なので、音的には1番印象に残ってます。それがこのアルバムのいいところでもあるし、アルバムとしてもうちょっとバラエティに富んでもいいのかなと思った部分もあるんですよね。

ーーたしかにバリエーションは、今までで1番固めた感はありますね。
飯田 : 総じて、森さんのオルタナティブな姿勢、常に挑戦して新しいものを生み出すべきだという部分に感銘を受けています。その上で言いたいんですけど、今日森山公一さんがUstreamでOTOTOYに来てくれて、すごくいい歌を歌っていかれたんですよ。歌の強さを感じた。それを聴いていて、Aureoleの飽くなきトラックへの挑戦にすごいメロディが載せられたとき、世界一のバンドになれると思いました。
ーーそれはかなり具体的な指摘ですね。
飯田 : 「Last Step」は歌がいいんですよ。このアルバムを聴いていて「森大地、お前の心の叫びを聴かせてくれよ」っていう気持ちが出てきた。イメージとしてはそんな感じかな。やっぱりポスト・ロックからは脱したい気持ちはあったんじゃないかなと。僕の中では、前作も今作もポスト・ロックから脱しようとあがいているAureoleの感じがすごく好きで。その音楽が持つ時代性ってあるじゃないですか? このアルバムではリズムに対して挑戦していて、そこが素晴らしいなと思ってます。
ーーそれこそ、飯田さんはOTOTOYでアイドルの取材もすれば音楽も聴いて、ロック以外の盛り上がりを感じると思うんですね。音楽を評価する上での基準みたいなものはあるんでしょうか。
飯田 : 僕は、オルタナティヴ・ミュージックの“新しいものを生み出して行く”部分が好きで、ずっと追いかけてきたんです。でも、ある時からアメリカやイギリスが、オルタナティブを、以前に比べてあまり生み出さなくなった。僕自身は、新しい音楽を作る人たちが一番すごいと思っていて、新しい音楽に出会えた時一番興奮することを理解したんです。そうやって自分を客観的に見れるようになった後、音楽を平均的にみれるようになって。つまり自分が好きな音楽は、たったそれだけの音楽なんです。新しいものを生み出そうとしてる人たちが最上級。その自分の幅の狭さを知った時に、いろんな音楽が好きになって平らになったんです。逆を言うと、音楽に拘りがなくなった時に、新しい音楽かどうか? だけでなく、いい音楽かどうか? や心に響く音楽かどうか? っていう部分が非常に重要になってきました。
ーーAureoleの音楽から、その新しいものを生み出そうという挑戦を感じたと。
飯田 : 森さんが挑戦しようとしている“おもしろさ”は感じましたね。ただ、それはHave a Nice Day! の面白さとは違うんです。ハバナイってめっちゃくちゃ音楽に詳しいんですよ。それこそネットの音楽をずっと漁って、いろいろ俯瞰して見て、自然に新しい音楽を生み出しちゃうタイプ。森さんの場合は、レコ屋的な触れ方はしていないじゃないですか? このアルバムは、森さんがピュアに「俺はロックを進めてやるぜ」っていう気合いを感じる作品で、それが実はすごいいいなと思ったんです。たぶん、すごく早い人たちって、もはやロックにこだわらないんですよ。でも森さんがロックにこだわれたってことは、かっこいいことだなと思って。
ーーそれは前作に感じたものとは違うものですか?
飯田 : 前作は、ロックに挑戦してるって感じはしなかったかな。それよりメンバーのベースがすごくいいとか、ドラムがいいとか、メンバー同士の絆があるみたいなことをすごく感じました。今回に関しては、ロックに挑戦してやろうって気合いを感じた。あとは、やっぱし歌かな。歌がもったいないなって思ったな。
ーーもったいないっていうのは?
飯田 : 歌詞が聴きたかった。逆にもしなくすのであれば、歌詞がなくてもいいんだっていう説得力がなきゃダメで。例えば、ストラグル・フォー・プライドっていうバンドはヴォーカルがめちゃくちゃ小さいんですよ。なんなら歌ってるのかどうかも聴こえない。でも歌詞カードを開いた時にものすごく詩的なことだったり政治的なことが書いてあって、その時にわーすげー!! ってなる。それは歌詞の持ってる武器だと思っていて。そういう武器にできないのであれば、僕は使うべきじゃないかなと思っています。聴こえないっていうのが武器であるならいいんだけど。
ーーそれを武器にしているという可能性もあるんじゃないかなと思いますが。
飯田 : でも僕は、森さんの歌詞が聴こえてきた方が武器になるなと思った。そこに意味があってもなくても。なんでかっていうと、ビート・ミュージックだから。歌詞は意味っていう以外にビートでもある。それは言葉のビートとかであって、日本語がふわっと聴こえて来た時にはっとするんですよね。
ーーその上で、ビートと歌詞の内容にもっと必然性が欲しいってことですか?
飯田 : もっと単純かも。聴こえていいじゃん!! って。日本語で歌ってるのが英語に聴こえてしまうっていうのはどうなんだろなあ。そこで、Aureoleの世界を作ることができるかだと思うんですよね。バンド・アレンジ、アンサンブル、リズムに関しての進化が半端無かったので、じゃあ次に歌がどう絡んでくるかってところが超楽しみです。それが見たいし、見た時にAureoleが世界を変えますよ。
その純粋さって、音楽をする上ですごく大事なことだと思うんですよ
ーーAureoleとOTOTOYの付き合いはもう7年以上ですが、その間に森さんは大宮に自身のライヴハウス“ヒソミネ”を立ち上げたり、コッテルなどのソロ・アーティストをプロデュースしたり、バンド以外のこともかなり挑戦的にやられていますよね。経営的な視点を経たことで、Aureoleの音楽にも変化を感じますか。
飯田 : むしろ、変わらなく好きなものがあるところが、Aureoleの好きなところなんですよ。本当にピュアなんです。これ、上手く伝わるか分からないんですけど、Aureoleっていうフォーマットから脱して、新しいことをした方が森さんくらい音楽を聴いている人にとっては楽なんですよ。でもそれをしないじゃないですか。さっき話していたみたいに、Aureoleが実はロックのフォーマットに拘ってやっていたり、ヒソミネが利便性の良くない場所でやってしまったり、すごい純粋だなと思って。その純粋さって、音楽をする上ですごく大事なことだと思うんですよ。だいたい、上の人間になると辞めちゃうんですよ。
ーーそれはなぜですか。
飯田 : 音楽において、純粋でいられなくなるから。そういう意味では、森さんは経営者に間違いなく向いてないです(笑)。でもミュージシャンとしては素質がある。森さんが職業ミュージシャンになるのは俺は成功すると思います。トラックも作れるし。

ーー飯田さんもミュージシャンであり経営者である点という部分では近いのかなと思います。
飯田 : 僕は20代の頃、売れたくて売れたくて仕方なかったんです。海外ツアーも周って、ほんとに必死で売れたかった。でも30代になってOTOTOYの編集長という役職を与えてもらったり、リアル脱出ゲームで成功したりしたことによって、売れるってことから解き放たれたんです。それは良い意味で牙は剥かれたってことだと思っていて。もちろんいいことじゃないこともいっぱいあるだろうけど、でも実際そうだと僕は思っていて。すごい俯瞰して見て自分の好きな音楽も分かったし、アイドルも全然自然に推せる。その部分は俺がピュアになりきれない部分だとも思う。
ーー音楽をより広く、芸術という視点以外でも考えるようになったと。
飯田 : OTOTOYをやってるのもあるけど音楽をビジネスにしたいと思う。その気持ちはある。自分たちの周りのメンバーを見た時にそういうビジネスをするタイプじゃないし、僕はビジネスをするタイプだってことがわかったときがあって、そういう状況を含めて幸せだという結論を出したんです。そして、そういう方向に向けて突き進めた。だからこそ、いますごく客観的に見れるんですよ。
ーーそんな飯田さんから見て、森さんはどう見えるんでしょう。
飯田 : 20代の僕と同じようにすごくあがいている。でも、僕より全然可能性がある。それはDTMが使えること、曲が作れること、歌が歌えることなど、いっぱいある。実は僕も「飯田君は音楽だけしとけば成功したかもしれないよ」って言われたことがあるんですよ。その時にそっちの道を選ばなかったし、もし選んでたらどうなると思うって言われたこともあります。だから森さんもそういう分かれ道がきて、森大地としてプロの作曲家、プロの音楽家としてやっていくタイミングが来るかもしれない。もちろん、森さんが今選んでる道を発展させていって、ミュージシャンもやりながら、レーベルもやる、ライヴハウスもやるって立場で上がってく可能性も全然あると思います。そのピュアさを持ち続けている限り大丈夫なんじゃないかなって。
取材 & 文 : 西澤裕郎
Aureoleのワンマン・ライヴが決定!!
Aureole "Spinal Reflex” Release Party
2015年7月2日(木)@代官山UNIT
時間 : 18:30 OPEN / 19:30 START
料金 : 前売 2,800円 / 当日 3,300円(1DRINK 別途)
出演 : Aureole
問い合わせ先 : UNIT(03-5459-8630)
チケット予約 :
Aureole公式ページ http://goo.gl/19YfmA
プレイガイド(ぴあ / ローソン / e+)の発売は後日発表
Aureoleの作品アーカイブはこちらから
>>『Reincarnation』リリース時インタヴュー・前編
>>『Reincarnation』リリース時インタヴュー・後編
PROFILE
Aureole
2007年結成。森大地(Vo/Gt/Prog)、岡崎竜太(B)、中村敬治(Gt)、中澤卓巳(Drs)、saiko(Syn&Flute)、佐藤香(Vibs&Glocken)の6人組バンド。都内を中心にライヴ活動を行っている。ポストロック、エレクトロ、クラシカル、ミニマル、プログレ、サイケ、民族音楽、ダブステップなどを通過した奥深いサウンドと「歌モノ」としての側面、この二つの要素が違和感なく融合したサウンドが特徴。2009年にNature Blissよりデビュー・アルバム『Nostaldom』をリリース。青木裕(downy、unkie) をゲストに迎えたこの作品は、各方面から多くの支持を得た。2010年にはVoの森大地が主宰するレーベル、kilk recordsより2ndアルバム『Imaginary Truth』を発表。『今後の日本の音楽シーンのキーマン』と称され、一層の注目を集めた。2012年には3rdアルバム『Reincanation』をリリース。同作品のレコ発ライヴとなる渋谷o-nestワンマン公演ではソールドアウトを記録。2014年11月には2年ぶりとなるフリーの配信限定シングル『Ghostly Me / The House Of Wafers』をリリース。一晩で1000以上のダウンロード数を獲得する。2015年3月、ライヴ・アレンジでリテイクしたベスト・アルバム『Awake』をタワーレコード渋谷店限定でリリース。タワーレコード渋谷店をジャックした前代未聞のハッシュタグを活用したO2O施策「Hashtag Awake」が大きな反響を呼んだ。