
Owenの新作『GHOST TOWN』が先行配信開始!!
Owen / GHOST TOWN 日本でも確固たる人気と評価を得るOwenの6作目のアルバムがOTOTOYで一週間先行配信開始! 更に磨きをかけた元々のOwenサウンドと、近年の様々な活動が結実した新たなOwenサウンドを感じることが出来る傑作。今作の日本盤ボーナス・トラックにはThe SmithやWilcoのカヴァーも収録。6作目にしてまたも傑作が生まれました。
【トラック・リスト】
01. Too Many Moons / 02. No Place Like Home / 03. O, Evelyn... / 04. I Believe
05. The Armoire / 06. An Animal / 07. No Language / 08. Mother’s Milk Breath
09. Everyone’s Asleep in the House but Me / 10. Abandoned Bridges
11. O, Evelyn (7” version) / 12. Girlfriend in a Coma (The Smiths Cover)
13. I’m Always in Love (Wilco Cover)
非常に肥えた音楽の土壌ができあがった
なんとオーガニックな作品なのだろう。Owenことマイク・キンセラによる6枚目のフル・アルバム『GHOST TOWN』は、これまでにも増して、シンプルで味わい深い作品である。
伝説と呼ばれて久しいCap'n Jazzの再結成ツアーが、2010年にUSとヨーロッパで行われた。そして今年5月には、Cap'n Jazzから派生したJoan of Arc(マイクの兄、ティム・キンセラを中心とした不定形グループ)の11枚目の傑作アルバム『LIFE LIKE』が発表された。同作では、4人の固定メンバーがツアーをして固めた曲を、スティーヴ・アルビニが録音し、生生しいストレートなロックが鳴らされていた。この作品にマイクは不参加ではあるが、Owenの新作を語るにあたって、以上2つのバンド活動の影響を外して考えることはできない。しかし、決して音が似通っているということではなく、むしろその2つとは一線を画したパーソナルな活動であることがより明確になっている。共通しているのは、シンプルであることをまったく恐れず、剥き出しなくらいストレートに楽曲を聴かせようとしていることだ。そして今作には、伝説という言葉やバンド名から遠く離れた、マイク自身の内面が静かに映し出されている。

2009年にリリースされた前作の背景には、自身の子どもの誕生があった。だからこそ、新しい息吹という意味ともとれる『NEW LEAVES』というタイトルがつけられていた。その時行ったメール・インタビューで、彼はこんなことを言っていた。「物事を社会的な目線で書いた曲よりも、道徳だとか死に対する考えについてだったり、そういったパーソナルな曲も作るようになってきた」。もともと彼の書く歌詞はとても叙情的で、日本語に翻訳できないくらい感傷的でもある(できることであれば、英詞を見ながら楽曲を聴くことをお勧めしたい)。今作では、親になった彼が、再び自分自身と向かいあい、自分の内面を掘り下げたような歌詞が見受けられる。
不思議なのは、心の奥底を掘り下げるような詞であっても、彼のつまびくギターや楽器にメロディが乗った瞬間、暖かみのあるやさしいものになることである。それがOwenの一番の魅力だと僕は思っている。今作を聴いてみると、音の質感が前作以上にしなやかになっている。その大きな理由として、Bonnie "Prince" BillyやAndrew Bird、Iron & Wineも手掛けているNeil Strauchが音作りに携わっていることがあげられる。彼が手がけたサウンドに共通するのは、緊張感のある空間の使い方の上手さであり、今作においてもそれは例外ではない。穏やかさだけではなく、生々しさもそこに生じている。今年リリースされたJoan of Arc『LIFE LIKE』もそうであったように、脚色を排したような、直球の音が鳴らされている。

いま、キンセラ兄弟は、間違いなくアーティストとして脂が乗った時期にいる。Cap'n Jazzの再結成やJoan of Arcの活動、そしてマイクのソロ活動であるOwen。それぞれが無防備ながらも堂々とした作品になっているのは、才能というファクターに、経験と意思という強さが加わったからに違いない。地道で堪えることのない活動があってこそ、非常に肥えた音楽の土壌ができあがった。その上で、生み出されるキンセラ兄弟のこれからの音楽が楽しみで仕方ない。そしてOwenが届けてくれた今作は、収穫の秋にふさわしい、とてもオーガニックな作品なのである。(text by 西澤裕郎)
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& records Archives!
PROFILE
Owen
Joan of ArcそしてThe Promise Ringという90年代半ばから現在にまで通じるEMO〜ポスト・ロック・シーンの代表的2大バンドを産み落としたことでいまや伝説的な存在となっているCap'n Jazz。中心となっていたのは、現在もJoan of Arcの中核であるティムとマイクのキンセラ兄弟。そこでは一貫してドラマーとしてリズムを支えていた弟マイクが、兄に勝るとも劣らない唄心の持ち主であったことは、1999年にリリースされたAmerican Footballの傑作アルバム『American Football』で広く知られることとなった。American Footballとしては1作で終わってしまったが、その後も様々なバンドでプレイしつつ、自らの唄心を育み続け、それは新たなプロジェクトとして結実する。それがこのOwen。これまでに5枚のアルバムと、数枚のEP、スプリットなどを、コンスタントかつマイ・ペースにリリース。Maritime(元 The Promise RingのDavey von Bohlenらによるバンド)の前座なども含め、5度来日を果たし、54-71、toe、二階堂和美、曽我部恵一、OGRE YOU ASSHOLE、group_inou、nhhmbase、麓健一らと共演している。Charaや坂本真綾もファンであることを公言するなど、日本でも確固たる人気と評価を誇る。