
HELLO HAWK / さかなの目
2007年のバンド結成時より、あどけない未成熟さと焦燥に溢れたロックでシーンを突き進んできたHELLO HAWK。1stデモ、東京スーパースターズとのスプリットCDの発売に続き、ついにファースト・アルバム『さかなの目』を発表! 心揺さぶられる良質なメロディー全10曲。MODLUNG矢田圭伸主宰レーベルPOWER ELEPHANT!からのリリース。
1. そこを見る / 2. さかなは鈍感 / 3. 渚の / 4. 天井と床 / 5. IN THE CITY! / 6. good the mornings / 7. モザーーン / 8. 線 / 9. ワールドエンダー / 10. 反射
☆アルバム購入者にはブックレットをプレゼント!
2011年3月11日に起こった震災を受け、OTOTOYが緊急リリースした東日本大震災救済支援コンピレーション・アルバム『Play for Japan』。HELLO HAWKとの出会いはそこからだった。
HELLO HAWKとは、オカダワタル(Vo、Dr)、ナカツカサトシ(Ba,pianica、Cho)、タカヒロイトー(Gt、Cho)により2007年に結成された東京のバンド。『Play for Japan vol.7』に収録されていた彼らの楽曲「そこを見る」を聴き、耳触りのよいサウンドと愛らしいメロディ―と歌詞に、軽快なポップスとして完成度が高い音楽だと感じた。けれど、もう少し何か無いものかと物足りなさも感じたのが正直な感想だった。今回、この記事を書くにあたってもう一度HELLO HAWKをじっくり聴く機会を与えられ、とても感謝している。この『さかなの目』を最初から最後まで何度も聴き、自分の考えを改めた。彼らの音楽には物足りなさどころか、自信、焦り、後悔、希望、華々しい未来への期待と平穏な日常を愛する心、色々な思いが溢れかえっている。きっとまだ若いのだろう。どれも選んでしまう、一つに絞ることができない無邪気さが感じられる。

「そこを見る」はアルバム全体から見れば比較的淡々とした曲だ。あとに続く9曲は、音の上で感情が揺れに揺れている。「IN THE CITY!」の爽快さと焦燥感のせめぎ合いはbloodthirsty butchersのようだし、「線」の夕暮れ色のようなピアニカの音は、あどけなくも切なく、知久寿暁を連想させる。「ワールドエンダー」「反射」の熱ともろさを両方兼ね揃えたサウンドは、デビュー期のART-SCHOOLのような危うさに近い。
先に完成度が高いと書いたが、撤回する。彼らの音楽はまだ未完成だ。感情や伝えたいことをまだ枠にはめきれずにいる。はまるべき枠をまだ模索しているところか、枠など最初から要らないと考えているのか。瞬間的な美しさすら感じる、猛烈なスピードで過ぎ去る「若さ」を見事にとらえた今作『さかなの目』。まだ成長過程にある彼らの音は、もしかしたらもう二度と聴けないかもしれない。彼ら自身も鳴らそうと思って鳴らせるものではないだろう。時間を経れば意味も変わる。ならば今、一番新鮮なままの彼らの音の意味を掴んでおきたい。(text by 水嶋美和)
RECOMMEND【POWER ELEPHANT! LABEL】
RIVER SONGS / MOD LUNG
平成のクレイジーホース、MOD LUNGの最新作がvo/guの矢田氏が立ち上げたレーベルPOWER ELEPHANT!から遂にリリース。4人目のメンバーに若き天才スライド・ギタリスト大地氏を加え、全日本詩で挑む10曲。そのパワーは東京一と噂されるの怪人 安原氏の強力なドラミング。人懐っこいベース・プレイで婦女子の人気を獲得するベースのコウタ氏。そして、ギター・ボーカルの矢田氏ががっぷり四つにくみ、強靭な多魔川サウンドを完成。これは、日本語ロックのクラシック!
THIS WORLD IS MINE / Complete Discography
1997~2000年にかけて東京を中心に活動したEMOTIONAL MELODIC PUNKバンド。 2008年8月15日にコンプリート・ディスコグラフィーが発売。Snuffy SmileからのTHE MILES APART(イタリア)とのスプリット音源、Burst Your Noiseからの単独CD,デモ・テープ音源、LIVE音源を17曲収録。全曲デジタル・リマスタリング済み。未発表曲を2曲含む。新レーベルPOWER ELEPHANT!リリース第一弾!
Saddles / Waiting On The Hill
東京で活動する日本初の本格的なALT-COUNTRY(PUNK + COUNTRY ROCK)バンドSaddlesの待望の1stアルバム。アメリカのどのバンドよりもアメリカを感じれるほどのスケール感、懐の深さ。私たち日本人が憧れた“かつてのアメリカ”がこの一枚にはギッシリつまっている。THE REPLACEMENTS、WILCO、NEIL YOUNGやBOB DYLANなどの良質なロックンロールを求めている方には絶対に届く音だ。
Treatment Journey / WE ARE!
WE ARE!が2009年夏におくるアルバムは、SMITHや初期のR.E.M.をも彷彿させる正真正銘の「ギター・ロック」。なにげない日常を血のしたたるような鋭利な切り口で僕らをはっとさせる詩が音楽になり、僕らの耳や目や皮膚からしみこんでくるようです。「泣ける」音楽は結構ありますが、その先を暴き出す意志と力、そして優しさに満ちたこの作品は本当に稀有だと思います。
HELLO HAWK PROFILE
2008年発表の1stデモでは独特のソングライティング・センスと歌詞の世界観で多くのインディー・ロック・ファンの心をつかむ。2009年末には、東京スーパー・スターズとのスプリットCDを発売。反響を得る。それに伴い、京都・名古屋へレコ発ツアーも決行。また盟友TV.not januaryと共に3バンド共同企画を下北沢にて開催し、好評を博す。2010年には、大合奏会、ボロフェスタ, WEARE!主催企画などに出演。まさにインディー・ロックと言えるサウンドは海外でいうと Superchunk, Built To Spill, Pavement, The Promise Ring国内ならば同世代の dOPPO, BED, WEARE! を彷彿とさせるが、上記のどのバンドにもないフレイバーを兼ね備えている。それは少年期のモヤモヤのようなものを青年になっても引き摺っているかのようであるが、不思議な爽やかさがあるのだ。