キュートでポップなおとぎ話のオリジナリティが炸裂!
おとぎ話 / BIG BANG ATTACK
どこまでも自由なファンタジアを打ち鳴らすスーパー・バンド、おとぎ話の5thアルバム『BIG BANG ATTACK』が、OTOTOYから配信開始! 曽我部恵一のその手腕を最大限に発揮した音作りと、おとぎ話のオリジナリティが炸裂したキュートでポップな甘酸っぱいロックンロール・アルバムです! 大傑作!
【トラック・リスト】
01. 未来の乗り物 / 02. HISTORY / 03. 思春期 / 04. SUN (12月) / 05. ロボットの夢
06. 空想からの革命 / 07. 小悪魔ソング #2 / 08. SATELLITE LEAGUE / 09. ネムイ x 眠くない
10. ピーターラビット / 11. THANK YOU / 12. This is just a Healing Song / 13. 1981
音楽への愛に溢れたアルバム
これほどまで愛に満ちた作品があっただろうか。おとぎ話、5thアルバム『BIG BANG ATTACK』は、音楽に対する愛がとめどなく溢れ出た素晴らしい作品である。
今作には曲間がない。13曲が収録されつつも、一つの繋がったストーリーとして成り立っている。まるで過去から現在までのロックの歴史や、古今東西の音楽の数々がごちゃまぜになって存在しているかのようである。それは、おとぎ話の音楽的宇宙といってもいいだろう。よく知られていることだが、おとぎ話のメンバーは、ミュージシャンであると同時にヘビーな音楽リスナーでもある。2010年11月に発表された前作『HOKORI』では、そうした趣味嗜好を大胆に組み込んでいた。例えば、「遺伝子」ではピクシーズを思わせる曲調にキム・ディールばりの歌声を乗せ、さらにニルヴァーナを想起させるギター・リフも組み込んでいた。今作ではそうした要素が、より広域にわたり、柔軟に組み込まれている。90年代以前のグラスゴーを思い起こさせるギター・ポップもあれば、ヴァンパイア・ウィークエンドのような音色、はたまたくるりなど日本のバンドを想像するような部分もある。しかし、彼らは自分達の音楽的守備範囲を主張する為に、そうしたことをしているわけではない。あくまで、聴いてきた潤沢な音楽を血肉化したにすぎない。
簡単に血肉化したにすぎないと書いてしまったけれど、それはとても難しいことだ。ヘビー・リスナーだからといって、豊穣な音楽を作れるとは限らない。過去から現在までの様々な音楽を吸収していく中で、特定のテーマを設けることもあっただろう。しかし今作はテーマ云々というより、インプットされたいくつもの要素が自然と滲み出た作品という方が正しい。今でも、面白い音楽や聴いたことがない音楽があれば、彼らは素直に反応する。音楽が好きで仕方ないという、中高生さながらなの無邪気な気持ちを失うことなく持ち続けているのである。『BIG BANG ATTACK』は、そんな彼らの素直さと愛情が全面にちりばめられた、音楽への愛に溢れたアルバムである。
このアルバムには「1981」という象徴的なタイトルの曲が収録されている。1981年は、メンバーの牛尾(健太)以外の3人が生まれた年である。おとぎ話のメンバーは今年30歳を迎えた。中堅といってもおかしくない年齢であるし、結成11周年という活動実績もある。それにもかかわらず、初めてロックを聴いた10代のような興奮を持ちながら、その愛を余すことなく詰め込んだ作品を作りあげた。そんな人は他にいないだろうなーと考えてみたら、すぐ近くにいた。曽我部恵一(以下、曽我部)である。その曽我部は今作でミックス&マスタリングを務めている。考えてみると、おとぎ話のフロントマン有馬和樹(以下、有馬)と、曽我部には共通点が多い。音楽好きというのはもちろんのこと、バンドだけでなくソロとしてもライヴをしている。作詞作曲も手掛けるし、多作である点も共通している。曽我部が2011年4月にリリースした『PINK』には、それ以外に50曲近い候補曲があったという。有馬も次々と曲が生まれてくるということをブログで明言している。そうした感覚の近い2人が出会い、ROSE RECORDSから音源を出すということは、おとぎ話にとって本当に大きな力になっているに違いない。
今作の発表云々に限らず、おとぎ話は全国各地でライヴをしている。また、ジャンルレスに沢山のバンドと対バンをしている。一番仲がいいのがクリトリック・リスやSAFARIのMICKだというのも、彼らの活動範囲の広さを伺わせてくれる。そうしたジャンルレスの交友関係や自由さが、おとぎ話の立ち位置を見えづらいものにしている部分でもあるが、シーンや立ち位置など関係なしに、おとぎ話の音楽は素晴らしい。これほど音楽が好きで、どうしようもない位に素直に音を鳴らすバンドを僕はほとんど知らない。そして、あくまでもポップ・ソングとして、自分達の音楽に昇華している。おとぎ話の音楽が、少しでも多くの音楽好きのKIDS達に届くことを願ってやまない。(text by 西澤裕郎)
おとぎ話 Archives!
INFORMATION
<おとぎ話Presents SUPER! ULTRA! BIG BANG ATTACK! TOUR>
2011年12月01日(木)@名古屋アポロシアター
2011年12月10日(土)@札幌Colony
2011年12月12日(月)@仙台パークスクエア
2011年12月22日(木)@福岡薬院ユーテロ
2011年12月24日(土)@大阪十三ファンダンゴ
2011年12月27日(火)@渋谷クラブクアトロ
2011年11月06日 16:00よりタワーレコード新宿店7Fイベント・スペースにてインストア・イベント開催決定! (※観覧フリー)
PROFILE
おとぎ話
有馬和樹(Vo、Gt)
風間洋隆(Ba)
牛尾健太(Gt、Chorus)
前越啓輔(Dr、Chorus)
2000年に有馬とベースみたいな顔の風間くんが出会い、バンド「おとぎ話」を結成。旅の途中、右手にBOSSのエフェクターを持って佇んでた牛尾くんと、りんごの星で野球帽をかぶった前越くんが仲間入り。以後、独自の表現と音楽の可能性に懸ける日々。焦燥と少年性の同居した1stアルバム『SALE! 』、絆と赤い情熱を描いた2ndアルバム『理由なき反抗』、日々の不安と感謝の季節を綴った3rdアルバム『FAIRYTALE』、そして、おとぎ話を語る上で重要な曲が収録された2枚のEP『ハローグッバイep』、『青春 GALAXYep』を現在までに発表している。
2010年で結成10周年。おとぎ話メンバーのみでレコーディングに臨み、いち早く声を掛けてくれた曽我部恵一氏との共同作業の末、2010年11月11日、4thアルバム『HOKORI』リリース。そして、2011年10月12日に5枚目となる、アルバム『BIG BANG ATTACK』がリリースされた。その音楽性はますますオリジナリティを増し、新たな扉を開けの旅は続いて行くのである。