
ポスト・ロック/シューゲイズ的な手法を用いて、斬新かつ繊細なアプローチで綴った前作から3年振りとなる6thアルバム。聴く者の感情を揺さぶるドラマチックな楽曲の圧倒的浮遊感、フィード・バック限界ギリギリの轟音ノイズ、無限のサウンド・スケープ。独自のゆらぎを聴かせる静寂感からの爆音はさらにアグレッシヴに。独特な持ち味はそのままに、激的な変化を遂げたspeaker gain teardropのアルバムがkilk recordsからリリース!
Kilk recordsとNovel soundsが共同作品をリリース
speaker gain teardrop / rendering encryption
【Track List】
1. Untitled / 2. Acronym / 3. Vasumitra / 4. Parity bit / 5. Parsec / 6. Will
envy、MogwaiからMy Bloody Valentine、Sigur Rós系のアーティストからポスト・ロック/エレクトロニカ系のファンの心に引っかかる注目作。
感覚と向き合い、たどり着いたポスト・ロック
もし、このアルバムを聞いて、Mogwai以降のポスト・ロックとしか思わなかったのなら、「新しい要素を追い求めることだけが評価の対象なのか? 」と考えてみてほしい。確かに『rendering encryption』には、ダブ・ステップやチル・ウェイブのような、近年流行りのサウンドやリズムは入っていない。ここには、00年代初頭から中旬頃に興隆した、静と動の振幅の激しいポスト・ロックや、フィード・バック・ノイズにまみれたシューゲイズ的なサウンドが収められている。しかし、新しいものに価値を置くだけでは見いだせない価値がこのアルバムにはある。
では、彼らを評価するポイントはどこにあるのかと言えば、「どれだけ芸術としての音楽を目指しているか」ということに尽きる。このことに関しては、先日創刊された音楽言論誌『アルテス』の中で、京都大学大学院文学研究科教授の吉岡洋氏が述べているので、詳細は論文を読んでいただきたいのだが、氏はそこで「基本的には娯楽は生者に、芸術は非在の者たちに向けられている」と語っている。[[speaker gain teardrop|https://ototoy.jp/them/index.php/ARTIST/63861 ]]の音楽もまた、非在の者たちに向けて作られた芸術作品である。

非在というのは、今ここにいない人たちのことのこと、つまり、すでに亡くなってしまった人のことと、これから生まれてくる人たちのことを言っている。[[speaker gain teardrop|https://ototoy.jp/them/index.php/ARTIST/63861 ]]は、自分たちが生まれる前の世界まで感覚を研ぎすまし耳を傾けることで、これから生まれるであろう人たちにも届くような作品を作ろうとしている。それを表現するために自分たちの感覚に向かい合い、10年近くかけて辿り着いたのが、彼らにとってはいわゆるポスト・ロックだった。静寂を突き破るようなサウンドの嵐からは、演奏時の緊張感が伝わってくるし、曲の中にいくつものメリハリをつけることで、過去から現在、未来へと続く時間の流れを表現しているのが分かる。流行に左右されない彼らなりの表現が確認できる。今の広島アンダーグラウンド・シーンはとてもおもしろい状況にある。今年11月には、30時間ぶっ通しのライヴ・イベントAnus30Hを始め、1ヶ月に8イベントを開催するというイベント「viii」が行われたばかりだ。広島には、そうしたおもしろいシーンがあるが、それとは全く別に、彼らの音楽は非常に匿名性の高いアルバムに仕上がっている。彼らも何かしらのイベントに関わっているのかもしれないが、その音からは広島ローカルという地域性は感じられない。それもまた、彼らの音楽が今ここではない非在のものへ向けられているということに他ならない。
よく、ポスト・ロック的なサウンドは、映像を喚起する音楽だと言われる。彼らの音楽を聴いて喚起されるものがあるとすれば、超自然的な存在であろう。それは、シガー・ロスの音楽にも通じる悠久の大地を想起させるものだ。自分たちの表現を真摯に追い求め、深めることによって、彼らはそれを音にすることをなし得た。10年の歳月をかけて辿り着いた[[speaker gain teardrop|https://ototoy.jp/them/index.php/ARTIST/63861 ]]の今作に、しっかり耳を傾けて聴いてほしい。(text by 西澤裕郎)
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2011年をKilk records主宰の3days partyで締めくくる!!

Kilk records 3 day event"skim kilk sounds"
【day1】
üka & Ferri release party
2011年12月26日(月)@新代田FEVER
open : 18:00 / start : 18:30
Live : üka / cokiyu / Ferri / nemlino / us
【day2】
hydrant house purport rife on sleepy release party
2011年12月27日(火)@新代田FEVER
open : 18:00 / start : 18:30
Live : hydrant house purport rife on sleepy / bronbaba / Limited Express (has gone?) / Fragment feat. DOTAMA
【day3】
special party
2011年12月29日(木)@渋谷WOMB
open : 15:00 / start : 15:30
Live : NATSUMEN / LOSTAGE / unkie / Aureole / on button down / nhhmbase / 虚弱。
【料金】
12/26一日券 2,200円
12/27一日券 2,200円
12/29一日券 3,500円
12/26、12/27二日券 4,000円
12/26、12/29二日券 5,200円
12/27、12/29二日券 5,200円
三日通し券 6,500円
チケットの詳細はこちらから
PROFILE
speaker gain teardrop
圧倒的なライヴで魅せる、広島で活動する実力派3ピース・ポスト・ロック・バンド。98年、前身バンドを経てムラカミ/ホリベを中心に結成。バンド結成から10年、ゆっくりとサウンド・スタイルを変化させながら今のポスト・ロック/シューゲイズ的なサウンド・スタイルを確立。過去の対バンに、kashiwa daisuke、world’s end girlfriend、七尾旅人、54 -71、envy、downy、mono、ドラびでお、少年ナイフ、あふりらんぽ、Tadzio、渡辺琢磨 panic smile、sgt.、Filfla、俺はこんなもんじゃない、drum:kan.、ルルル、miaou、ウリチパン郡、海外アーティストではepic 45、perkinsonsなど。なお、ムラカミ/ホリベは別バンド「si-lo」(サイロ)「カングルワングル」で活躍。ホリベは別名義のエレクトロニカ系のソロ「stabilo」で活動。エレクトロニカ/ポスト・ロック系イベント「layer of perspectives」を主催している。
speaker gain teardrop official web site