【連載】Episode61 YU-Ki EMPiRE「幕張メッセは次に繋げるための大事なライヴになる」
WACKとavexの共同プロジェクトEMPiRE。2021年11月23日(火・祝)に幕張メッセイベントホールで開催予定のワンマンライヴ〈EMPiRE’S SUPER ULTRA SPECTACULAR SHOW〉は、チケット発売後即完売。9月からクラブツアー〈EMPiRE’S GREAT PARTY CARAVANS〉を開催し、11月10日には約2年ぶりとなる3rdアルバム『BRiGHT FUTURE』をリリースするなど、勢いがますます加速していきそうな彼女たちの2021年2周目となる個別インタヴューを敢行。第1回はYU-Ki EMPiREの声をお届けする。
INTERVIEW : YU-Ki EMPiRE
EMPiRE史上最大規模の幕張メッセイベントホールでのワンマンライヴのチケットが、一般発売後に即完売した。彼女たちへの期待の大きさの現れであるが、メンバー6人がパフォーマンスを磨き地道に努力してきた成果であることに間違いはない。2019年10月にリリースした2ndアルバム『the GREAT JOURNEY ALBUM』で示したダンスミュージックの方向性を軸にしながら、これまでのWACKの伝統も感じる楽曲や多数のメンバー作詞曲など表現の幅を広げる楽曲が収録された3rdアルバム『BRiGHT FUTURE』をひっさげ、どのような気持ちで日々を過ごし、幕張メッセへと向かうのか。ポジティブで明るい笑顔が輝くYU-Ki EMPiREに、10月の台風が訪れている日に取材を行った。
取材&文 : 西澤裕郎
写真 : 外林健太
今は大きな敵に向かって必殺技をみんなで増やしている
──YU-Kiさんの取材日は、本当によく雨が降りますね(笑)。
YU-Ki : OTOTOYさんのインタビューのときは、ほぼ雨ですね(笑)。
──最初は「雨女」とネタ的な感じで言っていましたけど、いよいよ怖くなってきました……。雨女という自覚はあります……よね?
YU-Ki : これでまだないって言ったら、みんなにすごく怒られそう(笑)。
──あははは。幕張メッセでのワンマンまで2ヶ月を切りましたが、徐々にステージに立つイメージが膨らんできているんじゃないですか?
YU-Ki : 「後、何日」というカウントダウンを毎日見る度に身が引き締まります。幕張でライヴをしたアーティストさんのライヴ映像を観たりして、ステージに自信を持って立てるように準備を始めています。
──チケットが即完したことに関しては、どのように受け止めましたか。
YU-Ki : 本当にうれしい気持ちが1番でしたね。「初めて幕張に行きます」って声もたくさん聞いて。コロナ禍でEMPiREを知ってくれたエージェント(※EMPiREファンの総称)がライヴに来てくれる大きなきっかけになってよかったなとすごく思います。みんなが集まってくれることがとてもうれしいです。
──前回の全員インタビューで〈EMPiRE ULTRA ViBES TOUR〉を振り返っているとき、YU-Kiさんが「1回1回、着実にボスを倒していっているツアー」と話してくれていました。ツアー後もそれが続いている感じでしょうか?
YU-Ki : そうですね。今は大きな敵に向かって必殺技をみんなで増やしている感じです。
──具体的に言うと、必殺技ってどんなものなんでしょう?
YU-Ki : 新しいアルバムの新曲もそうですし、最近は表現の仕方をより考えて練習するようにしていて。表現の幅をもっと広げていきたいと思って、そこの面でも試行錯誤している段階です。
──11月10日にリリースされる約2年ぶりのアルバム『BRiGHT FUTURE』について聞いていきたいと思うんですけど、制作期間はいつもより長かったそうですね。
YU-Ki : 2020年始めぐらいにデモ曲をいただいて、作詞に取り掛かったので、1年半ぐらいかけて練って練って作り上げたんです。当時はまだワンコーラスだけの楽曲もあったので、同じ曲でも2パターン考えて歌詞を提出してみたりとかもしていて。
──これまでもメンバー全員が歌詞を提出して、その中から採用されていく手法を採っていましたが、YU-Kiさんは歌詞を書くことの手応えは掴めてきましたか?
YU-Ki : 難しい曲もあったけど、書こうと思ったらスラスラ書けた曲もあって。採用されなかったけど自分的には「あ、上手くかけたな」っていう曲もありました。ちょっとずつだけど手応えというか、自分の伝えたいことを言葉にできるようになってきたなという感覚です。
──ちなみに、どういうときに歌詞が思い浮かんで書いてみたりしたんでしょう?
YU-Ki : 今年3月に参加したWACK合宿オーディションの帰りのバスで、こんな感じで書きたいなというのが浮かんできて、そこから何日かかけて練って考えて書いてみたりもしました。
──合宿後のクタクタな状態で歌詞を書きたいと思ったというのは驚きです。
YU-Ki : 自分が合宿で感じたことを残しておきたいと思ったんです。帰りのバスでデモ曲を聴いてインスピレーションが湧いて、書いてみようと思ったんですよね。上手くいかないことだらけの世界だし落ち込んじゃうし、不甲斐なくたって、そんな中でも私たちならできるよ、ってことを歌詞にしてみたいなと思って歌詞を書いてみたんです。
──合宿が終わったばかりの帰り道で、前向きな気持ちでいるのがYU-Kiさんらしくていいなと思いました。
YU-Ki : コロナ禍でみんなに会えない時期に落ち込むことが多かったので、そんな時でも笑っていればきっといいことがあるなと思って。それを歌を通してみんなに伝えたいというか、少しでも前向きな気持ちになってもらえたらいいなと思っていたんです。
──今回のアルバムを一足先に聴かせていただきましたけど、EMPiREらしいダンスチューンもあれば、WACKらしい楽曲もあったり、バリエーション豊かな作品ですね。
YU-Ki : 前回のアルバムでEMPiREの色が確立できたので、今回のアルバムはより幅を広げたものになっていると思います。いろいろなジャンルや感情が込められてるイメージ。ツアー初日に披露した「I don't care」はMiKiNAちゃんとMAYUちゃん作詞で、歌っていてすごく気持ちがいい曲です。皮肉めいた歌詞がすごく上手だなって。自分には書けない歌詞というか、サビとかのストレートな感じがすごく好きですし、歌っていても聴いていても気持ちいい。不条理な世間に向けてぶつけたい曲というか。
──そうした歌詞を口に出して歌っていると気持ちが晴れる?
YU-Ki : エージェントも、嫌なことがあった時とかにこの曲を聴いたら、味方をしてくれる感じがすると思います。代弁してくれているなって。この曲はNOWが振り付けを考えてくれたんですけど、ライヴで披露したとき、エージェントたちが初めて見たのに拳を突き上げてくれたりしてくれて。それも気持ちよかったですね。
──渡辺(淳之介/WACK代表)さんの作詞曲に関してはどう感じていますか? 毎回メンバーに対してのメッセージとしても捉えられるような歌詞が多いなと思うんですけど。
YU-Ki : もっともっとEMPiREとして、まだまだ先を見て行かなきゃって言われている感じはしますね。「なんでもできる」とか「何度でもいけ」とか前向きな感じの歌詞が多いので、今ここで更に一致団結して、1つになって進んでいかなきゃだよって言われていると感じています。
自分たちに自信を持って、EMPiREの空気を作れるように意識した
──今年8月にはBiSHのメンバーの新型コロナウイルス感染によって、EMPiREが〈ROCK CIRCUIT in EZO〉と〈TOKYO BiSH SHiNE 7〉に急遽出演しました。振り返ってみてどうでしたか?
YU-Ki : あのときは、私たちにできることをやるしかないなと思っていましたね。BiSHの代わりにはなれないし、それはお客さんも求めていないと思うので、自分たちができる最大限のことをしていかなきゃなという想いでライヴをしました。
──〈ROCK CIRCUIT〉は、普段対バンしてこなかったバンドとのラインナップでの出演ということで、ステージに臨む緊張感みたいなものはありましたか?
YU-Ki : ありましたね。どんな空気になるのかも全然想像できなかったし、会場にいる方たちをどう楽しんでもらったらいいんだろう、みたいな不安もありました。でも楽しんでもらいたいから、自分たちに自信を持ってEMPiREの空気を作れるように意識しました。
──SNSを見ていると、EMPiREへの絶賛の声や反響がすごかったですよね。手応えは感じたんじゃないですか。
YU-Ki : ステージに出た瞬間からお客さんたちが立ってくれて拍手してくださって。一緒に手を上げて踊ってくれる人もすごく多くて。急遽だったのに観に来てくれたエージェントが大きく振りをやってくれていたんですけど、それを見て真似してくれたみたいで。「自分たちも踊れて楽しかったです」というコメントも目にして。それもすごくうれしかったです。エージェントの愛もすごく伝わるライヴだったなと思います。
──そこから4日後に〈TBS4〉が開催され、豆柴の大群と一緒に2マンを行いました。BiSHが毎年行っている恒例のフリーイベントだっただけに、どんな気持ちで臨んだんでしょう。
YU-Ki : BiSHを好きで観に来てくれる予定の方々が多かったと思うし、急遽決まった代替公演だったので、EMPiREを少しでも知ってもらえたらいいなという気持ちでひたむきにライヴをしました。
──9月からはクラブツアー〈EMPiRE’S GREAT PARTY CARAVANS〉が始まり、現在もその最中ですが、新衣装が光っていてとても目立っていいですよね。〈EGP〉はどんな気持ちでライヴを行なっていますか?
YU-Ki : 私は〈EGP〉がすごく好きなので、ツアーを回れることがうれしくて。最近はホールツアーだったり、広めの会場でやることが多かったので、久しぶりにエージェントとすごく近い距離でのライヴができて懐かしい感じがしました。すごく楽しかったし、自由に楽しんでできていると思います。
──クラブでやるのとライヴハウスでライヴやるのでは感覚は違いますか?
YU-Ki : 自分たちの中でも〈EGP〉ツアーは普通のツアーとちょっと変えてみようと話していて。普段のライヴより更に自由に楽しめるような空気感をこのツアーでは出していきたいなという気持ちで臨んでいます。
──エージェントもクラブでのライヴに慣れてきたんじゃないですか?
YU-Ki : どうなんですかね(笑)。このツアーを通して〈EGP〉とは? というものを感じてもらえたらと思ってライヴをしています。まだ数回しかやってないから、初めてくる方にも〈EGP〉ってこういう感じなんだと知ってもらって、より好きになってもらえたらいいなと思います。
──再びアルバムの話に戻ると、EMPiREの代表曲を現行メンバーで再レコーディングした音源全10曲もDiSC2に収録しています。当時歌っていた歌い方や雰囲気から変化したと感じる部分はありますか?
YU-Ki : 再録する時、昔の音源がスタジオに流れていたんですけど、それを聴いてメンバーの声もすごく変わったなって思いました。みんな、すごい力強くなっていてパワーアップしてて。声の厚みや表現の幅がすごい増したな、かっこいいなって思いました。
──自分の声は変化を感じない?
自分の声は自分だとあまり分からないですかね。変わっているのかな……。
──再録するとき、言われたことで印象に残っていることはありますか?
YU-Ki : 松隈(ケンタ/サウンドプロデューサー)さんから「フリーでガヤを録って」って言われるほど、自由な感じで遊び心を入れて再録しています。「Buttocks beat! beat!」とか、「EMPiRE is COMiNG」のナレーション部分だったり「SO i YA」とかにガヤが入っています。NOWが入って初めての再録曲とかもたくさんあるし、ここで1回区切りじゃないけど、今回のアルバムはもう1つ上に上がっていくための大事な作品になるかなとすごく思いますね。
自分たちしかできないものを精一杯幕張まで考え抜いてステージに立ちたい
──「LET'S SHOW」のMVは当初撮る予定じゃなかったそうですね。山田健人監督が急遽撮りたいと提案して撮影したそうですが、決まった振付で魅せるというMVでもないので、撮影は難しかったんじゃないですか?
YU-Ki : 難しかったですね。ちゃんとできているかな?みたいな心配はありましたたけど、初めてだったので不思議な感覚でした。でも、すごくうれしかったです。もともとメンバー間で「LET'S SHOW」でMVを撮りたいねって話をしていたので。それを山田さんがかっこよく仕上げてくださって形になったのはすごくうれしいなと思います。
──最近の活動を見ていると、極端なことをしなくてもEMPiREらしさみたいなものが見えるんだなと感じます。そんな状態で臨む幕張メッセ、どんなライヴにしたいですか?
YU-Ki : EMPiREとしても今までで1番大きな舞台ですし、初めて来てくれる人も多いと思うんです。ライヴを観て満足してもらうだけじゃなく、この先どうなっていくんだろうという期待やワクワク感を届けられる1日にしたいです。
──前回の取材では、MCで50m走もしたいと語ってくれていましたが(笑)。
YU-Ki : 50m走は自分たちが楽しいだけだから考え直しました(笑)。幕張はお客さん第一に楽しんでもらえるステージを作りたい。この曲を幕張でやるんだったら、こういう照明がよさそうだなとか、細かいところを想像したりしてワクワクしています。
──YU-Kiさんの言葉を借りると幕張はラスボスですが、これで全クリアというわけじゃもちろんないですよね?
YU-Ki : 幕張は、本当に次に繋げるための大事なライヴですし、お客さんに1番に楽しんでもらいたくて。初めて来てくれた人にもEMPiREのライヴはこういうものなんだというのを伝えて、もっと他の場所でも観たいなって思ってもらえるようにしたいです。
──チケットはソールドアウトしているので、幕張当日どんなライヴをすればいいか集中して準備できる状況もすごくよい状態ですね。
YU-Ki : みんながチケットを買ってくれたからこそ集中できるのであって、自分たちが届けられる、自分たちしかできないものを精一杯考え抜いてステージに立ちたいなと思います。
前回の記事はこちら
LIVE INFORMATION
〈EMPiRE'S SUPER ULTRA SPECTACULAR SHOW〉
2021年11月23日(火・祝)@幕張メッセイベントホール
時間 : OPEN 16:00 / START 17:00
PROFILE
EMPiRE
>>EMPiRE オフィシャル HP
>>EMPiRE SoundCloud!
>>EMPiRE Official YouTube Channel
>>EMPiRE TWiTTER
EMPiRE OFFiCiAL(@EMPiREIDOL)
YU-Ki EMPiRE(@YU_Ki_EMPiRE)
MAYU EMPiRE(@MAYU_EMPiRE)
MiDORiKO EMPiRE(@MiDORiKO_EMPiRE)
MAHO EMPiRE(@MAHO_EMPiRE)
MiKiNA EMPiRE(@MiKiNA_EMPiRE)
NOW EMPiRE(@NOW_EMPiRE)