在日ファンク ファースト・アルバム『在日ファンク』販売開始
在日ファンク / 在日ファンク
2010年1月6日(水)販売開始
1.Intro Funk / 2.最北端 / 3.きず / 4.のこってしまった / 5.神頼みFunk / 6.罪悪感 / 7.ダンボール肉まん / 8.京都(Live Version) / 9.最北端(Live Version)
在日ファンクのデビュー・アルバム『在日ファンク』を販売開始します。SAKEROCKのトロンボーン担当、浜野謙太が楽器をマイクに持ち替えて、極太ファンク・アルバムを制作。ジェイムズ・ブラウンの流儀を現代に継承しつつ、日本人にしかできない、新しい時代のファンクを追及しています。音源化を心待ちにされていた末に完成した本作は、タイトなダンス・チューン「きず」、JBマナーのシャウト・ナンバー「ダンボール肉まん」、そして旅情あふれる青春ファンク「最北端」など、ライヴの定番曲を収録。
在日ファンク インタビュー
「浜野謙太と在日ファンク」が「在日ファンク」に改名した。ただ単に名前がシンプルになっただけの様にも思えるが、そこに込められた意味は大きい。バンド名から「浜野謙太」が消えるという事は、彼にとって在日ファンクがSAKEROCKのサイド・ワークではなくなったという事だ。浜野謙太がファンクに本気になった!!!
彼らの音楽からは、ファンクの神様ジェームス・ブラウンへの深い敬愛と、新しいファンクを開拓せんとする前のめりの姿勢を感じる。それは音源を聴くだけでも、ライヴを見るだけでも十分に伝わるはず。けれど、このインタビューを読んで、在日ファンクが今回のアルバムをリリースするまでの浜野謙太の苦悩と奮闘の日々、そしてステージ上では感じさせないひたすらに真面目な音楽に対する姿勢とファンクへの愛の深さを知ってほしい。在日ファンクのこれからの動向が他人事ではなくなるはず。
インタビュー&文 : 水嶋美和
本物かどうかよりも、出来ることを選んでそれを面白くする事の方が重要
—結成について教えてください。
2007年に「ハマケンロックフェス」というイベントがあって、その中の企画で在日ファンクを結成しました。その日の受けがすごく良かったから調子に乗って続けたんですけど、東京で同じことをやっても全く受けなくて(笑)。SAKEROCK以外で自分のやりたいことを始めたのはすごくいいことのはずなのに、やっても人は集まらないし受けも良くない。何でだろう? 才能ないのかな? って悩みに悩んで、この一年は思春期がまた来た感じでした。
—その状態は今も続いていますか?
いえ、スチャダラパーのBOSEさんと話してかなり解消されました。福岡のイベントで対バンした時に「ああいうのはどんどんやっていった方がいい」と背中を押してもらって、その後に何度か対談をする機会があったんです。BOSEさんいわく、僕はスチャダラパーのアニさんや電気グルーヴのピエール瀧さんと同じタイプだけれど、あの二人は自分の出来ることと出来ないこと、出るべき場面とそうではない場面を見極めるのがすごく上手い。ハマケンはそういう所をもっと磨いていくべきだって言われました。何でもやろうとするな、自分が弱者だってことをわかれってことですね(笑)。在日ファンクが東京で受けなかったのは、イベント性の無いブッキングで出演したから。福岡ではbonobos、ハルカリ、スチャダラパーという豪華な面々の中にポツンと在日ファンクが混じってやってるのが面白くて受けたんですよね。最初はそういうのってズルだと思ってたんです。いつどこでやっても面白くないと本物じゃないって、ストイックに考えていた。けれどBOSEさんの言う様に、出来ることだけを選んでそれを面白くする方が重要で、それに気付いてからは悶々としたものはかなり晴れました。その勢いのまま、今回のアルバムの制作に取りかかりました。
—「浜野謙太と在日ファンク」から「在日ファンク」に改名した意図は?
在日ファンクをやる上で、SAKEROCKのお客さんに頼るのは甘い気がするけど、かといって全く頼らないのも不自然。そのことで悩みもしましたが、「ハマケンだから」「SAKEROCKのサイド・ワークだから」「ファンクだから」ということを意識すると、考えが凝り固まってしまって面白いことが出来なくなる。「こうあるべき」という概念を捨てて、偶然生まれるものやメンバーとの自然な関係性に身を任せてみようと思ったんです。だから「浜野謙太と在日ファンク」という落ち着く名前ではなく、「在日ファンク」っていう地味な名前にしようと思ったんです。「在」っていう漢字が一番頭にくるバンド名ってなかなか無いし、面白いですし。
—確かに珍しいですよね。このバンド名の由来は?
ベースの奴がインテリ・ユーモアに富んだ男で、彼の感覚は信頼できるんですよ。なので、「在日って言葉よくない? 」って言われて、当初は響きだけ「いいな」だったんですが活動したり言葉の意味をよく考えてみたりすると、不思議としっくり来ていることに気付いたんです。それからは歌詞や曲のテーマもそういう選び方をしています。「なんかいい」という感覚を大切に決定していく。
生活に近いファンクがあってもいいんじゃないかと思ったんです
—歌詞と言えば、「のこってしまった」の「皆華々しくも散って行ったのに、この世に一人だけ残ってしまった」って歌詞、悲しすぎませんか(笑)?
この曲は僕が見た夢がきっかけ。ものすごく盛大なお祭りがあって、その後に男子は全員自殺しなきゃいけないしきたりがあるんです。それで、SAKEROCKのメンバーはそういうことに冷めてるから、絶対に死なないはずだって思ってたのにさらっと「ああ、源(星野源)くん先に行ったよ」って言われて、すごく悲しかったんです。僕は絶対に間違ってる! って思うのに、信頼する人たちはそのしきたりに従って死にに行き、自分一人残されていく。例えば、忠臣蔵で皆が「討ち入り行こうぜ!」って盛り上がってる中で一人だけ外れてしまったり、戦時中に反戦を掲げて戦争に行かなくて「非国民」と呼ばれた人たちのことを考えると、想像できないぐらい悲しくて。「のこってしまった」感って、すごく大事な感情なんじゃないかな。そんな風に考えて曲を作っていたら、全体的に悲しいとか厳しい曲ばかりのアルバムになってしまった(笑)。
—「最北端」も悲しい曲ですよね。。哀愁ある二人の後ろ姿が浮かぶ、ジェリー藤尾の「遠くへ行きたい」のような旅情を感じました。
この最北端って、能登半島の最北端なんです。当時付き合っていた彼女と旅行して、僕が全て予定を立てて、彼女は何の文句も言わずについてきた。そんな彼女が唯一「ここだけは行きたい」と主張したのが最北端の禄剛崎だったんです。で、行ってみたら本当に何もない。矢印の付いた看板だけがポツンと立っていて、「何百メートル先、ウランバートル」「何百キロ先、ピョンヤン」とだけ書いていて、とてつもない恐怖を感じました。その時に、沖縄の楽しい海よりも、こういう死を連想させるような暗く冷たい海を見た方が、ものすごい感情になるって気付いたんです。妖怪が暗い所に潜んでいるように、厳しい状況や景色には、とてつもない感情が渦巻いている気がする。
—世間では忘れられつつある「ダンボール肉まん」を、今になって取り上げたのはなぜですか?
いや、今でこそですよ。あの報道がされた時、みんな絶対に気持ちいいって思いながら「ダンボール肉まん」って言ってたと思う。だってあんなファンキーな言葉なかなか生まれないですよ。中国人が肉まんにダンボールを混ぜるっていう発想自体が面白いし、日本のメディアがそれに食いついたのも超面白い。これこそ日中合作ですよね。ある脚本家はネタを考える時に、全く関係の無い言葉をいくつか紙に書いて、それをくじででたらめに組み合わせて奇抜な発想を生むらしく、それぐらいアヴァンギャルドな言葉を生みだすのは難しいんです。頭で考えるとどうしても意味が出来ちゃうから、「ダンボール肉まん」って言葉はすごいと思うんです。みんな、忘れちゃダメですよ。
—こういう歌詞をファンクの音に乗せようと思ったのはなぜですか?
ジェームス・ブラウンの「GET UP!」って、当時社会的弱者だった黒人たちに「立ち上がって権利を訴えていこうぜ!」ていう曲だからかっこよかった。けど今の黒人大好きな日本で「GET UP!」って言っても、元々あった重みは全くないし、むしろ「クラブ来てんだから立って踊れよ」って抑圧してる様にも聞こえる。大体、浜野謙太が「みんな踊ろうぜ」って呼び掛けてもしっくり来ないですよね。ならばどうするか? って考えた時に、もっと地に足をつけた、生活に近いファンクがあってもいいんじゃないかと思ったんです。
面白い事なら騙された方がいい
—「きず」の歌詞に込められた傷への憧れ。これすごくわかります。ものもらいになったら眼帯付けるとか、骨折したら松葉杖をついて歩くとか、負傷してるのに何か嬉しい(笑)。
そうそう。鼻の頭に絆創膏貼りたいとか、それで教室行ったらヒーローになれるんですよね。そういう小学生みたいな感覚って、みんなまだひきずってると思うんです。僕は健康体で精神的にも鬱にはならないから、そういう傷を抱えた人ってかっこよく見えちゃうんですよね。ファンクって強い人の音楽だと思われてるけど、僕らみたいな文科系が集まって、内向的な歌詞で歌えば面白くなると思うんです。
—SAKEROCKではインストゥルメンタルが主ですが、SAKEROCKの活動と在日ファンクの活動に、意識の違いはありますか?
違う方向でやりたいと思ってるわけではないけれど、在日ファンクはSAKEROCKでは絶対にできないことだし、SAKEROCKで学んだことは在日ファンクにぶつけてます。始点は別だけど考えてることは同じ。SAKEROCKでは中心に星野源がいて、在日ファンクでは一応僕がリーダーなんですけど、カリスマ性が無いから誰も言うことを聞いてくれない(笑)。でもこれ、森喜朗さんが総理大臣になった時に似てるなって思うんです。ダメなリーダーがいて、みんなが文句言ってる感じ(笑)。政治では笑えないけど、ファンクだったらこんなのもアリだなと思います。
—今回リリースするアルバムと改名で、周りの認識が大きく変わるはず。その後の動向がとても気になります。在日ファンクの野望を教えてください。
「在日ファンク」って放送局や電波に嫌われそうなバンド名だけど、名前の持つアンダーグラウンド感をひきずったままにはしたくない。中学生が聞くぐらいメジャーな所に行きたいですね。みんなが騙されてくれればいいのに(笑)。面白いことなら騙された方がいいですよ。「何だダンボール肉まんって」と笑ってくれればそれでいい。僕らはバンド名からファンクを名乗ってしまってるけど、硬派なファンク好きには認められないかもしれない。でも、ファンクをもっと身近なものにしたいんです。最終的に「在日ファンク」という敬遠されそうな名前のバンドを小学生の女の子が聴く時代が来たら、いい世の中になったなあと思います(笑)。
「きず」ビデオ・クリップ配信中!
『在日ファンク』収録曲「きず」のビデオ・クリップを販売しています。ディレクターは、氣志團、矢井田瞳やフジファブリックなどのPVも手掛けるスミス氏。深夜の上野・アメ横で撮影された、レトロで妖しげな雰囲気の作品です。ぜひじっくり鑑賞してみてください。
【asfファイルとmp4ファイルについて】
・Windows標準のWindows Media Playerをご使用の方 → asfファイル(WMV8)
・mac標準のQuickTime Playerをご使用の方 → mp4ファイル(H.264)
下記のmp4ファイルの方が効率の良い圧縮のされた動画ファイルです(内容は同一)。Windows環境でmp4ファイルを再生できる方は、mp4ファイルのダウンロードをオススメします。GOM PLAYERやmplayerなどの対応プレーヤーを使用するとWindowsでもmp4ファイルを再生できます。
PROFILE
在日ファンク
浜野謙太(Vo) / 村上啓太(Ba) / 仰木亮彦(Gr)/ 永田真毅(Ds) / 福島"ピート"幹夫(Sax) / 久保田森(Tb)/ 村上基(Tp)
新しい時代のディープ・ファンク・バンド、在日ファンク。高祖ジェイムズ・ブラウンから流れを汲むファンクを日本に在りながら(在日)再認識しようと、音、思想、外観あらゆる面から試みるその様は目を覆うものがある。しかし、それこそがまさにファンクだということに彼らはまだ気付いていない。
LIVE SCHEDULE
在日ファンク1stアルバム発売記念ツアー
2010/3/20(土)@岡山 BLUE BLUES
open 20:00 / start 21:00
前売 3000円 / 当日 3500円(ドリンク代別)
w / DJ ファンキー大統領
2010/3/21(日)@大阪 鰻谷 SUNSUI
open 17:30 / start 18:00
前売 3000円 / 当日 3500円(ドリンク代別)
w / ウリチパン郡
2010/3/21(月、祝)@名古屋 今池 TOKUZO
open 18:00 / start 19:00
前売 3000円 / 当日 3500円(ドリンク代別)
w / THE ACT WE ACT / DJ 浅野裕介(asana) / cool-k
2010/3/28(日)@東京 新代田 FEVER
open 18:30 / start 19:00
前売 3000円 / 当日 3500円(ドリンク代別)
w / スペシャル・ゲスト ※ 1月後半に公開予定