「っぽさ」を壊していこうーー元HAPPY BARTHDAY・坂口喜咲による1stソロ・アルバムを独占ハイレゾ配信
元HAPPY BIRTHDAYの坂口喜咲が、1stソロ・アルバムを自主レーベルよりリリース。作詞・作曲・編曲を自らが手がけ、彼女と親交のある愛しい仲間たちによって作り上げられたトータル・プロデュース作。坂口喜咲を全部表現したかったという全9曲は、これまでのイメージを壊すようなインタールードから、憧れの90年代サウンドを表現した楽曲、演歌を意識した楽曲までバリエーション豊かな内容に。OTOTOYでは、本作を独占ハイレゾ配信するとともに、ロング・インタヴューで坂口喜咲に迫ります。
待望の1stソロ・アルバムをハイレゾ配信
坂口喜咲 / 朝が壊れてもあいしてる
【配信価格】
24bit/48kHz(WAV / ALAC / FLAC) / AAC / mp3
単曲 200円 / まとめ購入 1,500円
【Track List】
1. 空から仏像
2. DO-SHE-YOU
3. 終わる、眠れずに。
4. ハト
5. こんいろ
6. 壊れたサマー
7. 治癒
8. ミーはでくのぼう
9. 心臓に愛をおくりたい
ハイレゾについてはこちらから
INTERVIEW : 坂口喜咲
きさとあっこによる2人組バンド・HAPPY BARTHDAYが、2015年4月に解散した。その事実にショックを受けた人は多くいることだろう。筆者も、彼女たちの解散を聞いて大きなショックを受けた一人である。女の子という存在がよくわからなくなったのも、女の子を愛おしく感じるようになったのも、そのきっかけを作ってくれたのはHAPPY BARTHDAYの楽曲たちだった。
そのHAPPY BARTHDAYのヴォーカル・きさが、坂口喜咲として初めてのソロ・アルバムを完成させた。しかも、自分のレーベルからのリリースだという。自分の全て表現したかったという言葉通り、J-POPあり、弾き語りあり、演歌調の楽曲あり、それぞれの顔を持った楽曲が収録されている。HAPPY BARTHDAYの解散は悲しいけれど、彼女の新しい門出を祝いたいと思う。世の中の男性諸君、このアルバム絶対聴いたほうがいいぞ!!
インタヴュー & 文 : 西澤裕郎
きちんと終わらせよう、けじめをつけようと思ったんです
ーー今回のジャケット写真を観て、すごくビックリしました。だいぶイメージが変わったというか、大人びた感じになりましたね。
喜咲 : 素直にやったらこんな感じだったんですよ。
ーーラヴホテルのベットで写真を撮るのが(笑)?
喜咲 : なんか、ラヴホテルの過剰な装飾が好きなんですよね。今作は坂口喜咲を全部表現したかったので、好きなもの全部を詰め込もうと思ったんです。
ーー他にはどんなものが詰め込まれてますか?
喜咲 : 眠れなくて布団でゴロゴロしてる時の曲がすごく多いです。眠れなくて朝になった時とか、朝起きて憂鬱な時に歌うのが好きなので、そういう歌詞が多いんですよね。
ーー喜咲さんにとって、眠れないときってどういう気分なんですか?
喜咲 : 頭が冴えてしまうんですよ。ちっちゃい時から寝るのが下手くそで、上手く寝れないんですよね。歌詞に〈眠れない〉って単語がたくさん出てくるのは、そのせいなのかなって。ただ、眠れない状態の時の研ぎ澄まされてくる感覚というか、あの感じは嫌いじゃないんですよね。
ーー本作にはHAPPY BARTHDAY結成前の曲も入っています。「治癒」は5、6年前の曲なんですよね。
喜咲 : 昔はとにかく暗くて誰ともしゃべらなかったんですけど、「今日から明るくしよう」と思ったタイミングがあって。その時に髪を金髪にして作ったんですよ。恋愛のことで辛いことがあって、とにかく見た目を全部変えようと思って服装を全部変えたんです。スキニー、コンバースみたいな感じだったから、女の子らしい恰好をしようと思って金髪にピンクとかの服も着だして。もともとそっちのほうが好きだったんですけど、着ちゃいけないと思っていたくらいひねくれていたというか、こんがらがっちゃっていたんで、素直になったタイミングで作りました。
ーーHAPPY BIRTHDAYは多くのリスナーに向けて曲を届けるバンドだったと思うんですけど、ソロとして活動するにあたって曲の書き方に変化はありましたか。
喜咲 : そうですね。今思うとHAPPY BIRTHDAYのときも全部自分らしい曲が書けていたんだなと思うんですけど、作ってる時は苦しいっていう思いがめちゃめちゃ大きかったですね。可愛い曲を作らなきゃとか、可愛い声にしなきゃとか、考えすぎていた部分もあって。だから今回は、可愛いとかの要素を全部排除して作ったつもりだったんですよ。でもコメントをもらったら「女の子向け」って書いてくれていて、周りから観たら何も変わってないんだなって(笑)。
ーーあははは。当初はHAPPY BIRTHDAYのきささんとしてアルバム作りに励んでいたということですか?
喜咲 : いや、HAPPY BIRTHDAYとしてではなく、坂口喜咲として出そうと思っていたんですけど、完成した時に、これは(HAPPY BIRTHDAYを)同時にやりながら出せる作品じゃないなと思って。きちんと終わらせよう、けじめをつけようと思ったんです。
ーーじゃあ、この作品ができたからこそHAPPY BIRTHDAYを終わらせた?
喜咲 : うーん。そうですねえ。もう、やれないなと思いました。
ーーHAPPY BIRTHDAYの活動内での転機があるとすれば、きささんの声が出せなくなった時期だったと思うんですね。その前後でなにか変わったと思いますか。
喜咲 : 全然変わりましたね。本当に大きな変化だったんですよ、いろんなことが。すごく順調にいっていた時に喉を痛めて、みんなに迷惑をかけて。あっこにも迷惑かけたし。私の性格が歪み過ぎてて、そこを一から治さないとダメだなと思って。
ーー喜咲さんはなんで自分が曲がってるとか、性格が悪いみたいに思うんですか?
喜咲 : みんなができることができないんですよ。昔から過保護だったのか、周りが動いてくれる環境に慣れていて。ずうずうしいというか、態度がでかいというか。死にそうになったことがないからかもしれないですけど、危機感を知らないままここまで歳を取ったしまったなって。いい年して痛々しいなって感じになってきて…。そこの自覚からですね。
ーーそれを自覚したのが声を出せなくなったとき?
喜咲 : そうですね。これは相当まずい人間だぞってところに気付いたんです。小さいころから形成されてる性格だと思って、少しでも治せるとこは治したいと思いながら、なるべく前向きにやってきたんです。
私も高校生になったら援助交際するんだろうなって思っていて(笑)
ーーアルバム『朝が壊れてもあいしてる』についても訊いていきたいんですけど、「DO-SHE-YOU」は憧れの90年代のサウンドを詰め込んだそうですね。
喜咲 : 小学校で歌手になりたいと思った時、浜崎あゆみとか、SPEED、モーニング娘。、安室奈美恵、cocco、UAとか、そういう憧れの人たちがたくさんいたんですよ。そのなかでも、初めてSPEEDを聴いた時の背伸び感というか、それをもう一回自分が聴きたかったってのがあって。私は小っちゃい頃のことめっちゃ覚えてるんですけど、小学校の時に父親の車に乗ってトンネルに入るとオレンジのライトがバーーってなるじゃないですか? あれがすごい怖くて。もともと、怖いものとか気持ち悪いものとか好きなんですけど、夜になるといろんな音とかがして怖くて頭がおかしくなりそうになってたんです。そのオレンジが私の90年代のイメージ。ちょっと怖いんだけど綺麗で、早く帰りたいんだけど帰れないみたいな。
ーー今は怖かったらスマホの世界に逃げるとか出来るんですけど、昔はそういうものなかったですからね。
喜咲 : あの頃は逃げられなかったですね。しかも、子供だと余計に逃げ場がないですよ。なんであんなに怖いんですかね、トンネルって? すごい覚えてるんですよね。
ーーあと、喜咲さんはコギャルに憧れていたそうですけど、それって男の子が不良に憧れるのと同じなんですかね?
喜咲 : 小学校のころプリクラとかポケベルが流行っていたり、援助交際って言葉が出てきたんですよ。だから、私も高校生になったら援助交際するんだろうなって思っていて(笑)。学校をさぼって、携帯持って彼氏のバイクの後ろに乗ってるのを想像していたんですよ。それで、きーちゃんは悪くなりそうだねとか周りのみんなにに言われて「うふふ」とか思っていたら、全然理想通りにならなくて…。女子高のときは超真面目な感じだったから、そこが叶ってないんですよね。
ーーその頃の自分からすると、この写真はなりたかった自分みたいな感じ?
喜咲 : そうかも。確かにそうですね。
ーー人前に立って、注目を浴びたいっていう気持ちもあった?
喜咲 : ああ、目立ちたがりでしたね。小さい頃から歌手になりたかったんですけど、小学校に入った時には歌手になりたいって言えなくなっていて。可愛い人しかなっちゃいけないと思っていたし、恥ずかしくて言えなかった。だから私は肩揉み屋さんになりたいって言ってた(笑)。あと書道の先生とか、得意なもの言っとけば何も言われないだろうなって。
ーー(笑)。逆に、大人になって作ったというか、1番新しい曲はどれになりますか?
喜咲 : 「終わる、眠れずに。」と「ミーはでくのぼう」ですね。「ミーはでくのぼう」は3曲くらい繋げて作ったんですよ。
ーー最初、演歌がはじまるのかって思いましたよ。
喜咲 : そうそう!! これは「きーちゃんが演歌歌手になったら?」っていうことを友達に言われて作ったんです。演歌歌手だったら、歌に専念できるから最高かもよって言われて。じゃあ演歌を作ろうと思ったらイントロで挫折して…。めっちゃ琴の音とか調べて、演歌も聴いて作ろうとしたんですけど難しくて。途中から諦めて、もういいやテンポめっちゃ上げちゃえって感じでメタルっぽいギターを入れてもらって、だんだん訳わからなくなってきたっていう。演歌界のきゃりーぱみゅぱみゅ目指そうとか言ってたんですけど一週間で挫折しました。
ーーあははは。「ハト」はライヴでもよくやっている曲ですよね。鳩の視点から擬人化して歌った歌詞が切ないバラードです。
喜咲 : この曲は鳩を食べた時に作ったんですけど、みんなで鳩の頭で遊んじゃったんですよね。家に帰ってから「なんてかわいそうなことしてしまったんだろう」ってショックで、懺悔みたいな感じでその夜に作ったんです。
朝ってすごい壊れてるっていうか、破壊されてるイメージがあるんですよね
ーー1曲目「空から仏像」も印象的な曲ですね。異次元にいるような雰囲気のインタールードで。
喜咲 : HAPPY BIRTHDAYのきーちゃんがアルバムを出すってなった時に、やっぱり可愛い雰囲気で始まる感じが「っぽい」かなと思っていたので、逆に一番可愛くないもので始めようと思って。これ聴いたら可愛くないじゃないですか?
ーータイトルも可愛くないです(笑)。
喜咲 : タイトルは、空から仏像が降ってくるのをイメージして作ったんですよ。ドライヤーがブーーって鳴ってて、仏像がボーーンみたいなイメージで(笑)。ビジネスホテルのドライヤーの音を声でブー… ってやって録ったんです。今度ドライヤーだと思って聴いてみてください。これ、セミとドライヤーなんですよ。
ーーへえ。気がつかなかったです。アルバム・タイトル『朝が壊れてもあいしてる』、これはどうやって生まれた言葉なんでしょう。すごくいいタイトルですよね。
喜咲 : 「愛してる」以上に強い言葉がないなと思ったのもあるんですけど、正直「愛してる」とかって、くさいし、ださいし、使わないじゃないですか? だからこそ、思い切ってつけちゃおうと思って。今までの自分のイメージを壊すって意味もあるし、自分の中のくだらないものとかを全部捨ててこうみたいな。朝ってすごい壊れてるっていうか、破壊されてるイメージがあるんですよね。
ーー僕は、朝って、これから始まるって感じがしますけど。
喜咲 : そんなに礼儀正しい生活をしていないので、朝は大体崩壊してるイメージなんですよ。頭も冴えてるし、その感じなんですよね。一番強い言葉をその後ろにつけることで、前向きなタイトルにしたかったんですよ。
ーーそれは自分のイメージとかを壊したいってことにも繋がっている?
喜咲 : うん。私は頑固なので頭の中凝り固まっちゃって、すごい狭くなりがちなんですけど、そういうの全部ぶっ壊したいなと思って。
ーー「心臓に愛をおくりたい」はどういう気持ちで作ったんですか?
喜咲 : 喉を手術して、復活して、HAPPY BIRTHDAYワンマンがあるって時に、マネージャーさんが「せっかくだから1曲今の気持ちを歌ってみたら」って言ってくれて。迷惑かけたスタッフさんとか、事務所の人とかのことを思って作った曲なんです。めっちゃ素直に何も考えずに書きました。ただ思ってることだけ書いたって感じで素直に書きました。
ーー「心臓に愛をおくりたい」ってどんなイメージなんでしょう?
喜咲 : これは「贈り物」とかじゃなくて、死にそうな緊急事態の時に、心臓マッサージして酸素を送るイメージ。瀕死のときに愛情をポンプで送って救い上げるみたいなそういうイメージなんですよ。
ーーやっぱりイメージしているものと言葉のチョイスがおもしろいですよね。
喜咲 : これ、やっと音源化できたんですよね、ずっとライヴではやっていたし、このタイトルでワンマンもずっとやっていたので。やっと音源化できて嬉しいです。
ーー本当にこれから新しく始まっていく感じがしますね。
喜咲 : そうですね。いろいろ壊していこうっ(笑)。
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LIVE INFORMATION
1st Album【朝が壊れてもあいしてる】発売記念ワンマン・ライヴ
〜心臓に愛をおくりたい〜
2015年7月10日(金)@大阪knave
出演 : 坂口喜咲(ex.HAPPY BIRTHDAY)
時間 : 開場 18:30 開演 19:00
料金 : 前売 2,800円 当日 3,000円(ドリンク代別)
チケットぴあ Pコード 263-670
イープラス
ローソンチケット Lコード 57462
2015年7月28日(火)@下北沢CLUB Que
出演 : 坂口喜咲(ex.HAPPY BIRTHDAY)
時間 : 開場 18:30 開演 19:00
料金 : 前売 3,000円 当日 3,300円(ドリンク代別)
チケット :
ローソンチケット Lコード: 77832
イープラス
CLUB Que店頭 (販売時間16:00~22:00)
お問合せ : CLUB Que 03-3412-9979
PROFILE
坂口喜咲
きいちゃん。歌手。
弾き語りや打ち込みを使ったスタイルで活動中。
2人組ガールズ・バンドHAPPY BIRTHDAYの作詞作曲、歌とギターとして2011年メジャー・デビュー。
2014年活動休止。