埼玉県さいたま市に位置する日本有数のターミナル、大宮駅。Fragmentのkussyが連れて行ってくれたのは、そこから10分ほど歩いた場所にあるmore recordsだった。2011年9月にオープンしたばかりのレコード店だ。「せっかくだから紹介したかった」とkussyは言って、店内の缶ビールを買って話し始めた。もう一人のメンバーdeiiは、すでにレジ脇にあるテーブルに座って、瓶のジンジャーエールを飲んで笑っていた。Fragmentは、kussyとdeiiによるトラック・メイカー・デュオである。これまでに、環ROYとのコラボレーション・アルバム『MAD POP』をリリースしたり、数々のラッパーとコラボレートしている。また、術ノ穴というレーベルも運営しており、京都のシンガー・ソングライター、ゆーきゃんのアルバムもリリースしている。
そんな彼らの拠点は大宮。今回の取材もmore recordsで行われた。コラボレーションが多かったFragmentだが、今作はインストをテーマにアルバムを完成させたという。その経緯についてはもちろん、なぜ僕をmore recordsに連れていってくれたのか、大宮は彼らにとってどういう場所なのかまで2人に迫った。
インタビュー&文 : 西澤裕郎
待望のインスト・アルバムが登場!!
Fragment / Narrow Cosmos 104
【価格】
MP3、WAV共に単曲150円 / アルバム1500円
前作『鋭 ku 尖 ル』から5ヶ月。あらゆるジャンル、カルチャーを横断するトラック・メイカー・デュオFragmentによるコラボ作も含め通算5作目にして初のインスト作品。7年前にリリースされネット上で高値取引されてたアナログE.P『咲ク、ササクレ。』に収録されていた「Polygonair」が初のCD化。RemixerにはHyperdub(UK)に所属しRadiohead・トムヨークのweeklyチャートに選出、Flying LotusのRemixにも抜擢された“Quarta330”が参加。
トラック・メイカーとしての俺らを見てほしい
——これまでFragmentは、環ROYさんやDOTAMAさんなど、ラッパーの方とのコラボレーションを多くしていますよね。今作は初のインスト作品となりますが、どういう経緯でインストをテーマにしたのでしょう。
deii : うちらは、ずっとトラック・メイカーとしてやってきているので、いずれインスト作品を作りたいって前から言っていたんです。
kussy : あと、俺らがトラック・メイカーとして少し名が売れたのって実際コラボがうまくいっただけなんですよ。周りからもそう思われているんじゃないかと思っていたので、今回はチャレンジなんですよね。音だけの俺らはどうなのかを聞いてほしいって気持ちもあります。
——これまでは、サンプリングありきで曲を作ってらっしゃいましたが、今回もそれは変わらずですか。
kussy : はっきり言って、今回は100%サンプリングですからね。俺たちはサンプリングによって起こる化学変化が好きなんですよ。ていうかそれしかできない(笑)。サンプラーに音を突っ込んだときに、ミラクルが起こる感覚っていうんですかね。頭で何かが浮かぶことは一切なくて、サンプリングをして音が機材に入った瞬間にアイデアが浮かぶんです。
——では、フレーズ毎にサンプリングして分解していくんですか。
deii : : 基本的には、ちょっと長めのフレーズを取り込んで、中で切っていく感じですね。
kussy : やっぱり、まんま使いみたいなやり方はちょっと違うって意識があるんですよ。パズルみたいに組んでいくことに魅力感じてるので、フレーズを入れ替えたり、音遊びのところで勝負をしている意識はあります。
——サンプリングをするにあたって、2人の琴線にひっかかる音に、どういう傾向があるんですか。
kussy : それが、傾向は特にない(笑)。根本にはヒップ・ホップの文化があるので、アナログから取ることもあるんですけど、ぶっちゃけ今は俺ら素材は何でもいいと思っているんです。生活音も入っているし、現代音楽とかも好きだし、地球上の全てがサンプリング・ソースでいいじゃないかって。YouTubeからも取っちゃったりしますし。
——もともと、アナログの音質を使いたいという欲求からサンプリングが始まったわけですよね。そういう欲求もないんですか?
kussy : 俺たちはアナログへの敬意もなくて、全部素材として使わせていただきますって感じなんです。もちろん、昔の音質への愛着とか興味が出ることもあるけど、何も考えず素材として使っているときも多いです。音とは一期一会だと思っているんですよ。一時期、そういうことを難しく考えていたんですけど、今はすごい楽しくやっています。
deii : 本当に何でもありだよね。
kussy : 出来上がったものがかっこよければよくねえ? って思うし、それしか出来ないってのもあるんですけどね。
——YouTubeまでサンプリング・ソースになると、音質も何もかもバラバラですよね。一体どこにグッとくるポイントがあるんでしょうね(笑)
deii : ほんとですね(笑)。
——どちらかと言うと、頭で考えるというより感覚的なものなのかもしれないですね。
kussy : そうなんですよ。そこは何も考えてないですね。
deii : 今回の作品には、アナログからサンプリングしている曲もあるんですけど、たまたまサンプラーに入れてみたらいい感じになってきて、もっと膨らませようってなっただけなんです。アナログから持ってこようって意識はなくて、たまたまなんですよ。
術ノ穴のオーナーとして、Fragmentのことを客観的に見ている
——6、7曲目は、スピーチがサンプリングされていますよね。6曲目の「Required voice」は、何をサンプリングしたものなんですか。
kussy : 『チャップリンの独裁者』っていう有名な演説です。実は今回インストなのに歌詞カードをつけていて、そこに日本語訳を載せています。インストって謳っているのに、言葉を使うのどうかなとも思ったんですけど(笑)。素敵なメッセージは共有すればいいじゃんって思って。
——7曲目の「Statement Dub」は、キング牧師の有名な演説ですよね。曲の後半は日本語で「差別のない社会を」と言っていますが、これは?
deii : これは、いとうせいこうさんのライヴを引用したんです。
——その2曲は、ポリティカルなメッセージとしても受け取ることが出来ますよね。3.11以降の原発問題が少なからず反映されているのかと思ったのですが、実際のところ、どうなのでしょう。
kussy : 確実に反映されていますよ。当たり前のように過ごしていますけど、震災後すごく死が身近になったわけじゃないですか。この作品がいつ俺らの遺作になるか分からないですよね。だからその時反応した瞬間のものを入れておきたかったんです。あの時Fragmentはこんなこと思っていたのかってことを残したい欲もあったから、気に入っていたフレーズを使っておきたかったんです。
——そういえば『VITAL SIGNS』には、神門さんとフィーチャリングした、お母さんをテーマにした「母ちゃん」という曲がありましたよね。その曲に関してもそうですけど、なぜ自分たちのメッセージを自分たちの声で発しないのでしょう。
kussy : もともと、2人ともラップをやっていたんですよ。だけど、自分たちではうまく表現できなくて、コンプレックスになっているんですよね。だから、人に頼んだり、人のものを使っているんだと思います。トラック・メイカーになったのも、それが根底にあるんだろうし。俺たちは、人前に出るのがすごくイヤなんですよ。
——えっ、そうなんですか?
kussy : こういうインタビューも、実はライヴも元々は一切やりたくなかったんですよ。じゃあ何でやっているのかというと、術ノ穴のオーナーとして、Fragmentのことを客観的に見ているからなんです。「Fragmentは動けるアーティストだ」っていう視点がレーベル・オーナーとしてあるので、「お前ら(Fragment)が頑張って術ノ穴をおもしろくしてくれ」「お前らがライヴをやってくれれば、もっと広がっていく」っていう視点を持ちながら動いているんですよね。だから、本当は人前に出て行くのは恥ずかしくて、アーティスト写真とかも隠しがちにしているんです。
——つまり、レーベル・オーナーとしての顔とアーティストとしての顔が同時に存在しているんですね。その中でも、少しだけレーベル・オーナーとしての比率が高いのかもしれませんね。
kussy : 年齢重ねて思考のバランスがよくなったのかもしれないですよね。前はレーベルを回すって頭はそこまでなかったけど、今はレーベルのことを凄く考えてる。
狭い宇宙だけど、アイデアさえ死ななければ大丈夫
——先ほど、表現する上でのコンプレックスの話が出てきましたけど、ボーカロイドについてはどう思いますか。関係としては、Fragmentがやっていることに近い気がするのですが。
kussy : 手法としてはおもしろいと思うけど、俺らがあれをやろうとは思わないですね。言ってみれば機械だし、整いすぎちゃってるじゃないですか。俺たちは人間味のあるもののほうが好きだから、そこはまた違うんですよね。
——つまり、肉体感のあるものが重要ということですね。
deii : それは、間違いなくありますね。
kussy : まあ好みだよね。例えば、ゆーきゃんより歌がうまいアーティストはいるかもしれないけど、なぜゆーきゃんがいいかっていうことなんですよ。ラッパーに関してもそうなんだけど、ボーカロイドだと格好良すぎちゃうし、うますぎちゃうし、整いすぎちゃうから、ちょっとそそられないんだよね。未完成で欠けてるモノの方がグッとくる。
——その話の流れでいくと、8曲目の「Polygonair」は、身体的な曲ですよね。ライヴでは、リアル・タイムでリズムを打ち込んでいましたね。
kussy : そうですね。ライヴでは2度と同じものは出来ない曲です。
——しかも、大分昔に作られた曲だとか。
deii : 8年ぐらい前に作ったものです。
——過去に作った曲を、今回収録しようと思ったのはなぜですか。
deii : ライヴでやり始めたら評判がよかったっていうのと、単純にライヴでやるのが自分たちとして心地良くなってきたんです。「音源化されないんですか? 」って言われることも増えてきたので、今回収録することにしました。
——8年前の曲を作ったときは、どんな生活をしていたか覚えていますか。
kussy : 朝から晩までバイトをしながら、音楽で食いたいなって漠然と思っていました。先の見えない感じ。この曲久々聞いてそのときの気持ちを思い出せたんです。今の俺らとは多少状況は変わっているんですけど、なぜか今すごくしっくりきて。しかも、「Polygonair」って“ポリゴン”と“エア”を勝手にくっ付けた、がんじがらめの世界観を表した造語なんですよ。がんじがらめなんだけど、最後光が指してくるイメージがあるんです。
——ちなみにタイトルの『Narrow Cosmos 104』には、どのような意味があるんですか。
kussy : それ、聞いてほしかったんだよね。
deii : そうそう。
kussy : 術ノ穴の事務所が104号室なんですよ。6畳しかない狭い空間なんですけど、アイデアさえあれば広さなんて関係ないよっていう。言ったら悔しさなんですよね。他のレーベルのいい事務所を見ちゃって、かっこいいし憧れるなっていう嫉妬心もね。狭い空間、つまり狭い宇宙だけど、アイデアさえ死ななければ大丈夫っていう。
——今回は気心が知れ渡っている2人だけでの作業だったから、ラッパーをフィチャーした作品とはまた違ったんじゃないですか。
kussy : そうですね。2人だけで完結できるってのは気持ち的にも楽で、完全に自己責任だったし、すごく楽に作れました。
deii : スムーズだったね。
kussy : でも飽き症だから、次はコラボレートなんですよ。大阪にYAMANEっていうLOW HIGH WHO?(特集を参照)のMCがいて。今年はそれ以外にもどんどんやりますよ。
——じゃあ、今作はこれまでの中でも、最もパーソナルな作品といってもいいのかもしれないですね。
deii : 難しいことは考えずに、フラットに制作できたので、そういってもらえる作品になっているのかなと思います。
大宮でみんなが繋がり出した
——少し話は変わりますけど、Fragmentは2人とも大宮に住んでいますよね。大宮をレペゼンしている意識はありますか。
deii : レペゼンっていうのはどうだろう… 。2人とも埼玉出身ではなくて、大学で知り合ってから、ずっと大宮に住んでいるんです。ラップをしていた時代からずっと大宮で活動してきたので、お世話になっているクラブもあるし、more recordsも出来たりして、1つ1つ繋がってきた感じはあるんですけどね。
kussy : レペゼン感はないんだけど、好きな人やシーンが出来始めているってことが重要なのかな。だから場所にこだわっているわけじゃないんです。例えば、熊谷を盛り上げようとしているヤツらの熱さには本当に感動しているんです。今まで、俺らにはそういう熱さがなかったんですけど、住んでいる場所の周りの人をちょっとでもレペゼンすることで、多少なりとも身近に還元できることがあるかなと思い始めています。
deii : だから、強い想いっていうと違うかも。
kussy : もちろん、大好きな街ですよ。でも正直大宮じゃなきゃダメってことでもない。場所問わず好きな友だちやクラブが増えていったら、身近な人のために動くと思うから。今は大宮でみんなが繋がり出したから、埼玉のことをちゃんと言うようにしていて。言わないよりは、言ったほうがみんなのためになる。それくらいの気持ちなんですよね。薄っぺらいんですよ僕ら(笑)。
——そんなことはないと思いますよ。大宮は、言ってみれば巨大なターミナルじゃないですか。東北新幹線と上越新幹線の接続駅でもあるし、ずっと留まる場所っていうより、人が通り過ぎる中継地点みたいな役割も担っていますよね。僕も近くに住んでいたことがあるんですけど、そういう感覚を持っているからか、なかなか大宮に根付いた行動を起こしづらいんじゃないかなって感じます。「大宮をレペゼンしてます」って、言葉では簡単に言えると思うんです。でも、そうじゃないって正直に言っているところが、大宮に住んでいるってことの一つの面を表していると思うんです。
kussy : こういう話をしても、ちょっと前だったら、「大宮を大事に思ってて」とかしか言えなかったんだけど、すごく楽になったんだよね。年取ったからなのか格好つけなくなった。もちろん地元のことも色々と考えているんですけど、今はレーベルを続けることが第一。その中で、お互いが得する関係っていうのかな。そういうのがちょっとずつ生まれてきている実感はあるんです。ここ(more records)にも、the telephonesのメンバーがふらっと遊びにきたりするし、そういう結びつきは着実に生まれてきていますよね。
——熊谷のシーンもそうですけど、そこで活動している人たちが結びつくことで、より多くの人たちに向けて発信していける地場が出来ていくのかもしれないですね。
kussy : 本当に熊谷の人たちを尊敬してる。モルタルレコードの山さん(山崎やすひろ)のことが大好きなんですよ。あの人はカリスマだし、周りのみんなもついていっているじゃないですか。これからは、お店の人も発信者にならないとダメだと思います。ただのお店、ただのクラブ、ただのライヴ・ハウスじゃなくて、その人と周りにいる人たちがアンテナを張って動くことで一つのシーンになる。だから俺たちも露出して発信しようと思えたし、行動することで繋がっていくんだと思います。
——いつ頃、そうした決意を持って行動できるようになったのでしょう。
kussy : 音楽でなんとか食えるようになったのはここ3年くらいなんですよ。仕事やめたから、やるしかないって覚悟が決まっちゃって。お金のサイクルが明確になったんです。何時間働いたから、いくらとかじゃない。1曲も作れなかったら収入は0だし、もちろんレーベルもCDが1枚も売れなかったら0。そういうのは辛いけど逆に気合いが入って楽しいんだよね。お金に嘘がなくなったっていうのかな。
deii : 自分たちが動いた分、返ってくるものがはっきりと目に見えるようになったからね。
kussy : そこが気持ちよくなっているんですよね。全然儲かってないですけど、楽しんでいます。
——どうして、音楽に専念してやっていこうという決断ができたんですか。
kussy : ちょうど30歳になる節目の年だったのと、二足の草鞋はやっぱりきつかったんですよね。音楽だけでやることになって、言い訳は本当に出来なくなった。いいタイミングでやめたことで覚悟が出来てよかったと思っています。
deii : 大変だけど、シンプルになったから楽しいんですよね。
——音楽に専念しながらも、アーティストとレーベル・オーナーの2つの顔を持ちながらうまくやっているんですね。
kussy : 俺たちには、そのスタイルがあっているんですよね。いろんなタイプのアーティストがいるけど、俺らはこれが合っていて、どんどん曲も作れているから、これからもこのペース、スタイルで音楽を続けていきたいですね。
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PROFILE
Fragment
kussyとdeiiによるトラック・メイカー・デュオ。レーベル「術ノ穴」主宰。ヒップ・ホップを根底に様々な音楽要素を自由な発想で還元し、独自の音を生み出す。ジャンル・レスなアーティストへのプロデュース・Remix(ツジコノリコや撃鉄、tengal6... )をはじめ、2007年ワールドカップ・バレーのCM音楽や映画音楽を製作するなどクロス・オーバーな活動を展開。環ROYとの共作盤『MAD POP』(2008年)2ndアルバム『vital signs』(2010年)は数々の有力媒体でベスト・ディスクに選出され、シーンに強烈なインパクトを与えた。ライヴでは2台のサンプラーとPC、lenoの映像を用いて「DOMMUNE」「Sense of Wonder 2011」「りんご音楽祭」「REPUBLIC」「電刃」など大型フェスからクラブ、ライヴ・ハウスなど場所を問わず出演。2011年9月『鋭 ku 尖 ル』をリリース。2012年2月には初のインスト・アルバム『narrow cosmos 104』をリリース予定。2012年も様々なプロジェクトが控えている。