ハイレゾで聴く、“まっすぐで素直な”想い——工藤えみの、初シングルをリリース&インタヴュー
人気ファッション雑誌〈Seventeen〉の専属モデルを経て、歌手としての活動を始めた工藤えみ。2013年の初作品『月光の夜』では、デビューまもなくとは思えない、芯の通った歌声とプライヤビリティを世間に披露し、〈USEN〉インディーズ・チャート2位を獲得するなど、その実力を着実に知らしめている。リリース以降、数多くのライヴを行ってきた彼女が、待望のファースト・シングル『すきだよ〜いつかキミに伝えたいこと〜』を発表、しかもハイレゾで配信!! 楽曲に寄り添うように歌う豊かな表現力と、工藤本人による素直な気持ちを綴った歌詞をお楽しみあれ。また今回、彼女へのインタヴューを敢行。純粋な音楽愛、そしてアーティストとしての強い決意、目標を存分に語ってもらった。まだの方は、まず試聴を!
工藤えみ / すきだよ〜いつかキミに伝えたいこと〜(24bit/96kHz)
【配信フォーマット / 価格】
WAV / ALAC / FLAC(24bit/96kHz) : まとめ購入 500円(税込) 単曲 250円(税込)
【Track List】
01. すきだよ〜いつかキミに伝えたいこと〜
02. Someday
2013年発売のファースト・アルバムも配信中!!
工藤えみ / 月光の夜
【配信フォーマット / 価格】
WAV / ALAC / FLAC / mp3 : まとめ購入 1,543円 単曲 257円
【Track List】
01. introduction
02. Something Love
03. BitterSweet
04 .月光の夜
05. 小さなカケラ
06. あなたに
07. 空も飛べるはず(スピッツのカヴァー)
08. My Best Friends
09. Being me!
10. Dear
11. 聖なる夜に
INTERVIEW : 工藤えみ
どれだけ個性を出せるかが求められる女性シンガー・シーンのなか、限りなくシンプルな形で、工藤えみがファースト・シングルをリリースする。言ってみれば、地元・大分でアイドル・ユニット〈チャイモ〉として活動をしていたこと、ミスセブンティーンに抜擢され〈Seventeen〉専属モデルをしていたことでさえ、本シングルを語るにおいて、それほど大きな意味をもたない。楽曲タイトルは工藤本人による「すきだよ」。シンプルなロック調のバラードで、ストレートに歌う彼女の芯のある声がダイレクトに聴き手に向かってくる。MVでさえ、都会のビルを背景に、工藤がまっすぐ画面越しに歌いかけるもので、そこに余計な装飾はない。肩書きをつけることで差異が求められるなか、極力無駄を削ぎ落とした工藤の天性の素質が際立った作品。本作をハイレゾ配信するとともに、工藤えみというアーティストに迫った。
インタヴュー&文 : 西澤裕郎
写真 : 雨宮透貴
音楽ないと無理じゃないですか?
――工藤さんは大分県出身なんですよね? どういう場所で生まれ育ったんですか?
工藤えみ(以下、工藤) : 日本昔ばなしみたいな場所でした(笑)。段々畑があったり、水車があったり、名水の場所で各地から水を汲みに来る人がいたり。マンションはまずないし、スーパーにもほとんど行かなかったです。自給自足で、牛や鳥を飼っていて、お父さんがイノシシ捕まえてきたり… なんか原始人みたいですよね(笑)。でも、そこにいたのは5歳ぐらいまでで、それ以降は市内育ちです。
――大分にいる頃、地元を出たいっていう気持ちはありましたか。
工藤 : 当時はすごく強かったですね。テレビに出たり、いまのような仕事がしたくて。大分県にいても誰もみてくれていないような気がして、早く出なきゃっていう想いがすごくありました。
――プロフィールをみると、大分県で学生情報誌〈CHIME〉に所属していて、その専属モデルからなる現役高校生ユニット〈CHIMO〉として活動していたそうですね。
工藤 : まだご当地アイドルとかなかった時代だったんですけど、〈CHIME(チャイム)〉のモデルで〈CHIMO(チャイモ)〉って名前で、アイドルっぽいことをしてました。
――ピアノとか、楽器は習っていたんですか?
工藤 : なにも習ってなかったんですけど、ピアノは弾けました。小さいころから、耳で聴いてマネしていて。今は両手では無理なんですけど、びっくりするくらい弾いていましたね。
――耳がいいんですね。
工藤 : うーん。どうでしょう(笑)?
――あと、3歳くらいからバレエをやってたということですが、クラシック・バレエですか?
工藤 : モダン・バレエっていう創作ダンスみたいなことを、14歳くらいまでやっていました。そのあとで1年間クラシック・バレエをやっていました。
――かなり本格的にダンスをやられていたようですが、プロになろうとかっていう目標はあったんですか?
工藤 : 別になかったですね。踊るのが当たり前だったし、1回休んだら次いくのが怖かったから。いかないで怒られるほうが怖いみたいな(笑)。
――あははは。中学を卒業して、すぐに上京したんですか?
工藤 : 上京したのは、高校1、2年生のときです。放課後、みんなでマクドナルドに行って、〈Seventeen〉のモデルに応募しようって話になって。携帯のカメラで全身の写真をトイレで撮って、友達の携帯から送りました。本当は名前が漢字なんですけど、友達が私の漢字書けないからひらがなで送ったら、そのまま芸名になっちゃって(笑)。それでグランプリをもらって専属モデルになりました。専属モデルは毎日撮影があるから、上京したんです。
――人前で歌を歌いはじめたのはいつくらいのことですか?
工藤 : 去年です。だからはじめてライヴで歌ってから、まだ1年経ってないんですよね。
――そうなんですね。音楽はもともと好きだったんですか?
工藤 : 大好きです。朝起きたら音楽をかけて準備していました。ハマったものは、同じ曲を1日リピートするくらいずっと聴くし、大好きです。音楽ないと無理じゃないですか?
――そうですね。その延長で、僕は音楽の仕事してますから(笑)。1番最初にたくさん聴いた記憶がある曲ってなんですか?
工藤 : 大塚愛さんの「さくらんぼ」かな。あ、もっと昔に聴いていた曲があるんですよ。お母さんがダイエット・サロンにいってて、それを待ってるときにお店でかかってたんです。ちょっとヒッピーみたいな格好して、バギーみたいなジーパンはいて、ウエスタン・ブーツみたいなの履いた私と同い年くらいの子なんですけど、名前が思い出せなくって。う~ん。
――そうとう気に入ってたんですね。
工藤 : そのときは、そのダイエット・サロンに行かないと聴けなかったんで、ついていってはずっと聴いていました。
やっぱりこの人が好きだな、どう考えても好きだなって、感じの「好き」
――今作を聴いて、歌いはじめて1年経ってないとは思えないヴォーカルだなと思いました。前作ではヴォイス・トレーニングだとか、そういうこともしてなかったそうですが、それもビックリしました。
工藤 : そのときは、まったくしてなかったです。
――透明感があるだけじゃなくて、ちゃんと芯がある。声に素質があるんだと思います。そのときの音源をいま聴いてみてどうですか? もっとこうしたらよかったとか思いますか?
工藤 : もちろんいっぱいあるんですけど、ヴォイス・トレーニングの先生のところにいくと、歌い方のうまい人の歌い方と、真逆らしいってことがわかって。
――へえ。どういうところが違うんですか?
工藤 : 普通はちゃんと気道を確保して、しっかり声を出すんです。でも昔はそうじゃなかったから、か細かったと思うんですよ。耳だけでっていうか、感覚でやっていた。それはそれで自分らしく歌えてたんだなって思います。
――やっぱり耳がいいんだと思いますよ。今回の歌詞は、工藤さんが書いたんですよね? シンプルに『すきだよ』というテーマですが、どうしてこのセリフを選んだのですか?
工藤 : いろいろ考えたんですよ。それで、サビは4文字だなと思って。「ありがと」とか「さよなら」とか。でも、この曲には“すきだよ”かなって思ったんです。
――工藤さんは恋しやすいタイプですか?
工藤 : しやすいと思います(笑)。
――恋をしたら、シンプルに気持ちを伝えられる?
工藤 : そんなことはないですね。自分からはいかないです。
――そんななか、「すきだよ」っていう言葉を持ってきたのには、どんな意味が込められているのでしょう。
工藤 : この「すきだよ」は、初々しい、想いはじめたばっかりっていう気持ちじゃなくて、自分のなかで「やっぱりこの人が好き」って何回も確認したあとの「好き」なんです。ずっと想ってるけど、純粋にこの人が好きって想えるっていうときの「好き」。
――一目惚れというより、長いこと想っているって感じなんですね。
工藤 : やっぱりこの人が好きだな、どう考えても好きだなっ、て感じの「好き」ですね。
――歌詞を書くときは、実体験を活かしますか?
工藤 : 実体験しか書けないです。作り方はだんだん覚えていきますけど、多くの人たちにわかりやすく聴いてほしいので。
――ちなみに、普段日記は毎日書きますか?
工藤 : 書きます。手元にないときは、携帯でも書くし、書き留めたいなって思ったら、書きとめます。
――そこには、どういうことを書いているんですか?
工藤 : ひどいときは、読み返してもどういう意味かわからないこととか書いてるときもあります(笑)。景色を観たら、この景色を一緒に観たかったとか書いたり。普通の日記です。
自分がもらったような感動を感じてもらうのが1番の理想
――まだ1年経ってないということもあって、人前で歌を歌うときは緊張しませんでしたか?
工藤 : 緊張すると、ものすごく自分を切り離しちゃうんです。
ーー切り離す?
工藤 : 心がなくなっちゃうっていうか、すごくクールになっちゃう。ライヴを重ねるにつれて、伝えるっていうことに繋げていかないとなって思っていて、そういうところは、少しずつ成長してるなって思います。
――緊張しちゃうから、逆に冷静になるというか切り離しちゃうんですね。
工藤 : そう、逆になっちゃうんです。たまに、図太すぎるって言われるんですけど、緊張しているからそうなっちゃう。
――でも、かなりライヴ本数多いじゃないですか。しかも、全国いろいろなところに行ってやられてますけど、人前に出て歌うのは慣れてきましたか?
工藤 : ちょっとずつですね。自分が音楽を聴いていた子どもの頃、受けた感動が大きすぎたんです。だから、自分が歌うってときに、同じことをやらなきゃかっこ悪いと思って。最初は「できないかも」っていう感じだったんですけど、今は前向きな気持ちから、伝えることをやらなきゃなっていう気持ちに変わってきたかな。
――自覚が出てきたのかもしれないですね。
工藤 : たぶん、自分から人に何かを伝えることに積極的じゃないんですよ。「私は、こういうことが好きだけど、そっちは好きにやったらいいじゃん」みたいなところがあるから。ライヴでみんなで一緒にっていうのがすごく難しかった。いまは、ちょっとずつ、そうしてもいいんだなって。
――自分が歌ってるのを聴いて一緒に盛り上がろうとかじゃなくて、「私はこういうのを歌ってるんだけど、好きだったら聴けばいいじゃん」って?
工藤 : そういう感じでした。聴いてよ!! っていうのは、まったくなかったです。
――それが変わってきたのはどうしてだと思いますか?
工藤 : それまでって、観に来てる人は他人って感覚が強かったんです。でも福岡でライヴをした帰りに実家に寄ったとき、お母さんの友達の歌をやってる娘さんと話したんです。そこで私の意見を話したら、「それじゃあ、観ててつまらないじゃない」って言われたんですよ。確かに観てる人がつまらないのって、かわいそうと思って。観にきてる人にとっては、楽しんでもらうきっかけは私なんです。当たり前のことなんですけど、そういうことに気づけたので、自分でアクションを起こさないといけないんだなって気づきました。そこから変わったかもしれないですね。
――この作品は、工藤さんが歌手になっていく段階の第一歩だと思うんですけど、どういう歌手になっていきたいか理想はありますか?
工藤 : 理想は、私が小・中学生のときに、音楽を聴いたときみたいに、大きな体験をしてほしい。若い子とかやんちゃになる時期があるじゃないですか。そういう子たちに、自分がもらったような感動を感じてもらうのが1番の理想ですね。
――本当に小・中学生のころ音楽を聴いたときの感動が大きかったんですね。
工藤 : 大きかったです。大きくなかったですか?
――大きかったですよ。小・中学生のころ聴いた音楽ってわくわくして何回も聴いてましたし、寝るときに頭のなかで繰り返してたりしましたもんね。
工藤 : そうですよね。そのころに受けることって全部大きいんですよね。小さいことも全部自分のなかで大きくしていたかもしれないんですけど、感動っていいなと思います。
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LIVE INFORMATION
2014年9月12日(金)@文化放送サテライトプラスLIVE
2014年9月13日(土)@新百合ヶ丘エルミロード インストア
PROFILE
工藤えみ
1993年2月7日生まれ、B型、大分県出身。
ミス・セブンティーン2009グランプリ、数々のドラマに出演、2013年〈Seventeen〉を卒業を機にアーティストへ。地元大分から音楽活動を開始。2013年9月にデビュー・アルバム『月光の夜』をリリース。その後、ライヴ活動を積極的に取り組み、4月のFM FUJIのラジオ番組『Music Spice!』木曜日パーソナリティーを担当。そして、待望のファースト・シングル『すきだよ〜いつかキミに伝えたいこと〜』を9月10日リリース。