在日ファンク、祝メジャー・デビュー!!ーー浜野謙太に“ほぼ”100個の質問をしに日本コロムビアまで行ってきた
浜野謙太を中心に2007年に結成された7人組ファンク・バンド、在日ファンクが、本作『笑うな』で日本コロムビアよりメジャー・デビュー。高祖ジェイムズ・ブラウンから流れを汲むファンクを、日本に在りながら(在日)再認識しようとはじまった本バンド。OTOTOYは、その圧倒的なセンスとコミカルさが絶妙に混ざり合った存在に魅せられ、彼らがインディ時代の頃から追い続けてきました。それだけに今回のメジャー・デビューの喜びは自分のことのよう。そこで、OTOTOYも日本コロムビアまでいっちゃいました!! しかも“ほぼ100個”の質問を持って(笑)。というのも、本作のテーマは、“ほぼ”ハマケン100%。ほんならうちらだって“ほぼ”100問じゃい。ということで、無理言って100分の時間をもらって質問をしてきました。ハマケンとOTOTOYの真剣勝負。がっつり喰いついて話を訊きました。他のインタヴューでは聞けないことも多数のインタヴュー。じっくりとお楽しみください!!
インタヴュー&文 : 西澤裕郎
写真 : 外林健太
日本コロムビアからのメジャー・デビュー作を配信開始
在日ファンク / 笑うな
【配信価格】
ALAC、FLAC、WAV、mp3 単曲 258円 / まとめ購入 2,160円
【Track List】
1. 大イントロ
2. 根にもってます
3. ちっちゃい
4. 脈
5. 不甲斐ない
6. 場
7. パラシュート
8. 恥ずかしい
9. 断固すいません
10. 産むマシーン
11. 笑うな
12. 百年
INTERVIEW : 浜野謙太(在日ファンク)
ーー“祝・メジャー・デビュー”ということで、在日ファンクを初期から追ってきたOTOTOYでは「ハマケンさんに聞く“ほぼ”100の質問」という切り口から取材をさせていただきたいと思っております。ただ、100個考えてきたんですが、多いなと…。
浜野 : 全然いいですよ。ポンポンポンいきましょう!!
ーーありがとうございます!! では、最初は根本的な質問から。在日ファンクの名前の由来を教えてください。(質問1)
浜野 : 在日ファンクという名前は、ベースの村上啓太が持ってきたんです。クラスによく語るやついるじゃないですか? 識者みたいな。村上はそういう奴で。僕がファンクをやりたいと言っているのを聞いて、ブラック・ミュージックとはどういうことなのかを考えていたんでしょうね。だから在日ファンクっていう言葉が出てきたんだと思います。あのとき反抗しないで、在日ファンクっていう名前になっていてよかったなーって。
ーーどういうことですか?(質問2)
浜野 : ブラック・ミュージックをやっていると、ある種の劣等感というか、アメリカとは違う社会状況を卑下する傾向があるんですよ。日本は平和だからレヴェル・ミュージックが生まれないみたいな。でも、日本人だからこそのブラック・ミュージックができないわけがないというのがあって。そこに関してはめちゃくちゃいいバンド名だと思っています。
ーー以前の取材で同じ質問をしたときって、ここまでおっしゃっていませんでしたよね。やってきた中でバンド名に関しても実感が出てきたんでしょうか?(質問3)
浜野 : そうですね、3rdアルバムを出してまで、在日ファンクという名前についてあれこれ考えてるとは思わなかったですね。考えれば考えるほどいい名前だし、それを日本コロムビアが受け入れてくれたっていうのがまず幸運なことなんじゃないかと。
ーー考えようによってはデリケートな言葉ですもんね。
浜野 : そこもまた問題なんですよね。実はデリケートじゃない、みたいな。
ーーヘイトスピーチなんかも最近は問題になっていますけど、それ以前から在日ファンクとしてやっているから、そういうなかで考えることもあるのかなと思って。
浜野 : そうですね。なんで、こんなにタブー視されているのかと思います。
ーー根本的な質問をもう一つ。在日ファンクの結成について聞かせていただけますか?(質問4)
浜野 : 高校の頃、村上と一緒に「ブルースブラザーズ」を観たのがきっかけです。白人が「俺たちにもこの音楽がわかる」「この音楽をやるにはどうしたらいいか?」「神のお告げがあった!」みたいな、あそこが全部始まりなんですよね。半ば本気で解釈し続けるというか。在日ファンクのウケる要素も半ば本気だけど、残り半分は謎みたいな。村上と一緒にケンタッキー食いながら、「これがファンクなんじゃねーか」みたいな話するんですよ(笑)。肉を食して、その後に手が汚れたなって言いながら指を舐めてる感じとか、これがファンクなんじゃねえかって。
ーー哲学的ですね(笑)。わかるような、わからないような。
浜野 : 根本はくそまじめだっていう、それが発端になってる感じですかね。メンバーも全員が『いいよねー! ブラックミュージック!』って感じではなくて、それぞれで距離感が違う。
ーー僕が感じている在日ファンクのよさって、いかがわしさと勘違いを肯定しているところで。自分たちの解釈で間違えてやってしまっても、ファンクは寛容で受け入れてくれるんだって、信じてやっているふうに感じるところなんですよね。
浜野 : ありがとうございます。勘違いですね。うん。
ーーその元には、ハマケンさんとともに村上さんという存在があると?(質問5)
浜野 : そうですね。いかがわしい存在ですね。
ーー(笑)。タイプとしては似ているんですか?(質問6)
浜野 : いや、全然違いますね。在日ファンクの発端として、ジェームス・ブラウンが死んだときに、俺が村上に電話を掛けたみたいなんですよ。全然覚えてないんですけど(笑)。「神が死んだ」って俺は言ったらしくて。その言葉を聞いて、在日ファンクをやろうって決意したんだって村上は言っていました。
ーージェームス・ブラウンが亡くなったことは大きかった?(質問7)
浜野 : そうですね。歴史に名を刻んだ方たちがボンボン死んでいくじゃないですか。その都度周りが騒ぐから、気後れしちゃうというか。でもジェームス・ブラウンが死んで、なにもしないんだったら、親が死んだときも何もしないだろうぐらいの危機感を感じて。
日本の歴史が好きだから、日本に対してアイデンティティを持ちたがるんですよね
ーー在日ファンクの大元にはジェームス・ブラウンの存在がやはりあるわけですね。では、ここからは、ハマケンさんについていろいろ質問させてください。生年月日は?(質問8)
浜野 : 生年月日(笑)。1981年の8月5日です。
ーー血液型は?(質問9)
浜野 : O型です。なんか病院みたいになってますね(笑)。
ーー僕も健康診断を意識しました(笑)。ご出身は?(質問10)
浜野 : 神奈川県横浜市戸塚区です。
ーー今は東京ですか?(質問11)
浜野 : 前は東京の西荻窪で、ちょっと稼げるようになって吉祥寺の方に(笑)。
ーーどれくらい東京に住んでいますか。(質問12)
浜野 : 東京は10年ぐらいになりますね。
ーー兄弟はいらっしゃいますか?(質問13)
浜野 : 妹が1人います。2人兄妹なんですよ。
ーー妹さんとは仲はいいですか?(質問14)
浜野 : そうですね、仲は普通ですね。会いたくなってきた(笑)。
ーーいくつ違いですか?(質問15)
浜野 : ふたつです。初体験とかは妹の方が早かったんじゃないですか?
ーー妹さんの初体験とか知ってるんですね(笑)。仲いいじゃないですか。
浜野 : 仲良いですよ! どっちも自分の部屋に彼氏彼女を連れ込んで、コンドーム貸し借りしてたことがあります。
ーーすごいですねその兄妹(笑)。次の質問です。得意な科目はなんですか?(質問16)
一同 : (笑)
浜野 : 社会です! 歴史が大好きなんです。上杉謙信が大好き。日本の歴史が好きだから、日本に対してアイデンティティを持ちたがるんですよね。好きな食べ物も寿司や蕎麦だし。
ーーおお。次の質問は「好きな食べ物はなんですか?」でした。(質問17)
浜野 : いまでは、それを通り越して、好きな食べ物は納豆ご飯なんですけどね(笑)。和食が大好きです。日本酒も大好きですね。
ーーお酒は週どれくらい飲みますか?(質問18)
浜野 : 在日ファンクをやっていると全然飲めないですね、喉に響くんで。好きだけど強くないんですよね。典型的な日本人って感じで。
ーー運動は週どれくらいされますか?(質問19)
浜野 : 実際は週1なんですけど、週3ってことにしてもらっていいですか(笑)?
ーーどんな運動をされるんですか?(質問20)
浜野 : ジョギングと、あとは水泳ですね。小学校中学校時代に水泳をやっていたんですよ。だから僕、体が丸いんです。
ーーそのときに肺活量とかも鍛えられたと?(質問21)
浜野 : でも、もうやめてそのままおっさんになっちゃったんですよ(笑)。
ーー部活はやっていましたか?(質問22)
浜野 : 小学校の頃はヤングサンズっていう野球チームに入ってて。あとでわかったんですけど俺、ガチャ目で。だからバットを降ってもボールに当たんなかったんですよ。スイングは上手いって言われてました(笑)。
ーー中高で部活はやっていましたか?(質問23)
浜野 : 吹奏楽部でした。高校はバンドをやってました。
ーー中学の頃の担当楽器は?(質問24)
浜野 : トロンボーンです。トランペットがやりたかったんですけど、定員がいっぱいだったんで、お前チューバやれって言われて。嫌だったので、トロンボーンにしますって言って、妥協で始めたんです。
ーーでもその選択が将来に役に立ち、SAKEROCKに繋がるわけですもんね。
浜野 : こういうインタビューの時にばれるんですよね。「影響を受けたトロンボーン奏者は?」って聞かれたときに、いない! っていう(笑)。
ーーでも、そういうものだと思いますよ。みんな影響の受けた人がいるって言うけど嘘なんじゃないかって(笑)。
浜野 : そうですよね!? 絶対そうだと思うんですよ!
ーー僕の周りにはビートルズ、セックスピストルズに衝撃を受けましたって人が多かったんですけど、僕たちの時代ってすでに早くてうるさいバンドがたくさんいたから、セックスピストルズ聴いて、早い!! うるさい!! とか思わないと思うんですよ。
浜野 : 確かにそうですよね。
ーーだからいきなり衝撃受けてトロンボーン始めましたのほうが不自然なんですよね。
浜野 : 今でこそセックスマシーンのすごさとかわかるけど、リアルタイムで衝撃を受け続けた世代とかは確かにいるんですよね。YOUR SONG IS GOODのJxJxさんとずっと番組をやっていたとき、なんか説明する度に「当時は衝撃的でー」なんて言うんですよ。でも、僕ら物心ついたときにはCD屋に歴史関係なく置いてあるじゃないですか。だからよくわからなくて。
ーーさっき日本史とか好きって言ってたじゃないですか。音楽の歴史は調べたりしなかったんですか?(質問25)
浜野 : いや、それがあんまり。興味がないっていうか(笑)。むしろ、民俗学っぽい音楽の歴史みたいなものはめちゃめちゃ好きですね。
もっと大人が大人なりにかっこつけないと
ーーでは、次の質問です。一日の平均睡眠時間は何時間ですか?(質問26)
浜野 : 最近寝る時間は減りました。昔はお昼まで起きれない感じだったんですけど、ドラマを出させていただくようになってから、5時半起きとか当たり前になってきて。子育てもあるので、いまは平均で4、5時間くらいですね。
ーー歌の練習は週どれくらいされるんですか?(質問27)
浜野 : 歌の練習は、できるときは結構しますね。でも1回やったら次の日は休んだほうがいいと思ってるんで、週最高3回とかですかね。そこにライヴが入ってくると変わってくるから、はっきりはわからないですね。
ーー好きなミュージシャンを挙げるとしたら、誰を挙げますか?(質問28)
浜野 : ジェームス・ブラウンとフェラ・クティと、ローランド・カーク。ほぼその3人しか聴かないです(笑)。もちろん、いろんな音楽聴きますけど、新しい作品を見つけたらすぐ買っちゃうって、その3人ぐらいしかいないですね。
ーーダイエット企画で痩せられて、また戻ったということを聞きましたが、体重の変動はいかがですか。(質問29)
浜野 : もうやり方はわかった! みたいな状態ですね。『笑うな』のツアー用にまた始めてはいるんですけどね。
ーーあのとき、結構落とされましたよね? ストイックなんですね。(質問30)
浜野 : 10キロくらい落としましたね。やろうと思えばできるんですよ。とくに仕事ってなれば。でも、相当ストイックでしたね。コンスタントにジムを入れてくれてたんですけど、俺真面目なんで、家でもやってましたね。飲むだけなら太らないって言うから、打ち上げでちょっとつまんでしまったときがあったんですけど、体重が増えてるのがショックで。家に帰って夜中2時頃からエアロバイクに乗ったりしてましたね。
ーー音楽以外の趣味はありますか?(質問31)
浜野 : 服を買うことですかね。
ーーどこで買うことが多いですか?(質問32)
浜野 : 「ポーター」っていう通販が最近フィットするんですよ。
ーーどんな服が好きですか?(質問33)
浜野 : ちょっと高そうなやつ(笑)。ちゃんとした値段の服って、いい物はいいですよ。
ーーそういえば、所信表明で、お金をかけていいものを作るってしきりに言ってますよね。ある程度年齢がいったりしたら、お金をかけていいものを作るっていう意識があるのかなと。
浜野 : ちゃんとしたところにお金をかければ、いいものが作れるよって言えるようにしたいんです。昔は、そういうことを共有してたんじゃないかなと思っていて。大人は、いいものを身につけるために、それなりのお金をかけるっていう。若者のやんちゃな感じは認めてやるよ、ただ卓越してるんだぞ、いい物は!! って。でも、ちょっと前にそれを覆す時代があって、ロックが台頭してそのままいまの時代なのかってぼんやり考えていて。大人を覆すパワーが強すぎて、そんな若者たちが歳をとって大人になり方を忘れちゃってるんじゃないかって思う。大人ってつまんねぇ!! ってなっちゃってるんじゃないかと思うんですよ。
ーーたしかに、僕らはそういう価値観の中で生きてきた感じはしますよね。
浜野 : でも30代になってみると、そうでもないんじゃね? って感じている人も多いと思うんですよね。もっと昭和の大人はかっこよかったと思うんです。
ーーだから、いまいる大人がかっこつけなきゃいけないのかもしれないですよね。
浜野 : そう。それを俺等が作る側に回らなきゃいけないんじゃないかと思っていて。逆にもはや信用できるのは、お金だよねってなってるんじゃないかなって思うんですよね。そうじゃなくて、もっと大人が大人なりにかっこつけないと。
ーーそういうものを作っていこうって覚悟は、在日ファンクから感じますよ。メジャー・デビューに関してもそうですし、ちゃんとした作品を、ちゃんとお金を作って、ちゃんと見せるみたいな。
浜野 : 実際に、コロムビアのスタッフとやっているのがすごく楽しくて。制作過程でも、あっちの持ってきてくれるアイデアに納得することが多いですし。
問題になる言葉って、それなりにポピュラーというか光を放っていると思う
ーーここで、メンバーについて質問したいのですが、それぞれの好きなところを教えてください。まずは、ベースの村上啓太さん。(質問33)
浜野 : 深いところですね。考えるのがすごく好きで、哲学的というか、深いところから言葉を発してくれるんです。映画の仕事をしているんで、それに準ずるアートだったり、映像のことにも詳しくて、それらが合わさった闇の中から言葉が出てくる。ありがたいと思いますね。
ーーギターの仰木亮彦さんはどうでしょう?(質問34)
浜野 : 在日ファンクの中で、1番アーティストなんですよね。だから1番信頼されてます。いろんなものの中間にいるというか。1番アーティストとしていてくれます。
ーートランペットの村上基さんはどうですか?(質問35)
浜野 : 年下なんですけど、結婚のことなどは基くんに影響されましたね。あと、地味に新しいところが好きですね。見習うところが多いです。
ーートロンボーンのジェントル久保田さんはどうでしょう。(質問36)
浜野 : なんですかね… おもしろい人(笑)。上手いんですよね、何もかも。完成されてるというか、1番信頼できるというか。右腕です。実は先輩なんですけどね(笑)。
ーードラムの永田真毅さんはどうですか?(質問37)
浜野 : 永田さんは、在日ファンクの獣の部分を全部担っているというか、リズムが全部永田色になるんですよね。イニシアチブも握っているし、この人に埋め尽くされてる感じはありますね。この人の野生についていくしかない(笑)。ある程度反抗しなきゃいけないとは思っているんですけど、この人の影響力、サウンドは強いです。
ーーサックスの後関好宏さんは?(質問38)
浜野 : 後関さんは、知の泉ですね。ずっとアカデミックに音楽をやってきて、才能と演奏力がすべて伴っている人。後関大学に皆在籍している感じですね。で、そこの言葉でディスカッションしているって感じですね。
ーー作詞作曲はどんなシチュエーションでやることが多いですか。(質問39)
浜野 : これは決まってないですね。決めようと思っていたんですけど、やめました。カラオケボックスに行ったり、何曲も歩きながら作ったり、いろんなシチュエーションでやりました。
ーーちなみに「産むマシーン」は、どんなシチュエーションで行なったんですか。(質問40)
浜野 : 「産むマシーン」に関しては、いつか作ろうと決意していて。練る過程はいろいろあって、こういう曲作りたいっていうワードは溜め込んでいるんですよ。それが長男の出産のときに具現化して、出産日の夜に家で歌いはじめたんですよね。まだ2人とも入院していたんですけど。
ーーめでたい日に、すごい歌詞を書きますね(笑)。
浜野 : (苦笑)。いろいろな意味がかかっているというか、セックスマシーンにもかかっているし、産む機械にもかかっているし。やっぱり問題になる言葉って、それなりにポピュラーというか光を放っていると思うんですよね。
ーー「ダンボール肉まん」以来の衝撃タイトルだと思いました。(質問41)
浜野 : そうですね。みんな、ネガティブな感情をすべて排除したものだけを残そうとするけど、そんなことするからペラペラなものばかりになっちゃう。マシーンっていうのは僕にとっては最大の賛辞を込めた言葉です。
ーーその曲を聴かせて、奥さんに何か言われましたか?(質問42)
浜野 : 「そういう曲作るのやめなよ」って言われて。それに対して反抗心で作ったところもあります。「ちょっとやめようと思うんだよね」って村上にいったら「俺、楽しみにしていたんだよ」って深淵の世界から言葉がきたんで、それなら作らなきゃダメだなって。でもいい曲でしょ?
ーーめちゃめちゃ頭に残ります(笑)。曲作りで1番大切にしているものはなんでしょう。(質問43)
浜野 : リズムと意味をなるべくひとつのものとして、切り離さないってことですかね。切り離すと、どんどんつまらなくなっていくんですよ。「根に持ってます」が「ねぎもってます」みたいに聞こえるっていわれることがあるんですけど、載せてみると全然違うんですよね。ゴロは同じじゃんって言われても意味が違うから。そうするとリズムも全然変わってくるんです。だから、リズムを感じたものは必ず意味があると思って作っています。
ーー曲を作るときには、どんな楽器を使っていますか。(質問44)
浜野 : 最近は、まず歌から作らないとと思って、「あーあー」って歌ってみて録音してから肉付けしていきます。がっかりしますからね。MIDIキーボードで作ってますっていったら。
ーー肉付けはどうやってしていますか?(質問45)
浜野 : ああ。MIDIキーボードです…。
ーーあはははは。そのあとはメンバーであわせて、アレンジですか?(質問46)
浜野 : 「百年」って曲は、歌詞だけもっていってみんなで音を出して、ほんと一時間くらいでできたんですよ。だから曲作りも開発段階かなって思ってます。
ーーハマケンさんにとってのファンクとはなんでしょう?(質問47)
浜野 : ロックじゃないってことですね(笑)。
ーーファンク初心者の入門としてオススメのアーティストは誰でしょう。(質問48)
浜野 : やっぱりジェームス・ブラウンじゃないですか。最初は70年代の曲が絶対にいいと思いますね。後世になると雰囲気が出てきちゃうんですね。70年代の曲はサイケデリックというか、意味のわからない感じはありますよね。
ーーそれじゃあ、一般的にはファンクとは思われてないけど、ファンクが込められているアーティストは誰でしょう。(質問49)
浜野 : それはもういっぱいいますよ。でも、やっぱりフェラ・クティを聴いてほしいですね。ファンクっていうと、ジェームス・ブラウンを聴いたあとに、スライにいって、アースにいって、ってことになりがちなんですけど、それよりもアフロビートとかアフリカのほうにいってほしいですね。だからフェラ・クティなんじゃないですかね。ファラ・クティ、フェミ・クティ、ショエン・クティにいけばいいんじゃないかな(笑)。
笑ってると、絶対にだまされると思いますよ
ーーここからは『笑うな』について訊いていきます。製作期間はどれくらいでしたか。(質問50)
浜野 : どのくらいなんだろうね? って話をしていたんですけど、『連絡』を出してからも1年くらいあいてたり、リリースはないけどツアーしようって時期もあって。だから1、2年くらいやっているのかなって。
ーーレコーディングした期間はまとまってましたか。(質問51)
浜野 : そうですね。だいたいここらへんの期間でっていうのはあって、この曲にしようってまとめてから、1ヶ月くらいで録りはまとまってやりました。
ーーサウンド・プロデューサーは立てましたか。(質問52)
浜野 : 在日ファンクとレコード会社の人だけです。基本、自由にさせてくれて、こうしたらいいんじゃないって道を示してくれたりしてくれた程度です。
ーーいつもと違う取り入れたことはありますか。(質問53)
浜野 : いつもはエンジニアが柏井日向さん一人なんですけど、ちょっと違うレコーディングもしてみようと思って、SAKEROCKでお世話になっている内田直之さんにもお願いしました。柏井さんは完璧なまでのお化粧をしてくれるって感じで、内田さんは、僕らの中にもっとスピリチュアルなものが眠っているはずって感じでやってくれて。そのなかで、「闇の中にあった!!」って確信したはずなんですよ、メンバーも。だからこそ、メンバーも気持ち的に盛り上がったんですよ。
ーーほぼ100%浜野謙太というのはどういう意味でしょう。(質問54)
浜野 : ああ、作詞作曲そのものですね。
ーータイトルを『笑うな』にした理由はなんででしょう。(質問55)
浜野 : 最近、考えていることですね。コラムニストの小田嶋隆さんが「在日ファンク、ハマケンいい」ってことをTweetしてくれていて、調べてみたらコラムとか超おもしろくて、はまってるんですよ。そのなかにバラエティについて書いている文があって、「そんなに笑わなくていいんじゃない、日本人」って。昔のバラエティより、いまのほうが全然レベルが高い。なのに、なんで昔のほうがよかったって思うんだろう? っていうのを掘り下げているんですよ。バラエティは週末にちょっとやっているだけだったのに、いまは毎日やっていて、なにかと芸人が入ってきているからじゃないかって書いてあって。笑いたくないのに笑っちゃうみたいな。笑う頻度って高くなっているのかもしれないけど、どんなことで笑うのかっていう幅は狭くなってきているんじゃないかと思って。本来笑う理由ってものすごくあるはずで、しかも笑いが目的じゃないんですよ。なにか心揺さぶられることが目的なはずなのに、全部“笑えるか”ってことに還元されるし、そうなると残念だなって。
ーー在日ファンクのことバカにするなって意味もあるのかと思いました。
浜野 : それももちろんありますけど、それだけじゃなく全国的に「笑うな!」って。笑ってると、絶対にだまされると思いますよ。笑うこと=雰囲気を読むみたいになってますし、有効なことみたいになっているというか。金だったら信用できる、笑えるから信用できるみたいになるから。でも音楽を聴くことって信用で還元できないもので、他の人がいいっていうものも「本当?」って思うことがあるじゃないですか。でも、それでいいんですよ。「在日ファンク、笑えなくない?」みたいに言われて、それで終わりってことなんだったら、それは笑い=金みたいになっている気がするんですよね、俺。
ーー「根にもってます」も強烈なタイトルですが、ハマケンさんは根にもつタイプですか。(質問56)
浜野 : いや、根に持たないタイプなので、憧れの曲なんですよね。だから、俺は前の衆議院選挙とか根に持つようにしているんですよ。そうしないと次に繋がらないというか、また忘れたころに選挙がきてわーわー言って。いまの状況は、脈々と俺らが失敗しているからだって考え方がないと、日本が終わっちゃう(笑)。
ーー敢えて根に持つことが大切だと?(質問57)
浜野 : そう。水に流さないで考えないと。たぶん、根に持つ人って頭のいい人だと思うんですよね。で、根に持たれている側って優越感でるでしょ。根に持っている人のほうがじめじめしているから。でも、そんなわけないんですよ。根に持つくらいじゃないと人は知的生命体としてダメですよね。
ーーMVも印象的なんですけど、手から水が出るのはどういうことなんでしょう。(質問58)
浜野 : あれは、多汗症の人ってことなんですよ。「湯水のように」ってのとかかっていたりするんです。あと、ファンクって調べると「汗」とか「汗のにおい」って意味が出てくるんですよ。
ーーメジャー・デビューのビジョンはもともと持っていたんでしょうか。(質問59)
浜野 : いや、特にないですね。ただ、ちゃんとした大人たちを仲間につけるという野望はありましたね。P-VINEでやっていたときも大人が読む雑誌のほうが映えると思ったし、大人の中でやればやるほどいいなってのはあると思ったので。売れてやるってことよりも、だんだん仲間を増やして浸透させたいなと。だからメジャーが理解してやってくれているのは、かなり階段をアップできたかなって。
ーー日本コロムビアに決めた“決めて”はなんでしょう?(質問60)
浜野 : 本当に大事にしてくれそうだったからですね。クラムボンをやっていて、大事にされている人たちが多いから。そういう一定の信頼はありますね。
ーー仲間が増えることでよかったことはなんでしょう。(質問61)
浜野 : 在日ファンクというものが深まった感じがしますね。知恵を出し合って一緒に太いものにしてくれたっていうのがある。だから仲よくじゃなくて、殺伐としたんですよね。一生懸命やってくれているから、こちらもぶつかっていこうと思うし、ケンカじゃないけど、いままでよりディスカッションが激しかった。それがいま大人がやることじゃないかなって思うんです。今作は、仲間たちみんなが穴を広げてくれて闇のなかからいろいろ見つけ出した作品だと思ってます。
ここでタイム・アップ!! “ほぼ”100分経ってしまいました。
全国の在日ファンク・ファンのみなさん、すいませんでした。“ほぼ”100分で“ほぼ”100個の質問しようと頑張ったのですが、無理でした…。すいません。いや、断固すいません。お詫びになるかわかりませんが、本当はしようと考えていたけどできなかった質問を掲載させていただきます。またどこかの機会で残りの“ほぼ”40個はリベンジできたらと。それにしても、ハマケンさん、掘れば掘るほどいろいろ出てきて、とても一問一答じゃ進めませんでした。だって、妹さんとコンドームの貸し借りしたことあるんですよ。そんな人います? まだまだハマケン並びに在日ファンクの底が見えることはありません。OTOTOYは、これからも在日ファンクを追い続けます!! よしなに!!
本当はする予定だった残りの質問
62. お使いのケータイ / スマートフォンの機種はなんですか?
63. 初恋をしたのは何歳のころですか?
64. はじめて恋人ができたのはいつですか?
65. 靴のサイズは何cmですか。
66. 使っているシャンプーはなんですか。
67. 視力はどれくらいですか。
68. 好きな漫画はなんですか。
69. 好きな季節を教えてください。
70. なぜ、その季節が好きなんでしょう。
71. ハマケンさんは日常生活で怒ることはありますか?
72. どんなときに怒りますか?
73. 好きな場所を教えてください。
74. 休みの日はなにをしていることが多いですか。
75. 好きな本を教えてください。
76. はじめて買ったCDはなんですか。
77. ラジオは聴いていましたか?
78. 好きなラジオ番組があったら教えてください。(過去も含む)
79. 好きなテレビ番組があったら教えてください。(過去も含む)
80. タバコは吸いますか?
81. 嫌いな食べ物があれば教えてください。
82. 最近泣いたのはいつですか。
83. どういう理由で泣いたのでしょう。
84. 歌をうたう人にとって一番大切なものはなんだと思いますか。
85. 寝ているとき夢を観ますか? 覚えていますか?
86. 過去に戻れるとしたら、いつに戻りたいですか。
87. コロちゃん(コロムビアのキャラクター)をどう思いますか。
88. 共演してみたい人を教えてください。(ミュージシャンに限らず)
89. 給食などで、好きなものは先に食べるタイプですか、最後に食べるタイプですか。
90. なにげなくやってしまう些細な癖があったら教えてください。
91. 「ちっちゃい」や「不甲斐ない」などの曲は、ハマケンさんご自身をモチーフに作られたのでしょうか?
92. いま何問目でしょう?
93. 歌をうたうことで、社会に対してどんな影響を期待しますか。
94. 1曲目の大イントロは、どういう着想から作ったものなんでしょう。
95. 在日ファンクを辞めたいと思ったことはありますか。
96. デイブ・カッチのコメントが印象的なのですが、なぜYouTubeで「美しい日本女性」を検索すると在日ファンクが出てくるのでしょう?
97. 強いていうなら、『笑うな』をどんな人たちに聴いてほしいと思いますか。
98. これから音楽をはじめようと思っている人に一言いうとしたら、なんといいますか?
99. 海外でライヴをするとしたらどこでやりたいですか。
100. メジャー・デビュー後の野望を教えてください。
在日ファンクの配信音源をチェック!!
>>>『連絡』特集はこちら
>>>『爆弾こわい』特集はこちら
>>>『在日ファンク』特集はこちら
>>>「きず」ビデオ・クリップ特集はこちら
LIVE SCHEDULE
在日ファンク『笑うな』発売記念ツアー
2014年10月4日(土)@福岡 BEAT STATION
2014年10月5日(日)@広島 ナミキジャンクション
2014年10月12日(日)@梅田 CLUB QUATTRO
2014年10月13日(月・祝)@名古屋 CLUB QUATTRO
2014年10月18日(土)@高松 DIME
2014年10月19日(日)@京都 MUSE
2014年10月25日(土)@松本 ALECX
2014年10月26日(日)@金沢 AZ
2014年11月1日(土)@仙台 CLUB JUNK BOX
2014年11月2日(日)@新潟 GOLDEN PIGS REDSTAGE
2014年11月8日(土)@盛岡 CLUB CHABGE WAVE
2014年11月9日(日)@秋田 CLUB SWINDLE
2014年11月14日(金)@札幌 PENNY LANE 24
2014年11月16日(日)@東京 EX THEATER ROPPONGI
PROFILE
在日ファンク
新しい時代のディープ・ファンク・バンド、在日ファンク。高祖ジェイムズ・ブラウンから流れを汲むファンクを日本に在りながら(在日)再認識しようと、音、思想、外観あらゆる面から試みるその様は目を覆うものがある。しかし、それこそがまさにファンクだということに彼らはまだ気付いていない。
SAKEROCKのトロンボーン奏者であるハマケンこと浜野謙太を中心に、2007年に7人組ファンク・バンド、「在日ファンク」としてキャリアをスタートさせる。2010年にデビュー・アルバム『ZAINICHI FUNK』をリリースし、現在までに2枚のフル・アルバムと1枚のミニ・アルバムをリリース。浜野謙太は音楽業以外にもテレビ・ドラマ「モテキ」や「笑っていいとも」「めちゃ×2イケてるッ!」などにも出演するなどCMや映画、ドラマ、バラエティー番組など多数出演。その独自のキャラクター性でお茶の間まで浸透し、大きな人気を得ている。
前作『連絡』では、ギター担当、仰木亮彦の楽曲をフィーチャーし、メロウな新境地を魅せた在日ファンク。「声帯炎」「インフルエンザ」による度重なるツアー延期などの不運にも見舞われた彼らが下した決断とは… “ほぼ”ハマケン100%! 今作では、処女作『ZAINICHI FUNK』よろしく、高祖ジェイムズ・ブラウンへの愛と渇望、そして己の初期衝動にまみれたハマケン汁飛び散る楽曲群が展開。ライヴでもお馴染みのパワー・チューン「根にもってます」「断固すいません」「ちっちゃい」、コンプレックスを高らかに叫ぶ「恥ずかしい」「ふがいない」、そしてクールネスがほとばしりすぎ、思わず収録(!)となったトランペット担当、村上基が手がける「パラシュート」他、 マッシブかつドメスティックな"ほぼ"全11曲の血と汗と涙と"ほぼ"の結晶たちが、メジャーの荒波にもまれて尚一層、輝こうとしている!