いま、ceroをハイレゾで聴かずになにを聴く?——新作両A面シングルを初のハイレゾ、OTOTOY独占配信!!
お待たせしました!! ceroの両A面シングル『Orphans / 夜去』を、ハイレゾにて配信スタートです!! "東京インディーズ・シーン"で括るには頭ひとつ飛び抜けて広がりを大きくしたceroがハイレゾで配信することは、また少し時代の変化を感じさせるできごとです。本作には、メンバーの橋本翼(Gt.)が初めてceroに書き下ろした楽曲「Orphans」、バンドの成熟を感じさせる新機軸のメロウ・ナンバー「夜去(ようさり)」に加え、すでにライヴでも披露され話題となっている小沢健二のカヴァー「1つの魔法(終わりのない愛しさを与え)」を収録。様々な感情や情景を広く『エキゾチカ』と捉え、ポップ・ミュージックへと昇華させてきた彼らの現在が感じられる3曲が、ここにあります。豊かな音楽を、豊かな音質でじっくりとお楽しみください。
捨て曲なしの強力な3曲をハイレゾで!!
cero
Orphans / 夜去
【左】WAV / ALAC / FLAC(24bit/88.2kHz)
【右】WAV / ALAC / FLAC(16bit/44.1kHz) 、mp3
【配信価格】(各税込)
【左】単曲 300円 / アルバム 771円
【右】単曲 257円 / アルバム 771円
【Track List】
01. Orphans
02. 夜去
03. 1つの魔法(終わりのない愛しさを与え)
いつまでたっても掴めきれないceroの"いま"
聴けばひとたび、圧倒的な「いいもの」であることがわかった。しかしそれが「いい」理由を探すと、途端に途方に暮れてしまう。様々な音楽の要素が入り混じり、それでいて確立されたオリジナリティーがある。はずなのに、そのオリジナリティーを言葉で説明しようとすれば「そんな難しい音楽じゃないんだよなあ」と途中で諦めてしまう。なんか良い。すごい良いんだけど、何だろう。ceroにはずっとそんな印象を持っていた。ただ、そんな印象を持ってしまう理由は知っている。
ファースト・アルバム『WORLD RECORD』では架空の街を作り、セカンド・アルバムの『My Lost City』では雨の曲が多い前作に描かれる街をさらに水浸しにし、海に沈めて航海を始める(「大洪水時代」)。しかしそこで作った船は次作『Yellow Magus』で壊される(「Ship Scrapper」)。「ceroの音楽制作というのはわかりやすいスクラップ&ビルドなのかもしれないですね。(音楽ナタリー cero『Yellow Magus』特集記事より引用)」ああ、世界観だけではなく音楽性もスクラップ&ビルドで更新され続けているから、都度リリースされる新作を聴いてようやく掴めたと思った印象も次の作品を聴く頃には残像になっていて、いつまでたっても掴めきれないでいるのかもしれない。
その『Yello Magus』より1年ぶりの新作となる本作『Orphans/夜去』もまたスクラップ&ビルドして作ったのだろう。前作にあったブラック・ミュージックからの濃い影響は身を潜め(しっぽぐらいは見えている)、メロウで儚げなシティ・ポップに仕上がっている。最初に聴いた時の印象は「ceroらしいけど、ceroっぽくない」。なるほど、1曲目の「Orphans」は橋本翼(Gt)が初めてceroに書き下ろした楽曲らしい。ceroを結成時より知っていて、かつ途中から加入した彼は、結成当初から中にいる高城と荒内よりもバンドの「らしさ」を客観的に捉えられ、だからこそそれを保ったまま違う風を入れられるのだろう。
この曲は歌詞も今までになく描写的で、まるで一編の青春小説を読んでいるよう。舞台は教室、海、移動はオートバイで。主人公はクラスメイトと家出する。歌詞の中で繰り返される「別の世界で」という言葉はパラレル・ワールドにいる二人を思わせ、SF的ほろ苦さと切なさも含んでいる。ちなみにこの歌詞は高城がエッセイ「夫のちんぽが入らない」(こだま著 / 同人誌『なし水』に寄稿)の一文にインスパイアされて歌となったもので、それを読んだ後に聴けば、この思いつきの逃避行がとんでもなく美しい物語に思えたりするので、気になる人は探して読んでみてください。
続く「夜去」は一転、歌詞も曲も少し不穏でファンタジックな夜の世界。音と言葉のムードの中で、夢と現の間を彷徨うような浮遊感が気持ちいい。さらに小沢健二「1つの魔法(終わりのない愛を与え)」のカヴァーも収録。ceroがceroを始める前からのメンバー間のキーワードとしてあったフリッパーズ・ギター。その小沢健二の楽曲をカヴァーし作品に収録するということは、振り返り考えたいことでもあったのだろうか。リリースされる今は、その答えが出たということだろうか。
「Orphans」は霧雨の朝、「夜去」は雪の夜から始まる。家や学校、会社を出た時にこの天候に遭遇すると、見慣れた建物や横断歩道、信号、人々がいつもと違って見えて、妙にロマンチックになったりセンチメンタルに浸ったりする。ceroの音楽にも全く同じ効果があって、聴きながら街を歩くと、ふと懐かしい級友や教室の場面を思い出したり、明日も丁寧に生きようと意気込んだり、かつての日常や今ある日常が妙に美しく愛しく感じられる。歌詞に誘導はないのに、なぜceroを聴くとそんな気持ちになるのか。
その理由はまだわかっていない。理由なんてないかもしれないし、ならば聴き続けてもわからないかもしれない。のらりくらりと、朝から夜をクルーズし、様々な音楽性をクルーズし、人の心象風景をクルーズしていく彼ら。この作品で彼らのことをつかまえたつもりになっても、多分またすぐ次の作品で逃げられてしまうんだろうな。それがどれだけ楽しみなことか、とも思う。(text by 水嶋美和)
ceroの過去作品はこちらから
【特集ページ】
>>『Yellow Magus』配信&レヴュー
>>『My Lost City』配信&レヴュー
>>『world record』配信&レヴュー
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鳴り物入りのデビューとなった処女作から1年、森は生きているが待望の2ndアルバムを発表した。彼らの深い音楽的見識を反映するように、今作はサイケデリック・ロック〜プログレッシヴ・ロック的な要素すらも取り込み、17分におよぶ壮大な組曲「煙夜の夢」をはじめ9曲を収録。各方面から絶賛されたデビュー作をさらに進化させたような内容となった。OTOTOYでは、そんな本作を24bit/48kHzのハイレゾで配信。
2014年4月にリリースした『CLIMAX NIGHT e.p.』が大きな話題を呼んだYogee New Wavesが、待望の1stフル・アルバム『PARAISO』をリリース。EPに収録された名曲「Climax Night」「Good Bye」の新録に加え、すでにライヴで人気の楽曲「Hello Ethiopia」「Summer」「Listen」など全9曲を収録。2014年、いま、シーンの最前線でどんな音が鳴らされているのか、それを知るためには、このアルバムを聴くしかない。
Jappers / Imaginary Friend
東京は高幡不動にて結成された6人組オルタナ・フォーク・バンド、Jappers。結成から5年、待望の1stフル・アルバムが完成。2013年より現在の6人編成となると、サウンドはより実験的に。リバーブがかったスチール・ギター、幾十に重なるコーラスが織りなすハーモニーは、国境を感じさせない。オール・セルフ・プロデュースによって制作され、細部までこだわり抜かれた今作は、USのオルタナ・カントリーを基調に、ジャンルを越えたサウンド・ワークを展開。マスタリングにはAkiyoshi Tanakaを起用。バンドとして大きな変化を遂げ、生み出された今作を24bit/44.1kHzのハイレゾで配信。
LIVE INFORMATION
cero ワンマン・ライヴ "Wayang Paradise"
2014年12月21日(日)@EX THEATER ROPPONGI
cero ワンマン・ライヴ "Wayang Paradise" SOLD OUT!
2014年12月22日(月)@EX THEATER ROPPONGI
COUNTDOWN JAPAN 14/15
2014年12月28日(日)@幕張メッセ国際展示場1~11ホール、イベントホール
PROFILE
cero
Contemporary Exotica Rock Orchestra 略してcero(セロ)。
2004年に高城、荒内、柳で結成。2006年ごろからジオラマシーンとして活動する橋本が加入。様々な感情、情景を広く『エキゾチカ』と捉え、ポップ・ミュージックへと昇華させる。2007年、鈴木慶一氏(moonriders)の耳にとまりプロデュースしてもらう。その後、坂本龍一氏のレーベルcommmonsより発売された『細野晴臣 strange song book -tribute to haromi hosono 2-』収録の鈴木慶一『東京シャイネスボーイ』に参加。同レーベル・コンピ『にほんのうた 第二集』に唱歌「青い眼の人形」のカヴァーを担当するなど、精力的に活動している。
2011年、初の流通音源『WORLD RECORD』をカクバリズムより発売。本秀康氏による印象的なジャケットのイラストも相まって好評を得る。発売から少しして、柳が絵描きとしての活動に専念するため脱退。現在、サポート・メンバーを加えた編成でライヴを行っている。2012年10月、2ndアルバム『My Lost City』を発表。 2013年12月、ファースト・シングル『Yellow Magus』を発表。