小さな楽器とあなどるなかれーーP口琴ラボとともに迫る口琴の魅力
ビヨ〜ン、ビヨ〜〜ン、ビヨ〜〜〜ン… 文字にしてしまうとなんとも味気ないけれど、実際に聴いてみたら、ああ!! となる音。たとえば、「ど根性ガエル」のオープニング曲でピョン吉がはねている音、あれ、口琴から発せられている音なんです。また、OTOTOYでもお馴染みのアーティスト、ヒカシューの巻上公一さんは口琴使いとしても有名です。ヒカシューの奇天烈なサウンドのなかには、口琴の音も入っているのです。すなわち、口琴というのは、遊び心がありながら、かなり特徴を出しやすい楽器といえるでしょう。しかしながら、小さな見た目と裏腹に奥の深い楽器でもあります。輪ゴムで止めてみたり、口に挟む形を変えてみると、あら不思議、音が変化します。また、息の吐き方によっても変わるのです。そんな小さくて大きな可能性を秘めた楽器、口琴をOTOTOYで特集しちゃいます。そのガイド役として、オトトイの学校の講師としてもお馴染みの徳久ウイリアムも所属するP口琴ラボを迎え、彼らの幻の音源のハイレゾ配信とともにお届け。これを機に、新しい音の世界に足を踏み入れてみませんか?
実験性に満ちあふれたP口琴ラボのレポートを配信スタート!!
P口琴ラボ / Report vol.0
【配信価格】
wav、mp3ともに 単曲 200円 / まとめ価格 1,500円
1. タコsafali
2. 倍音のbaiao
3. 口琴トロニクス
4. ホムスは食べ物
5. 水口琴窟
6. P-PUNK
7. fan-fan-fan
8. 333
P口琴ラボ
20世紀を代表する現代音楽家、ジョン・ケージ(John Milton Cage Jr 1912~1992)によって 考案されたプリペアドピアノ(prepared piano : 「準備されたピアノ」の意)は、グランドピアノの弦に、ゴム、金属、木などを挟んだり乗せたりして(これを「プリペアする」「プリパレーションを施す」などという)音色を打楽器的な響きに変化させた。この手法を口琴に応用し、日夜研究・実験を繰り返すユニットがプリペアド口琴ラボ、略してP口琴ラボ(P-Koukin Lab)である。前衛 / 実験と伝統の間を行き来し、かつて無い新しい口琴の表現を拡大し続けている。
P口琴ラボ研究員
助川太郎 Taro Sukegawa
幕内純平 Junpei Makuuchi
徳久ウィリアム Tokuhisa Willam
P口琴ラボ HP
INTERVIEW : 徳久ウイリアム
ーー口琴とは、どのような楽器なんでしょう?
徳久ウイリアム : 私が企画する口琴ワークショップでの説明文を引用します。
声を出さないのに、声の面白さがわかる不思議な楽器
世界中に分布しているのに、知るヒトぞ知る楽器
その「ビヨヨーン」という音は、実は日本人はほとんど聞いた事がある楽器
敷居は低いのに、奥が深い楽器
それが「口琴(こうきん)」
口琴 Koukin/Jaw's Harp/Jew's Harp
金属や竹などででき、口にあてて固定し、弦を指で弾いて音を出す楽器の総称。
口の形、口腔の容積、舌の運動、咽喉や鼻腔の開閉、息遣いなどを変化させる事によって様々な音を出す事ができる。また、口腔内で共鳴させる倍音列を制御することにより音階と認識可能な音を出すことができ、メロディーを奏でる事もできる。雫のような自然界の音の描写や合成音声風に喋る事も出来る。
原始的な楽器であると思われることがあるが、優れた口琴を製作するためには弁の振動制御、弁と枠との隙間制御といった高度な技術が必要である。口琴の歴史は古く、1000年以上前の口琴が国内で発掘された例もある。世界中に広く分布しており、特にユーラシア、東アジア周辺において多数見ることができる。
ーー口琴にはどのような種類があるのでしょう? 値段の違いによってなにが変わるのでしょうか?
徳久ウイリアム : 木製か鉄製か、といった「素材」、 ヨーロッパ、シベリア、東南アジア、中央アジア、インド、といった「地域・文化」、 伝統的なもの、現代的な趣向を凝らしたものといった「時代」、 これ以外にも「形状」など、 実に様々な種類が存在します。 これだけ広範囲に、様々な種類が存在するので、 値段と品質の関連を言うのは、 実は難しい事がご理解頂けると思います。 ただ、日本で入手出来るものに限定すれば、 値段と品質は比例する事が多いです。
ーー口琴はどのような使い方をするのでしょう?
徳久ウイリアム : 基本的には楽器を口に近づけ、 楽器の響きを、口の中で増幅・共鳴・変化させます。 口の中の形を変えたり、舌を動かしたり、 息を使ったりする事で、増幅された口琴の音を変化させていきます。
ーー口琴がうまくなるとどんなことができるのでしょうか?
徳久ウイリアム : 色々なことができます! まず馴染みなあるところでは「効果音」的な使い方ですね。
アニメ「ど根性ガエル」の「びよよーん」という効果音は、知らない日本人を探す方が難しい?
そして楽器としても使います。ベートーベンのお師匠さんは、「口琴協奏曲」という曲を残してます
インドではリズム楽器として使われます(しかも凄まじい超絶技巧で!)。
シベリアでは自然音の模写のテクニックが発達しました。
キルギスタンでは踊りながら口琴を弾きます。
もう超絶過ぎて何が何だか。
ヒューマンビートボックスと同時に!
テクノ的に。他の楽器と合わせて。
アバンギャルドに。
最後に、P口琴ラボ(笑)。
ーー世界的に有名な口琴奏者がいたら、教えてください。
徳久ウイリアム : なんと日本に世界的な口琴演奏家がいます。 2011年第7回国際口琴大会(サハ共和国)コンテストで、9名の「世界口琴名人」の一人に選ばれた、日本口琴協会の代表「直川礼緒(ただがわ れお)」さんです。
ーー徳久さんが口琴に興味をもったきっかけを教えてください。
徳久ウイリアム : 「知ったキッカケ」、「やる事になったキッカケ」、「はまったキッカケ」の3回あります。 最初のキッカケは、実はあまり覚えて無いのですが、 おそらく巻上公一さん(ヒカシュー)を通じてだと思います。 次に、私が1999年から2003年まで所属していた「倍音S」というバンドで、 口琴を所持するようになりました。 ここまでハマったのは実は最近で、 2010年にサハ共和国のNO.1の口琴鍛冶家の口琴を購入してからです。
ーー徳久さんが感じる口琴の魅力を教えてください。
徳久ウイリアム : ほとんど上記の回答で表現されていると思いますが(笑)、私のメインはボイス・ボーカルなので その立場から言うと、口・喉など、ヒトの発声器官の面白さを、 口琴を通じて知る事が出来る、という事と、 P口琴ラボの立場からいうと、 日本では口琴の伝統は(アイヌ民族を除いて)無く、 その点で伝統の縛りが無いため、 かなり自由に、口琴を使ったコンテンポラリーな表現が出来る環境にあるし、 まだまだマイナーな楽器なので(笑)、競合相手が非常に少ない、 という点でしょうか。
口琴に興味をもった人は、徳久ウィリアムが主催する口琴ワークショップへGO
『月1企画 『確実にレベルアップ出来る!口琴ワークショップ』』
http://william.air-nifty.com/blog/2013/08/post-c222.html
OTOTOYで配信中の口琴にまつわる音源たち
徳久ウィリアムが在籍するユニット
滞空時間 / RAINICHI 来日
バリ島の伝統的な青銅打楽器、ガムラン。滞空時間は、この楽器を中心に、さまざまな音楽のエッセンスを取り込み、単なる伝統音楽の再演、それ以上のモダンな響きのポップ・ミュージックを作り出している音楽集団だ。その中心人物は、ガムラン奏者、川村亘平斎。滞空時間は彼のソロ・プロジェクトとしてスタートしている(現状も実質は固定されたバンド形体だが基本的には彼のソロである)。東南アジア・ツアーを経て、このたび2ndアルバム『RAINICHI 来日』を完成させた。ゲストには小山田圭吾(コーネリアス)や民謡歌手 / 太鼓奏者の木津茂理を迎えた、より広がりのある充実の内容となっている。
PROFILE
P口琴ラボ
20世紀を代表する現代音楽家、ジョン・ケージ(John Milton Cage Jr 1912~1992)によって 考案されたプリペアドピアノ(prepared piano : 「準備されたピアノ」の意)は、グランドピアノの弦に、ゴム、金属、木などを挟んだり乗せたりして(これを「プリペアする」「プリパレーションを施す」などという)音色を打楽器的な響きに変化させた。この手法を口琴に応用し、日夜研究・実験を繰り返すユニットがプリペアド口琴ラボ、略してP口琴ラボ(P-Koukin Lab)である。前衛 / 実験と伝統の間を行き来し、かつて無い新しい口琴の表現を拡大し続けている。
P口琴ラボ研究員
助川太郎 Taro Sukegawa
幕内純平 Junpei Makuuchi
徳久ウィリアム Tokuhisa Willam