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YES ! ! Happy New Anarchy
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ZUINOSIN(ズイノシン)の元メンバー2人で結成されたBOGULTA(ボガルタ)。CD発売前にも関わらず、全10カ国23都市を巡るヨーロッパ・ツアーを敢行。逆輸入されるような形で、2009年初頭にアルバムを発表した。これが、あまりにポップで、一瞬「アナーキー?」と首を傾げたくなる作品になっている。しかし、根底にある批判精神に変わりはない。以下のインタビューを読めばわかる通り、彼らの「アナーキー」は決して攻撃性に溢れた過激なものではない。それは、身近な人たちとの繋がりや、自分の信念を持つことの必要性を訴えるものだ。
BOGULTAは、ZUINOSINのような前衛的な方法と異なる手段で我々に訴える。もちろん、基盤にあるのは音楽だ。ギターを削り、シンセサイザ−や打ち込みを中心に構成された曲は非常に聴きやすいが、血肉を湧き上がらせるような仕上がりになっている。同時に、ヨシカワショウゴが描くアートワークも、カワイイように見えて、実は奇抜な色の組み合わせがされている。2人の表現に決して迷いはない。それは、メディアや社会によって作られた”あたりまえ”を疑い、自分がこうあるべきという信念を体現したものでもある。インタビューの最後の質問は、本当は載せたくなかった。曲とアート、彼らの全表現から感じ取ってほしいからだ。もし、あなたがまだBOGULTAの曲を聴いたことがないのなら、試聴でもyoutubeでもいい、1曲聴いた後に読んで欲しい。そして、素直に彼らの言葉に反応してほしい。究極的なことを言えば、こんな分析めいた文章なんてナンセンスなんだから。
インタビュー&文 : 西澤 裕郎
INTERVIEW
意味のないものへの賛美
ーBOGULTAというバンド名には、どのような意味があるのでしょう?
ヨシカワショウゴ(以下、ショウゴ) : BOGULTAというのは造語でいっさい意味が無いです。初ライブが決まったにもかかわらず名前がなかなか決めれずにいて、今回のDVDディレクターのキャッチパルスくんに相談して、キャッチパルス君の同僚と4人で「どうしよーかー」って言ってまして、同僚が『ボガルタ』っていきなり言って決まった感じ。砂漠のファミコンのイメージだそうです(笑)。
砂十島NANI(以下、NANI) : 意味のある言葉にするのが嫌で、英語だとか日本語だとかもうええやんって。俺たちだけの言葉だったら何でも良かったと言うか。
ーBOGULTAはいつ、どのように結成されたのでしょう。ZUINOSINの活動とは全く別のプロジェクトと考えてよいのでしょうか?
NANI : BOGULTAは、ZUINOSINが終わってすぐに動き始めました。ZUINOSINの活動は停止したんですが、それも急やったので「どうしよっ...」てなって(笑) でも結局、音楽で何か表現すると言う事が生活の一部やったし、気がついたら半年後にはBOGULTAでLIVEをやってました。ZUINOSINと全く別のプロジェクトと言うか、僕の中では何も変わってなくて。音ややり方は変わったけど、心の底は何も変わってないですね。やりたい事は変わってない。
ー曲はどのように作っているのですか?
NANI : うーん、色々なんですが。曲は基本的に僕が作ってます。例えば、鼻歌が曲になったり鳥の歌声が歌になったりとか、シンセとか機材いじってて曲になったりとか。何気ない日常のおもしろさをピック・アップしてる感じですかね。ニヤニヤしながら作ってます(笑)
ーミックス・エンジニアに増子真二氏(DMBQ/ボアダムス)を起用していますが、どのようなアルバムの青写真を伝えたのでしょう?
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NANI : 頭の中にこう言う音にしたい、というイメージはずっとありまして。それは言葉に出来ないって言うか、言葉にすると自然と抽象的になってしまうので、中々頭の中から外に出すのが困難で。しばらく悩んでいたんですが、増子さんにふとその話をした時、スゴい言うてる事分かってくれて。要はライブで出す音の熱と、音源として家で聴きやすい、歌としても聴けるバランスを大事にしたくって。それって永遠のテーマかもしれないけど。「都会の真ん中、コンクリート突き破って大木が生えてきた! けど、よく見たら宇宙船や! 」位の根性入った音にしたかった。もちろんライブと音源は全く別物なので切り離して考えてましたが、結果的に増子さんにお願いして本当に良かったと思ってます。
ー2008年、公式音源未発表にも関わらず、全10カ国23都市のヨーロッパ・ツアーを決行されています。どのような経緯で、CD発売前に海外ライブをすることになったのでしょう?
NANI : 3年前くらいかな? イギリスのOver killって言うレーベルから、オムニバスのCDがリリースされたんですが、ZUINOSINの時にそれに1曲参加してて。そこのレーベルの人達やDJ Scotch Egg(UK在住の日本人)らにヨーロッパ・ツアー行かない? って誘われて。DJ Scotch Eggはすごいシンパシーを感じる音楽をやってて、日本ツアーもいくつか一緒にやってたし、仲良いので単純に嬉しかった。ヨーロッパおもろいし、「もちろん行きたい!」ってなって、結局フタ開けてみたらでっかいフェスが何個も決まっててビックリしましたね。DJ Scotch Eggはヨーロッパですごい人気があって、その力と敏腕ブッキング・エージェントの力が大きかった。とにかく感謝です。
ーヨーロッパでのライブでの観客の反応はどうでしたか?
NANI : 僕らが行った時は予想以上に反応良かったですね。嬉しかった。めっちゃ感動してくれる人もたくさんいて、楽しそうな顔見てると、「来て良かったな〜」って心の底から思いました。
ーチャンスがあれば、今後も海外でライブをしたい?
ショウゴ : したいですね。規模が大きいしノリもいい。あと機材とかむちゃくちゃな中でやるのは非常に修行になります。日本は恵まれていると思います。
NANI : もちろん今後もガンガン海外行きたいです。まだまだ海外は不慣れで、大きな事は言えないけど、日本も世界も一緒やと思う。現地に行ってみないとそこの雰囲気って分からないでしょ? 住まないと分からない事もいっぱいあるやろうし、そんなもんで。大阪と東京、名古屋、四国、九州でも雰囲気はバラバラで、土地の特徴が人柄や文化に出る。音楽なんて所詮音楽やし、楽しんで、感じて、感動してナンボやからどこ行っても面白いです。変に取られたくないけど、日本人として誇りを持ってるし心に壁は作りたくないし、元々そんなもんないけどね(笑) いろんな人に出会えるのが嬉しい。おもろい人がいるなら、宇宙にだって行きますよ。
ー全アートワークを自ら手がけていたり、「メッ政治」をはじめとしたPVなど、視覚作品にもこだわりが見てとられます。アートワークやPVは、音楽に対してどのような位置づけで作成されているのでしょう?
ショウゴ : BOGULTAはバンドというよりも視覚もこみでビジュアル・アート・プロジェクトと思ってます。なので音楽と同じ位置にアートワーク等もあると思います。2人とも色んなバンドや絵等で活動してそこの強みを2人で機能させるBANDです。音楽面はNANI、絵はショウゴが中心でお互いのセンスを信じてやってます。だから僕は音楽面ではそこまで干渉しないしNANIも絵の方は干渉してません。
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もっと疑っていいと思うし、なんでも流されてたら、その内何も見えなくなる
ー2008年は、neco眠るやオシリペンペンズを始め関西シーンが充実した1年でしたが、面白いと思うバンド、影響を受けたバンドはいますか?
NANI : 2008年に影響を受けるほど衝撃なバンドはいませんでした。正直、俺らが出してる音が一番おもろいと思ってます。もちろんMIDI_sai周りとか、自分のルーツもあるしみんな尊敬してます。でもそんなもん昔からおるし、最近と言えばそうでも無い。だから俺らがおもろいと思ってやってる気持ちが漏れ出して、蔓延してほしい。でも今年は色々音楽を聴く年にしたい、とも思ってます。
ショウゴ : 大阪でおもろいバンドはそこまでいませんでしたがCARCASS(海外)再結成ライブはよかったです。影響はやはりMIDI_saiの連中(ka4u,ove-naxx,gulpepsh,maruosa)です。あとはヨーロッパ一緒にまわったDJ Scotch Egg。別に身内ノリでもなんでもなく冷静にみても自分の周り(MIDI_sai等)がおもろいと思います。
ー最後に、少し抽象的な質問です。昨今の政治不信、金融危機などで、現在の社会はある意味アナーキーな状態とも言えます。BOGULTAの活動を通して、社会やリスナーにどのような反応を期待していますか?
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NANI : 最近はホンマにひどいモンですね。なんでそうなるの? って事が多いですよね。政治や凶悪犯罪、テレビも地デジに変わるし、テレビもおもんない。エコブーム? そんなもん話にならんわ! ! なにがブームじゃ、ボケ! 電車乗ってても、マナー違反のオンパレード。思いやり持ってますか? それって全然俺らの言うアナーキーなんかじゃない。パンクがみんなおんなじ様なカッコで何がパンクよ? 人と違うからって、なにが偉いんよ? 一緒で何がおもろいの? 人間として自分を楽しんでますか? 自分の大事な何かを持ってますか? なんでも流行り廃り、何かが裏で糸引いてやがるんです。もっと疑っていいと思うし、なんでも流されてたら、そのうち何も見えなくなるでしょう。茶番はやめて、人と人がもっと思いやり合える社会になって欲しい。
ショウゴ : 暗い話題が多いのですが、僕個人は不況とかあまり感じないので、個人個人できる事をがんばってればいいと思います。コツコツしていくこと。ただそれだけです。今が底辺なら上がるしかないので。なので仕事や色々しんどかったらBOGULTAのライブやCD、DVD観たり聴いたりして『あほやな〜』って笑ってくれたらいいですね。
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LIVE SCHEDULE
- 2/6(fri)@ 地下一階
■ACT
BOGULTA / Pills Empire
■OPEN/START 未定
■ADV/DOOR 未定
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- 2/8(sun)@ 京都 METRO
BOGULTA / zOoOoOm / GTSVL / あらかじめ決められた恋人たちへ / oak
■OPEN/START 20:00 / 23:00
■ADV/DOOR 17:00 / 18:00
- 2/9(mon)@ 鰻谷SUNSUI
THE DEATH SET / Idol Punch / Dantefone (a.k.a Suspiria) / BOGULTA
■OPEN/START 18:00 / 19:00
■ADV/DOOR 3000 / 3500 D別
- 2/11(wed)@ 岡山 CRAZY MAMA KINGDOM
■ACT
ムラマサ☆ × BOGULTA
■OPEN/START 18:00 / 19:00
■ADV/DOOR 2500 / 2800
●お問い合わせ先 :
岡山CRAZYMAMA KINGDOM Tel:086-233-9014
マカロニレコード macaroni.records@gmail.com
- 2/19(thu)@ 神戸 HELLUVA LOUNGE
BOGULTA / ドラびでお / 他
■OPEN/START 未定
■ADV/DOOR 未定
LINK
BOGULTA website http://bogulta.jp/
BOGULTA myspace http://www.myspace.com/bogulta
PV「メッ! ! 政治」 http://jp.youtube.com/watch?v=0qB4ZRk_gZw
PV「HAPPY NEW ANRCHY」 http://jp.youtube.com/watch?v=WD2bVGjd9qU&feature=related
スペインはバルセロナにて開催された“sonar 2008”でのライブ映像 http://jp.youtube.com/watch?v=frt6p3OEmTQ&feature=related
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BOGULTA
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2006年7月に今は無き大阪は西成のフェスティバルゲート8F「新世界BRIDGE」で産声を上げ、その衝撃的なパフォーマンスは数ヶ月のうちに関西で瞬く間に広がる。関西音楽シーンの一巨頭として名を上げ、それはすでに日本国内に留まらないことを知らしめたのが、公式音源未発表にも関わらず、2008年6月には盟友DJ Scotch Egg、Ove-NaXx、Maruosaらと共に「OSAKA INVATION」というツアー・タイトルを冠したヨーロッパ・ツアーを行ったことだ。10万人規模バカデカフェス「sonar2008」(スペイン/バルセロナ)に、観衆1万人の前でのプレイとなった北欧最大級フェス「Roskilde Festival」(デンマーク)、や「Glade Festival」(UK/ロンドン)そして「SIPERSONIC festival」(UK/バーミンガム)、「Niwa muzyka fes」(ポーランド)、といった巨大フェスに立て続けに招聘される一方、フランス/スイス/オーストリア/ドイツ/オランダ/ベルギーでのクラブ・ギグもブッキングされ全10カ国23都市公演を大盛況のうちに終了。ヨーロッパ・ツアーでは。ジャスティス/バトルズ/ジュリアン・コープ/モグワイ/モーターサイコ/スレイヤ—/ニール・ヤング/マイ・ブラッディ・バレンタイン/オウテカ/レディオヘッド/ジューダス・プリースト/といった超大物バンドなどとの共演も果たし、2009年1月待望の公式音源『A HAPPY NEW ANARCHY』を発表した。
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