なぜバンドは解散するの?ーーひらくドア最後のアルバム『君と世界の歌』から探るバンドのあり方

左から、クロサワコウゾウ、寺中イエス、ヨシヤマモエ、ヒロヒサカトー、タカユキカトー

ひらくドアによるラスト・アルバムを先行配信スタート

ひらくドア / 君と世界の歌

【配信形態】
wav : 単曲 250円 / まとめ価格 1,260円
mp3 : 単曲 200円 / まとめ価格 900円

ひらくドア、渾身の6曲を収録した最新にして最後のアルバム。2014年3月の解散を目前に発表するラスト・アルバム『君と世界の歌』は、ドラムスにMUGWUMPSのクロサワコウゾウ、コーラス・キーボード・タンバリンにぽわんのヨシヤマモエを迎えた5人での新編成で録音された。これまでの渋谷系的な雰囲気は控えめになり骨太なサウンドになりつつも、複雑でひねくれた構成・歌詞の世界はより深みを増した最新にして最後の意欲作。



INTERVIEW : ひらくドア

OTOTOYに来てくれているインターンの女の子から、ひらくドアが解散することを聞いた。それまで、何度も目にしていたバンド名だっただけにビックリした。と同時に、解散の知らせに慣れてきてしまっている自分にも気がついた。「30歳過ぎてもバンドが続いていればそれからも続くよ」。僕がライターとして駆け出しのころに、追いかけていた30代のバンドから聞いたセリフだ。そのときは、そんなもんかなあと思っていたけど、いまはそれがある種の真実だということがよくわかる。かくいう、ひらくドアの中心人物も30歳手前である。

でもなんでバンドは解散するんだろう? バンドをやっていない人間からしたら、どういうプロセスでそこに至ったのか想像するしかない。それにそれを掘り返すことも野暮なことだ。でも、僕は興味があったし聞きたかった。そのことを、ひらくドアのフロントマン、タカユキカトーに伝えると、ぜひ聞いてくださいと快く返事をくれた。これは、解散を決めた一つのバンドをひも解くインタビューだ。一方的な話にならないよう、全メンバーに集まってもらい、事前に各自アンケートに答えてもらった。バンドってなんだろう? それを考えながら読み進めてほしい。

そして、これは本当に皮肉なことなのだが、解散を目前にリリースされる本作はバンド至上最高傑作となっている。バンドって、本当に不思議なものだ。そして、バンドは解散しても、彼らが作り上げた音楽は輝き続けていくのである。

インタビュー & 文 : 西澤裕郎
文字起こし : 北村なつき
写真 : オチアイユカ

ひらくドアへの事前アンケート質問項目

1. なぜ、ひらくドアは解散するのでしょう? (あなたなりの分析でお答えください)
2. もしまだ解散しないという選択肢を選べるとしたら、選びますか? また、それはなぜですか?
3. 解散後は、どのような活動をしていく予定でしょうか。

左から、タカユキカトー、ヒロヒサカトー、ヨシヤマモエ、クロサワコウゾウ、寺中イエス

1. なぜ、ひらくドアは解散するのでしょう? (あなたなりの分析でお答えください)

色々あるけど結局自分がいい曲を作っていい音で聞かせてお客さんを楽しませるビジネスを継続的にやる気持ちがないことが全ての根っこだと思う。2011年末にドラムE.MURAYAMAが脱退した時点でこのバンドどこに向かってるかさっぱりわからない状態。そのままメンバーが定まらず2013年春、もう2年くらい目標がない状態が続きだいぶ心が折れている中なんとか今の5人のメンバーが揃い、少し踏ん張ってレコード会社にプレゼンしてバンドを軌道に乗せようと思ったがメンバーの仕事、他のバンドとの兼ね合い、性格、音の組み合わせなど全てが少しずつミスマッチで風穴を開ける決定的なものがなかった。なぜ自分が引っ張りきれなかったのかはよくわからないけど、自分自身この5人で作る音楽、特にライブを続けていくことに希望や目的を見出せなかったのだと思う。そもそもバンドで稼いで生活することを「目指す」ということ自体に疑問が生まれた2年間だった。さらに作詞作曲ボーカルの自分がそういう状態だとメンバーの士気が下がり、負の連鎖が起きたように思う。その中でヒロヒサカトーが脱退したいという話が出て、クロサワコウゾウもそれを受けて脱退。それでもう無理だねと。誰も問題提起しようとしなかった=必死にバンドをなんとかしたいと行動に移す人が誰もいなかったことも問題だったと思う。(タカユキカトー / 歌とギター)
ひらくドアに対して、これ以上頑張れない! と思うまで頑張ったので! 今まで愛してくれた皆さんに感謝!(ヒロヒサカトー / ギター)
音楽的、楽曲や演奏のクオリティは過去最高の状態だったと思うので、少しずつ生まれ始めた、それ以外の部分での価値観の相違や気持ちのすれ違いが原因だと思います。(寺中イエス / ベース)
メンバー全員が同じモチベーションでいられなくなった。メンバーが2人脱退することになった時、残ったメンバーでひらくドアとして面白いことをやれる! という想像がすぐにはできなかった(ヨシヤマモエ / キーボードと歌)
ありきたりかとは思いますが、そういうタイミングだったのだと思います。個々がこれからのことについて、深く考え、自分を前進させる為の手段だったのではないかと思います。しかし、私個人としては、ひらくドアには1年しかいなかったのでなんとも言えません。(クロサワコウゾウ / ドラム)

2. もしまだ解散しないという選択肢を選べるとしたら、選びますか? また、それはなぜですか?

解散することを最終的に決めたのは自分なので解散しない選択肢はない。今は自分ひとりでやることが楽しみだし、バンドをやるならその場で問題提起して積極的に解決できる人が何人かいるバンドがいい。それはこの5人ではない。(タカユキカトー)
No。解散しないという選択肢があれば解散ということにならなかったと思います!(ヒロヒサカトー)
今さら解散しないという選択肢を取ることは無いです。そういう気持ちが少しでもあれば、事実上の解散であったとしても「活動休止」と発表しよう、と僕は主張していたと思います。その方が、解散よりかは、今まで僕達を応援してくれた方々や戦友を悲しませたり、残念な気持ちにさせずに済んだでしょうから。ただ、そういう逃げ道を作るのは、バンドの美学に合わなかったのだと思います。(寺中イエス)
今のメンバーでまだ続けられるのであれば選びます。自分が加入して一年くらい経ちますが、やっと少しずつ自分なりにひらくドアの中でこうありたいなとか、こういう活動をしたい等の具体的な事に気持ちが行くようになった矢先、解散だったので本当はまだまだやりたいことがたくさんあります。なので続けられるのであれば続けたいです。単純にひらくドアの曲が大好きなので、解散しない限り、自分がひらくドアとしてこの曲たちを演奏できる、というところも大きいです。でも責任を持って向上心をもって生産性をもって、いろんなことを考えながらバンドを続けていくということがどれだけ大変なことなのかも分かるので、やっぱりむずかしいです。解散するとなってから、やり残したと思うことのないように、メンバー全員が「ひらくドアでやりたかったこと」を出来るだけ全部やっているので、解散が決まってよかったとも思っています。(ヨシヤマモエ)
選びません。解散は勇気と覚悟のいる決断です。そこに責任を持つべきだと思っています。(クロサワコウゾウ)

3. 解散後は、どのような活動をしていく予定でしょうか。

一人でYouTubeとニコ動に曲をあげてネット上で活動する。ひとまず大黒字をだすことは考えずボランティア的な活動にしてみたいと思っている。その際今までひらくドアでやっていたような曲だけでなく、JPOPやアニソン色の強い曲やボカロ曲も発表できればと考えている。仕事としてはレコーディングエンジニア、作曲などを軸にしたい。ボーカルでもギターでもベースでも、直接デビューして収入が得られる仕事があるならバンドとして活動することがないとも言えない。いちからバンドを組んでインディーズで活動して地道に知名度をあげていき仕事にする活動はしないと思う。要は、どうなってもいいけどビジネス的にはある程度需要があるところに飛び込んでいく、好きなことは金に関係なく好きにコントロールしてやる、という予定。(タカユキカトー)
引き続き自分のギターと音楽についての試行錯誤をしていきます!(ヒロヒサカトー)
もはやバンドをやっていない自分は考えられないので、新しくバンドを作るなり、ベーシストを探しているバンドに入るなり、バンドは続けようと思いますが、今さら焦っても仕方の無い年でもあるし、じっくりとやりたいことを見極めてから決めようと思います。(寺中イエス)
並行してやっていた自分のバンドを続けていきます。そしてやっぱり、タカユキカトーが作る曲や作る音の一ファンなので、音楽制作でずっと関わっていけたらなと思っています。プロデュースとかもしてもらいたいです。(ヨシヤマモエ)
私はサポートドラマーとして活動していく予定です。(クロサワコウゾウ)

前に行ってるのか後ろに行ってるのかわからなくなってしまった

ーー事前アンケートの「ひらくドアが解散するのはなぜだと思いますか?」という問いに、タカユキさんは「風穴を開ける決定的なものがなかった」と書いてらっしゃっていましたが、それってどういう意味なんでしょう?

タカユキカトー(以下、タカユキ / Vocal & Gt) : 要するに、お客さんみんながすごいと思ったり、感動するライヴができなくなっていて。しかもメンバーの誰もそれを解決する方法を提案しなくなっていたということです。

タカユキカトー

ーーとはいえ、ほぼ全員、今作でバンド史上一番のアルバムができたって書いていて。だからこそ、なんでいま解散の道を選ぶ必要があったのかなと思うんですけど。

タカユキ : これはぼくの視点になるんですけど、自分のデモを聴いてても、いいと思えなくなってた。この曲をバンドでやることで、どのようによくなるか思いつかない日々が2年間くらい続いていたんです。そのなかで、ヒロヒサが「続けるの、きついな」っていうことを言ってきたときに、「うん、そうだよね」ってなっちゃって。

ーーヒロヒサさんは、どういう気持ちで「続けるのはきつい」と言ったんでしょう。

ヒロヒサカトー(以下、ヒロヒサ / Gt) : いいライヴができないってことはずっと思っていて。それは自分にとって、すごくつらいことだったんです。あと個人的な話だけど、体調を崩すことが多くなってしまって。腰や首やら体調がよくなくなっていって、気分的にまいったっていうのは確実にありますね。あと、これはベタだから言いたくないけど、30歳になるっていうこともあったと思うな。

ーーよく30歳ってバンドを続けていくかの節目と言われますけど、年齢とともにバンドを続けるのって難しくなるものなんですか?

タカユキ : 23歳になったときにひらくドアをはじめて、そのまま何も起きずに30歳近くになって、やっぱり焦りました。
ヒロヒサ : 最初のうちって、新しいメンバーが入ったり、CDを作ったり、どんどん新しいことがあるんですよ。僕らの場合は、ありがたいことにお客さんが増えていったり、CMのキャンペーンに出たり、真新しいことがいろいろあって進んでいる感があった。でも新しい音源を作ろうっていう直前にドラムがやめてしまったり、他にもゴタゴタが続いて、前に行っているのか後ろに行っているのか、わからなくなってしまった。

ーーなるほど。2008年に加入された寺中さんはどう思っていますか?

寺中イエス(以下、寺中 / ba) : 曲もいいし、演奏自体は間違いなく一番よくなっていたというのは感じていて。もちろん突破口が見えないっていうのはありましたけど、それに疲れちゃったってことはなかったので、なんとも言えないですね。

寺中イエス

ーー続けていけるなら続けてやっていきたい気持ちはありましたか?

寺中 : 僕はもうすぐ40歳なので、もっと現実的にいろいろ考えたりしたんですけど、ここまできたら逆に焦りとかなくなっちゃって。もう、いい曲をリリースし続けるしかないんじゃないかと思っていた矢先だったので、複雑なところですね。

ーー一番新しく加入したヨシヤマさんとクロサワさんはどうですか?

ヨシヤマモエ(以下、ヨシヤマ / key & Vo) : 去年の春に加入して半年くらい経って、ようやくどうやったらバンドがもっとよくなるかなって考えられるようになったとき、ヒロヒサさんが抜けるっていう話を聞いて。それでも私は4人で続けたかったんですね。やっぱり曲が好きだったので。でも(クロサワさんも抜けて)3人になったときに、なにしたらいいかわからなくなっちゃって。タカユキさんの曲は歌いたいけど、仕方ないみたいになってしまって。

ーークロサワさんはどうですか?

クロサワコウゾウ(以下、クロサワ / Dr) : 雰囲気として、(タカユキとヒロヒサが)すごく考え込んでいるなってことには気づいていたんですけど、まさか解散になるとまで思っていなくて。ヒロヒサさんが抜けるってことが、自分のなかでは大きくて。大好きだったんですよね、ギターの音とかも。その思い入れが強かったっていうのもあって、僕もちょっと続けられないと思ったんです。

やっぱり目標がないと続けるのは難しい

ーー例えばの話なんですけど、メジャーからリリースして、それがちゃんと評価されれば、前に進んだ感はあるし、バンドのもやもやも少しは解消されるんじゃないかなと思うんですね。そういうのをふまえると、本作品をリリースした上で判断してもよかったんじゃないかなと思うんですけど。

タカユキ : 僕も同じようなことを考えていたんです。今回の曲で、それこそメジャーも含め、各社へのプレゼンもしようと思っていたし。でも、秋ぐらいに録音が終わっていたのに、そのミックスとか、僕の作業がすごく遅かった。録音してから2か月、3か月たっちゃってたんですよ。音の仕上げなんてやろうと思ったら何日かでできることじゃないですか。でもその時期、僕がそれだけのパワーすら持ってなかった。そこでバンドが止まっちゃったなとは思う。とか色々あって、この『君と世界の歌』のリリースが決まったのは、もう解散するしかないよねってなった後でした。

ヨシヤマモエ

ーーそれじゃあ、この作品に対して、いまみなさんはどういう心情なんでしょう?

ヒロヒサ : 俺的には、いままでで一番いいものができたと思っていて。
タカユキ : たぶん、みんないままでで一番いいと思ってるよ。
ヒロヒサ : やりきったな、っていうのがある。年内に脱退したいっていうのを僕が最初に言ったんですけど。そのとき、本当に聴いて欲しいから、俺は辞めるけど音源は出してくれって言った。
タカユキ : こんなにいいんだから、いろんな人に連絡して聴いてもらえば、メジャーかわかんないけど、ディレクターなりスタッフなりが絶対つくだろうって思っていたくらい。
ヒロヒサ : いや、俺はそう思わなかった。事務所に所属するっていうより、むしろロック好きのリスナーに訴えかけるものがあると思っていたから。いわゆる、大人には結局わかんねえだろうなって。だから最高だなと思っていた。
タカユキ : 俺は、そういうものを求めている人は音楽業界にもいるんじゃないかなと思ってはいるけどね。それを探すところまでいってないっていう点は心残りだなあ。

ーーこれだけ全員がやりきって、いままでで一番いい音源だって思ってるだけに、これで終わっちゃうっていうのは複雑だなって。

タカユキ : いい音楽ができたからバンドを続けられるってわけじゃなくて、大人5人が生活しながら時間を割いて長期的に活動していくためには目標が必要で、そこがわからなくなったっていう結論に5人ともいたってると思うんです。やっぱり目標がないと続けるのは難しい。ひらくドアの場合は、バンド活動で生活していくのが目標だったと思うから。音源はすごくよかったけど、ライヴで何をみせたらいいかよくわからなくなってしまったのが少なくともありましたね。

ーーバンドをやってない人間としての質問なんですけど、バンドってなんなんでしょうね? 家族とか会社とか、いろんな単位がありますけど。

タカユキ : 生きるのが辛いな、ってなっても家族とかいるし、そう簡単に自殺とかできないじゃないですか。家族のなかの誰かが亡くなってもやっぱ家族からは離れられないし、仕事もしないと困るじゃないですか。でもバンドは、誰に求められたわけじゃなく勝手に始めたものだから。やらなくても困らないというか。やると楽しいからやるけど、やらなくても生きていけるものだから。

ーーでも逆にいえば、辞めても支障がないのにやっているわけですよね。それだけバンドには、なにかがあるんじゃないかなって思うんですけど。

タカユキ : それがなんなのかなっていうのはいまでも不思議なんですよ。楽しいっていうのが一番大きいけど、目立ちたいとか、就職したら絶対クビになるから音楽をやらないとやべえなっていうのとかもあるだろうし。そういえば、去年の春くらいから始めたホームページ作る仕事が意外と向いてて、「あれ、俺、他の仕事でもいけるな」と思って。それまで音楽以外の仕事はできないと思ってたから、0が1になったっていう。本当にそれが衝撃だったんですよね。それで、バンドやるのって疲れたなっていうのと、解散するっていうのが結びつく可能性が生まれたと思います。たぶん俺は特殊だしみんなにとってのバンドってなんなのかって気になるけど。
クロサワ : 僕は結構仕事が好きで、そっちに打ち込みすぎちゃってバンドの時間が割けないってタイプですね。
タカユキ : めずらしい(笑)!!
ヨシヤマ : バイト・リーダーにいそう! 気づいたら社員になってるみたいな。

クロサワコウゾウ

クロサワ : 実際、人のライヴを観に行って、近しい人とかが大きい舞台とかでやっていたら、観ているだけじゃ落ち着かないというか。たぶんやる側じゃないと今は落ち着かないっていうのは原動力かもしれないですね。
タカユキ : 俺とモエちゃんは同じようなことを思っている気がする。世の中にある音楽がよくなさすぎるから、俺たちが作った音楽が広まったらもっといい世の中になるになるんじゃないかって。自分の音楽が市場に出回っているほうが、いい世の中になるんじゃないかって気持ちがでかかったかも。
ヨシヤマ : 私もそれはあります。あと私は会社みたいなイメージでもやっていて。こうしたらこうなるだろうっていう仮定をして、試して、成果を上げたり、どんな反応があるか見るのが好きなんです。たまたま歌うことが好きでバンドをやっていただけで、途中でネットショッピングのサイトをひらいて自分で経営してみようと思っていたときもあったし。そういうものの中で一番好きなのが音楽でありバンド、って感じですかね。

ーー寺中さんは?

寺中 : タカユキ君が言ってた、自分の作ったものが売れれば世の中がましになるみたいな考えが僕もすごく強くて。僕はベースを弾いているだけなので、自分が曲を作っているとは言いがたいんですけど。自分のバンド以外の好きな音楽も売れてほしいと思ったりします。僕はたまたまタカユキ君と一緒にバンドをやっているから、これを沢山の人に聴いて欲しいって気持ちなんです。サポートすることが好きだからバンドをやっているというか、第三者的な目線もすごく強い。
クロサワ : すごくわかります。あくまでも作曲者の気持ちを高めて、いい曲を出したいっていうのは思いましたね。

ーーひとりじゃできないものがバンドだからできるということ?

寺中 : それもあるでしょうね。でも、それだとニュアンスが違うかな。とにかくいい音楽をみんなに聴いてほしいっていう壮大な願いというか…。
タカユキ : それだよね。
寺中 : タカユキ君も、友達のバンドも、いままでやってきたバンドもそうで、僕はたまたまベースを弾いてるだけっていうか。とにかく音楽が好きだからやってるんです。そういう気持ちが強くてバンドをやっています。

これは最高のロック・アルバムだと思うよ

ーーヒロヒサさんは、また違う意見がありそうですけど。

ヒロヒサ : 俺は、たぶんみんなと全然違って。前タカユキに言ったら否定されたんだけど、バンドはやっぱ遊びだと思ってるんですよね。「お遊び」じゃないよ。本当に好きで、おもしろいから遊んでいるだけ。それで遊んで金とろうっていう、ひでえ野郎なんですよ。でも遊んでないと、おもしろいものって生まれないと思うから。
タカユキ : 確かに、遊べなくなってきたなっていうのはあったよね、ひらくドアが。
ヒロヒサ : 結局そうなんだよ。おもしろいことができない。なんだろうな。遊べなくなっちゃったっていう気持ちがすごくある。
タカユキ : そうだね。最初はもっと遊んでいたよね。ブルーハーツをSEにしてモッシュしてる客として前から入場するとかね(笑)。
ヒロヒサ : 絶対に、遊んでいないロック・バンドなんてクソつまんないと思うから。最初は仲のいい奴で遊びが始まるんだけど、やっぱりそれだけじゃなくなっちゃって。そのなかで遊びつづける才能が俺にはなかったかもしれない。
タカユキ : ヒロヒサがというか、この5人の組み合わせだと、それが足りなかったかもしれない。
ヒロヒサ : … そうかもしれない。たぶんそれが大事だと思うんだよね。長く続けていけるバンドってそれがあると思うんだ。
ヨシヤマ : たぶん、それも目的みたいなのがないからだと思うんですよね。こういうのをやりたいってものがあったら、それに対してもいろんなアイデアが出てくるから、そのなかで遊ぼうってなると思う。

ヒロヒサカトー

ヒロヒサ : それは絶対違うと思う。だって遊ぶことに目的なんてないじゃん。楽しいんだもん。目的意識とかじゃない。わかんないけど、なにかがおもしろいんじゃないの?
ヨシヤマ : 同じ遊ぶって言葉でも、捉え方がそれぞれちょっと違うのかもしれない。
タカユキ : 文化祭みたいな感じなんじゃん? もえちゃんの方が。
ヨシヤマ : そうだと思う。そうだそうだ。
タカユキ : 最初に枠組みあって、このなかでみんなでやっちゃおうよ。みたいな。ヒロヒサの話はそれとは違う。
ヒロヒサ : 教科書破ってなんか楽しいって感じだもんね。なんだろうね。「オレンジデイズ」観てて、きゅんとするシーンなると、もうみてらんねえってなってギター弾くみたいな。
一同 : ……。
タカユキ : 全然その気持ちわかんないわ(笑)!
ヒロヒサ : なんだろうな、何かエクスプロージョンがあるんだよね。何か心が動いたときにバッとやって、ダンってやるのが原点っていうか。
タカユキ : あ、そういうことか! その動きは俺の中に少なくなってきたかもしれない。
ヒロヒサ : その気持ちをもてないなら、その気持ちをもてる別のことをやったほうがいいよねって。

ーーこういうまとめ方があっているのかわからないですけど、解散という目的ができたことで、このアルバムが完成し、しかもみんながいいと思っているものができたという、なんとも言いがたい状況なわけですよね。

タカユキ : それはあると思います。解散が決まって、それなら、ってアルバムリリースとレコ発をやるってことになったから、今回のインタビューもあるわけだし。なにもないのにひらくドアのことを記事にしましょうってしなかったと思うし。
ヨシヤマ : うん。
タカユキ : なにをするか明らかになって色々スッと決まった気がするから。
ヒロヒサ : 確かに。バンドのやることのひとつだよね、解散って。

ーーそして、このアルバムを持ってレコ発、解散ライヴになるわけですが、どういう心情でしょう。

タカユキ : これまで、ひらくドアのことを好きで聴いてくれていた人たちがいるわけで、その人たちに対してライヴがもうないっていうのは筋が通らないというか、自分が好きなバンドだったら悲しいなと思って。一回ぐらいは、好きだからライヴを観たいと思う人が来られる場がないと。いままでCDを出したりライヴしたりしてかまってもらったわけじゃないですか。そういう人たちには本当に感謝してるし、その人たちに向けて、最後にライヴをやろうと思っています。
ヨシヤマ : 私も同じですね、それは。
ヒロヒサ : いままで一番いいライヴするよってことですよね。あんまり最後のライヴだと思ってはないんだけどな。あんまり緊張してないです(笑)。
一同 : (笑)。
タカユキ : 俺はすごく最後だってなってる。絶対メロディを崩して歌うのとかやめようとかそういうことをいまから考えてる。
ヒロヒサ : 大事だと思うからいまから考えておいて(笑)。

ーー寺中さんとクロサワさんはどうですか?

クロサワ : ずっとひらくドアを好きだった人たちが観に来て、なんの違和感なく聴いてもらえるようにはしたいですね。だからまあ、しっかりやりたいなっていう。
寺中 : 一緒ですね。感傷的な気持ちとかには全然なってないですけど、いままで一番いいライヴにしたいなっていうのは間違いないですね。

ーー最後に、こういう場でしか話せないことがあったら。

ヒロヒサ : 新しいアルバムを聴いてほしいです! … そういうことじゃないの?
一同 : (笑)。
ヒロヒサ : これは最高のロック・アルバムだと思うよ。
タカユキ : 俺さ、渋谷系とか中学のとき聴いてて好きだったけどさ、なんか自分が渋谷系って言われると馬鹿にされてる気がして。なんかしっくりこねえなって思ってたんだけど、今回は渋谷系色を排して、作品作りができて嬉しかったなあって。だから、試しに聴いてみてほしいよね。逆に、今までのきらきらしたというか、そういうひらくドアが好きだったんだけどなあっていう人がいたらメールください!
一同 : (笑)。
ヒロヒサ : でもさ、キラキラしてるのもあると思うよ。
タカユキ : そうだね。キラキラしてる面もあるし、骨太な面もある。とにかく結成してから今までのひらくドアの全てが詰まっているので、聴いて下さい! 解散について語るのはそれから(笑)!

LIVE SCHEDULE

ひらくドアレコ発&大阪ラスト・ワンマン・ライヴ"君と新世界の歌"

2014年3月28日(金)@大阪梅田ハードレイン
出演 : ひらくドア
時間 : 開場 18:30 / 開演 19:30
価格 : 前売 2,000円 / 当日 2,500円(+1ドリンク500円)

☆各プレイガイドでチケット発売中
[Pコード : 223-722] 販売ページ

ひらくドアレコ発&ラスト・ワンマン・ライヴ "夢から醒めても君に会えたら"
2014年3月30日(日)@下北沢Basement Bar

出演 : ひらくドア
時間 : 開場 18:00 / 開演 18:30
価格 : 前売 2,000円 / 当日 2,500円(+1ドリンク500円)

☆各プレイガイドでチケット発売中
ローソンチケット [Lコード : 77879] 販売ページ
e+ 販売ページ

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PROFILE

ひらくドア

左から、タカユキカトー、ヒロヒサカトー、ヨシヤマモエ、クロサワコウゾウ、寺中イエス

私たちが暮らす世の中にはさまざまな音楽があります。ひらくドアの音楽は、なんとなく居心地の悪い人たちが作る、なんとなく居心地が悪い人たちのための音楽です。

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by 寺島 和貴,河村 祐介
【REVIEW】地に足がついていない!?──愛はズボーン、煎じ詰めた“待望”の1stフル・アルバムリリース
[CLOSEUP]・2017年11月15日・【REVIEW】地に足がついていない!? ──愛はズボーン、煎じ詰めた“待望”の1stフル・アルバムリリース OTOTOYとレコード・プレス・メーカーの東洋化成によるコラボレーション・レーベル〈TOYOTOY〉から初のアナログ盤となる『銀ギラ』のリリースや、自主企画イベント〈アメ村天国〉の開催など、今年は飛躍の年であることがうかがえる、愛はズボーン。そんな彼らがこのたび満を持して、1stフル・アルバム『どれじんてえぜ』をリリースした。本作のジャケットは世界的画家・黒田征太郎が手掛けている。黒田は愛はズボーンのメンバーたちが敬愛している画家で、まさに細部にまで強い想いが込められた作品に仕上がったと言えるだろう。そんな彼らの活躍を良質なハイレゾ音質で感じることができるのは、OTOTOYだけ! 本作をさらに楽しむテキストとして、レヴューも掲載! 未来の音楽濃縮盤をとくとご堪能いただきたい! ハイレゾはOTOTOYだけ! 未来の音楽が濃縮された、1stフル・アルバム愛はズボーン / どれじんてえぜ'【配信形態】WAV、ALAC、FLAC(24bit/48kHz) / AAC>>>ハイレゾとは?'【価格】単曲 2
by 宮尾茉実
《12ヶ月連続配信企画、第9弾》──goodtimes、カップル同士の"あるある"な感情に容赦なく切り込む
[CLOSEUP]・2017年11月15日・《12ヶ月連続配信企画、第9弾》──goodtimes、カップル同士の"あるある"な感情に容赦なく切り込む 10年超のバンドキャリアを持つ、井上朝陽(Vo&Gt.)、安田そうし(Gt.)の2人が新たにスタートさせたギター・ロック・バンド、goodtimes(グッドタイムス)。2017年3月より《12ヶ月連続音源配信》をOTOTOYで行い、注目を集めている彼らが、この度第9弾「アメニモマケル」の配信をスタートした。彼らの魅力にもっと浸ってもらえる楽曲を、ぜひレヴューと共にお楽しみください。 goodtimes、全ての恋愛経験者に捧ぐ第9弾goodtimes / アメニモマケル'【配信形態】WAV、ALAC、FLAC(24bit/48kHz) / AAC【配信価格】単曲 250円(税込)【収録曲】''1. アメニモマケル REVIEW : 全ての恋愛経験者が唸る、く人の"あの頃"を刺激する goodtimesは前回のインタヴューで、情景が浮かびやすい曲を作っていると語っていたわけだが、今回も人が「もう触れたくない」としまい込んでいた気持ちに、ピンポイントで突き刺さる"あるある"な楽曲「アメニモマケル」をリリー
by 宮尾茉実
フューチャー・ソウルの新たなページをめくる最新作『ar』──活動再開を果たした吉田ヨウヘイgroupの新作を配信開始!
[CLOSEUP]・2017年11月15日・フューチャー・ソウルの新たなページをめくる『ar』──活動再開の吉田ヨウヘイgroup、最新作を配信開始! 1stアルバム『From Now On』を2013年にリリースして以来、インディ・シーンの注目株として陽の目を観ていた突如、2016年2月に活動を一時休止。同年10月に活動を再開させた吉田ヨウヘイgroupが、『paradise lost, it begins』以来およそ2年5カ月ぶりの4thアルバム『ar』をリリースした。音楽に深い造詣のあるメンバーのセンスや技術が嗜好に寄り添うように体現された本作は、フューチャー・ソウルが盛り上がりをみせる現代の音楽シーンに一石を投じる作品となっている。アルバム全12曲、すべての楽曲で異なる表情を写す吉田ヨウヘイgroupの現在のフェーズが伺える最新作を、OTOTOYでは配信とともにレヴューを掲載する。 吉田ヨウヘイgroupの約2年半ぶりの新作を配信開始! 吉田ヨウヘイgroup / ar'【配信形態】ALAC、FLAC、WAV(16bit/44.1kHz) / AAC【配信価格】 単曲 257円(税込) / アルバム 2057円(税込)【収録曲】''01.
by 中の人
筆者について
西澤 裕郎 (西澤 裕郎)

1982 年生まれ。ファンジン『StoryWriter』編集長。http://storywriter-magazine.com/

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