結成5周年記念ツアーからのLIVE音源を高音質で配信スタート!
2010年6月9日、恵比寿Liquid Roomでおこわれた菊地成孔とペペ・トルメント・アスカラールのLIVEを完全収録し、24bit/48kHzの高音質音源(HQD)で独占配信! 菊地成孔曰く「完璧なバンド」と表現したこのバンドは結成5周年を迎えた。その演奏は、繊細にしてドラマチック。弦楽器、ハープを要したオーケストラのコンダクトをとりながら、菊地成孔自らが奏でるむせび泣くようなSAXの音色は鳥肌もの。2時間以上にわたって繰り広げられ、高揚感に包まれたLIVEを丸ごと収録し、アンコール2曲も含め全14曲を余すことなくお届け! さらにアルバム・ダウンロードされた方には、菊地成孔のMCをプレゼント!! このアルバムを手にすれば、あの日、あの会場に居合わせた人も、そうでない人も、歴史的な公演がいつでも甦る超貴重音源です!!
菊地成孔とぺぺ・トルメント・アスカラール 『LIVE at Liquid Room 2010.06.09』
〜結成5周年記念ツアー「1000年後の南米のエリザベス・テイラー」〜
【Track List】 01. 導引 / 02. はなればなれに—映画『アルファビル』〜悲しきワルツ—映画『バターフィールド8』〜バターフィールド8のテーマ / 03. 京マチ子の夜 / 04. パリのエリザベス・テーラー(存在しない) / 05. アリア 私が土の下に横たわる時〜オペラ『ディドとエネアス』より / 06. 行列 / 07. 大天使のように / 08. 嵐が丘 / 09. キリング・タイム / 10. 儀式〜組曲『キャバレー・タンガフリーク』より / 11. ルペ・ペレスの葬儀 / 12. 映画『8 1/2』〜それから...(ワルツ)より / 13. MC&メンバー紹介(アルバム購入用bonus track)
〈アンコール〉
14. メウ・アミーゴ・トム・ジョビン / 15. 時さえ忘れて
※Track13は、アルバム購入用Bonus Trackです。
※アルバム全曲ではファイル・サイズが2G以上となります。
【Band Member】
菊地成孔(Sax/Vocal/Conduct)、早川純(Bandneon)、林正樹(Piano)、大儀見元(Percussion)、田中倫明(Percussion)、堀米綾(Harp)、鳥越啓介(Bass)、吉田翔平(1st Vln)、楢村海香(2nd Vln)、菊地幹代(Vla)、徳澤青弦(Vlc)
2010年6月9日(水)@恵比寿Liquid Room
RECORDED : 高橋健太郎 / 溝口紘美
MIXED & MASTERD : 高橋健太郎
極端に甘美な地獄
ペぺ・トルメント・アスカラールは、菊地成孔ソロ名義アルバム「南米のエリザベステイラー」の演奏のため2005年に結成されたバンドであり、それは彼が新宿区歌舞伎町という日本一の歓楽街に居住を移したのとほぼ同時期でもあった。「歌舞伎町での暮らしが深まると共にバンドも完成されて行った」というこのバンドが結成から3周年を迎えた時、彼は素直に「完璧なバンドではないかと思っている」と自身のブログに綴っていた。続けて「演奏が完璧とか、音楽が完璧だとか、そういう意味ではない。発明品として(商品として。と言ったって良い)完璧だ。と、演奏の度に思うのである。」と添えられている。
この言葉が自画自賛で無い事は、彼の名や活動を少しでも認識している人になら伝わるだろう。そして抽象的なこの添え書きの意味は、実際にライヴに行った人にしか伝わらないのだろう。彼がそう綴ってから2年が経った2010年の6月、「菊地成孔とペぺ・トルメント・アスカラール」は結成5周年記念ツアーを行った。2年前に既に完璧だったというこのバンドを引き連れ、菊地はどんな思いを抱き演奏するのだろうか。
名古屋、京都、そして東京の3都市を巡るツアーの最終地点は、5年前にペぺ・トルメント・アスカラールお披露目の場となった恵比寿LIQUID ROOM。会場に居る多くのドレス・アップしたファン(花束を抱える女性も居た)と、フロア手前の休憩スペースにずらりと並ぶスタンド花(中には野宮マキや、写真家の新津保建秀の名もあった)にまず驚き、今日が特別な日だという事を演奏が始まる前から気付かされる。オープンして最初にDJブースに立ったのは、ポップ・ユニット□□□の中心人物である三浦康嗣。綺麗目な服装で着飾った女性もヒールの足で軽やかに踊っていた。続くDE DE MOUSE(この日はバンド形式)の演奏でフォーマル感が漂っていたフロアは縦に揺れ始め、菊地成孔とペぺ・トルメント・アスカラールの為に用意された空間をその瞬間、完全に奪った。それをもう一度引き戻すは、やはり菊地成孔によるDJ。クラシック音楽はDJ機材を通すとこれ程の高揚感を生むのか。いや、彼だからこそ成せた技なのだろう。
最後の曲をかけ終わると颯爽とブースから去り、すぐにライヴ・ステージに現れた。1曲目は「導引」。音合わせの様に、それぞれの楽器が他の楽器との相性を確かめていく。ただし鳴らされるのはどれも不協和音だ。その下をパーカッションが走る。ペぺ‘色男による’トルメント‘拷問’アスカラール‘砂糖漬けの’の世界への入り口に流れるにはふさわしい、不穏でありながらもどこか魅かれてしまう不協和音から始まり、「はなればなれにー映画『アルファビル』〜悲しきワルツー映画『バターフィールド8』〜バタ—フィールド8のテーマ」に流れる。「はなればなれに」は菊地がファンを公言するフランス映画監督ジャン・リュック・ゴダールの名作だ。聴覚だけで映画を3本ほど楽しんだ気分になった所で、「京マチ子の夜」が続く。大映の看板を背負い生涯独身を貫いた大女優・京マチ子。この曲の中でモノクロの彼女は動き出し、ストーリーを展開し、時折涙を見せる。もちろん歌詞は無い。彼らの音楽が余りにドラマティックに語るので、言葉なんて無粋だとすら思ってしまう。
そしてソプラノ歌手・林正子がステージに現れ、空気は映画からオペラに変わる。先までのドラマティックな空間は荘厳なものに変わり、フロアは揺れるのをやめ、ステージに集中した。彼女がステージから去った後は、即興的とも思える程に各々の楽器の音が自由に飛びはね走り、「大天使のように」が続く。これをオーケストラと呼んでいいのだろうか? いや、まさしく銘打たれるままの「ストレンジ・オーケストラ」だ。不穏な気持ちにさせながらも奇妙な程に心地よい、リズムも掴めないままに踊り出してしまう、躁と鬱を併せ持つ麻薬に似たオーケストラ。このメンバー構成もそれぞれの音の兼ね合いも、偶然生まれたとしか思えない程に完璧で、これは間違いなく彼らのライヴでしか体験できない音楽だと思う。
この日のライヴの感想メールが菊地本人のブログに多く載せられているが、その中で多くの人が涙を流したと書いていた。実際にライヴで泣くなんてそうそう無い事だろう。ましてやインストゥルメントで。と思うけれど、現場に居た人ならその涙に共感できるのではないかと思う。彼のサックスがむせび泣くかの様に震えた時、「ここで泣くと、きっとすごく気持ちが良いだろうな」と確かに思った。男女に関わらず多くの人にドラマを見せ、その主人公にさせ、喜怒哀楽を与える。彼ほど酔わせ上手なミュージシャンはなかなか居ないだろう。
さて、2年前に既に完璧だったというこのバンド。5周年を迎え、彼は何を思うのだろう? という問いに、彼はMCではっきり答えてくれている。 「気が付いたら5歳。5歳と言えば鏡像段階も終わり言葉も覚え始めて、場合によってはそろそろ父に対する恨み、憎しみ、過剰な愛などによってですね、もうそろそろ人生狂い始めてくる頃です(笑)。」「何度も繰り返す様ですが、1番驚いているのは私の自我の深層部だと思います。まだ信じられません。現実感が無いですね、5年間も続いたという事は。」
そのまま、現実感が無いままに10年、20年、30年と続けて欲しい。自分もそれに伴い10年、20年、30年と歳を重ね、現実の中で多くのドラマを通過するだろう。彼らの音楽は、経験を重ねる事で更に深く味わえる。だから、経過も楽しみながら、5歳のペぺ・トルメント・アスカラールと共に歳をとっていきたいと思う。
(text by 水嶋美和)
スタジオ録音作品もHQDで配信中!
LIVEで演奏された曲目も多く収録されている菊地成孔とぺぺ・トルメント・アスカラールの下記2作品、『記憶喪失学』と『ニューヨーク・ヘルソニック・バレエ』も絶賛販売中。ファイル形式は、HQD(24bit/48khzのwav)とmp3です。
菊地成孔とぺぺ・トルメント・アスカラール『ニューヨーク・ヘルソニック・バレエ』
1. キリング・タイム / 2.ニューヨーク・ヘルソニック・バレエ / 3.アリア 私が土の下に横たわる時〜オペラ「ディドとエネアス」より / 4.行列 / 5.儀式〜組曲「キャバレー・タンガフリーク」より / 6.時さえ忘れて / 7.導引 / 8.嵐が丘 / 9.暗くなるまで待って
菊地成孔とぺぺ・トルメント・アスカラール『記憶喪失学』
1.映画「バターフィールド8」 〜 バターフィールド8のテーマ / 2.メウ・アミーゴ・トム・ジョビン / 3.クイズ番組のTVCMの悪夢 / 4.映画「アルファビル」 〜 悲しきワルツ / 5.チューインガムのTVCMの悪夢 / 6.バイレ・エクゾシズモ / 7.航空会社のTVCMの悪夢 / 8.ソニア・ブラガ事件 / 9.大天使のように / 10.恋とは何か貴女は知らない / 11.映画「8 1/2」 〜 それから‥‥(ワルツ)より / 12.エアコンディショナーのTVCMの悪夢
菊地成孔のナイト・ダイアローグ・ウィズ vol.4も大好評配信中!
2010年4月27日(火)に東京・Hakuju Hallにて開催された、ジャズ・ミュージシャン、プロデューサー、大学講師、文筆家として活躍する菊地成孔のトーク・イベント「ナイト・ダイアローグ・ウィズvol.4」が配信開始。ゲストは、TOKYOCROSSOVER / JAZZ FESTIVAL発起人で渋谷のクラブTHE ROOMのプロデューサー、そしてKYOTO JAZZ MASSIVEとしても活躍する沖野修也と、ジャズ・バンドquasimode(クオシモード)のキーボーディスト平戸祐介。“ジャズは儲かるのか?”をテーマに、ジャズ業界の経済性をめぐってリアル・トークを繰り広げます。さらにボーナス・トラックとして、トラック4には、菊地成孔の未発売音源「配信エリザベス2」も収録。
菊地成孔のナイト・ダイアローグ・ウィズ vol.4
2010/04/27(火)@東京・Hakuju Hall
HOST : 菊地成孔
GUEST : 沖野修也 / 平戸祐介
1. PART.1(28分22秒)
2. PART.2(27分32秒)
3. PART.3(31分18秒)
4. Elizabeth Taylor Fast(LIVE)(菊地成孔未発売音源)
2010年7月10日(土)菊地成孔のナイト・ダイアローグ・ウィズ vol.5も近日配信予定!
vol.5は、ユナイテッドアローズ上級顧問の栗野宏文さん、WWDモバイル編集長の向千鶴さんとのファッション談義。パリコレに同行するなど気心の知れた仲間ならではの和やかな雰囲気のなか、ファッション界の裏話からジャズとの関わりまで縦横無尽に語り尽くしました。近日中にオトトイにて配信を予定しています。お楽しみに!
2010年7月10日(土)@尚美バリオホール (東京都)
HOST : 菊地成孔
GUEST : 栗野宏文(ユナイテッドアローズ上級顧問) / 向千鶴(WWDモバイル編集長)
菊地成孔とぺぺ・トルメント・アスカラール PROFILE
2005 年に発表した「南米のエリザベス・テイラー」の世界観をシアター・アートとして表現するために結成された12 人編成(アレンジャーの中島ノブユキを含む)のスモール・オーケストラで、常に「存在しない女優」としての歌姫をエスコートしている。バンド名はスペイン語で、“ペペ”は「伊達男/女たらし」“トルメント”は「拷問」“アスカラール”は「砂糖漬けにした/甘ったるい」を各々意味する。
Member ※第2期
菊地成孔(Saxophones/Vocal/Producer/Composer/Arranger)、早川純(Bandneon)、林正樹(Piano)、大儀見元(Percussion)、田中倫明(Percussion)、堀米綾(Harp)、吉田翔平(1st Vln)、楢村海香(2nd Vln)、菊地幹代(Vla)、徳澤青弦(Vlc)、鳥越啓介(Bass)、中島ノブユキ(Arranger / Composer)
菊地成孔 Official Web
菊地成孔とペペ・トルメント・アスカラール Official Myspace